二次創作小説(紙ほか)

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【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜
日時: 2013/07/17 22:12
名前: 時橋 翔也 (ID: FMSqraAH)
プロフ: また…つくってしまった

 こんにちは! 銀河一の駄作者 時橋です!

☆旧紙ほかで連載していた雷門の蒼きストライカーのリメイク小説です
設定等に付け足しや変更が少々ありますが、人間関係は変えるつもりはありません

☆文章の構成を変えました、わかりやすく説明と描写をたくさんいれましたが、さらに読みにくかったらすいませんm(__)m

 イナゴ第三弾!今回はオリキャラが主人公です!

¢注意!

・恐ろしいを飛び抜けた駄文 ←(超超超重要)
・アニメあんま見たことないので色々おかしい
・アニメと言うよりゲーム沿い そしてオリジナル要素がある
・更新遅し
・荒らし&悪口は禁止 それ以外のコメントなら大歓迎
・キャラ崩壊がヤバイ
・十%コメディ九十%シリアスです
・ネタバレあるので、そういうのが嫌いな人は目次のみ見ることをおすすめします ←(超重要)
・前作と変更かなりありますが指摘しないでね ←(超超重要)

これらが許せる方はどうぞ


 ☆お客様☆

・ARISA 様
・葉月 様
・素海龍 様
・風龍神奈 様
・リア 様

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 これは、とある少女のお話。
 歴史の中では決して語られなかった、もうひとつの『物語』。


 †目次†  


 プロローグ>>1

*第一章「蒼きストライカーの出現とホーリーロード」

 @Ⅰ〜変わり果てたサッカー編〜
第1話>>2 第2話>>5 第3話>>6 第4話>>7 第5話>>12 第6話>>13 第7話>>14 第8話>>15 第9話>>16 第10話>>22 第11話>>25 第12話>>30 第13話>>32 第14話>>34
 afterword>>53
 @‖〜雷門を照らす太陽編〜
第15話>>37 第16話>>48 第17話>>49 第18話>>50 第19話>>57 第20話>>62 第21話>>65 第22話>>66 第23話>>72 第24話>>76 第25話>>83 第26話>>85 第27話>>86
 afterword>>87
 @Ⅲ〜復讐の灯火編〜
第28話>>88 第29話>>89 第30話>>93 第31話>>99 第32話>>102 第33話>>105 第34話>>108 第35話>>113 第36話>>114 第37話>>117 第38話>>120 第39話>>128 第40話>>129 第41話>>130 第42話>>131 第43話>>132 第44話>>133 第45話>>136-137
 afterword>>138
 @IV〜過去に縛られた戦士編〜
第46話>>139 第47話>>140 第48話>>143 第49話>>147 第50話>>148 第51話>>151 第52話>>156 第53話>>159 第54話>>160 第55話>>163 第56話>>166 第57話>>169 第58話>>176 第59話>>177-178
 afterword>>179
 @Ⅴ〜革命を起こす二つの風編〜
第60話>>185 第61話>>190 第62話>>193 第63話>>194 第64話>>200 第65話>>202 第66話>>203 第67話>>205 第68話>>207 第69話>>215 第70話>>216 第71話>>217




*【番外短編集】

 作者の気まぐれ。本編と関係があるかもしれないし、ないかもしれない。暇なときにどうぞ。

[♪誕生日企画♪〜バースデー大作戦〜]
 五月二日、この日は登場機会が少ない海音の兄、直矢の誕生日。
 >>171-172

Re: 【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜 ( No.165 )
日時: 2013/04/17 21:47
名前: 時橋 翔也 (ID: Byb50NrS)  


神奈へ

ネット出来なかったら死ぬね…
…って海音、何聞いたの?
海音「秘密♪」
えー気になる…

癒月「あ、そうか、じゃあ剣城こっちこい」
剣城「な…離せ!」
癒月「嫌だね、半殺しにしてやる」
翔也「あーあ…つれてかれた」

翔也「神奈ああああ!!」
海音「ちょ…癒月!イナフタ消滅するよ!?」
癒月「何か言った?」
海音「い、いえ何も…」

翔也「だよね、海音が恋とかww」
海音「死ね」

翔也「まあそこらへんは気にせずに←でも直矢ってそんな目立つキャラでもないし…」
海音「直矢がどうしたの?」
翔也「何でもないよ!ささ海音は向こうへ行って!」
海音「うん…」

直矢「俺も死ぬのか…」
翔也「まーね」
直矢「もっとバスケしたかったなー…」
翔也「そう言えば明日で私も直矢と同い年だ」
直矢「それ関係ない」

第56話 ( No.166 )
日時: 2013/04/21 22:48
名前: 時橋 翔也 (ID: ozdpvABs)


 直矢にそう言われても…自分には優一の足を治さないといけない。しかし直矢のあの寂しげな笑顔が、剣城の心に焼き付いて離れない。
 迷いと葛藤が渦巻く中、剣城は優一の病室へと戻ってくる。

「………」
 優一は戻ってきた剣城を、悲しそうに見つめた。
「…兄さん?」
 様子が明らかにおかしい。そう感じた途端、優一は鋭く言った。


 「…京介、俺は頼んだのか?」


 本日何回目だろうか、何を言われたのか理解出来なかったのは。
「…え…?」
「俺はこの足を治して欲しいと頼んだのか!?一度でも!!」
 剣城の困惑など知りもせず、次々と優一は剣城に感情をぶつけていく。いつもは温厚な優一がこれほど感情的になったところなど、一度も見たことは無かった。

「に、兄さん…」
「…なんで…」
 すると優一はうつむき両手でシーツを握りしめる。そのシーツに何かが落ちた。
     ———涙だった。

「お前に…フィフスセクターが強要している管理サッカーをさせたくは無かったのに…」

「……!」
 胸が痛くなる。兄をここまで傷つけた自分が…許せなかった。
「兄さん、俺は…」
「出ていけよッ!!」
 剣城の言葉を最後まで聞かずに、優一は叫ぶようにいい放った。
「お前は…俺を、サッカーを裏切った!!出ていけよ!!」

「……くっ…」
 反論が出来ずに、ゆっくりと剣城は優一の部屋を後にした。


 人が全く見当たらない通路をゆっくりと剣城は歩いていき、大きな窓の所で立ち止まる。悲しさと罪悪感、その他諸々の感情が混ざりあって複雑この上ない気持ちだった。
 昔から、泣いたら過呼吸になるから泣くなとよく言われてきたが、泣きたかった。

 泣いて感情を全て吐き出せたら、どれほど楽だろうか。

 サッカーを裏切っている。…どこかでそれは少なからず理解していた。なのに…優一の足を治すことを否定しているようで、ずっとその気持ちを押し殺していた。

 ———君は何で、気持ちを殺すの?

 すると海音に言われた事が頭の中でこだました。行動を否定されるのが怖くて、ただ逃げたかったのかもしれない。…『あの時』と何一つ変わりやしない。


「…なあ…。まだ…やり直せるかな」


『それは、君の思い次第だよ』

 何となくの呟きに返ってきた答えは、剣城も心の奥底で信じたかった事かもしれない。
『君は…十分に尽くした。…もう、無理しなくていいんじゃない?』
「……華音」
 剣城はそう言い、首を横に振った。



 海音はやっとの思いで病院の上空までやって来る。幽体離脱しているので疲れはしないものの、汗が垂れるような感じがした。
 このまま優一の病室へ向かえば、剣城に会えるかもしれない。…だが海音はこのとき重大な失敗に気づいた。

「…剣城って、ボクのこと見えるの…?」

 頭を抱え、青ざめながら海音は呟く。
 失態だ。そこまで考えて無かった。
 もし、剣城が見えていなかったら…?幽体離脱しているためものに触れもしないし、伝えるすべなど一つもない。
 レインに試合を任せてここまで来たのに…!罪悪感が海音に襲いかかる。

 だがそんな思いも、すぐに消えてしまった。
 ここから見える窓の通路に、剣城が立っていた。

 しかし、何だか様子が違う。

「剣城…?」



「十分に尽くしてなんかいない…。兄さんの選手生命を奪った俺は、どんなに尽くしても尽くしきれないんだよ」
『…そうか。君らしいと思うよ』
 華音は言った。見えないが、華音が窓の外を見たのがわかった。

『行ってみなよ、帝国にさ。…君の仲間も待ってるよ。お迎えまで用意して』
「…え……?」
 華音の言った意味がよくわからなかったが、その答えを教えることなく華音は消えたのがわかった。また隠れたのだろう。

「………」

 このとき、すでに剣城は決心をしていた。兄とそれから…直矢の願いの為にも。



「…来る必要なんて無かったね」

 走り出した剣城を見つめて、海音は呟いた。どこか嬉しそうに。



 * * *



 …こうしてまともにボールを蹴ったのは、一体いつ以来だろうか。

 レインはそんなことを考えながらボールを追い走っていく。海音が戻るまでの間、代わりを努めねば…。
 それが自分に課せられた義務なのだから。

「ダイヤモンドショット!」
 久しぶりに打つ氷のシュートをレインは放つ。だがGKである雅野はそれを簡単に止めてしまった。
「……」
 やはり無理か…。ボールを向こうへ投げた雅野を見てレインは苦々しくそう思った。


「うわあっ!」
 必死に守ろうと意気込んでいた信助も、帝国の技術の前ではなすすべが無かった。呆気なくボールが奪われ、悔しさと情けなさが身に染みる。
「くそおっ…どうしたら…」

「アルティメットサンダー!」

 再び神童の掛け声がフィールドに響き渡る。何度やっても、どうしても失敗する。
 アルティメットサンダーは高いキック力と狙いを定める精神力を必要とする必殺タクティクスだ、そのため繰り返せばそれだけ体力の消耗も激しい。

 アルティメットサンダー組を初めとした雷門メンバーは激しい戦いに疲労困憊の状態だ。レインもそれは同じだった。
「………」
 あくまでこれは海音の身体だ。足も怪我しているし、無理をして身体を破壊する訳にはいかない。

 …だが、きっとそんな理由で手を抜いた所で、海音は喜びはしない。決して。

 諦めない心があればなんとかなる、そんなきれい事が通じる世界ではないのもよくわかっている。
 それでも、やるしかないのだ。

 奪われたボールを少し強引なスライディングで奪い返すと、レインはフェイントを駆使した鮮やかなプレーで敵をかわしていく。…戦場では、僅かなためらいが命取りになる。

「天馬!」
 シュートするかの勢いでレインは天馬へパスを回す。あまりにも勢いがあるのでミスを起こしそうになるが、ドリブルが得意なお陰でなんとかボールを受け取った。
 そしてそのまま走り出した。

 帝国の一人が天馬からボールを奪いにやって来る。ボールを守ろうと身構えた天馬の背後から紫色のオーラが見えたのを、レインは見逃さなかった。
 「あれは…!」

「遅い!」
「うわあっ!!」
 だが技術は圧倒的に帝国の方が勝っている。オーラは消え、ドリブルが得意な筈の天馬はボールを奪われた。

 そしてボールは宙を飛んでいった。
 雷門のゴールを狙う選手へと向かって。


  ———僕が止めないと、点が取られる。


 そう思った信助は空を舞うボールを見つめた。だが同時に、自分なんかに止められるのかという疑問が生まれる。せっかく練習しても、実際その成果を発揮出来て居ないのだ。


「……自信を持てッ!!」


 すると信助にそんな声が飛んでくる。海音の身体を借りたレインだった。
「この日の為に練習したのだろう!?躊躇うな、自分を信じろ少年!!」
「……!」
 目が覚めたような気がした。
 やる前からすんなり諦めてしまうのが悪い癖なのは、自分自身もよくわかっていたのだ。

 …今だけ、信じてみよう。

 そう思い、信助は思いきりジャンプした。

「なっ…!?」
 帝国の選手をも驚かせるジャンプを見せ、信助は空中でボールを拾うとそのまま倉間へパスを回した。

 ボールを受け取り、勢いが出てきた雷門は再びアルティメットサンダーを発動させようとする。今度は神童に代わり倉間がストライカーだ。
「いかせるか!」
 するとその様子を見ていた龍崎が駆け出した。背後には形成を始めた紫のオーラ。

 不適に笑う竜騎士をかたどったような緑色の化身だった。
「竜騎士テディス!」
「うわああ!!」
 龍崎とテディスは倉間を吹き飛ばす勢いでボールを奪い返す。そしてゴール前へと迫っていた帝国キャプテンへとロングパス。

 ボールを受け取ったキャプテンは、甲高い指笛を思いきり吹いた。途端に現れたのは、それぞれ虹の七色をした七匹のペンギン。
「皇帝ペンギン7!!」
 キャプテンのシュートをカバーするかのように、七匹のペンギンは共に飛んでいく。

「うわっ!!」
 反応しきれず、三国は帝国に先制点を許してしまう。得点を知らせるホイッスルと歓声が響き渡った。


 ここで前半戦が終了した。
 一点リードされた雷門の士気は下がる一方だった。

「…っ!」
 するとレインは怪我した足に鋭い痛みを感じた。下を見てみると、じわじわと血が滲んでしまっている。
 傷がまた開き始めた…。焦りのせいか冷や汗が出てくる。

「…海音達来ないね…」

 天馬はそう言いながらレインに近づく。それなりに時間は経っている筈だが、二人は姿を現さない。

 だが、途端にレインは笑みを浮かべた。
 訳がわからない天馬に、レインはこう告げた。
「…来たぞ」

 その時だった。


「…俺を、試合に出せ!」


 待ち望んだ戦士の声が響いた。


Re: 【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜 ( No.167 )
日時: 2013/04/26 21:33
名前: 風龍神奈 (ID: Um7bp1Xg)


 >翔也

 何とか生還したよ〜
 また傷が出来ちゃったけど…
神奈「癒月の馬鹿」
癒月「馬鹿じゃない 馬鹿なのは神奈」
神奈「…一旦癒月と海音と風笑は教育を受けないといけないみたいだねぇ〜」
癒月「ごめんなさい せめてもの風笑だけに」
風笑「何で私!? 海音の代わりに癒月が受けなよ!」
癒月「海音の為だったらいいけど、風笑だったら嫌だ」
神奈「癒月と風笑は絶対に受けないと駄目」
癒・風「「何で!?」」
神奈「ちょっと人の情報をね…、ばらしすぎたからね…」
癒月「海音が受けないんなら、私は受けるよ …ただし、風笑は強制で、海音くんは無罪放免で」
神奈「了解した」
風笑「ちょ待ってよ! 何で私は強制なn(神奈「黙ろうか」
神奈「では行こうか〜」←癒月と風笑引きずって退場


 ここから先、癒月さんはちょっとお休みです☆



神奈「海音はどんな恋するんだろう… まさかあれじゃ」
海音「タヒね」


 
 私的には直矢さんお気に入りだよ
 というか、雪雨兄弟(妹?)で好きだな〜(≧▽≦)
 

 そうなの!?(‾□‾;)!!
 いいなぁ〜
 私なんか、二学期なのに…(ノ_・。)
神奈「そういえば癒月達の誕生日考えてない」
海音「そうなの?」
神奈「うん 小説でうまく織り込めるなら、誕生日会みたいなの開こうと思ってたのに」
海音「そっかぁ…」
神奈「勿論オリキャラだけだよ」
海音「何でオリキャラだけ!?」
神奈「それ以外のキャラ書く暇がない」
海音「かーわいそー」
神奈「って言っても、皆の誕生日が過ぎたら…って、風笑の誕生日は三学期だ! やばい、本編で出来ない!!」
海音「短編出してやればいいじゃん」
神奈「それは面倒くさいから、本編が終わったらしようかな」
海音「………」


 剣城の活躍、楽しみにしてるよ!


 
 

Re: 【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜 ( No.168 )
日時: 2013/04/27 21:55
名前: 時橋 翔也 (ID: 7uqXWVar)  


神奈へ

神奈無事でよかった〜 久々だったから見捨てられたかと思った。

海音「仲間を信じろ」
翔也「はい、すいません」
海音「ちょ…ボクも受けるから二人は…!」
翔也「はいはい黙ろうか、君も教育しないとだし、エンドレスプリズン行く?」
海音「ぎゃああああああああry」

でも大した恋でも無い気が…
あのね、最後の最後で想いが届いた的な
神童「誰と恋するんだ?」
翔也「これから書くつもりの悪ノ王国シリーズでは君だよ」
神童「……//」

マジで!?神奈君だけだよ!直矢お気に入りって言ってくれたの!

直矢「ありがとう神奈ちゃん(ニッコリ)」
翔也「そうだ、直矢ももうすぐ誕生日だよね」
直矢「まあね、…確か俺の誕生日を題材にした短編書いてるんだろ?」
翔也「うん、五月二日に出すつもり こうご期待!」
直矢「期待はしないね」

翔也「ぜひ書いてくれ!風笑ちゃんの短編見たい!」
海音「ボクも見たいな…」
翔也「いつ帰還した」
海音「逃げ出した」

第57話 ( No.169 )
日時: 2013/04/29 19:31
名前: 時橋 翔也 (ID: Z6SnwTyI)


 水分補給をし、汗をタオルで拭っていたメンバー達の視線が全て同じ方向に向けられる。そこにいた人物を見て、天馬は嬉しそうな顔をした。
「剣城…来てくれたんだ!」

「なんとか間に合った〜…」

 幽体離脱していた海音は身体に戻るとそう言い、ホッとしたような表情となった。途端にレインの声が聞こえる。
『…どうやって連れてきたんだ?』
「ボクじゃないよ…。でも何かきっかけがあったんじゃないかな」
 海音は剣城を見つめながら言った。


「俺を出せ…。シードとしてではなく、一人のサッカープレイヤーとして!」


 剣城は必死に言った。ここまで走ってきたのか、息切れしながら。
「…信じられるかよ」
「また俺達を潰す気じゃ…」
 だが今までの行為から考えるに、簡単に信用は出来ないようだった。周りはそれぞれ顔を見合わせる。
 …やはり無理なのか?
 そんなことを考えた時だった。


「…俺は、信じていいと思う」


 霧野は手を挙げ、皆に聞こえるようにそう言った。神童は驚いて霧野を見る。
「霧野…お前…」
「…何となく、だけどな…」
 弱々しく霧野は微笑んだ。剣城も驚きを隠しきれない。

「ボクも信じます!」

 するとさらに海音も言った。その眼差しに迷いは一切無かった。
「…剣城はサッカーが好きなんです!ただそれを伝えないだけで…」
「俺も信じる!剣城のプレーを思い出して下さい!サッカーが好きじゃないとあんなプレー出来ません!!」
 天馬も海音をフォローするかのように言った。三人の言葉に、皆の心は動き始める。

「…わかった。剣城には試合に出てもらう」
 円堂は笑顔で言った。その言葉に、反対するものは居なかった。

 ホッとしたような表情になった剣城に海音は近づく。
「剣城!頑張ろうね!」
「……」
 海音を見たとたん、直矢の言葉を思い出し、言い表せない複雑な心境となる。
 だが今は試合に集中しよう。優一の為にも。

「ああ…」
 剣城は海音に頷き、音無から背番号10、エースストライカーのユニフォームを受け取った。



 * * *



 試合開始のホイッスル。新たに雷門の一員となった剣城からのキックオフで試合が再開される。
 後半戦、決着の時だった。円堂と鬼道の。

 誰にもパスを出さず、一人で剣城は次々と敵選手を抜いていく。プレーに迷いは全く無かった、——今のところは。
 剣城は完全にフィフスセクターを裏切った。帝国のシード達にそう認識されたが、剣城は気にも止めなかった。

「剣城!アルティメットサンダーだ!」

 海音は剣城に思いきり叫ぶ。足を怪我した自分の代わりに剣城が成功させてくれると信じて。

 その言葉を聞き、剣城はアルティメットサンダーバックパス組にボールを回す。そして本日何度目になるのかわからないアルティメットサンダーが発動した。

「アルティメットサンダーッ!!」

 神童や倉間に制御出来なかった雷のボールを剣城は打ち付ける。いける!だがそう思った剣城の中に優一の言葉がこだまする。
   ———夢だったんだよ!世界のフィールドに立つのが!!

「…くっ」
 ほんの僅かなためらい。剣城は何とかその言葉を押し退け、無理矢理打ち返す。
 大きな弧を描き、絶大なパワーを持ったボールは敵陣地へと着弾する。
 だが、肝心の衝撃波は起こさなかった。

 アルティメットサンダーは衝撃波を起こし、敵の防御を崩壊させなければ完成しないのだ。
 剣城のためらいがアルティメットサンダーの不発を招いたのか?霧野は剣城を見つめる。

「……」
 何で…打てないんだ!?剣城は動揺を抑えられなかった。
 もし試合に雷門が勝てば、フィフスセクターとの契約は無しになる。そうしたら優一は…兄さんの足は治らない。
  ———今後このような事があれば、君の兄は生きる希望を失うことになる。
 今さらになって言われた言葉が蘇った。

「剣城ボール!」
 すると天馬に言われ、ハッと我に返る。こちらへパスをしていたのに気付かず、敵選手にボールを奪われてしまった。
 選手は剣城を見つめた。かつてシードの養成施設で話した…龍崎。

「…また、逃げるのか?」

 龍崎は言った。剣城はそう指摘され、動揺と冷や汗が出てくる。
「なん…だと?」
「逃げてばかりでは、守れるものも守れないんだぞ」
 そう告げると、龍崎は剣城を置き去りにして走り出した。———守れるものも守れない。この言葉が剣城の中に焼きつく。


  「どうしたんだよ剣城ッ!!」


 すると剣城にそんな声が飛んでくる。ボールを追い掛けている天馬だった。
「そんなんじゃ……うわっ!」
 ボールを奪い返す事が出来ず、天馬は地面に転んでしまう。それでもなお、天馬は剣城を真っ直ぐ見つめた。

「……サッカーが、泣いてるよ!!」

 ずっと、入学したときから嫌いだった天馬の口癖。だが今となっては大切な言葉なのかもしれない。
 剣城は俯いた。ただ昔みたいに、兄さんがサッカーする姿を見たかった。…一緒にサッカーしたかった。償いになるとも思っていた。
 兄さんを泣かせるつもりなんて無かったのに。

「……」
 剣城は顔を上げた。もうそこに先程までの迷いなど一切無かった。
 もし…俺が兄さんに償えるとしたら…。


    ———俺と兄さんのサッカーをすることだ!!


「いくぞ!もう一回アルティメットサンダーだ!!」
 迷いを捨てた剣城を見て、霧野は叫んだ。それを見ていた海音も少しだけ笑顔になる。
   ———やっと、枷が外れたね。

 そう心の中で呟き、海音も走り出した。



 * * *



 「それでいいんだ。…京介」


 TV越しに弟の様子を見ていた優一は呟いた。そこに先程の涙はない。

「…わかっていたさ、お前がずっと罪悪感を抱いていたって、俺からサッカーを奪っておいてサッカーする資格なんかないって、サッカーから遠ざかっていたのも」
 兄だからこそ、弟の気持ちはよくわかる。…それでも。

「でも…だからって、お前までサッカーを見失う事はない。管理サッカーではなく、俺達の本当のサッカーをするんだ。
  ———そうしたら俺は、お前と同じ夢が見れる」

 二人で目指した、世界のフィールドに立つと言う夢。
 果たせない自分の代わりに弟にその夢を託したかった。


 だから…がんばれよ、京介。



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