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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第13話「エンジュシティ、やけたとうの伝説」パート4


ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ、メタモン、コンパン


「よくやったよ皆・・・」
 マツバは勝利したゲンガー達を労ってその頭を優しく撫でてあげた。ゲンガーは頭をかいて嬉しそうにしている。
「ゲンガー、いいかな?」
 ゲンガーは主人の頼みを聞いて念じ始めた。すると荒れた大地が波に飲まれるように消えていき、もとの塔の境内に戻った。
「どうや、マツバさんは強いんやで!あんたなんかへのへのかっぱや!」
 悔しい顔をするレイにアカネはマツバとは比べ物にならないだろうと強気になった。
「アカネちゃん・・・」
「あ、は、はい、すんまへん、でしゃばりすぎました・・・」
 マツバが鋭い視線を見せるとアカネは頭を下げてヒビキ達の所へ戻った。
「君は確かに強い。トレーナーとしての実力もポケモンの能力を引き出す才能もある。けれど、もう少し優しさを出してあげれば、もっと強くなれるんじゃないのかな?」
「何?」
 マツバの言葉にレイはキキョウシティでのちょうろうの言葉を思い出した。マダツボミのとうでのバトルでもう少しいたわってやるべきだとちょうろうから窘められたのだが、
「ふん、それが何だ、優しさが何だ。そんなのは弱さしか産まない。だから俺は最強にこだわる。まあいい、あんたとは解り合えないだろうさ。更に強くなって再びこのとうに来て、伝説のポケモンを全て俺のものにしてやる。お前等なんかに手にすることが出来るはずがないさ・・・」
 レイはベイリーフ達をボールに戻すと、寂しげにとうを去っていった。
「何だか寂しそうだね、友達もいないんじゃないのかな?」
 ミナキがレイの背中を見て言った。アカネはこくりと頷く。
「してもマツバさん、あんた強いんだな」
「いや、上には上がいるさ。さて、見てごらん」
 マツバが穴の方に視線を向けると地下の真ん中で三匹の伝説のポケモンが座しているのが見えた。
「おいおいこれって?」
 ヒビキが覗いて見ると、ミナキが説明する。
「そう、この下にいるのが伝説のポケモン、そしてあのオーロラのように美しいのが僕の追い求めているスイクンさ」
 やはりスイクンが目星なのかミナキはスイクンの方に力強く指を差した
「ここにいるのもあれだし、もう少し近くで見てみようか」
「ええの?!」
「ああ、ここよりも間近で見た方が何かを感じられるかもね」
 アカネが嬉しそうに目を輝かせた。ヒビキ達は下へ通じる階段を伝って、地下に足を踏んだ。
 地下の短い階段を下りて中央に来るとそこには文字通り、伝説のポケモン、エンテイ、ライコウ、スイクン達がいた。伝説のポケモン達の荘厳な面持ちにヒビキ達は息を呑んだ。
「キョウウウウ!」
「ガウガウ!」
 そのうちの二体、ライコウとエンテイいななくと走り出してとうを飛び立っていった。ただ一体、スイクンはヒビキ達を見つめて歩き出した。何があるんだろうとヒビキ達が思う中、ミナキ一人はウキウキとしていた。
 スイクンは一人、ヒビキの前に止まり、彼の瞳を覗くように見つめた。
「え、何、何でえ?」
 伝説のポケモンに見つめられてヒビキは戸惑いを隠せないでいた。スイクンはしばらくヒビキを見つめた後、とうを飛び立っていった。
「はあ、ドキドキした・・」
「うちも、あんな間近で見れるなんて、本間一生に一度や・・・」
 ツクシとアカネは伝説のポケモンを見れて嬉しそうだった。
「いやあ、スイクン、実に美しい、実に素晴らしい!けれど彼はヒビキくん、君のことを見ていたね」
 ミナキはスイクンに感慨深く感じていた。同時にスイクンがヒビキに何かを感じていたのではと思った。
「確かに、彼以外、僕達には見向きもしなかったね。まだまだ、彼等には及ばないというものなのか・・・」
「どうした、マツバさん?」
「いや・・・。ヒビキくん、ジムの挑戦があったよね。やるべきことはやったし、僕のジムに来るかい?」
「ああ、もちろんさ。あんたとは戦ってみたかったしさ!」
 ヒビキがビシッと言うとマツバは穏やかな笑みをしてジムに戻っていった。ヒビキ達はマツバの後ろ姿にトレーナーとしての強さを感じているのだった・・・。

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