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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第11話「コガネジム、VSアカネ」パート5


ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ(ひんし)、オオタチ(ひんし)、イシツブテ(ひんし)、オニスズメ(ひんし)、メタモン


「うわああああああん!」
 突然、二人の耳につんざくくらいの鳴き声が聞こえて来た。ヒビキとツクシはひっくり返るくらいびっくりした。
「うわわ、この世の終わりみたいな鳴き声じゃねえか・・・!」
「ア、アカネちゃんが泣いてるんだ・・・」
「アカネちゃんが?!」
 ヒビキが振り向くと、敗れたアカネが目からハイドロポンプのような量の涙を流してペタンと座り込んでいた。
「えええええん、ひぐ、ひどい、ひどいわ!ひどいのーーーーーっ!」
 周りの取り巻きの女の子達があやして宥めてもアカネは泣き止まない。
「あーあ、貴方、アカネちゃんを泣かしちゃったわね」
「うえ?!」
 取り巻きのミニスカートに言われてヒビキは心臓がグサッと刺さった気持ちになった。
「ああ、大丈夫よ、気を悪くしないで。アカネちゃん敗けるといつもうなのよ」
「そ、そうなのか・・・」
 見るとアカネはまだ泣いていた。周りが慰めても泣き止む気配がない。涙が止まることなく流れていた。
「・・・・・・・」
「ヒビキくん?」
 頷くと、アカネの所へ歩いて近くにしゃがみ、そっとハンカチを差し出した。
「ふええ・・・?」
 ハンカチを渡され、アカネがやっと泣き止んだ。
「なあに・・・?」
「取り敢えず、これで涙を拭いてくれや」
 照れ臭いのか恥ずかしそうにアカネと顔を合わせず、ヒビキはそれを差し出す。
「な、何鳩が豆鉄砲喰らったみてえな顔してるんでえ。これで拭けや・・・」
 ぶっきらぼうにそのハンカチをアカネの膝に置いて起き上がった。
「じゃあ、俺は行くぜ。バッジは次に戦う時でいいさ」
「ええ?!ヒビキくん、どうして?」
 ヒビキの意外な台詞にツクシは驚く。勝ったのに再戦してからバッジをもらうなんて言うトレーナーなんていなかったからだ。
「どうしてって、別に聞くほどでもねえや」
「でも、折角アカネちゃんに勝ったのに、もらわないなんて損・・・」
「でももカモネギもねえ!確かに勝ったけどよお。見てみい、あんなに泣いてんじゃねえか。ジムリーダーって言っても相手はかよわい女の子だ。まあ、すげえ強かったけどよ・・・。でも、女の子を泣かしてまでバッジを取ったってなるとトレーナーの風上にもおけねえってなるじゃねえか」
「ヒビキくん、そう思うかもしれないけど・・・・」
 ヒビキ達のやり取りをアカネは聞いていた。
「あの、待って!」
 振り向くと、既にアカネは泣き止んでいた。ハンカチで涙を拭いて二人のもとへ走った。
「ん、もう泣き止んだのか?」
「あの、うちは大丈夫やから。ごめんなさい、うち、敗けるといつも泣いちゃって・・。そうそう、これを」
 アカネはヒビキにコガネジム公認のレギュラーバッジを差し出した。
「え、いいのかよ?俺、アカネちゃんを泣かせて・・・」
「ううん、ヒビキくん、違う・・・、ヒビキさんは何も悪くないの。敗けて勝手に泣いたうちがいけないんやから。うち、もう敗けても泣かないって約束するから、受け取って!」
 涙で潤んだ目でもう泣かないと言うアカネを見てヒビキは彼女の思いを受け取る。
「おう、解ったよ、じゃあ、しっかりともらっていくぜ」
 ヒビキはバッジを手に取り帽子にバッジを飾る。よく見ると、取り巻きのトレーナー達がヒビキにうっとりしている。
「ヒビキさん、その・・・」
「何だ、それにヒビキさんって?」
「あのね、うち、これからもヒビキさんとツクシくんと旅がしたいやけんど、いいかな・・・?」
 アカネは頬を赤くして、もじもじしてヒビキに一緒に行ってもいいだろうかとお願いした。
「ああ、もちろんだぜ」
「アカネちゃんは僕達の友達だからね」
「ありがとう!これからもよろしくね」
 バトルが終わり、アカネは大きな決意を胸にしてヒビキ達と旅を続けるのだった・・・・。

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