コメディ・ライト小説(新)

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それでも彼らは「愛」を知る。
日時: 2021/11/22 01:03
名前: 猫まんまステーキ (ID: HyhGJdk5)

こんにちは。猫まんまステーキです。

昔、主に社会系小説の方で「おかゆ」という名前でほそぼそと活動してました。

見たことあるなって方も初めましてな方もどうぞ楽しんでくれたら嬉しいなーと思っております。

それではごゆっくりどうぞ。


分かり合えないながらも、歩み寄ろうとする「愛」の物語です。


 登場人物 >>1
 Episode1『勇者と魔物とそれから、』 >>2 >>4 >>5 >>7
 Episode2『勇者と弟』 >>9
 Episode3『勇者と侍女とあの花と、』 >>11 >>12
 Episode4『絆されて、解されて』 >>13 >>14
 Episode5『忘れられた神』 >>15 >>16
 Episode6『かつての泣き虫だった君へ』◇ルカside◇  >>19 >>20 >>21
 Episode7『その病、予測不能につき』 >>22 >>23 >>24
 Episode8『臆病者の防衛線』◇ミラside◇ >>25 >>26 >>27
 Episode9『その感情に名前をつけるなら』◇宮司side◇ >>28 >>29 >>32 >>33
 Episode10『雇われ勇者の一日(前編)』◇宮司side◇ >>39 >>41 >>42 >>44
 Episode11『雇われ勇者の一日(後編)』 >>47
 Episode12『いちばんきれいなひと』 >>48
 Episode13『ギフトの日』 >>49 >>52
 Episode14『とある男と友のうた』 >>53 >>54 >>55 >>56
 Episode15『本音と建前と照れ隠しと』 >>57
 Episode16『彼らなりのコミュニケーション』 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63
 Episode17『勝負の行方と宵の秘め事』 >>64 >>65 >>66
 Episode18『物体クッキー』 >>67
 Episode19『星降る夜に』 >>69
 Episode20『焦がれて、溺れて、すくわれて、』>>70 >>71
 Episode21『そしてその恋心は届かない』>>72
 Episode22『私たちの世界を変えたのは』>>73
 Episode23『  再会  』>>75 >>76
 Episode24『すべて気づいたその先に』>>77
 Episode25『空と灰と、』>>78 >>81

 <新キャラ紹介>>>87

 Episode26『パーティ』>>88
 Episode27『勇者、シュナ』>>91


 ◇◇おしらせ◇ >>74

 ◆2021年夏 小説大会 金賞受賞しました。ありがとうございます!>>84 ◆


 ◆番外編◆
 -ある日の勇者と宮司- 『ケーキ×ケーキ』 >>34
 -ある夜のルカとミラ- 『真夜中最前線』 >>58

 ◇コメントありがとうございます。執筆の励みになります♪◇
 友桃さん 雪林檎さん りゅさん

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.87 )
日時: 2021/09/11 22:20
名前: 猫まんまステーキ (ID: aDg7zUCy)


<新キャラ紹介>

◆かつて勇者シュナと行動を共にしていたパーティのメンバー。現在何をしているかは不明。


 リリィ 器用。目が大きくかわいらしい見た目をしているが言い方にとげがある。独特な雰囲気がある回復系魔術師。シュナ大好き。心開くまでが長い。多面的に物事を見るのが苦手

 ラオ 脳筋。お兄さん気質でシュナの事は妹のように大切にしていた。まっすぐで馬鹿正直。剣士だが格闘もできる。

 ノア 弓使い。眼鏡。見た目のわりにしっかりとした体つき。冷静に物事を判断することができる。

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.88 )
日時: 2021/10/16 23:59
名前: 猫まんまステーキ (ID: aDg7zUCy)



 かつての仲間の名前を呼んだ。


 今のあたしはどれだけひどい顔をしているだろう。


Episode26 『パーティ』


 「……シュナ」
 
 「リリィ……」


 アカリと会ったからもしかしたら、と思っていた。アカリの事だから、もしかしたら、村に戻ってあたしのかつてのパーティに話すかも、なんて。考えていたはずなのに。


 「……おどろいた。本当にここにいたのね。アカリの言ったとおりだわ」
 「‥いつからここにいたんだ?」
 「着いたのは二日前。シュナがここにいるってアカリから聞いたの。信じて探してよかったわ」
 「……」
 「ラオたちもいるの」
 「……ラオたちも?」

 懐かしい名前に思わず顔が上がる。

 「アカリが言っていた。シュナは魔王たちに操られているんだって。ねぇ、本当にシュナは操られているの?魔王と一緒に暮らしているの?それともどこか別のところに住んでいるの?」

 大きな目が不安げに揺れる。彼女は昔から言いたいことをはっきりというタイプだったなと頭のなかでぼんやりと考えていた。

 「……あのときは、本当に申し訳なかったって思っている。シュナを置いて行ってしまったことも、裏切るような形になってしまったことも、全部。――だからもう一度、」
 「リリィ」

 最後までその言葉を聞くことができなかった。


 「……もう、あたし、できない」

 ごめんね、と小さく呟くように出た言葉は果たして彼女に届いただろうか。元から大きな目がさらに大きく見開かれていく。

 「……なんで?どうして?確かに今更またパーティを組んで立ち向かおうなんてシュナからしたら都合がよすぎる話かもしれない。でももともとリリィたち四人で始めた旅じゃない。シュナがいない間、リリィたちすごく強くなったんだよ?転移魔法も覚えたの。まだ完璧ではないけれど、昔よりも随分はやくこの街に来ることができた。だから――、」

 「違うの、リリィ」
 彼女の声量に合わせて語気が強くなっていく。

 「あたしがもうあいつらと、戦いたくないんだ」
 「……どういうこと?」
 リリィの顔が曇っていく。

 「魔王たちに弱みでも握られているの?絆されてしまったの?それとも何か、ねぇ、他に理由があるの?戦えない理由が」
 「……あるよ」

 たくさん、ある。


 「わかろうとしないで勝手に決めつけて、そういうのはやめようと思ったんだ。あいつらはそんなことをするやつらじゃない」
 

 「シュナ……」
 悲しそうなリリィの顔。そんな顔をしないでくれ。

 「―――それで、さっきから近くで見てるこいつは誰?」
 瞬時に切り替わり冷たい声をあげる。後ろにいた穂積へ向けたものだった。
 
 「……先ほどから無礼な人間だな」
 「穂積‥っ!」
 「ちょっと、勝手にリリィ達の中に入ってこないでよ」
 「貴様が先に触れてきたのだろう」
 「はあ?」
 「ちょっ‥ちょっと!穂積!‥リリィも!」
 「というか、変な感じがする……そもそもこいつは人……?」



 ああ、まずい。


 「ねえまさか、」


 

 「―――‥っ、」


 思わず穂積の手を取り逃げ出す。

 「シュナっ!!!!!」

 リリィの声がどんどん遠くなる。遠くで聞こえる。

 いけないことをしてしまった。これは一番やってはいけないことだった。
 すぐにその場で違うと。こいつは、あいつらは違うと、弁明でもすればよかったんだ。


 「おい待て勇者っ!」
 珍しく動揺している穂積の声が後ろで聞こえた。わかっている。でもとにかく今は必死なんだ、許してほしい。


 しばらくしてどこか諦めたように穂積が静かになった。そしてもう一度「勇者」とだけつぶやいた。そうだ、あたしは勇者だった。


 「…………ごめん」
 「――今のはお前もわかっているな」
 「あたし、どうしよう‥一番やってはいけないことをやっちゃった」

 穂積に話すたび、のどの奥から何かがつっかえてあふれ出そうになるのをぐっとこらえる。

 「わかった、わかったから、そんな顔をするな」
 「……っ」

 今の自分がどれほどひどい顔をしているのか、見なくてもわかってしまう。


 「……帰ろう。きっと今頃奴らが心配しているはずだ」
 そういってどちらからでもなく歩き出した。

 ごめん、ごめんなさい。


 何度も何度も謝る。

 きっとこの先起こるであろう出来事も、壊れていく日常も、すべて自分がまいてしまった種なんだと、歩くたびに自覚して脳内にこびりついていった。

Re: それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.89 )
日時: 2021/10/23 22:04
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: GN2HjPM7)


こんばんは。ご無沙汰しております、友桃です。

コメントを書くのが久しぶりすぎて忘れられているかもしれないと思いつつ、
でもこれは言わねばと思って来ました^^

金賞受賞、おめでとうございます!

しばらくカキコ自体来れていなかったのですが、久しぶりに来てすぐこの作品の受賞(しかも金賞!)を知れて、とても嬉しいです。
続きの執筆も頑張ってください。

Re: それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.90 )
日時: 2021/11/13 00:23
名前: 猫まんまステーキ (ID: aDg7zUCy)

 
 友桃さん>お久しぶりです~~~~!!覚えています!コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!カキコ大賞は昔からの夢だったので紆余曲折書いていない時もありましたがこうして皆さんに、友桃さんにまた読んでもらえて、コメントをいただけてとても嬉しいです♡引き続き執筆頑張りますね(^^)

それでも彼らは「愛」を知る。 ( No.91 )
日時: 2021/11/22 01:00
名前: 猫まんまステーキ (ID: HyhGJdk5)



 今更どちらかを選ぶなんて、できない。




 Episode27 『勇者、シュナ』

―――「魔王なんてさ、あたし達の力ですぐに倒せるよ」
―――「そうね。だから早く倒して村の皆を安心させなくちゃ」
―――「この4人でいれば最強だ」
―――「そうやってあなたたちはすぐ油断をする‥まぁでも、確かに負ける気はないですね」

 ふとよぎったのは、少し遠い過去のこと。
 まだ何も知らない、無知だったころの自分。

 パーティを組んで、自分たちは最強だと豪語して、酒を飲んでは夢を語り、笑い合っていたあの頃。



―――「……いま、なんていったの?」
―――「‥だからこれ以上進むのなら俺たちは一緒に行けないって言ったんだ」
―――「待ってよ!?意味が分かんない!魔王は?あと少しで拠点に着くっていうのに‥!」
―――「強い魔力を感じるのよ。シュナ、今のリリィ達じゃ無理‥行っても全員死ぬだけなの……」
―――「だからなんだっていうんだよ!?村の皆は?それだけじゃない。魔王に支配されているといわれているこの街の人たちは?それらをすべておいて逃げ出すっていうの!?」
―――「確実に救うにはもう少し力を付けてからじゃないといくらなんでも‥」
―――「シュナ、挑戦と無謀は違うんだよ」
―――「……それでも、今引き返すことはできない」
―――「シュナ!」
―――「嫌なら来なくて大丈夫だ。ここから先はあたし1人でいく」




 これも少し前のこと。
 仲間と喧嘩して、衝突して、1人で倒しに行くと覚悟を決めた頃。


―――「ああして笑顔で俺の名前を呼んでくれる今がとても愛おしいと思う」
―――「俺はな、どこかで生きていてほしいと願うことが、俺の、俺自身の愛のかたちだと思う」
―――「勇者、信じて」
―――「ありがとう、勇者。ここにきてくれて。宮司様だけじゃない‥きっとここにいる皆の心を動かしてくれた。また笑顔があふれた。かけがえのない生活にしてくれた。すべてのことに感謝します」
―――「私はこの生活が大好き。ここの皆が大好き。もちろん、今では勇者ちゃんも大好きよ。だからそんな大好きな場所で大好きな人たちと大好きなことをやったら、それはきっと、本当に幸せなことじゃないかしら?」


―――「あなたのような人がいるのなら、人間も、人間がする営みも、悪くはないのかもと思えるようにはなりました」





……そしてこれは、もっと近い記憶。

 気づいたら頭の中は、今のあたしの生活はこいつらでできていた。
 大切で、かけがえのない、この生活がたまらなく愛おしかった。
 
 どうしたらいいのか答えはまだ出せないけど
今あたしがこのままここに居続けたらいけないことくらいは、わかる。

 それでも――――




 「よう勇者。ざまあねえなぁ」
 扉が勢いよく開いたかと思うと龍司がからかうような声色で入ってきた。

 「穂積から聞いた。お前、かつてのパーティに会ったそうじゃないか」
 「……」
 「――なんだ、随分と部屋の物が1つにまとめられているじゃないか。まるでこの城から出ていくような素振りだな」
 「……あたし、分かんなくなっちゃったんだ。始めは魔族なんて、って思っていたけど‥今はどっちも大切で……両方手放したくない。あいつらも根はいいやつなんだ。いい奴で……優しくて……今は勘違いしているだけなんだよ。でもどうしたらいいのかわからなくなって、つい穂積の手を取って逃げちゃった‥なぁ龍司、あたしどうしたら、」



 
 「勘違いするなよ」
 とたんに龍司の声が一気に低くなる。

 「“それ”を、俺に委ねるのか?委ねて、逃げて、投げ出して。ずいぶんと弱くなったもんだなァ。それでお前は満足か?」
 「‥っそんなんじゃ、」


 「いいか勇者。これは忠告だ」

 ゆっくりと、瞳がこちらを捉える。


 「お前は最初、俺たちを倒しに来た。今更“どちらか”なんて選べないんだよ。だからお前が選ぶしかないんだ。“俺たち”か、“あちら側”か」
 「……わかんない、やだ、いやだよ、龍司。あたしどっちも大切で――」
 「甘えんな」

 全てを見透かしたように、遮るように龍司は話す。

 「俺はお前の事、嫌いじゃあない。だがお前の言う『勘違い』で俺たちの日常が崩されることはあってはならない。俺はここのやつらが、生活が、千代が、何よりも大切だ。それを脅かすようならたとえ勇者でも、俺は排除しなければならない」

 

 『排除』


 その言葉を龍司から聞くとこんなに胸が苦しくなるとは思っていなくて。思わず視線を下ろしそうになる。


 「お前は勇者なんだろう」

 ゆっくりと、鉛のように心の中に落ちていく。

 「だからどちらかを選べ」

 言葉が、視線が、すべてがあたしの中に入っていく。


 「もしお前が“あちら側”を選ぶのなら俺は全力で敵対する」


 龍司の声に迷いはない。

 「その時は覚悟をしろ。――勇者、シュナよ」

 このとき、初めて龍司の目があたしを“敵”と認識した。



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