二次創作小説(紙ほか)
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- 【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜
- 日時: 2013/07/17 22:12
- 名前: 時橋 翔也 (ID: FMSqraAH)
- プロフ: また…つくってしまった
こんにちは! 銀河一の駄作者 時橋です!
☆旧紙ほかで連載していた雷門の蒼きストライカーのリメイク小説です
設定等に付け足しや変更が少々ありますが、人間関係は変えるつもりはありません
☆文章の構成を変えました、わかりやすく説明と描写をたくさんいれましたが、さらに読みにくかったらすいませんm(__)m
イナゴ第三弾!今回はオリキャラが主人公です!
¢注意!
・恐ろしいを飛び抜けた駄文 ←(超超超重要)
・アニメあんま見たことないので色々おかしい
・アニメと言うよりゲーム沿い そしてオリジナル要素がある
・更新遅し
・荒らし&悪口は禁止 それ以外のコメントなら大歓迎
・キャラ崩壊がヤバイ
・十%コメディ九十%シリアスです
・ネタバレあるので、そういうのが嫌いな人は目次のみ見ることをおすすめします ←(超重要)
・前作と変更かなりありますが指摘しないでね ←(超超重要)
これらが許せる方はどうぞ
☆お客様☆
・ARISA 様
・葉月 様
・素海龍 様
・風龍神奈 様
・リア 様
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これは、とある少女のお話。
歴史の中では決して語られなかった、もうひとつの『物語』。
†目次†
プロローグ>>1
*第一章「蒼きストライカーの出現とホーリーロード」
@Ⅰ〜変わり果てたサッカー編〜
第1話>>2 第2話>>5 第3話>>6 第4話>>7 第5話>>12 第6話>>13 第7話>>14 第8話>>15 第9話>>16 第10話>>22 第11話>>25 第12話>>30 第13話>>32 第14話>>34
afterword>>53
@‖〜雷門を照らす太陽編〜
第15話>>37 第16話>>48 第17話>>49 第18話>>50 第19話>>57 第20話>>62 第21話>>65 第22話>>66 第23話>>72 第24話>>76 第25話>>83 第26話>>85 第27話>>86
afterword>>87
@Ⅲ〜復讐の灯火編〜
第28話>>88 第29話>>89 第30話>>93 第31話>>99 第32話>>102 第33話>>105 第34話>>108 第35話>>113 第36話>>114 第37話>>117 第38話>>120 第39話>>128 第40話>>129 第41話>>130 第42話>>131 第43話>>132 第44話>>133 第45話>>136-137
afterword>>138
@IV〜過去に縛られた戦士編〜
第46話>>139 第47話>>140 第48話>>143 第49話>>147 第50話>>148 第51話>>151 第52話>>156 第53話>>159 第54話>>160 第55話>>163 第56話>>166 第57話>>169 第58話>>176 第59話>>177-178
afterword>>179
@Ⅴ〜革命を起こす二つの風編〜
第60話>>185 第61話>>190 第62話>>193 第63話>>194 第64話>>200 第65話>>202 第66話>>203 第67話>>205 第68話>>207 第69話>>215 第70話>>216 第71話>>217
*【番外短編集】
作者の気まぐれ。本編と関係があるかもしれないし、ないかもしれない。暇なときにどうぞ。
[♪誕生日企画♪〜バースデー大作戦〜]
五月二日、この日は登場機会が少ない海音の兄、直矢の誕生日。
>>171-172
- 第41話 ( No.130 )
- 日時: 2013/03/24 18:56
- 名前: 時橋 翔也 (ID: 7uqXWVar)
この日の事を思い出すたび、酷く自分の無力さを思い知らされる
血に染まるフィールド 鮮血を吸った赤い地面 倒れているお前のチーム
お前の足はサッカーでこうなったと思えないくらいぐちゃぐちゃで、目を覆いたくなる
不適に笑い、見下すアイツらを、俺は絶対に許さない
お前の仇は取るから…俺から消えようとしないでほしい サッカーが無くても、まだできることはあるはずだ
だからこの日の悪夢を、俺は忘れない
——————
「…磯崎」
すると万能坂のGKは磯崎に呼びかけ、磯崎はGKを振り返った
「どうした?」
「監督からの伝言だ、…九番の足を狙え」
九番 の言葉に磯崎はすぐさま海音を見た 九番とは剣城も潰す命令を受けた海音の事だろう
「わあったよ…」
磯崎は頷く あの監督の命令を聞くのは正直嫌だが、シードである以上逆らうわけにもいかない
…それに見せしめになるかもしれない
「…海音…!」
幼馴染みの足が狙われているのに気づいた夜桜は表情を変え海音を見る そこまでするのかフィフスセクターは
ボールは海音に渡る 渡されたといった方が正しいかもしれない
周りの選手達の動きが変わった とたんに剣城は嫌な予感がした
「まさか…」
誘い込んでる 海音の足を狙っているのだ 恐らくとどめは万能坂で一番キック力が高い磯崎…
足に怪我を負う辛さをよく知る剣城はどうすべきかわからなくなる だって俺は…!
『フィフスセクターから雪雨を再起不能にしろと命令を受けたから』
剣城の横でそんな声がした 姿は見えない それでも誰だかは分かっていた
『さあどうする京介?君は雪雨を、海音を潰すためフィールドにいる まあフィフスに従うなら見ているのが最善だね』
「………」
わかっているさ、それくらい
心の奥底で剣城は呟き、決意したように海音の方を見た
「俺は…二度と足を破壊されるのを、見たくないんだ」
そう言うとソイツはクスッと苦笑したのがわかった
『…それでこそ、君らしいね…京介』
それだけ言うと、ソイツはそれきり何も言わなくなった 剣城は
「ありがとう…華音」
そう呟き、地面を蹴りつけ駆け出した
守備力が薄くなった万能坂の陣地を海音は駆け上がっていく まるで誘い込んでいるみたいに
すると周りの気配に気づいた それはレインも同じだった
『気を付けろ海音、…やつらは海音の足を狙っている』
レインからの警告 それは海音も分かっていた
「………」
だが海音はその警告を無視して走り続ける レインは驚きを隠せなかった
『聞いているのか海音!サッカー出来ない身体にしようとしているのだぞ!』
「……ごめん」
海音はそれだけをレイン、それに他の雷門イレブンに伝えるように言った 海音の意図を察するには十分な三文字だった
海音の足を狙うべく磯崎がこちらへ走り出す レインだけでなく夜桜からも血の気が引いていく
「磯崎やめ…」
そう叫びかけて、止まった
今ここでそう言えば、今までの苦労や犠牲が全て水の泡になる それだけはあってはならない
「…終わりだ!」
磯崎は海音に強烈なスライディングをかける だが海音はかわそうとしない
『やめろおッ!!』
レインが叫んだ その時
剣城は海音に思いきり体当たりし、磯崎のスライディングから海音の足を守った
「うわあっ!」
横へ倒れかけながらも海音は空中で体勢を立て直し、何とか足からの着地に成功する
「海音!」
天馬は叫んだ 今のプレーは…剣城が海音の足を…守った?
海音は剣城を見上げた 逆に剣城は睨むように海音を見下ろした
「…あのスライディング、お前ならかわせたはずだ、…何故かわさなかった?」
「………」
海音は悲しげに視線を反らして立ち上がっり
「…昨日はごめん」
それだけ言った
まさかこいつ…そう思いかけた剣城に怒りの声が飛んでくる
「どういうつもりだ剣城」
磯崎は思いきり剣城を睨み付けた
剣城も真っ直ぐ磯崎を見つめ返す 怒りを押さえたまま
「…これがお前達の潰し方か?やりすぎじゃないのか?」
そう言われると、磯崎は手を握りしめ叫んだ
「二度とサッカー出来なくなればいいんだよ!」
「磯崎…」
悲しげに夜桜は磯崎を見ていた やはりアイツの事を引きずって…
すると剣城の中で何かが音を立てて切れた 無言で剣城は近くのボールをすくいあげ、そのまま万能坂のゴールに向かって思いきりシュートする
ホイッスルが鳴り響き、あっさりと同点になる
海音や磯崎、反応が出来なかったGKを始め、誰もが剣城の行動が理解できなかった
剣城がシュートしたのだ
本来仲間のはずの万能坂のゴールへと
『…それで良いんだ 京介』
確かにそう聞こえた気がした
「…お前は俺達を潰すつもりでは無かったのか?」
レインは訊ねる 海音も聞きたかった事でもある
すると剣城は強い眼差しで海音を見た
「ああ潰すさ…こんな腐ったサッカー、俺がぶっ潰す!」
「…イオはもしかして、この事を予想して…」
神童の言葉に、ハッと天馬は剣城を見た イオはこの事まで見越して剣城を試合に出すよう指示を出したのだ
一体…イオとは何者なんだ?
「…そうか、わかったよ」
すると磯崎は不適に笑い肩をすくめた
「じゃあお前も…潰してやるよ、ぐちゃぐちゃにな」
- 第42話 ( No.131 )
- 日時: 2013/03/24 18:59
- 名前: 時橋 翔也 (ID: TaF97fNV)
前半戦終了のホイッスルが鳴り響く
海音はベンチに行くと真っ先に葵に手を掴まれた
「海音くん腕見せて!手当てしないと…」
「あ、うん…」
海音としてはたいした傷ではなかったが、一般人には大ケガなのだろう 海音はベンチに座り葵は海音の傷の消毒を始めた
海音の腕に包帯が巻かれ終わった時だった
「海音!天馬!…ギャラリーの方で来てほしいと言う人がいるぞ」
向こうから来た霧野にそう言われ、天馬と海音は顔を見合わせる、一体誰だろうか
その答えはすぐに明らかになった
「…車イスの、女の子だった…」
「…!まさか聖歌…?」
海音は声を上げた しかし何故聖歌が自分達を呼んだのか…
海音と天馬は急いでギャラリーへと向かった
——————
ギャラリーの下には少し広い洗面所の様なところがあり、観客と選手が会える唯一の場所だった
それなりに明るいが人気のない洗面所に車イスの聖歌が一人でそこにいた 顔は暗く、今にも泣き出しそうだ
「聖歌!」
洗面所に聖歌を見つけた天馬は声をかけた 聖歌はこちらを向く
「海音さん…天馬さん…」
「…どうしたの?急に呼び出して…」
二人は聖歌に駆け寄る
すると聖歌は目を背けた
「…海音さんごめんなさい」
「え?」
「兄貴が…あんな酷いこと…」
兄貴…の言葉に二人は反応する 聖歌には万能坂に兄が居ると話していた
しかし万能坂に緑菜という名字の者はいなかったはずだ
「…君のお兄さんて誰なの?」
天馬は思いきって訊ねた
聖歌も決心したのか、二人に向き直る
「私の兄貴は…磯崎なの」
「え?」
声をあげるのは海音だった
聖歌と磯崎は見た目は似ていないし名字も違うのだから
「正確には従兄なの、…両親が居なくて、兄貴の家に引き取られたから…」
聖歌は言った そして海音を見つめた
「兄貴は本当はとても優しいの!素直じゃないけど…ごめんなさい、兄貴を変えたのは…私なの…」
「変えたって?」
「…サッカー出来なくなった私の為に…復讐するって…」
すると聖歌はスカートをめくり足を出した その足を見て二人は言葉を失う
聖歌の両足に付いているのは木で出来た義足だった
「聖歌…これ…」
だがその時、試合再開直前のアナウンスが入る 選手はもう行かないといけない
「…じゃあ、行ってくる」
天馬は言った
そして二人は聖歌に背を向け、フィールドへと駆け出した
——————
「…二度とサッカーできないってあの事だったんだね」
天馬は悲しげに言った 海音も頷く
両足が義足となると、例え歩けても超次元サッカーするのはできないのだから
「………」
何故剣城が勝敗指示に背くことに…?神童は至って普通に持ち場に戻る剣城を見つめて思った
「天馬、これ見てくれる?」
「え…」
持ち場に戻る前、海音はポケットから何かを取り出した それは小さなメモだった
天馬はそのメモを見つめる 『revolt』ときれいな字で書かれていた
「……!」
海音から話を聞いた天馬の表情が変わる
だが途端に近くの倉間に早く戻れとせかされ、二人は持ち場に戻っていった
試合が始まる
剣城からのキックオフだが、剣城はパスを出さずにそのまま駆け出した
今まで以上に、鮮やかなドリブルで次々と相手を抜いていく
「………」
海音もその後を追った 剣城は単独でゴールに上がる気だ 元より助けなど借りないつもりか
そしてあっという間にゴールへと迫る GKが化身使いなのは知っている 剣城も化身を出そうとした
「…くそっ!」
海音の化身封じのせいで化身が出せない そうしているうちに、剣城は夜桜にボールを奪われる
剣城は海音を睨んだ
「雪雨!今すぐ化身封じを解除しろ!」
「ええ?!…」
少し考えたが、海音は解除しようと片手を剣城に向ける だがここでレインが語りかけた
『まて、お前が怪我をしてまで発動した化身封じだぞ…簡単に解いても良いのか?』
「…剣城はきっと、嘘はついてないよ」
根拠などどこにもないが、何となくそんな気がした
「おい雪雨!聞いてるのか?」
「解除してほしいなら、ちゃんと頼んだらどうだ?」
レインは海音の身体を使い剣城に言った
「お前は敵なのだろう?易々と命取りになるようなことは戦場で迂闊に出来ないしな」
『ちょっ…レイン…』
レインの中で海音は言った どうやらレインは易々と化身封じを解かせる気は無いようだ
「海音、お前は甘い …では証拠を見せてみろ、お前が本当に我々に味方をするならな」
レインは言った 剣城も何となく意味は理解したようだった
「……見せつけてやるよ」
剣城はレインと海音を睨み付け呟いた
…もし本当に剣城が味方をするなら、あれをやってみる価値はあるかもしれない
夜桜は雷門のDF陣を突破し、雷門のゴールの目の前にやって来る そしてあのメールの情報通り、両手を上げ背後から化身を形成した
四本腕にスティック、帽子、トランプをそれぞれ持った不気味な道化師のような化身だ 夜桜の高笑いはその道化師が始める『ショータイム』の幕開けのようだった
「奇術魔ピューリム!」
夜桜は昔から手品が人一倍得意で、よく海音も夜桜の手品を見ていた この化身も、夜桜の特技から生み出されたものかもしれない
シュートすべく夜桜がシュート体勢に入った 時だった
どこから隙を着いたのか、海音は夜桜からボールを奪った
「何っ!?」
急いで夜桜は振り返り海音を見つめた いつも通り海音は走っていた だが夜桜はあることに気がついた
海音の左目だけ、蒼ではなく金色に光っていた
「…あいつそこまで…!」
幼馴染みの背後を夜桜は痛々しげに見つめた
「一つになって攻めこむぞ!」
神童は海音達に叫ぶ 天馬と信助は頷いた
海音はちらりと剣城を見た フリーだ
「剣城!」
すかさず海音は剣城にパスした 今の海音なら避けることなど容易いが、あえて剣城の反応を見るためパスする
剣城はボールを受け取り駆け出した 途端に海音は剣城に叫んだ
「剣城!左右からスライディングが来るよ!」
その言葉のおかげか、反射的に剣城は本当に来たスライディングをかわした すかさず海音は
「止まって!」
再び叫んだ
剣城が止まると、ボールを奪おうとしてきた選手が勢いあまって転んでしまった
「?!」
剣城は海音を見る まるで未来が見えているかのような叫びだった
「…光良、あれは?」
「ゴッド・アイっていう…海音の能力だよ」
訪ねてきた磯崎に夜桜は説明する
「あの金色に光っている左目で、海音は五秒先の未来を見ることが出来るんだ」
「未来を?」
「…でもあの技は一度使うと…」
そしていいかけて夜桜は止まった
「うわああッ…!!…いっ…!」
痛々しい声がした 天馬は海音を見ると、海音は左目を押さえて膝をついていた
その左目を押さえている両手から、血が漏れ出しているのがわかる
これこそが、ゴッド・アイの短所だった
「海音大丈夫?!」
天馬と信助は心配して駆け寄る 海音は手を離しゆっくりと立ち上がった
「だ…大丈夫…」
血が涙のように滴る左目を閉じたまま、距離感がうまくつかめない中海音も走り出した
「くっ…!」
海音の未来予知が無くなり、剣城は万能坂の強固な守りを突破出来なくなる
いくら暴力的でも、万能坂の実力は確かだった
「…海音がいないとそんなものかよ」
夜桜はそういい放ち、スライディングで剣城からボールを奪った そして素早く近くの磯崎にパスを出す
ゴッド・アイは今までにもほとんど使わなかった力だった
レインとリンクしなくてもいい長所はあるし、五秒先の未来が見える利点はあるが、一度使えばしばらくの間左目が使えなくなる
長く使えば、失明だって考えられるだろう
「…何故、君はそこまで…」
天馬は一人呟いた
- 第43話 ( No.132 )
- 日時: 2013/03/24 19:01
- 名前: 時橋 翔也 (ID: B6N9vk9k)
「………」
すると視線を感じて磯崎はギャラリーのほうを見た そこにいたのは、悲しげにこちらを見ている車イスの従妹
「聖歌!?…来るなって言ったのに…」
「キャプテンよそ見するな!」
だが夜桜に言われ、ハッと我に返る そうだ、今はそれよりも試合に集中しないといけない
「…裏切ったことを後悔するんだな!」
少し考え、磯崎は剣城に向かって強めのシュートを放った キック力はエースストライカーの夜桜よりも高いのは分かっていた
「…!?」
剣城は磯崎のシュートの威力を上手く削ぎ、ボールを奪う だがこのとき感じていたのは、大きな違和感
シードの養成施設でみた磯崎の本気シュートは、こんなものではなかったはずなのだ
だが剣城は駆け出すも、瞬く間に敵に囲まれてしまい立ち止まる
いくら剣城はサッカーが上手いとはいえ、サッカーとは元々チームプレーだ、一人で切り抜けるには限界がある
ましてや化身を封じられた状態ならなおさらだ
「剣城こっちだ!」
凛とした高めの声が響いた 反射的に剣城は向こうにパスを出すと、そこにいたのは左目が使えない海音
パスを受け、海音はかけ上がっていく
「くっ…!」
元々目が二つあるのは距離感を掴むためだ その一つが使えない今、距離感が全く掴めない
すると後ろから敵の選手が二人ほどやって来る まるで象のように海音に突進していき、二人は同時に海音に体当たりしてプレスした
「エレファントプレス!」
「ぐわああァッ!!」
強力なプレスでボールを奪われ、海音は地面に倒れこむ 肩が激しく痛み、少し動いても骨に響くような激痛が走った
「くっ…そ…」
それでも海音は立ち上がる 手首と左目、この二つからの出血で貧血状態だが、海音は気に止めず身体に鞭を打つように走り出した
「海音くん…!」
ベンチで葵は心配そうに海音を見つめる 海音の身体は誰よりもボロボロなのに誰よりも必死だ
茜もカメラで写真を取りながら、試合の行く末を見守っていた
「…皆、これでも動かないの…?」
悲しそうに茜は動かないメンバー達を見た
剣城はシードでありながら一人で戦う
海音は自らが傷つくのもいとわず力の限り戦う
神童と天馬はそれをサポートし、三国は敵のシュートから雷門ゴールを必死に守っている
それなのにまだ、勝敗指示に従うつもりの者が多いのだ
「………」
すると茜の横で水鳥がゆっくりと立ち上がった
「水鳥ちゃん…?」
「……」
もしかしたらあいつならば、こんなときでも気楽なのだろうか 同じクラスで腐れ縁のような…友であるあいつなら
そんなことを考えながら、水鳥はずっと感じていた思いを雷門イレブンに向けて叫んだ
「お前ら何も感じないのかよッ!!!!」
水鳥の思いが渇となり雷門イレブンの隅々にまで染み渡っていく
あの日、フィフスセクターに反抗する事に関して激しい口論になり、様々な皆の思いもよく伝わってきた
雷門の名誉、栄光、誇りを守るためにも、雷門中学校の未来のためにも、フィフスセクターに従わないといけないと感じている皆の責任感や不安も全て、全て
フィフスセクターに従わなければ、何が起こるかわからない もしかしたら皆でサッカー出来なくなるだけでは済まないかもしれない それは水鳥自身もよく分かっていた
だが仲間が傷つくのを見て見ぬふりして、自分のサッカーへの思いや感情を殺してまで守った名誉や誇りに、なんの意味がある?
…サッカーとは、皆で一つなのだから
「お前ら海音達があんなに頑張っているのに…見て見ぬふりするのか!?お前らが守りたいのは名誉なのかよ!?
…違うよ、お前らが本当に守りたいものは………
……仲間だろ!!?」
「……!」
その言葉を受け、車田はハッと気がついた そうだった…名誉を守るよりも先に守りたかったものは……こうしてサッカーが出来る『雷門イレブン』という仲間だった
すると向こうから夜桜がボールを奪いこちらに駆け出してくるのが見えた 勝敗指示に従うならばこのままなにもしないのが最善の手だろう
だがもはやそんなつもりは無かった 車田は覚悟を決めていた
まるで炎のように熱を思いきり放つ そしてそのまま車田はまるで蒸気機関車のように夜桜に突進していった
「ダッシュトレイン!!」
「うわああッ!」
その威力に夜桜はボールを奪われ吹き飛ばされる
幼馴染みの名を叫びたくなるのをこらえ、海音は車田を見た 他の皆も同じだった
「…そうだったな、本当は…仲間が守りたかった」
車田は言った フィフスセクターに従うことばかりに気を取られ、その事をすっかり忘れていた
「倉間!」
そしてボールが倉間の方へと渡る 少し照れくさそうにも、倉間は海音を見た
「……海音、やっぱり俺とお前は相容れないかもな、それでも…仲間を守りたい気持ちは変わらない」
「倉間先輩…」
倉間がそんなことを言うなど、思いもしなかった
するとそこに敵がやって来る ボールは奪われてしまったが、その行く手にいたのは、天城
天城は右手を地面に叩きつける 途端に敵の目の前に巨大な城壁が立ちはだかった
どこへ行こうとも城壁に阻まれ、ついには敵を囲んでしまった
「ビバ!万里の長城!!…俺だって仲間が傷ついて黙っていないド!」
敵からボールを奪い、続いて浜野へとパスする
どうやら浜野も決意したようだった 前からやって来る選手を見て浜野は一度止まり、ボールを踏みつけてまるでピエロのようにボールの上に乗っかって海のようなフィールドを駆け抜ける
「なみのりピエロ!!」
予測出来ないその動きに翻弄され、敵はあっさりと突破を許してしまった
浜野は海音と天馬を交互に見た
「…君達が戦おうとしているのは、大きな敵だよ…いい?」
「もちろんです!…今さら答えなど必要無いだろう?」
海音とレインは浜野に言いながら笑って見せた その笑顔に浜野も安心したようだった
「み…皆さん…」
周りを見ながら速水はオロオロする 確かに仲間を守りたいという思いはある
だが、フィフスと戦うことの不安が拭いきれない そんな優柔不断で勇気がない自分が、速水は大嫌いだった
「磯崎!…これは…」
「……ああ」
話しかけた夜桜に磯崎は頷いた
そして夜桜を見る
「言っただろう?俺の策略は必ず成功するとな」
ちらりと聖歌がいるギャラリーを見つめた
…最後に見られて、良かったかもしれない
- 第44話 ( No.133 )
- 日時: 2013/03/24 19:03
- 名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)
「剣城!」
自分のサッカーをする そう決めた倉間からパスを受け、剣城はシードのGKが守るゴール前にやって来る
「…いくよ!」
海音は剣城の方に左手を向け、化身封じを解除した 途端に塞がりかけていた傷から血が滲み、鋭い痛みが走ったが気にしない
まるで見えない枷が外れたような気がした 剣城はオーラが出せるようになり、再び化身を形成する
「剣聖ランスロット!」
GKも同じくオーラを形成した 機械の身体を持ち、両肩に半円ずつの盾を構えた化身だった
「機械兵ガレウス!」
…やはりな、GKは磯崎の方を見た
あいつが…こいつらを…
剣城は手を上げる 剣城の周りのフィールドは景色が変わり、ボールが漆黒と金色に輝きながら宙に浮いた
そしてそれをランスロットの剣の一突きと共にシュートした
「ロストエンジェル!」
剣城の思いがそのまま形になったようなシュートだった
それに対抗すべく、GKは化身を操作して化身の両肩の半円を前で二つくっ付け、巨大な円の盾へと変えた
「ガーディアンシールド!」
ランスロットの剣とガレウスの盾がぶつかり合い、火花が飛び散った
これら二つの力には一欠片の緩みも見られない
それでもわずかに、剣城が勝っていた
ガレウスが二つに裂かれオーラに戻り消える
「うわああ!!」
GKごとボールはゴールに突き刺さる 得点を知らせるホイッスルが鳴り響いた
同時に試合が終了するホイッスルも鳴った ギャラリーからは歓声が上がる
「やった!勝てたよ!!」
「うわあっ!?」
突然海音は天馬と信助に飛びつかれ、地面に座り込む 余りにも唐突すぎた
「…勝ったな!」
「でも、もう後戻りは出来ないっしょ!」
倉間や浜野、雷門イレブンの皆もそのような話をしていた チームが一丸となり、反抗を決意した、と言ったところか
するとそこに夜桜がやって来た 海音が夜桜を見上げると、夜桜はこちらに手を差し出す
「…いい試合だったな海音」
「……そっちもね」
海音は苦笑しながら夜桜の手を掴み立ち上がる
そして海音は聞きたかった事を訪ねた
「夜桜教えて、どうしてフィフスセクターに?」
「ああ、…俺は…」
夜桜は最後まで言えなかった
突然、夜桜の丁度首の後ろに強力なシュートが放たれた
「がっ…!?」
「夜桜!?」
気を失い、力を無くした夜桜の身体を海音は抱き抱えた 相変わらず低い背だった
見ると、どうやらシュートしたのは磯崎のようだ
「磯崎!?」
「………」
海音は少し考え、そして言った
「…磯崎、君なんでしょ?『イオ』って!」
「え…!?」
すると円堂は驚いて海音を見つめた さらに磯崎を見てみるが、あのメールの内容と一致しなかった
「海音…どういうことだ?」
神童は海音に訊ねる すると海音はポケットから紙を出した 『revolt』と書かれてある
「revoltの意味は『反乱』…それに君はボクが化身を使ったとき…」
『…後は任せた』
確かにそう海音に言っていた
磯崎は途端に怪しく笑い始めた 意味もわからずにいると磯崎は海音を見た
「…そうさ、俺が『イオ』だ…正確に言えばお前らを反乱軍になるように企てたのも俺さ」
「……え?」
始め海音は意味がよくわからなかった
「…やはりな」
口を開いたのは、同じシードであるGKだった
「雷門に情報を流し、フィフス内で秘かに起こっていたネットワークの混乱…、フィフスの内部崩壊を企てたグループのリーダーがお前か……磯崎!」
「………」
磯崎の反応を見るにどうやら図星のようだった
頭が混乱する 何故磯崎が反乱を?何故内部崩壊を?その答えはすぐに分かった
「…フィフスは崩壊させるよ……聖歌の為に」
「え?」
ギャラリーで見ていた聖歌は思わず声を挙げた まさか…と聖歌は青ざめる
「あいつは二度とサッカー出来ない!何が管理だ秩序だ!フィフスってのはただ皆からサッカーを奪って満足してるだけだ!」
「……!」
その言葉に剣城は少しだけ反応した 磯崎がこのように考えていたなんて思っても見なかった
「言いたいことはそれだけか」
また別の声がした 万能坂の監督らしき人物だった
「…篠山、お前は磯崎の行為を見抜いた事でシードの続行権を認める…光良は…」
「こいつは関係ないぜ、…ただ利用してたにすぎない」
磯崎は言った まさか…と海音と天馬は顔を見合わせた
「光良の処分については後に知らせよう、…磯崎」
監督は言うと、途端にフィフスセクターのマークが入った服を着た男たちが入ってきた
「お前は……エンドレス・プリズンへと連行する」
「エンドレス・プリズン…!」
剣城の表情が変わる 海音は慌てて剣城を見た 剣城には冷や汗が出ている
「剣城、エンドレス・プリズンって?」
「…契約違反や犯罪を犯したシードが入る少年院の名前さ」
剣城は答えた
「俺の知る限り……そこに入って生きて出られた者はいない」
エンドレス・プリズン…意味は永遠の監獄
入れば二度と出られないとでも言いたいのか
海音はあることを思い出し、連れていかれる磯崎に思いきり叫んだ
「…磯崎!君がいなくなったら…聖歌はどうなるの!?」
その言葉に、磯崎は足が止まりそうになる だがすぐに言葉を紡いだ
「あいつなら一人でやっていける…料理は教えたし生活費も置いてきたしな」
「そんなことないよ!」
ギャラリーから聖歌の叫びが聞こえた 海音と天馬がギャラリーを見ると、聖歌が泣きながら、車イスから乗り出しながら叫んでいた
「ばか!ばか兄貴!私がいつそんなこと頼んだのよ!!誰が復讐しろって言ったの!?なんで!!」
「聖歌…」
ギャラリーからでも聖歌の気持ちが痛いほど伝わってくる それは天馬も同じようだ
「う…?」
すると夜桜が目を覚ました 途端に海音から離れ、連れていかれる磯崎を見つけた
「いっ…!」
だが海音は夜桜が叫ぶ前に夜桜の口を塞ぎ無理矢理黙らせた
「夜桜ダメだよ!磯崎が君だけ逃がしてくれたのに…!」
さっきボールで気絶させたのはきっと、夜桜に余計なことを言わせない為だろう
仲間を見捨てて自分だけ逃げるなんてこと、夜桜は絶対にしない その事がわかっていたから…
磯崎はギャラリーの下へと消えていき見えなくなった 途端に夜桜は地面に膝を突き、
「ばか野郎…何で…」
そう呟いた
「霧野…立てるか?」
「ああ…なんとか」
神童は心配そうにベンチから立とうとする霧野に呼び掛けた 幸い怪我はそこまで深くはないようで、手を借りなくても立つことが出来る
すると向こうから剣城が歩いてくるのが見えた 無表情だが悲しそうだと霧野には感じた
「剣城…うわっ!」
「……」
剣城は思いきり霧野の右肩にぶつかり、霧野は地面に座り込む 剣城は謝らずにそのまま歩いていった
「…謝らないのか!?」
神童は剣城に鋭くいい放つが、それをも無視して歩いていった
「いてて… …?」
すると霧野はいつの間にか右手に何か握っていたのに気づいた 手を広げると、それは保健室で剣城に貸したゴムだった
「…剣城…」
急いで霧野は剣城を振り返るが、もう剣城はどこにも居なかった
- Re: 【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜 ( No.134 )
- 日時: 2013/03/24 21:01
- 名前: 風龍神奈 (ID: Um7bp1Xg)
>翔也
海音く————ん!!
やっば、開口一番叫んじゃったよ
もう海音くんから目が離せなかった
今すぐに海音くんの許に駆け寄りたい…!!
そう思ってたから、やばかった…
まさか、磯崎が『イオ』だったなんて…
そこまで予想してなかった
あと、聖歌ちゃんの兄貴だっていうことも
あんまりあいつ好きじゃなかったからなぁ〜
霧野の足傷つけたし(怒)
癒月「…神奈ってさ、好きなキャラ関わると、性格かわるよね」
神奈「どこが!」
風笑「色んなところが」
神奈「……それは否定できない」
癒月「否定してよ」
↑の癒月と風笑、かいてないけど夏紅夜、龍夜の4人がイナクロにだす予定のオリキャラ(あとこっちにも)
月城 癒月【つきしろ ゆづき】
色葉 風笑【いろは ふぁら】
星藍 夏紅夜【せいらん かぐや】
星藍 龍夜【せいらん りゅうや】
っていいます、それぞれ
一同「「「「よろしくー!」」」」
癒月「ああこの人酷いからあまり読まないほうがいいよ」
風笑「たしかに酷いもんねww」
夏紅夜「平気で人の村破壊する奴だし」
神奈「ちょっとそこ若干ネタバレ入ってるよ」
龍夜「人の親もかいてるし」
神奈「星藍姉弟ネタバレしない あと私の扱い酷い」
一同「「「「当たり前」」」」
↑こんな感じで私を平気でいじめる奴ですけど、許してやってください
実際、優しいので
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