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Every day the Killers †7つの結晶編†
日時: 2012/12/02 15:40
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

初めまして鈴音(すずね)と申します!!

小説カキコでは初めての投稿となります!


まだまだ中3の未熟者ですが、温かい目で見てください……

誤字、脱字などありましたら、気軽に指摘いただくとありがたいです。

※第一部の最後の方から、斬りのいい場所がないので長くなってしまっています…

※"結晶"は、"クリスタル"と読んでください。最初の方は"結晶【クリスタル】"と、表記されてますが、途中で省略する場合がありますので注意してください(汗

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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.70 )
日時: 2012/06/02 19:53
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

扉を叩いてきたのは一人別行動を取っていたウォーカー。彼は両手に大きな袋を持っている。重たそうな感じだが、ウォーカーはあまり苦としておらず、平然とした、いつものポーカーフェイスである。

『カジュネス様、お久しぶりです。』

大きな袋を地面に置き、カジュネス姉妹に一礼するウォーカー。嫌っていたのではないか、と言う巡の仮説は違ったようだ。

「あ、ウォーカー君じゃないですか、ルナヴィンの付き添いですか?」

「何か僕が病人みたいじゃないですか!」

ルナヴィンの突っ込みがはいる。片目にアイパッチと、旗から見れば病人なのだが、自身はそうは思っていないようだ。

『まあ、そんな感じです。あ、エミリ様もこんにちは。』

なんだか異様な程ウォーカーが笑顔になっているのは気のせいだろうか、と思い始めた巡。いつもならポーカーフェイスを崩すことなく無口キャラをつきとおしている、はずなのだが。

「ん?わたしはメアリのついでか?えぇ?」

というエミリの一言で、ウォーカーの笑顔が消えた。

『あ、べ、別に、そう言うわけじゃなくてですね、えっと、その……。』

彼は笑顔から焦りの顔になり始める。冷や汗を流しているのがこちらからも伺える。何故急に態度が一変したのか。それはこれから分かることだった。

「ほほう、ちびっ子ウォーカーはまたわたしに虐められたいのだな?」

『違います!僕はMじゃありません!それにちびっ子でもありません!』

必死に否定の言葉を発し続けるウォーカー。本当に心の底から否定しているようで、表情に余裕がない。ポーカーフェイスは何処へいったのやら。

「ウォーカーMじゃないのか!?」

『君はずっと僕の事をMだと思ってたの!?君だけは僕の味方になってくれると思ってたのに!!』

なんだか急にウォーカーに嫌われた気がする、と思ったのは巡だけだろうか。



Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.71 )
日時: 2012/06/09 20:04
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

数十分間、カジュネス邸に居座った巡達。カジュネス姉妹とロンリーと仲良く出来た一行は、ウィルディンにまつわる不思議な話を聞く事になった。

それは、今まで伝わってきた伝説…いや、言い伝えと言ってもいいだろうか。此処、ウィルディンには毎年若い男性、または女性が"ウィルディンの湖"に行くと次の日から湖に訪れた男性または女性が行方不明になる、と言うもの。こちらの世界で言う"神隠し"のようなものだ。

しかしこちらの"神隠し"はいつかは行方不明になった人が帰ってくるが、リムーヴァルクの神隠し、"家臣隠し"は行方不明になった人たちは一行に帰ってこない。それに加え年々行方不明者が増加しているという始末だ。

巡は最初は信じていなかったが、昨年この邸宅に勤めていた家臣が1人ウィルディンの湖に行って翌日行方不明になったと言う。行方不明になった家臣は若く見た目は10〜20代だったそうだ。

3人は沈黙を作る。作ると言うよりは出来てしまった、の方があっていると思うが巡は意図的に沈黙を作っていた。それは、

———この"家臣隠し"……。何故行方不明になった人々が帰って来ないのか。自分たちの意思で帰って来ないのか、それとも、既に……。

死んでいるのでは、と最悪の事態を脳裏に焼け付けながらも、相手の出方を待つ。しかし姉妹は2人とも口を硬く噤んだまま話そうとしない。機密事項なのか、単に言いたくないだけなのか。

「そーんな暗い話しないでっさー、明るく皆で猫☆ネコダンスしようよぉー!」

そんな暗い空間を破ったのは、黒い猫耳を頭から生やした猫…いや、化け猫だった。彼女は両の拳を軽く握り、顔の下あたりまで持ってくると不意に腰を振りはじめ、

「にゃにゃにゃー、猫はこったつでまるっくなるーくるっと回って一回転!にゃ!」

謎な踊りをし始めた。また変な奴が、と巡はため息をつき、美優は化け猫の腰の動きを目で必死に追いかけている。ウォーカーは化け猫を見ずにロンリーとルナヴィンとの会話に入っている。

「全く、貴様は要らないときに来るな。」

そう言いエミリが少し額に怒りマークを浮かばせながら言う。怒っているようだが化け猫は変わらず謎のダンスを繰り広げている。一体何をしているのか、とメアリに聞いたところ

「あれは確か……、"幸福のダンス"でしたかね。」

誰が幸福になるんだ一体。と内心で突っ込みを入れた。どうみたってエミリが幸福になってるわけでもなく、メアリも通常通りで幸福にはなっていない。美優、ウォーカーも同様に、だ。

残りはロンリーとルナヴィンだ。ルナヴィンは恥ずかしそうに懐から赤い、しかし掌サイズの物体を取り出す。それは花を模った作り物、否髪留めであり、ロンリーは静かに頭を差し出す。

———幸福は、あそこか。

ほほえましいな、と思ったのが原因なのか、つい口元が緩まる。こう言うのもいいな、と巡は初めて思った瞬間だった。

Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.72 )
日時: 2012/06/09 20:05
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「そうだロンリー。友人もいることだし、客人を観光に行かせてはくれないか?」

未だ踊り続ける化け猫を無視し、ロンリーに話しかけるエミリ。化け猫が気になっているのか先ほどからちらちらとそちらをロンリーがみている。それはエミリにも分かったらしく、しかし化け猫を無視し続けている。

「なあ、さっきから思ってるんだが……。」

巡は向かいにいるメアリに話掛ける。メアリは「何も言わなくていいですよ」と言い、ゆっくりと立ち上がり息を吸う。

「あれは、この邸宅の配達役です。実は……。お姉さまには内緒ですよ?あの化け猫、名前はキャティーって言って元は悪戯をしでかしていた悪い化け猫で……。噂はこの邸宅まで来ていたんです。でもお姉さまはそう言うの気にしないタイプでして……。
 それで、私が懲らしめたんです。そしたら、彼女が自分から"召使になりたい!"って言いだしたんです。だから今こうして彼女が働いているのは私が原因と言うか何と言うか………。」

「……何か色々あったんだな。」

はい、とメアリは頷く。それ以上の事は彼女は話さなかった。先刻の情報で十分だろう、とでも言うように口を閉ざしたままだ。不意にエミリがこう言った。

「うむ?ロンリー。買出しが完全に済んでいないぞ?"竜神の爪"を頼んだつもりだが?」

ルナヴィンと楽しく話していたロンリーの顔は少し強張り表情は固くなりはじめ、ルナヴィンは不思議に思う。

「"竜神の爪"は売り切れていたんです…。でも、代わりとなる"白竜の爪"を買ってきたので多分そちらで代用出来るかと……。」

ロンリーは悲しそうな表情で言う。自分の失態を人に、仕える人物に指摘されたため怒られたと思い気分を悪くしたのである。

「そうか、売り切れならば仕方がないな。……いや、お使いを頼もうか。少年、お前にだ。」

「俺に?」

エミリは巡にお使いを頼むらしく、巡を指差している。エミリは巡の発言に対し頷きを見せ、微妙に表情は緩み笑みが浮かんでいる。

「どうせウィルディンを観光するんだ。ついでに行ってはくれないか?場所はロンリーなら、知っているだろう?……"ウィルディンの湖"の付近にあるあの、魔道具屋だ。」

———ウィルディンの湖…!

聞いたことのある単語が彼の脳裏をよぎる。そう、"家臣隠し"のよく起こる場所として有名な、湖。正直その場所には近づきたくないが、自分は家臣ではないので大丈夫だろう。

「…分かった。ロンリー、案内を頼めるか?」

彼女は微笑で、しかし意志の篭った目で頷きを見せる。どうやら悪意や敵意を巡に対し持っていないようだ。その安心感なのか、安堵のため息が自然と口から零れた。



Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.73 )
日時: 2012/06/11 21:39
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

夕暮れ時。

何時の間にかカジュネス邸は目には見えなくなっていた。どうやら再びステルス結界を張り外部との情報をシャットダウンした様子。しかし彼女たちは巡達にあるものを渡していた。それは一目でカジュネス邸が分かる電子地図で、使わないときは粒子となりコンパクトにしまえるという代物だった。

「えっと、とりあえずは……。」

先に口を開いたのはロンリー。彼女は周りを見渡し、人が多くいるのを確認しながら脳内に行動ルートを作っていく。そのルートは外部の特定の人間でも見る事が出来、今見られている人物は巡達4人のみだ。

「おい、どうしてそこは曲がっていくんだ?明らかにまっすぐ行った方が早くないか?」

口出しをする巡。どうやら最速ルートではないのが癪に障るらしく、先刻から口出しをしてはロンリーに切り捨てられている。

「此処は暴れん坊の番犬がいる事で有名なんだよー。だから、ワンちゃんにガブリっていかれて出血多量だぁ!って死にたくないから、極力この場所は避けないと駄目なんだよ!でもルナヴィンは置いて行ってもいいかも!そうしよう!」

「君僕の扱い何だと思ってるの!?さっきから酷くない!?」

———こいつらいいコンビだな。

呆れてため息を零すも、ロンリーは再びルートを作っていく。そのたびに彼女の綺麗な黒髪が少し揺れる。風は無く、しかし動きを持つ髪は、不自然とも思われる動きを時たまする事があった。

しかしそんな髪の動きでさえ些細な、と感じられるような大きな事が、これから起きようとしていた。





                   ……

それは、突然のことだった。

暴風が、皆を激しく襲ったのである。前兆はなかった。不意に、本当に急に来たのだ。予測出来ていなかったので防御体制もとっていなかった5人は身に付けているものが飛んでいかないようにと押さえつけるのがやっとで、相手の事など見ている暇が無かった。

空を、あるものが飛んだ。色は、赤。

「あっ!」

そう、ルナヴィンがロンリーにあげた髪飾りが、強風のため髪から外れ、風にさらわれて行ってしまったのだ。取り返そうにも髪飾りは風に載り高度をどんどん上げていく。そして彼女の手の届かない場所まで飛んで行ってしまった。

「どうしよう……。あっちは確か湖の方……。」

ロンリーは一歩足を前に踏み込むが、それ以上は踏み込もうとしなかった。自分が"家臣"なため、家臣隠しになるのが怖かったからだ。それをみた巡が不意に、しかし笑顔で、こう言った。

「大丈夫、俺が取りに行ってやるよ。」

くしゃくしゃ、とロンリーの髪を乱すようになでる。彼女の頬が少し赤みを増し、なんだか分からないが殺気の視線が来たような気がした。
巡達の背後…彼らからは見えない位置に、誰かが、満面の笑みを見せ笑っていた。声は出さず、只身を隠し潜み嘲笑うかのように。


Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.74 )
日時: 2012/06/11 21:40
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

日が、完全に落ち辺りが夜の闇に飲まれ切った頃。少年は湖に訪れていた。足場は満足に見えず感覚だけで此処まで突き進んできた少年は湖の近くにあるものを見つけた。それは髪飾り。

赤い髪飾りを見つけた少年は安堵のため息をつき、それを拾おうとする。すると、瞬間声が飛ぶ。

「あら、こんな時間に何をしているのかしら。」

声を発したのは湖の奥。月明かりが湖で反射し、その声の主を薄暗い黄金の光が照らす。どうやら主は女性のようで、しかし少年は彼女の問いには答えようとはせず、女性は再び声を発する。

「貴方……名前は?名前くらいは言えるでしょう?」

少年は数秒考えた。ここで名前を言っていいのか、と。相手は何しろ面識がない赤の他人だ。赤の他人に個人情報の公開などすれば、運が悪ければ悪用されるに違いない。

しかし、少年は答えた。

「巡、啓一だ。」

彼は名前を答え、もう何も答えなくていいだろ、という視線を目で訴えながら下に落ちている赤い髪飾りを拾い、自分の胸ポケットに入れその場を去ろうとする。

「巡…啓一君かぁ。」

既に巡は踵を返しており、帰る気満々なのだが背後から自分を呼ぶ名が聞こえ、ふと足を止める。そして女性の方を見ると、不敵な笑みを、暗がりなのでよく分からないが確かに笑っている。

———何だコイツ……変な奴だな。

自分はロンリーのためにこの髪飾りを届けなければならない。なので早く帰りたいのだが、どうも目の前の女性が不審で気になるので帰るに帰られない。

「お前……名前は?」

今度は巡から聞く。相手は静かに口を噤む。名前を言わない気か、と思った直後だった。再び、あの暴風が吹いたのだ。

「……っ!!」

今回は髪飾りを胸ポケットに入れていたので飛ばなかったが、危ないところだった。もし拾わずに地面に落ちっぱなしだったら再び探しに行かないと行けない。

ふと、風に違和感を感じた巡はこの状況が危険と判断したのか直ぐに踵を返し帰ろうとする。しかし目の前には壁……風で出来た壁で塞がれており帰れる状況ではなかった。

その時、巡の中の危険信号が黄色から赤に変わった。本能的に"危険だ"と感じたのだ。巡は相手に背を向けるわけにも行かず、脱出する術を諦め相手と向かい合う。

「いいわ、私の名前をお教えしましょう。」

彼女が口を開く。名前を言おうとした瞬間だ。巡に無数の切り傷が出来る。何の前兆もなく、彼の身体がパックリと。所々血が流れ出し巡の顔は一瞬にして苦痛の顔になった。



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