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第21話「アカネ大ピンチ、ヒビキとツクシの決意のZ技」パート2
ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、オニドリル、イシツブテ、アローライシツブテ、ウソッキー(手持ちチェンジ)
「ツクシくーん!」
タンバシティの海岸をヒビキは走っていた。砂浜が濡れる海岸を友達を探して走り回っていた。そして、その友達を見つけた。
「ツクシ、くん?」
砂浜の近くで、体育座りをして膝に顔を埋めてうずくまっているツクシを見つけた。すすり泣いている声が聞こえている。
「ヒビキ、くん?」
ヒビキに気付いてツクシは顔を向けた。ずっと泣いていたのか頬は赤く染まっていて、目は涙で潤んで頬を伝って流れていた。
「ここで泣いてたんだな・・・」
ツクシの隣に座って声をかける。
「ヒビキくん・・・」
「何だ?」
「僕、もう帰ろうと思うんだ、ヒワダタウンに・・・」
「え、何でだよ?」
驚くヒビキにツクシは言った。
「だって、君は僕よりも強くなっているからさ、比べ物にならないくらいに。これから先、僕が付いていってもアカネちゃんや君よりも強くない僕ではきっと足でまといになってしまう。だから僕は・・・」
ヒビキの前で泣きながら無理に笑顔を作ってみせる。泣いているが何とか顔を笑って見せようとしていた。
「そんなことはねえよ、ツクシくんだって十分強いさ、自分のポケモンを頑張って進化させてるじゃねえか」
「気遣いはやめてよ!!!」
ヒビキの言葉に声を荒げる。ヒビキはビックリして口を塞いでしまう。こんなにも涙に染まっているツクシを見たのは初めてだった。
「あのポケモンに僕は手も足も出なかった。皆の役にも立てなかった。どんなに頑張っても僕は強くなれない!もうやだよ、ひぐ・・・こんな・・・自分・・・」
泣きじゃくって顔を膝に埋める。するとヒビキが差し出した。ツクシが見るとそれはハンカチだった。
「ヒビキくん?」
「取り敢えずこれで拭いてくれや。男の湿気た面は見たくねえからよ」
ぶっきらぼうに言いながらも優しい手付きでツクシの膝に置く。
「確かに悔しいけどさ、でもいつまでもウジウジしてても仕方ねえだろう。いじけてたってどうにもならねえ。負けたんなら次は負けねえようにもっと強くなっていけばいいんだ。だからよ、もうメソメソするなよ」
「あれ、ヒビキくん泣いてる?」
「て、てやんで、泣いてるんじゃねえよ、目に鼻水が出たんだよ畜生。それに、俺との約束はどうなるんだ?」
「約束?」
「言ったぜ俺、チャンピオンになるって、ツクシくんに俺のチャンピオンになった姿を見て欲しいって」
「でも僕じゃなくても・・・」
「いいや、俺はツクシくんでなくちゃダメなんだ。チャンピオンになった俺の姿は誰よりも初めて友達になった子に見て欲しいって決めてるからさ」
「ヒビキくん、ふふ、そうだったね・・・」
どこまでもプラス思考で前向きな姿にツクシは救われたように気がした。この少年は皆に希望を与えてくれる太陽の光のようだと、そう思えた。
「君は強いんだね」
「強かねえんだ、俺は強くなってく奴なんだよ」
互いの手を握って握手し、友情を確認し合うのだった・・・。
続く・・・。