キミといた夏 作者/愛子


第23話 最後の夜



明日でお別れってそんなの―――。

悲しすぎるよ―――。

 ☆その夜☆

「最後に直人の声が聞きたい・・・」すずみがつぶやいた。


☆プルルルルウ×2☆

「・・・。すずみ?」直人の声だった。

「・・・。うん。」

ダメだ―――。何で?声聞いただけなのに、涙が出てくるのよ―――。

「どうした?何かあったのか?」直人が心配して言った。

「ううん。何でもないよ」

「そう・・・。良かったぁ、何かあったらどうしようかと思ったよ・・・」

直人。優しすぎるんだよ―――。余計離れたくなくなるよ。

「じゃあ、何か用?」

「・・・。直人の声聞きたかっただけだよ。」

「そっかぁ。俺って幸せ者だな」

「そうだね」
すずみは30分以上話をしていた―――。

だって、明日で直人とお別れだから―――。



☆次の日☆

家には引越し用のトラックが着き、荷物が運ばれて行った。

「もうこの家ともお別れか・・・。あっ、そうだ・・・。お母さんー」

「何?荷物運ぶの手伝ってちょうだい」

「ちょっと、出かけてくる・・・」

「えっ?ちょ、ちょっと―――」

すずみは急いで走って行った――――。