コメディ・ライト小説(新)

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それでも彼らは「愛」を知る。
日時: 2022/10/16 22:44
名前: 猫まんまステーキ (ID: qd1P8yNT)

こんにちは。猫まんまステーキです。

昔、主に社会系小説の方で「おかゆ」という名前でほそぼそと活動してました。

見たことあるなって方も初めましてな方もどうぞ楽しんでくれたら嬉しいなーと思っております。

それではごゆっくりどうぞ。


分かり合えないながらも、歩み寄ろうとする「愛」の物語です。


 登場人物 >>1
 Episode1『勇者と魔物とそれから、』 >>2 >>4 >>5 >>7
 Episode2『勇者と弟』 >>9
 Episode3『勇者と侍女とあの花と、』 >>11 >>12
 Episode4『絆されて、解されて』 >>13 >>14
 Episode5『忘れられた神』 >>15 >>16
 Episode6『かつての泣き虫だった君へ』◇ルカside◇  >>19 >>20 >>21
 Episode7『その病、予測不能につき』 >>22 >>23 >>24
 Episode8『臆病者の防衛線』◇ミラside◇ >>25 >>26 >>27
 Episode9『その感情に名前をつけるなら』◇宮司side◇ >>28 >>29 >>32 >>33
 Episode10『雇われ勇者の一日(前編)』◇宮司side◇ >>39 >>41 >>42 >>44
 Episode11『雇われ勇者の一日(後編)』 >>47
 Episode12『いちばんきれいなひと』 >>48
 Episode13『ギフトの日』 >>49 >>52
 Episode14『とある男と友のうた』 >>53 >>54 >>55 >>56
 Episode15『本音と建前と照れ隠しと』 >>57
 Episode16『彼らなりのコミュニケーション』 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63
 Episode17『勝負の行方と宵の秘め事』 >>64 >>65 >>66
 Episode18『物体クッキー』 >>67
 Episode19『星降る夜に』 >>69
 Episode20『焦がれて、溺れて、すくわれて、』>>70 >>71
 Episode21『そしてその恋心は届かない』>>72
 Episode22『私たちの世界を変えたのは』>>73
 Episode23『  再会  』>>75 >>76
 Episode24『すべて気づいたその先に』>>77
 Episode25『空と灰と、』>>78 >>81

 <新キャラ紹介>>>87

 Episode26『パーティ』>>88
 Episode27『勇者、シュナ』>>91 >>92
 Episode28『まっすぐで、不器用で、全力な 愛すべき馬鹿』 >>94 >>95 >>96
 Episode29『あなたを救うエンディングを』 >>97 >>98
 Episode30『世界でいちばん、愛してる』 >>99 >>100 >>104

 ◇◇おしらせ◇ >>74

 ◆2021年夏 小説大会 金賞受賞しました。ありがとうございます!>>84  ◆
 ◇2021年冬 小説大会 銀賞受賞しました。ありがとうございます!>>93  ◇
 ◆2022年夏 小説大会 金賞受賞しました。ありがとうございます!>>103  ◆

 ◆番外編◆
 -ある日の勇者と宮司- 『ケーキ×ケーキ』 >>34
 -ある夜のルカとミラ- 『真夜中最前線』 >>58

 ◇コメントありがとうございます。執筆の励みになります♪◇
 友桃さん 雪林檎さん りゅさん

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.100 )
日時: 2022/10/16 21:54
名前: 猫まんまステーキ (ID: qd1P8yNT)




 「……おまじない、って‥」
 何を言っているんだ、と言葉が出るよりも声をだして笑ってしまった。
 胸の奥からこみ上げるこの気持ち。どうしようもなく泣きたくて、むずがゆくて。
  初めての感情に疑問を浮かべるばかりだった。
 そんな中、彼は私の顔をまじまじと見つめているのに気づく。昔から人にじろじろ見られるのはあまり得意な方ではない。

 「……なによ。そんなに見てもいいことなんてないわよ」
 少しむっとした声で返せば「悪い悪い」とまったく悪びれている様子なんてない声色が返ってきた。
 「俺は龍司っていうんだ。お前は?」
 「……千代」
 「千代……千代か。良い名だな」
――まただ。

 彼に会ってから私の心臓がなんだかおかしい。
 そういって優しく微笑む姿をみて、心臓がきゅっとなってしまう。



「なぁ、俺、お前に一目ぼれしたかも」
 「はぁっ……!?」
 何を言い出すのかと思えば突拍子もないことを言い出した。


 「なあ、また会いに行っていいか‥?もちろん、お前が嫌ならもう会わない!……けど‥俺はまたお前に会いたい」

 元気が良いと思ったら今度は急にしおらしくなりながらこちらを伺うように見つめてくる。

……調子が狂う。

 「……別に嫌じゃないわよ」
 「本当か!!!」


 途端にパッと花が咲いたように周りが明るくなったような笑顔を向けられて思わず顔をそむけてしまった。
 この人といると、なんだかおかしい。むずがゆくて、まるで私が私じゃないみたい。
 ……でも、不思議とそんな自分が嫌ではない。


 こうして私と龍司君はよく会うようになった。
 龍司君と会っていろいろ分かったことがある。
 弟がいること、魔物で魔法が使えるということ、住んでいる村では魔王と呼ばれていること。
 それはまるでプレゼントの紐をゆっくりとほどいていくようなワクワク感と、秘密を少しずつ共有していくようなドキドキ感。
気が付けば龍司君といるのが楽しくて、楽しくて。会える日を心待ちにしている自分がいた。
龍司君と会って話すたびにむずがゆくて、少し泣きそうな気持になって、この感情が分からないまま月日は経っていく。

 時折私を見て嬉しそうに見つめてくる視線に少し‥いやかなりくすぐったい気持ちにはなるけれど。

 いつまでもずっと続きますように、と願わずにはいられなかった。









 ある日、いつものように龍司君と話をした帰り道
 ふと、いつもの帰る道が妙に違うと感じた。

 いつもと同じ道を帰っているはずなのに、何だろうこの違和感。
 まるで道が荒らされているよう、な―――、


 急激に嫌な予感が走った。


 心の中で何度もお願い、と誰に伝えるわけでもなくただ自分の勘が間違っていますようにと強く叫んだ。


 村が近づく度、所々に血のような跡があった。
 そんなはずない、きっと動物たちが道を踏み荒らしただけ。
 家に帰ればすぐお母さんやお父さんが迎えてくれるはず。
 そうして私の顔をみて少し驚いたあとに笑って、「大丈夫」と声を掛けてくれる。


 そう、いつも通りよ。何も怖くないわ。


 相反して早くなる鼓動を必死で沈めながら気づけば転がるようにして家に戻っていた。





 「お父さんっ!お母さんっ!!!」
 いつもなら周りの目を気にして大きな声なんて出したことなかったのに、それすらも気にする余裕なんてなかった。


 「―――、」
 声を出して気づく。


――――村が静かだ。



 静かすぎるくらいで、まるで――




 そこまで考えて首を振り、ゆっくりと家の中に入る。
 頭の中で警告音が鳴り響く。
 血のにおいがする。おそらく気のせいだろう。そうだ。そうであってほしい。
 

 「お母さん……?お父さん……?」


 いつもなら聞こえるはずの「おかえり」が聞こえない。



 「……………おかあ、さ、」




 声が震えてうまく音にならない。





 「……あ、…」




 呼吸が上手くできない。頭が上手く働かない。
 目の前で血まみれになって倒れている二人の男女は、誰だ






 「あ、……あぁ…………」






 手足の感覚がない。床に座り込んでいる。誰が? 私が。 何故?


 


 「――――――――!!!」



 誰かが泣き叫んでいる声がする。まるで鬼の咆哮のようだ。






 「ア、‥‥‥あぁあ、…‥あああぁァぁあアぁぁアァア!!!!!!!!!!!!」






 なんてことはない。それは自分が泣き叫んでいる声だった。








Re: それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.101 )
日時: 2022/08/23 18:46
名前: りゅ (ID: B7nGYbP1)

閲覧5000突破おめでとうございます!!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
執筆頑張って下さい!!

Re: それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.102 )
日時: 2022/10/09 14:49
名前: 猫まんまステーキ (ID: qd1P8yNT)


りゅさん>連絡が遅くなってしまいすみません。いつもコメントありがとうございます!
たくさんの人たちが見てくれたおかげでついに5000突破しました!嬉しいです。ありがとうございます( *´艸`)

Re: それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.103 )
日時: 2022/10/09 15:16
名前: 猫まんまステーキ (ID: qd1P8yNT)


 長い間更新が止まっていましたが生きています。猫まんまステーキです。
 気づいたら2度も金賞を受賞していました。本当にありがたい限りです。ここでこの小説に投票してくださったみなさんにお礼を言わせてください。この小説を読んでくれて、この子たちを好きでいてくれて本当にありがとうございます。

 まさかこんなにたくさんの人に見てもらえ、尚且つ素敵な賞を取るとはそこまで考えていなかったので(いつか取れたらいいなーくらいしにか考えてなかった)いまさらこんなとんちきな名前にせずもっとマシな名前があっただろうとは思ってます。笑

 これからもこんなとんちきな名前でそれ愛は書き続けていきたいです。今はなかなかシリアスな展開が続いているし終わりはもうできているのにこれをどうやって持っていこう着地させようと日々考えてはいるんですがなかなか進まないです。それでもふとした時に振り返ってそういえば彼らはこんなことを言っていたなぁこんなことやっていたなぁって見直すと結構楽しかったりします。(そしてそこで誤字や進行上での食い違いを見つけると発狂する)
 まぁ要は彼らの物語を進めているのが楽しくてしょうがないんだろうなぁって思います。まだまだ番外編やこのキャラのこんなシーン書きたいってのもいっぱいあるし、なのでもう少しこの自己満に付き合ってくれると嬉しいです。

 それでは、長々と話しましたが今後も「それでも彼らは『愛』を知る。」をよろしくお願いします!


                         2022 10.9 猫まんまステーキ

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.104 )
日時: 2022/10/16 22:07
名前: 猫まんまステーキ (ID: qd1P8yNT)





 なんて言っていたのか、覚えていない。きっとただひたすらお父さん、お母さんと呼んでいたのだろう。


 周りには荒らされた跡。それに気づくのは時間の問題だった。





 「………お前、生きていたのか」
 声がして反射的に振り返るとこの村の人間で。
 少しおびえたような、けれど怒りのこもった目をしていた。


 「この村に盗賊が入ったんだ」

 その村人は静かに話してくれた。


 数時間前にこの村に盗賊が押し寄せてきたこと。
 次々と家に入り込み、金目の物を奪ってはそこにいた住民を次々と殺していったこと。
 私の家も入り、運悪くそこにいたお母さんとお父さんも殺されてしまったこと。


 「……わしの家族も殺された」
 「……」
 「悪いのはここにいない盗賊だとわかっていても、どうしても、やりきれない気持ちはある」
 「……」
 「忌み子よ。鬼でも人でもない子よ。お前がこの村に来なければ、こんなことにはならなかったんじゃないかと、ずっと考えてしまう」
 それは静かな怒りだった。



 「やはりお前は、この村に災いをもたらす」
 静かに、けれど研ぎ澄まされた怒りが無数に突き刺さる。




 「頼む。出ていってくれ、この村から」
 声は震え涙が出たのはどちらだったか。




 「……出ていってくれ!!早く!」

 怒声が聞こえたと同時に走り出した。



 全身に鳥肌が立つ。誰に対してかわからない「ごめんなさい」をただひたすらに言い続けた。




 ああそうか。やっぱり私がみんなを不幸にしてるんだ。

 私と一緒にいたから、私があの村にいたから、お父さんやお母さん、村の皆が殺されたんだ。

 走って、逃げて、彷徨って、どうしようもない吐き気に襲われて思わずその場で吐き出した。




 こんな半端者、消えてなくなりたい。




 気づいたら私が私自身を生かすのを拒絶しているかのように、食べ物や水を飲んでもすぐに吐き戻していた。

 


 どれだけの時間が経ったか、村からどれくらい離れたところにいるのかわからなくなってきた頃。もうきっと自分がダメになるのも時間の問題だと視線を下にさげたとき、


     リボンが視界に入った。

 「―――、」


―――「お前が、お前のその綺麗な角が、少しでも好きになれるようなおまじない」


 懐かしい、記憶だった。今でも彼は、私に会っても同じことを言ってくれるのだろうか。

‥そこまで考えてやめる。もうきめたのに。彼と会うと今度は彼を不幸にしてしまう。


「(……それでも、彼に会いたいだなんて――、)」


 



 「――やっと見つけた」


 息が、止まる。



 聞き間違えるはずがない。だって、今私が最も会いたいと思っていた人で、




 「やっぱりお前の角はきれいだな。遠くからでもすぐにわかった」



 最も会いたくなかった人。





 「……少し‥いや、かなり痩せたな。でも千代が無事でよかった」



 一歩、近づく。 やめて。


 「……あちこち傷もできている。このままだと悪化しちまう」



 今まで我慢していたものがあふれてしまう。 壊れてしまう。


 「千代、」

 来ないで。



 見ないで。こんな私を。
 



 


気づいたら思い切り龍司君を押していた。

 「……もう、会えない、」
 「‥‥?……会えない?どういうことだ?」


 「私といたら‥っ、龍司君まで不幸になっちゃう‥!」


 幸せだった。こんな私が、誰かと一緒にいられたことが。
 幸せだった。こんな私でも、誰かと同じ時間を過ごせたことが。


 だから。


 この幸せで愛おしかった時間をどうかそのままで思い出として大切にしまいたかった。



 「アッハハハハ!!」

 そう思っていたのに。突然響いたのは笑い声だった。

 「なんでだ?なんでお前といると不幸になるんだ?」
 その答えは予想外で。思わずたじろいでしまう。

 「わっ、私が忌み子で……半端者だから……周りにいる人たちを不幸にさせちゃう‥」
 どんどん言葉がしぼんでいく。

 「だから――、うわっ!?」
 言い終わる前に遮られる。視界一杯に龍司君が映っていて自分は龍司君に抱きしめられているんだと遅れて気付いた。


 「えっ、ちょっと龍司く――」
 「ほら。現にこんなに近くにいるのに不幸にならない。それどころか俺は幸せだ!」
  



 世界が 変わる。



 「お前の村にも行った」
 「……っ、」
 「村の奴らから聞いた……お前の両親はきちんと埋葬した。だから安心しろ」
 「‥え、」
 「つらかったよなぁ……よく頑張ったな」

 龍司君が言葉を紡ぐたび、涙があふれてくる。


 「――それにそんなので、俺は不幸になんてならない!」
 「うわっ!?」
 抱きしめていた手を緩め今度は体がふわりと浮いた。足を抱えられバランスを崩しそうになり思わず肩に手をやる。それを龍司君は確認しそのまま数回回転した。

 いつだって龍司君は唐突だ。


 「お前とずっと会えなくなることの方がよっぽど俺は不幸だ」

 唐突で、


 「一緒に不幸になるならお前とが良い!!!」


 

 いつも私を幸せにしてくれる。





 「そりゃあ生きていればずっといいことばかりではない。つらいことや不幸なことだって起こるだろう。だけどな、俺はそんな時もお前と一緒にいたいんだ」

 いろんな感情を知る。



 「だから俺と一緒に来てくれ!千代!!!」

 


 この愛おしい気持ちも。



 ああ、世界が 彩っていく。






 「―――うん。行きたい」




 こんな私が誰かと一緒に幸せになる未来を作ってもいいのなら、
 それは間違いなく今目の前にいる龍司君とがいいと思わずにはいられなかった。







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