コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- *叶恋華* +実話+ 【完結】
- 日時: 2011/07/12 23:31
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: JiXa8bGk)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=19180
一生懸命、想いを伝えるよ。
恋を実らせるよ。
愛を描くよ。
華は、優しく貴方を想う。
『いつかは、叶いますように』
※57話〜74話
188〜200話
シリアス注意!
(●´・ω・)ノ☆☆☆HELLO☆☆☆☆ヽ(・ω・`○)
*2010.3/25*第一期『*切恋華*』完結!!
*2010.4/6*第二期、*切恋華*の続編『*君想華*』すたーと
*2011.1/25*『*君恋華*』完結!!
*2011.1/25*『*叶恋華*』すたーと
*2011.7/12*『*叶恋華*』完結!!
+2011.1/23+
作者、長期休養から復活いたしました!!
↑のURLは前スレ←
一応この小説は実話を元にしたお話です^ω^b
現在進行形の、作者の恋愛です。
依麻の思考とかは、少し手を加えています←
あと、セリフも思い出せる限りメモしてるのですが……全てが正確という訳ではないので、ご理解お願いします。
しかし更新がノロすぎて、現在の更新状況は【二年生3月の出来事】になっております0Д0
頑張って現在の【三年生7月の出来事】になるよう、なるべく頑張って更新したいと思いますので、よろしくお願します!
作者の名前一覧*
絵磨◆VRtMSlYWsU
絵磨(携帯)
掲 示 板 編 集 中 !
(今は見づらいですが、次第に見やすくなるように修正していきます><)
☆注意☆
*実話をもとにしていますが、細かいところや市名や名前、全部仮名&フィクションです
*基本フリーダムな書き方です←
*馬鹿な作者は恋すると更に馬鹿になりますので、自意識過剰が酷くなると思います; それにつれ色々むかつく点がチラホラ出てくると思いますが、暖かい目で見守って下さると嬉しいです;ω;
*中傷・ケンカは×!!
*長編なので、ぜひ! 暇つぶしに読んでください♪
*今年受験の身なので、更新が更に亀になる場合も…
*作者は中学生です。精神年齢はそれ以上に低いので絡む際にはお気を付け下さい。
*文章力ないので、勉強中です。描写なども下手くそなので、ぜひアドバイスしてくださると嬉しいです^^*
*コメ返しなどで「w」や顔文字など乱用します(特に「w」)ので、苦手な方はご注意ください。
*小説内でメールや手紙の時だけ絵文字顔文字が使われます。ご理解頂けると嬉しいです!
≪だいすき、≫
この想いは、いつ君に届くのかな?
【*叶恋華*】
〜↑目次↑〜
prologue-ぷろろーぐ->>1
MainCast-めいんきゃすと->>2
classmateⅠ-くらすめーとⅠ->>8
classmateⅡ-くらすめーとⅡ->>121
classmateⅢ-くらすめーとⅢ->>437
第一部≪始まりの華≫
第一章【真夏の転校生】
1.『光葉中学校』>>15 2.『豹変』>>18 3.『転校生』>>21
第二章【六回目の恋】
4.『かっこいい人』>>33 5.『心の変化』>>36 6.『気になる?』>>37 7.『手紙』>>38
8.『二人のセカイ』>>44 9.『恋』>>45 10.『KISS&YOU』>>50 11.『友情と愛情』>>53
12.『自分の生き方』>>60 13.『甦る気持ち』>>66 14.『好きな所』>>71
第三章【短期間の恋、芽生える恋】
15.『恋愛定義』>>73 16.『芽生えゆく環状』>>74 17.『暖かい気持ち』>>75 18.『気になる人』>>76
19.『膨らむ気持ち』>>77 20.『朝の出来事』>>98 21.『眩しい二人』>>100 22.『天然発動』>>102
23.『好きの気持ち』>>117
第四章【七回目の恋】
24.『学校祭一日目』>>118 25.『学校祭二日目』>>119 26.『恋想』>>126 27.『暴露』>>129
28.『天然四天王』>>131
第五章【メール大作戦】
29.『交換大作戦っ!』>>132 30.『メアド交換』>>133 31.『君への想い、加速中』>>134
32.『マイナス思考』>>140 33.『空回り×妄想』>>141 34.『メール』>>148
第六章【君×私÷恋=ピンチ】
35.『天然記念物』>>153 36.『恋にピンチはつきものです』>>154 37.『天然観察』>>156 38.『視界の中のキミ』>>159
39.『思わぬ笑顔』>>166 40.『焦る気持ち』>>168 41.『ちっぽけな勇気』>>173 42.『ワガママな想い』>>174
43.『逃走思考』>>176 44.『進む恋時計』>>179 45.『疑問≒期待』>>181 46.『嘘つきな憂鬱』>>183
47.『明日へのココロ』>>185 48.『confession...?』>>198 49.『Panic!!』>>199 50.『天然王子』>>200
51.『恋時雨』>>217 52.『作戦×策戦』>>218 53.『作戦、実行』>>219 54.『とある理由』>>228
55.『reason』>>257 56.『癒思考』>>263
第七章【恋愛と友情】
57.『呼び出し』>>272 58.『残酷Real』>>273 59.『悲痛』>>274 60.『trouble』>>279
61.『後悔』>>286 62.『despair-絶望-』>>296 63.『謝罪メール』>>297 64.『君の優しさ』>>298
65『過去≒未来』>>303 66.『TimeSlip』>>305 67.『悪口friend』>>309 68.『お手紙friend』>>310
69.『反省friend』>>312 70.『ごめんねfriend』>>316 71.『ぐちゃぐちゃHeart』>>319
72.『feeling』>>326 73.『二つの選択』>>332 74.『トモダチ』>>333 75.『気持ちの真実』>>338
76.『皆の気持ち』>>341 77.『君の気持ち』>>345
第八章【100%の恋心】
78.『甘い妄想』>>346 79.『天然炸裂』>>350 80.『天然lover』>>351 81.『片想いlover』>>356
82.『重なる影』>>360 83.『教訓』>>362 84.『意味深野郎』>>371 85.『嫌々思考』>>372
86.『深々思考』>>373 87.『恋愛思考』>>374 88.『筆談Talk』>>376 89.『一方通行』>>377
90.『気になる発言』>>378 91.『Panic思考』>>379 92.『膨らむ気持ち』>>380
93.『眩しい笑顔』>>381 94.『逃走思考』>>382 95.『Situation』>>399 96.『君の想い人』>>401
97.『欲張りHeart』>>402 98.『私の知らない、』>>403 99.『恋想色』>>408
第九章【200%のもどかしさ】
100.『モドカシイ、』>>417 101.『言えない言葉』>>426 102.『心理テスト』>>432
103.『気になる会話』>>433 104.『好きの行動』>>434
第二部≪膨らむ蕾≫
第十章【君と私の距離】
105.『LuckyTime!』>>438 106.『君の本音』>>447 107.『遠ざかる距離』>>448
108.『届かない距離』>>452 109.『些細な優しさ』>>453 110.『気まずい関係、』>>454
第十一章【クリスマス、冬休み】
111.『LoversXmas』>>455 112.『眩しい姿』>>459 113.『急展開メール』>>460 114.『0.1%の期待』>>462
115.『夜の始まり』>>464 116.『壱の伝言』>>465 117.『壱の質問』>>467 118.『ずるい戦法』>>469
119.『新たな決意』>>470 120.『12月31日』>>473 121.『ドッキリ』>>476 122.『悪戯』>>477
第十二章【新学期】
123.『隣』>>479 124.『○cmの距離』>>482 125.『一筋の想い』>>485 126.『大好きな気持ち』>>486
127.『隣の笑顔』>>487 128.『同じ動作』>>493 129.『視線の先』>>494 130.『君の、』>>495
第十三章【それぞれの恋愛事情】
131.『SweetDream』>>499 132.『君の恋事情』>>500 133.『バレンタインの想い出』>>508
134.『バレンタイン計画』>>509 135.『バレンタイン思考』>>512 136.『彼女にするなら、』>>513
137.『マシな人』>>518 138.『あの子と私』>>519 139.『天然日和』>>522 140.『ドキドキ日和』>>523
141.『速まる鼓動』>>524 142.『問題と解答』>>526 143.『偶然と些細な動作』>>527
144.『救命指導の出来事』>>532 145.『想いの華』>>533 146.『些細な出来事』>>537
第十四章【Valentine†Countdown】
147.『Valentine Countdown』>>539 148.『chocolate』>>540
149.『Valentine Mission』>>549 150.『決戦は月曜日』>>552
第十五章【Valentine】
151.『Valentine当日』>>553 152.『迫る時間』>>554 153.『Bad Valentine』>>559
154.『好きだからこその、』>>560 155.『Valentine後日』>>562 156.『なんともいえない気持ち』>>563
第十六章【諦める方法】
157.『儚い気持ち』>>566 158.『普通』>>567 159.『諦め』>>571 160.『君を嫌いになる方法』>>572
161.『表情』>>576 162.『矛盾≒気持ち』>>577 163.『自然な気持ち』>>582 164.『好きの気持ち』>>583
第十七章【私の気持ち】
165.『嘘をつけない心』>>584 166.『片想いDays』>>586 167.『犬ちゃんとの会話』>>587
168.『偶然≒HAPPY!!』>>588 169.『ほんの些細な出来事』>>589 170.『君を想うだけで、』>>590
171.『単純に、』>>594 172.『抱いた疑問』>>598 173.『健康調査』>>599 174.『片想い的、恋愛論』>>600
175.『私は私なりに』>>603 176.『恋敵出現?』>>604 177.『強い想い』>>607 178.『冷やかし』>>608
179.『思いたくない考え』>>611 180.『志保ちゃんの好きな人』>>612 181.『恋愛の意味』>>619
182.『卒業式』>>621 183.『三月十五日』>>622 184.『Bad Whiteday』>>623
185.『女の勘』>>625 186.『笑顔の理由』>>629 187.『合言葉は、』>>632
188話からを見る際の注意>>633
第十八章【亀裂×波乱】
188.『嫌な予感』>>636 189.『予感的中』>>637 190.『意味深な予感』>>641 191.『謎の理由』>>643
192.『避けたい理由』>>644 193.『その事実、予感的中。』>>645
194.『君の行動』>>647 195.『疾風の言葉』>>650 196.『気になること』>>652 197.『亀裂』>>654
198.『悪夢再来』>>655 199.『暖かい言葉』>>656
最終章【叶恋華】
200(最終話)『叶恋華』>>658
あとがき>>660
依麻の気持ちイメソン>>63
57〜74話のイメソン>>347
.:*゜..:。:.::.*゜お知らせ&イベント.:*゜..:。:.::.*
返信100&参照222突破記念>>109
返信200&50話突破記念>>215
苺羅様とコラボ企画! 番外編『眉抜きの日』
>>233 >>241 >>245 >>251 >>253
返信400突破記念 番外編『龍くんと壱くんのとある会話』
Scene.1 門外龍の場合(龍目線)>>406
Scene.2 珠紀壱の場合(壱目線)>>407
cast追加&第二部突入のお知らせ>>437
返信500記念(学校紹介)>>507
◆お客様◇(>ω<)カンシャ!
◆苺羅様 ◇宇莉様 ◆闇に光様 ◇あやめ.様
◆ちか様 ◇偽者様 ◆、璃瑚.様 ◇のの様
◆さわ様 ◇魔王様 ◆ココ様
皆様の温かいコメントに、手が震えてます←
本当にありがとうございます><
作者のモットー(は
【恋をしている皆さんに少しでも共感してもらえる小説を書く!!】
描写下手ですが、自分の想っている恋の感情を素直に表したいと思うので、少しでも共感していただけると嬉しいです^^*
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- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.563 )
- 日時: 2011/05/28 19:34
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tVNOFy45)
- 参照: 傍に居たいよね、うん。
第五十六話『なんとも言えない気持ち』
**
「ふぅ……」
体育が終了し、ノートでうちわ代わりにしながら教室へ入った。
見れば、まだ男子は体育が終わっていないみたいで、女子しか教室に居ない。
優と愛奈は廊下へ行ったので、私は教室に居る由良の元へ向かった。
「また新しくプリクラ撮ったさ〜」
「え? まじ? 亜夢先輩と?」
「うん!」
「見せてー」
私は由良の筆箱を開け、貼ってあるプリクラを見た。
笑顔の由良と、亜夢先輩。
「ラブラブですな〜!」
「いやいや〜」
「えー、ほのも由良の筆箱見たい!」
「私にも見せてー」
由良を冷やかしていると、近くに居たほのかと亜矢未ちゃんが寄ってきた。
由良は少し照れながら筆箱を渡すと、二人はまじまじと筆箱を見始める。
そして、
「ラブラブじゃん〜!! いいなぁ〜!」
「ひゅ〜!」
二人も、由良のラブラブを冷やかし始めた。
その瞬間に、男子が次々と教室に入ってくる。
犬ちゃんたちと話しながら入ってくる壱が視界に入り、なんとも言えない気持ちになった。
「……由良、あっついね〜!! ひゅーひゅー!」
そのなんとも言えない気持ちを紛らわす為、大声で由良を冷やかした。
しかし、それが裏目に出たのか——。
「そういう依麻だっているよね?」
「……え?」
ほのかが、軽く笑みを浮かべてそう言った。
私は目を丸くし、ほのかを見る。
私、誰とも付き合ってませんが……。
「付き合ってるんでしょ?」
「誰と?」
「ん」
そう言ってほのかは、こちらに背中を向けている壱を指差した。
私の心臓は一気に飛び跳ねる。
私は慌てて、手を横に振った。
「ち、違うよ、付き合ってないし!」
「まったまたぁ、嘘ついて! だって見ちゃったもーん」
「何が!?」
見ちゃったって、え、何が!?
私は目を丸くしながらほのかを見るが、ほのかは笑みを浮かべたまま黙っている。
気になるけど、深入りしちゃいけない。
そう思いながら席に戻ろうとした瞬間、
「みかみいあさのリアクションって、うけるよね」
「え?」
健吾にそう言われた。
『いじりがいがある』
森野に言われた、その言葉。
頭の中に過り、私は少しだけ懐かしく感じた。
こんな言葉、森野に言われたっけなぁ……。
森野にこの言葉を眩しい笑顔で言われて、一時期森野の事を好きになったんだっけ。
やっぱり健吾と森野、似てるよ。
なんだかあの日に戻ったみたいで、懐かしく思えた。
しかし、
「お笑い芸人の、出○みたいで」
「……」
その健吾の一言で、一瞬にして現実に戻された。
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.564 )
- 日時: 2011/05/28 19:57
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 修旅延期とかなったら、絶対嫌だし
出川きたあああああああ(そこに食いつくな
わぉ、なんか進んでますね…(誰
距離を置くってなんか、絵磨の考え方、かっこいいね←
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.565 )
- 日時: 2011/05/28 22:02
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tVNOFy45)
- 参照: 傍に居たいよね、うん。
>>565
出川きたよおおおおおおおおおおおおおお(ぇ
うちのリアクション、出川みたいなのかね……←
二月はどろどろぐだぐだと進んでいきますよ〜〜ww(は
drdrgdgdだね(黙
いやいや0Д0
そんな事言ってくれるなんて……><
嬉しいdo!(逝
二月編はgdgdがパワーアップするから、見てて0Д0ってなると思うけど、よろしくね(は
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.566 )
- 日時: 2011/05/28 22:06
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tVNOFy45)
- 参照: 傍に居たいよね、うん。
第百五十七話『儚い気持ち』
あなたの中に、私の存在はありますか?
そんなの、ないに決まってるよね。
答えを聞かなくても、わかってる。
——そう思う事だけが、切ないの。
「彼女が出来た」
君は、そう言って笑った。
「片思いが、やっと叶った」
君は、嬉しそうに笑顔を浮かべる。
——そんな、夢を見た。
「……あー……」
もちろん、今日の寝起きは最悪だった。
なんで、こんな夢見ちゃうかなぁ……。
時間を見る為、無意識に携帯を開く。
“新着メールはありません”
「……学校やだ、な」
私はそう小さく呟きながら、ベッドから起き上がった。
学校行きたくないけど、行かなければ。
逃げてても、これは私の自業自得だから仕方ない。
せめて、何かが変わればいい——。
私はそんな儚い事を願いながら、準備を始めた。
**
学校に着き、私は靴箱に靴を入れた。
学校には既に人がいっぱい居て、皆清々しい笑顔を浮かべている。
バレンタインが終わって、二日が経つ。
どうやらもうバレンタインの話題は出ていないようで、私は安心しながら教室へ向かった。
「壱、結局バレンタイン——」
ドアを勢いよく開けて教室の中に入った瞬間に、耳に入った声。
……最悪、だ。
声の主——龍と目が合い、その場の空気は固まった。
龍の傍には壱や疾風、原田くんや犬ちゃんなどが居る。
私はすぐに目を逸らした。
よりによって、なんで私の机の前に集まってるかな。
……本当、タイミング悪い。悪すぎ。
「……もらったの?」
「——……」
龍の問いかけに、壱は何か小声で呟いた。
もう、バレンタインの話はいいから。
私は必死に心の中でそう叫ぶが、相手に届くはずもなく。
「君の隣のあの子に」
モロ私だよね、うん。
なんで本人の前で言うのかな、それ。
「——犬ちゃんに——……」
「え? ——……」
「原田くんに——」
壱は何か意味の分からない事を呟いていた。
男子たちが壱の方に注目を浴びてるうちに、私は自分の机にバッグを置いた。
そこに居られると気まずい上に邪魔なんだよ、男子軍団よ。
「——壱、あの子って誰だよ」
疾風の口から、その言葉が出てきた。
『隣の席のあの子』だったら、私のことのはずだ。
だけど——……。
壱の口から出てきた『あの子』は、違う人なの?
私の存在やチョコあげた事は、もう眼中にもないの?
私は、これっぽっちも視界に入ってない?
「……」
『片想いが、やっと叶った』
今日見た夢の内容を、思い出してしまった。
やだやだ、なんでこんな時に出てくるんだ。
もしこの夢が事実で、壱に片想いの人が居たら……?
本当だとしても、そんなの信じたくない。
これ以上壱たちの話を聞きたくなかった私は、逃げるように愛奈の所へと向かった。
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.567 )
- 日時: 2011/05/29 03:50
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: RIMOjgnX)
- 参照: 傍に居たいよね、うん。
第百五十八話『普通』
朝から落ち込んでいた私を心配した由良は、何度も励ましてくれた。
励ましてくれるのは、嬉しかった。
嬉しかったけれども——……。
「あそこに壱居るから、チョコの味どうだったか聞いてあげる!!」
放課後、玄関に向かって一人で歩いていた壱の背中を見て、由良はそう言い出した。
一気に全身に悪寒が走り、私は驚きながら由良を見る。
「それ、本気?」
「本気! だから聞いてくるね!!」
「え、ちょ、聞か——……」
ないで!! ……と言うのも遅く。
由良は全力疾走で、壱の元へと向かった。
壱はゆっくりと振り向き、由良と向かい合う。
「……っ!!」
ちょ、マジで由良さん聞いてるの!?
ここに居るとまずいよね、うんまずい。
急に恥ずかしさが込み上げてきて、私は逃げるように壁の裏に隠れた。
「——聞いてきたよ〜!!」
「っ、……どう、だった?」
「なんかね! 『え、……うん。う、ん。普通』だって。じゃあ私は帰るね! ばいば〜い」
普通——……?
何、それ。
普通って、一番嫌な答えだよ。
由良が去った後、私は玄関を出て一人で外を歩いていた。
本当に、私のあげたチョコは単純に美味しくもなくて不味くもなかったのか。
それとも不味いチョコを、壱は優しいから気を使って『普通』って言ったのかもしれない。
……最悪の場合、食べないで捨てたから、適当に答えたのかもしれないっていうこともある。
どちらにせよ、壱にとって『普通』のチョコをあげたのは事実となる。
美味しく食べてもらうために、何度も味見した。
夜中までかかった。
気持ちを込めて、作った。
だけど——。
涙が、出てきた。
爆発した感情を押さえつけるように、私は乱暴に涙を拭う。
だけれど、涙はどんどん零れ落ちてきた。
私、嫌われてるの——?
壱は、何を考えているの?
私が、そんなに嫌いなの?
迷惑だった?
チョコを作ったのも、あげたのも、由良が聞いたことも。
全部、全部迷惑だった?
——そうだよね、私の勝手な片思いで冷やかされて。
壱には、絶対嫌な想いをさせてたよね。
好きじゃないのに、困るよね。
ごめんね、また君を傷付けてしまった——。
「……っ」
涙が、止まらないよ。
君が、好きなだけなのに。
私の想いは、君にとって迷惑なんだ。
好きだけど、やっぱり距離を置くのが一番だ。
ううん、距離を置くなんて甘い。
諦めなきゃ、壱にまた迷惑がかかっちゃう——。
好きだけど、諦めなければ。
これ以上、好きな人に迷惑をかける訳にはいかない。
傷つける訳にはいかない。
これ以上、嫌われたくない——。
二月の冷たい風が、私の髪を揺らした。
涙に濡れた頬に風が当たり、やけに冷たく感じた。
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