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Every day the Killers †7つの結晶編†
日時: 2012/12/02 15:40
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

初めまして鈴音(すずね)と申します!!

小説カキコでは初めての投稿となります!


まだまだ中3の未熟者ですが、温かい目で見てください……

誤字、脱字などありましたら、気軽に指摘いただくとありがたいです。

※第一部の最後の方から、斬りのいい場所がないので長くなってしまっています…

※"結晶"は、"クリスタル"と読んでください。最初の方は"結晶【クリスタル】"と、表記されてますが、途中で省略する場合がありますので注意してください(汗

*お友達*
紅 琥珀様 陽様

では!友募集しております☆

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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.75 )
日時: 2012/06/11 21:41
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「あっ……ぐぅ…!」

苦痛の声を喉の奥からしきりに出す。これ以外の声は出せないようで。今なお謎の攻撃は続いている。前兆がないため避ける事は不可能。只巡の身体が傷ついていくだけだった。避けようにも、今からでは遅い。身体にダメージを受けすぎた。今彼の身体は至るところから血が溢れている。

「啓一君、一つ聞くけど私の名前、きちんと聞き取れた?」

女性が声を掛けてくる。急な攻撃を仕掛けてきたため巡は相手の名前を聞くことすら間々ならず謎の攻撃を全身で受ける事になったのだが、相手はその事を百も承知。彼女は笑顔で巡をからかうように、

「あぁ、私の攻撃で聞こえなかったんだっけ!御免御免!もう一回自己紹介するね!私の名前は風・鈴(フォンリン)。体術が得意なの。」

不意に風・鈴と名乗った女性は巡の眼前に来る。来た瞬間巡は目を見開き動けなくなっていた。それに伴い謎の攻撃も止まっていた。

———今なら風の壁も無いはず…!逃げるなら今だ!

そう思い踵を返し一直線に来た道を帰ろうとする。すると再び暴風が巡の足止めをする。これを行っているのはあの風・鈴という奴だな、と思い背後にいる風・鈴に声を張る。

「おい!この壁をどかしてくれ!俺は帰らないといけないんだ!」

フフ、と嘲笑の篭った笑みで巡の言葉を静かに数度詠唱し、口を開く。それは否定の言葉で

「断るわ。私は貴方に用が合ってその髪飾りを飛ばしたんですもの。」

「何……?」

今思うと、髪飾りが飛んだ時の暴風と、先ほど目の前で結成された暴風は同じものだった。俺を嵌めるために仕組んだのか、と内心思ったが表情に出すと相手の思う壺だ。出来るだけ表情に出さないようにしていたのだが、

「フフフ…私が、ビビジガンの仇を取ってあげる!」

と言う言葉に、ついに表情が顔に出てしまった。

今自分の顔は驚きで引きつっているだろう。鏡を見なくても分かるほど今自分は驚いている。何故風・鈴からビビジガンという単語が出てきたのだろうか。考えられる要因は二つほどなのだが、

一つは、風・鈴がビビジガンの身内だと言う事。家族や親戚の場合は仇と称して自分を攻撃してくることも可能だ。もう一つは、

———風・鈴が、クリスタクトだと言う事!

巡が思っているのは後者の方だ。明らかにビビジガンより能力が強いのは感じて分かった。すればこの風・鈴は2人目のクリスタクト…。

「私は、風のクリスタルの保持者…風のクリスタクトよ!」

風・鈴の声と共に、暴風と風の羅列が巡の身体を抉るように襲いかかった。


Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.76 )
日時: 2012/06/21 20:38
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「……遅い………。」

残された美優達4人は巡の帰りを待っていたのだが、数十分経っても帰ってこない。何かあったのではないかと心配の表情を見せる皆。ウォーカーは何かを決意した顔をしており

『こんなに遅いなんておかしいよ。きっと啓一に何かあったんだ……。僕たちも啓一の後を追おう!』

うん、と応答の声が3つ聞こえる。どれもタイミングは合っていなかったがしかし確実に一人ひとりが返事をした。





                   ……

先刻居た場所から数分で、目的の近くまで来る事が出来た。往復で十分も掛からないので巡は既に帰ってきてもいいはずだが帰ってこないとなると何か事件に巻き込まれたのかもしれない。

あくまでも仮説であり、本当は巡は只道草をしていただけで何事もないかもしれない。今の彼女たちは巡に道草をくっていて欲しいと思っていた。事件に巻き込まれるより明らかにいいからだ。

「啓一君の姿…見えないね…。」

ふと、美優が呟く。彼女は辺りを見周し巡がいるか判断するが彼の姿は見つからない。どこにいるのだろうか。皆の不安は煽られていた。

「も、もしかしてこの森の猛獣に食べられちゃったんじゃぁ……。」

湖の手前には樹海があり、獰猛な猛獣がわんさかいるが、彼らは滅多に人に手は出さない。それは質問したルナヴィンも分かっていた。しかし滅多に出さないと言っても出すときもある。運が悪ければ猛獣に食べられる可能性も少なくはないだろう。だが、ウォーカーは否定の言葉を出す。

『啓一はそんなに弱い奴じゃないよ。あの猛獣だって一ひねりだったし…彼に限って猛獣に"負ける"って事は無いと思う。』

あくまで予想だけどね、とウォーカーは最後に付け足しをした。猛獣と言うのはウォーカーが最初に巡と会い、ダークサイド校に向かう途中に会ったライオンの事だ。その事を知るのはウォーカー1人で、聞いていた美優達は少し首をかしげている。

「まあ、啓一君は強いし、そこのところは心配しなくて大丈夫なんじゃないかな。きっと。でも…心配だなぁ…どうして帰りが遅いんだろう。」

うーん、と皆が呻る。皆考える事に必死な中、ロンリーは湖の方に少しだけ歩み寄った。

その歩みが原因だった。

「きゃっ…!」

強い風がロンリーを襲う。まるでこの先には進ませないぞとでも言わんばかりに。

彼女は風・鈴の作り出した"暴風壁"に侵入する事を阻まれた。彼女が暴風壁に触れた事によって湖の方面にいる風・鈴に侵入者がいると言う事が知れてしまった。

「あら……よかったわね啓一。お友達が尋ねて来たみたいよ。」

「…!!」

巡は未だ攻撃を受けており防御に集中し口を動かす暇が無い。しかし表情には出せる。友達、思いあたるのは彼女たちしかいない。自分を心配して追いかけてきてしまったか。だが彼女たちをこんな戦場に入れるわけにはいかない。どうすれば、と思った直後だった。

風・鈴が、笑ったのだ。


Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.77 )
日時: 2012/06/21 20:39
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「皆…これ…。」

ロンリーは自分が発見した風の壁を指差して言う。無論風なので他人からは虚空を指差しているようにしか見えないのだがそこにはしっかりと風が存在しており、壁となっている。

「これは……もしかして僕たちをこの先に進めないようにしてるんじゃないのかな…。」

ルナヴィンが自分の推測を口に出す。ウォーカーは同意をするように首を縦に振る。ロンリーも同様に静かに首を振る。しかし美優は首をかしげた。

「でも…なんでこんな所に壁なんて作るんだろう…まあ意味はあるんだと思うけど、どんな意味なんだろう…もしかしてこの先獰猛な猛獣が…!そして私たちにはフレンドリーな猛獣が!」

『それはない。』

出た、ウォーカーの即突っ込み。

「何か…湖の方に何かあるのかな?」

「その何かでルナヴィンがぼろぼろになればいいのに!あ、服は大事にしないと駄目なんだったっけ。じゃあルナヴィンのアイパッチだけでもぼろぼろに!私の懇願!」

「そんなの懇願にしない!」

もうこの2人はコンビ組めばいいんじゃないかな、と思ったりするウォーカーであるが、ふと妙な音を聞く。それは風と肉体が擦れ合う音で、通常ならばありえない音だ。

『もしかして啓一…湖の方で…戦っているんじゃ…!』





                  ……

「!!」

聞こえた。確かあれはウォーカーの声だ。自分の耳に聞き間違いなどありえない。それほど耳には自信がある。よく耳を澄ましてみれば他にも美優やルナヴィン、ロンリーの声も聞こえる。

———全員で来たのか…!!

少人数で来れば逃げるのも楽だったのに、と思うがいまさら遅い。そもそも自分が気を抜いていたのが悪いのだ。責めるべきは自分にある。

相手は見えない攻撃を繰り出してきている。何度もあたったので段々技の正体が分かるようになってきた。使っているのは風。つまり莫大な風を圧縮し飛ばしてくる"かまいたち"と同じ原理だ。相手はかまいたちを飛ばしてき巡の身体を傷つけていく。


Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.78 )
日時: 2012/06/21 20:41
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「ぐっ………!」

この状況を何とかしなければならない。

美優達を傷つけるわけにはいかない。何としても守り通さねばならないのだから。大体、美優が自分に付きまとってきたのは自分から声をかけたあの時が原因なのだ。

だが、今自分は攻撃を受けている。助けに行けない。

ウォーカーが守ってくれるだろうか。

いや、彼はルナヴィンとロンリーという自分にとって掛け替えの無い友人を先行して守るだろう。そうだ、美優を守れるのは自分しかいない。
しかし、助けに行けない。

目の前のクリスタクトは攻撃を仕掛けてきている。自分を本気でつぶそうとしている。そうだよな、自分は彼らにとって"仲間"と言える人物を一人消滅させたのだから。

———あっちでもこっちの世界でも、俺は人を殺すしか出来ないのか……!

守りたい。

殺すのではなく、大切な存在を、守りたい。

そうするには、

「少しの…っ犠牲も付き物だよなぁっ!」

「!」

かまいたちが、はじかれた。

目の前の、いかにも子供といった生物に、いとも簡単にはじかれた。一体どういうことだろうか。風・鈴は手加減した覚えも無いし、相手が弱っているのは確実だった。

「どうして……」

言葉が出ない。ありえないと思っているのか、それとも現実が信じられないのか、一瞬動きが止まる。それに伴って、風の暴風壁が消える。その隙をついて、巡は駆け出した。

守りたい人…美優の元に向かって。

しかし直ぐに風・鈴は首を振り、攻撃を仕掛けて来る。意識が戻ったため再び巡の前に暴風壁が立ちはだかる。

「邪魔をするなクリスタクト…っ!俺は…俺は…!」

「何を言っても私は聞かないわ!貴方はビビジガンの仇なの!私が倒さないといけないのっ!」

風・鈴が切実に叫ぶ。それを見た巡は一瞬、

———クリスタクトも…大変なのか………。

しかし同情はしてはいけない。あくまで客観的に物事を見ろ、と何べんも自分の心に言った言葉だ。彼はそれを思い出し、再び風・鈴の方を向く。

「どうやらお前を倒さないと戻れないみたいだな」

「ようやく腹をくくったのね」

そう言い、再び大量のかまいたちが巡を襲った。

Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.79 )
日時: 2012/06/30 10:32
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「啓一君……」

彼は大丈夫だろうか。いつも強気で、本心を隠しているであろう彼は、内心が丸見えなのである。美優にとっては、巡の気持ちは手に取るように分かった。

———幼馴染でもない私が何で…啓一君の心が分かるんだろう。

もしかしたら、分かっているつもりで、本当は本心なんて読めていないのかもしれない。巡は優しい人だ。自分に合わせて本心を変えているのかもしれない。

ふと、声が聞こえた。それは今考えていた対象の人間、巡啓一の声で、やはり皆の推測どおり湖の方から声が聞こえる。だがその声は途切れ途切れであり、まともには聞こえない。他の皆にも彼の声が聞こえたのか、湖の方を見ている。

先に言葉を作ったのはウォーカー。

『啓一、やっぱり湖の方にいるのか!』

彼は額に汗を浮かばせ、焦ったような顔をする。ルナヴィンはそんなウォーカーを見て不安になったのか、別の意味で汗をかいていた。

ロンリーは、美優の方によってくる。よほど臆病なのか、小刻みに震えている。本当は美優も泣き出して、此処から逃げ出したい気持ちなのだが、

「私が…私が、しっかりしないといけない…頑張れ私!」

皆に聞こえないように、小声で呟き頬を叩く。急な行動にウォーカー達は驚きを隠せず口が開いている。

「もうちょっと、近づいてみよう。もしかしたら突破できるかもしれない」

美優にしては珍しく、自分から動こうとしている。彼女は内気なため、他の人に流され続けて今まで生きてきた。自分の意見など、ほとんど持った事が無い。持ったところで、皆に切り捨てられるに決まっているからだ。

彼女は今まで、そう思って生きてきたのだ。

———でも……。

今は違う。自分の意見を持つ意味がある。切り捨てられたりなどしない。採用される。使用される。それだけで嬉しかった。

自分から率先して動き、暴風壁に触れる。案の定、風の強さで触れた腕がはじかれる。しかしあまり痛みは無く、暴風壁は足止めのみに使用されると推測出来た。

「この壁…与えるダメージは少ないけど、ちょっと厚いかも…誰かこれ壊せるって人…いるかな?」

辺りを見回す。しかし誰も手をあげようとはしない。

———やっぱり誰も手あげないよなぁ…。

ため息をついた。打破出来ないか考えるつもりだが、不安になってきた。


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