キミといた夏 作者/愛子


第24話 キミといた夏



「ちょっと出かけて来るね」

すずみは急いで走って行った。

「はぁ、はぁ、・・・」


☆直人の家☆

ピーンポーン×2

「出てよぉ・・・」

「はい?!あっ。すずみじゃん、どうかしたか?」

「直人・・・。これ――――」

「ん?手紙・・・」

「うん。でも、私が帰ったら読んでね」

「えっ?何で・・・。」

「じゃあ」すずみは急いで帰って行った。


「何だろう?」


拝啓 直人へ

急にこんな手紙、びっくりしたでしょ。

ごめんね。私、引越しするの。

「えっ?どういう事」直人がつぶやいた。

お父さんの仕事の都合で行かなくちゃならないんだ・・・。

「何だよ。急に・・・。ビックリかぁ?」

その時、直人は手紙の続きを読まないですずみのもとへ走って行った―――。

すずみの事だけを思って―――・・・。


「すずみッ。」直人が大声で叫んだ。

「直人・・・」

「俺に言ってくれないなんて、ひどいよなぁ」

「ごめんね。だって・・・だって、」


ばさぁ
直人がすずみを優しく抱きしめた―――。

「直人?」

すずみが直人の顔を見ると直人の顔から涙が流れていた。

「泣かないでよ・・・。私まで、私まで泣きたくなっちゃうじゃん」

「ごめんな。こんなんじゃ、笑って見送れないよね」

「いいよ。無理しないで・・・」

「なあ、すずみ。またいつか会えるよな」

「うん。当たり前じゃん。絶対会えるよ」


直人。今年の夏は最高に楽しかったよ―――。

キミといた夏―――。が一番の思い出だよ。

また、いつか会おうね。

~The end~