二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 七つの星と罪
日時: 2013/07/21 23:48
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 どうも、初めましての人は初めまして、白黒です。
 旧二次小説板を覗いた事のある人なら、知ってる人がいるかもしれませんね。以前もポケモンの二次小説を執筆していました。
 前作はゲームのストーリーをモデルにしていましたが、今回はほぼ完全なオリジナルです。前作との繋がりは……ないとは言いませんが、一作目と二作目ほどの繋がりはありません。

 ちなみに白黒は前作、この時期ぐらいに更新が止まっていました。何分この時期は忙しい身でして、しばらく更新は遅いと思いますが、ご了承ください。

 それと、本作品では非公式のポケモンも登場します。>>0にURLを貼っていますので、参考にしてください。
 なお本作品内では、ポケモンバトルにおいて超常的な現象が起きます。それは物語を進めていくうちに作中で追々説明しますが、まあ超次元サッカーとか異能力麻雀とか、そんな感じのものだと思ってください。

 それでは、白黒の新しい物語が始まります——

登場人物紹介
>>31



プロローグ
>>1
序章
>>7 >>10 >>11

シコタン島編
ハルビタウン
>>12 >>13 >>14
シュンセイシティ
>>17 >>18 >>23 >>24 >>29 >>30 >>35
ハルサメタウン
>>37 >>40 >>41 >>42 >>43

クナシル島編
サミダレタウン
>>63 >>73 >>74 >>77 >>80 >>84 >>87 >>88
ライカシティ
>>91 >>92 >>95 >>98 >>99 >>100 >>106
オボロシティ
>>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>115 >>119 >>120 >>123
カゲロウシティ
>>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131 >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>140 >>143 >>149 >>150
ライウタウン
>>151 >>154 >>155 >>156 >>159 >>162 >>166 >>171 >>172 >>175 >>176 >>177 >>178 >>179 >>180

第31話 デンチュラ ( No.99 )
日時: 2013/05/04 15:05
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
プロフ: 蔓延する電気蜘蛛。

「ブースター、ニトロチャージ!」
 ブースターは全身に燃え盛る炎を纏い、バチュルの群れに突進して吹き飛ばす。
「仕方ありません。あまり手荒なことはしたくないのですが、この際そうも言ってられませんよね」
 そう言ってクリは、白衣のポケットからボールを一つ取り出した。
「実験スタートです、ロトム!」
 クリが繰り出したのは、オレンジ色の体で頭がアンテナのように突き出たポケモン。体の回りには水色のプラズマが覆っており、腕のように二本の稲妻が飛び出ている。

『Information
 ロトム プラズマポケモン
 特殊なモーターにプラズマの体で
 侵入して姿を変える。五つの姿が
 確認されているが、他にもあるらしい。』

 ロトムはボールから出るなり、プラズマの色や形を変えていく。いや、プラズマだけではない。自身の体の形さえも、変形していく。
 やがてロトムは完全に姿を変えてしまう。元の面影は残っているものの、プラズマは水色から赤色になり、形も稲妻ではなくまるでミトンのようになっている。オレンジ色の体は突起こそ同じだが、電子レンジのような丸みを帯びた四角形をしている。
「これは……?」
「フォルムチェンジです」
 フィアが思わず声を漏らすと、すかさずクリが説明を入れる。
「フォルムチェンジとは、一部のポケモンがなんらかの条件を満たすことで自身の姿を変えることです。進化などとは違い、あくまで姿を変えるだけですが、姿を変えると同時に違う力を顕現することも多いんです。そしてロトムは五つの姿にフォルムチェンジができます。これはそのうちの一つ、ヒートロトムです」
 ヒート、つまりは熱。だから赤色で電子レンジなのかとフィアは一人納得する。
「それでは行きますよ。ロトム、オーバーヒートです!」
 ロトムはプラズマ状の両手に熱を集め、それらを大気中で発火させて膨大な爆炎を発生させる。
 爆炎は凄まじい勢いでバチュルの群れに襲い掛かり、ほぼ全てのバチュルを焼き尽くしてしまった。ブースターのニトロチャージはなんだったんだと言いたくなるような高火力である。
「凄い……!」
 その凄まじい炎に圧倒されるフィア。今の一撃でバチュルは全てやられてしまっただろう。フィアのその予想は正しい。実際、直にオーバーヒートを受けていなくとも、バチュル程度なら熱気だけで戦闘不能にするほどヒートロトムの火力は高かった。だからバチュルは全て戦闘不能だ。
 裏を返せば、戦闘不能になったのは、バチュルだけだ。
「っ!? クリさん! 上!」
 ふと天井を見上げ、フィアは叫ぶ。
 フィアの目線の先にいたのは、デンチュラだ。天井に張り付いてオーバーヒートを躱したらしい。
「っ、私のヒートロトムのオーバーヒートを躱すなんて……ただのデンチュラではなさげですね……」
 デンチュラはスタッと天井から降り立ちバチバチと電気を放出して威嚇する。
「……フィアさん、少しお願いがあります」
「何ですか?」
「オーバーヒートは確かに強力な技ですが、使用すると特攻ががくってなってしまうんです。私の場合、一旦元のフォルムに戻ればリセットされるのですが、隙が出来てしまいます。なのでその間、デンチュラの相手をお願いします」
「わ、分かりました……」
 フィアはブースターに構えさせ、デンチュラと相対する。クリもロトムを退避させ、フォルムチェンジの準備をする。
「よし……ブースター、ニトロチャージ!」
 ブースターは炎を纏い、デンチュラへと突撃する。
 しかし、

 デンチュラが発射した電気を帯びた水流に飲み込まれ、ブースターは戦闘不能となった。

「!? ブースター!」
 驚愕するフィア。それはそうだろう。デンチュラが強いのは分かっているし、今の水流はアクアボルト——水技だ。ブースターには効果抜群で大ダメージを受ける。だがそれにしても、一撃で戦闘不能となるとは露ほども思っていなかった。
「それだけ強いってことか……戻って、ブースター」
 フィアはブースターをボールに戻す。正に瞬殺されてしまったが、それでもロトムがフォルムチェンジする時間は稼げた。
 一度元の姿に戻り、再びヒートロトムとなって、両手に熱を溜めこむ。
「ロトム、オーバーヒート!」
 そしてロトムは、激しい爆炎を解き放つ。今度は天井にも逃げられないよう、範囲を重視した炎だ。流石のデンチュラもこの攻撃は躱せないはず。
 しかし、このデンチュラの強さはフィアとクリの予想を遥かに超えていた。

 デンチュラはさざめくような音波を発し、炎を削ぎ落してから激しい電撃を放って強引にオーバーヒートを相殺してしまう。

「……!」
 流石のクリも驚きを隠せないでいる。
 しかもこの状況は、かなりまずい。フィアにとってはクリのヒートロトムが頼みの綱だ。それがデンチュラに通じないとなれば、もうどうしようもない。
 加えてデンチュラはかなり興奮している。バチュルをやられた怒りか、攻撃された怒りかは分からないが、フィアたちがこのデンチュラから逃げることはまず無理だろう。
 絶体絶命の危機だが、まだフィアには、本当に最後の頼みの綱が残っている。
 それは、
「相手は電気タイプだから心配だけど……もう君に頼るしかない。力を貸してくれ、ダイケンキ!」
 サミダレタウンでもマモンを退ける活躍を見せたダイケンキ。元々フィアのポケモンではない上、相手は相性の悪い電気タイプ。進んで出したいポケモンではないが、この状況では四の五の言っていられない。
 フィアは覚悟を決め、ダイケンキに技を指示しようとするが、
「……? ダイケンキ?」
 ダイケンキはジッとデンチュラを睨み付けている。デンチュラはデンチュラで、ダイケンキの眼光にバツが悪そうにしている。
 しばらく二体の間で無言のやり取りがあった後、デンチュラはのしのしとフィアの所まで歩み寄って来る。
「な、なに……っ?」
 突然デンチュラが接近してきたため狼狽えるフィア。その時ふと、デンチュラの背にフィアの掌が当たる。
 
 刹那、フィアの中に何かが流れ込んできた。

(……!? これって……!)
 真っ暗な空間。そこにいるのは一人の青年と、デンチュラの姿。青年とデンチュラが向かい合っているのは、巨大な渦巻く影——



「フィアさん?」
「っ……! あ、はい、何ですか?」
「いえ、さっきからボーっとして……大丈夫ですか?」
「はい……」
 それよりフィアは、さっき頭の中に流れ込んできた映像を思い返す。
(さっき見えた人って、あの人だよね……ていうことは)
 フィアはまだ混乱から脱し切れていない頭で考えを巡らせ、デンチュラに語りかけるように言う。
「デンチュラ、君もあの人——このダイケンキのトレーナーのポケモンなの?」
 デンチュラはコクリと頷く。肯定、ということだろう。
「そっか……」
 フィアは考える。このデンチュラがあの青年のポケモンだというのなら、青年を探す手掛かりになるかもしれない。それにトレーナーから離れたポケモンを放っておくのも可哀そうだ。
 そう思い、フィアはまた空のボールを取り出した。
「デンチュラ、僕は君のトレーナーに恩があるんだ。あの人を探してお礼が言いたい、ダイケンキも返したい。君があの人から離れてしまったのなら、君とあの人を引き合わせたい。僕があの人に出来るのはそれくらいだけど、とにかくあの人を探してお礼がしたいんだ」
 自分で言ってまとまってないと思うが、それでも思うまま、フィアは続ける。
「だからデンチュラ、今だけ僕と一緒に来てくれないかな。あの人を見つけるまでの間、僕に力を貸してほしんだ」
 フィアの真摯な言葉に、デンチュラは反応を見せない。しかしやがて、コクリと頷いた。
「……ありがとう」
 フィアはふっと微笑み、デンチュラをボールの中へと入れる。ボールは地面に落ち、しばらく揺れ、やがてカチッという音を響かせる。

 こうして、ライカシティの停電騒ぎは収束した。



 翌日。
 デンチュラが街にはびこっていたポケモンを山道に送り返した後、フィアは次なるバッジをゲットすべく、昨日は挑戦できなかったライカジムを訪れていた。
「ここまで長かった気がするけど、まだ二番目。先は長いな……」
 そう呟きながら、フィアはジムの扉を押し開ける。
「し、失礼します……」
 控えめに中を覗き込むフィア。ジムの内装は、シュンセイジムとは違っていた。
 まずフィールドが金属製ということ。ジムの証明に照らされ、銀色に輝いている。壁もシグナルが点滅していたりと、研究所をバトルフィールドにしたかのようだ。
 そのフィールドの奥、即ちジムリーダーがいるべき場所には、一人の女性がいた。
 だがその女性は、フィアの見知った顔であった。
「え……クリ、さん?」
 それは、ウェーブのかかった白いショートヘアーに、銀縁眼鏡、白衣を羽織った女性。昨日、共に停電騒動の収束に努めたライカ研究所の研究員、クリだった。
「はい。昨日は本当にありがとうございました、フィアさん。あなたがいなければ、ライカシティは今のような平穏はなかったでしょう。ジムリーダーとして、お礼を申し上げます」
 クリはぺこりと頭を下げ、にっこりと天使のように微笑む。
 すると彼女は、邪魔にならないよう髪を括っていたゴムと眼鏡を外し、白衣の胸ポケットに収める。そして今度はポケットに挟んでいた水色で稲妻型のヘアピンを手に取り、前髪を留める。

「改めて自己紹介させて頂きますね。私はクリ、ライカ研究所の研究員にして、ライカシティのジムリーダーです」

『Information
 ジムリーダー クリ
 専門:電気タイプ
 異名:現代に舞い降りた天使プラズマエンジェル
 提携:アシッド機関』



やっと停電騒ぎが終わりました。この騒ぎの首謀者は、知る人ぞ知るというか、フィアを助けた青年のデンチュラです。察しの良い方は分かると思いますが、今後このように、彼のポケモンが道中で出て来ます。そして遂にライカジムです。長かったなぁ、本当に……ジムリーダーはなんとクリ。まあウルシもちょこっと言ってましたし、覚えている人からすればさしたる驚きはないでしょう。ちなみにクリはジムリーダーとして活動する時は髪を下ろし、眼鏡を外し、ヘアピンを付けます。エースの特徴はこのヘアピンですね。それでは次回、ライカジム戦です。お楽しみに。

第32話 ジムバトルⅡ ライカジム1 ( No.100 )
日時: 2013/05/04 19:28
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
プロフ: 始まるライカジム戦。フィアを待つのはプラズマの天使、クリ。

 ライカシティのジムリーダーがクリであったことに驚くフィアだったが、彼にしては珍しく、すぐに気を取り直し、バトルに臨む。
(ライカのジムリーダーは電気タイプ使い。となると、ミズゴロウは出しづらいか……昨日パチリスを捕まえて正解だったよ)
 とはいえ、フィアが最も恐れているのは昨日クリのロトムが見せたオーバーヒート。あの火力は尋常ではない。フィアのポケモンであれを受け切れるのはブースターくらいなものだろう。
「使用ポケモンは二体、交代は挑戦者のみが可能です。では、私からポケモンを出しますね」
 フィアがクリに対する戦略を練っていると、簡単なルール説明をし、クリはボールを手に取った。
「実験スタートです、コイル!」
 クリの一番手は、金属製の球体に一つ目、頭にはねじ、左右にはU字磁石型のユニットが付いているポケモン。

『Information
 コイル 磁石ポケモン
 電気を食べるポケモンある
 地域ではコイルを交換する
 ことが流行っているらしい。』

「コイル……電気と鋼タイプか。なら……」
 フィアはスッとベルトからボールを外し、構えた。
「最初は君だ。ブースター!」
 フィアの一番手はブースターだ。鋼タイプを持つコイルとは相性が良い。
「やはりブースターですね。相性では確かにコイルが不利ですが、相性だけでばたんきゅーできるほど、私のコイルは甘くないですよ」
 少し強気な笑みを見せるクリ。直後、コイルが動き出す。
「ソニックブームです!」
 コイルはユニットを回転させ、衝撃波を放つ。
「火炎放射!」
 ブースターも咄嗟に炎を噴射し、衝撃波を相殺した。さらに、
「アイアンテールだ!」
 跳躍して回転をかけ、鋼鉄の尻尾をコイルの脳天(らしき部位)に振り下ろす。
「やった……!」
 コイルはそのまま地面に叩き落とされる。効果いまひとつだが直撃だ。それなりのダメージが期待できるかと思ったが、
「メガショック!」
 コイルはすぐさま浮かび上がり、弾ける電撃を放ってブースターを攻撃する。
「! ブースター!」
 こちらも直撃を受けたが、ブースターは特防が高い。致命傷には至らなかった。
「残念でしたね。コイルは防御が高いので、効果いまひとつのアイアンテールくらいじゃ、堪えませんよ?」
「ならこれはどうですか。火炎放射!」
 ブースターは大きく息を吸い、燃え盛る火炎を放つ。
 しかし、
「コイル、充電です!」
 コイルはユニットを回転させて電磁力を発生させ、充電する。充電は次に使用する電気技の威力を高めるだけでなく、特防も一緒に上げる技だ。ブースターの火炎放射を受けても、大ダメージにはならない。
「ばちばちしますよ。メガショック!」
 炎が消えると、コイルはすぐに弾ける電撃を放って反撃する。充電で威力が上がっているので、ダメージは大きい。
「もう一度、メガショックです!」
「これ以上は危険……ブースター、躱して!」
 コイルは間髪入れずに電撃を放つ。ブースターもそれに合わせて後ろへ跳ぶが、結果的には無意味だった。
 金属製の床に当たったメガショックは、そのまま床を伝ってブースターに襲い掛かったのだ。
「っ……! そうか、金属だから電導性が高いんだ……」
 理科の分野が苦手なフィアは見落としていたが、少し考えればすぐに分かることだ。電気タイプ使いなのだから、電気タイプに有利なフィールドを選ぶのは当然。このフィールドはクリのポケモンにとっては有利に働いている。
「次はどんっと行きますよ。ソニックブーム!」
「躱してニトロチャージ!」
 ユニットを回転させ、コイルは衝撃波を放つ。ブースターは今度は相殺せず、横に跳んで躱し、炎を纏ってコイルに突進する。
 防御が高くても効果抜群ならそれなりに効くようで、コイルは一つ目を少し歪ませた。
「コイル、負けないで。ぐるぐるとジャイロボールです!」
 コイルはその場で高速回転し、ブースターへと突っ込んで反撃する。
 フィアは鋼タイプの技なら耐えられるだろうと踏んでいたが、コイルの一撃は予想以上に重く、ブースターは吹っ飛ばされてしまった。
「っ……! ブースター!」
 金属の床を転がりながら、ブースターは態勢を立て直す。
「ジャイロボールは相手よりのろのろであるほど威力の上がる技。ニトロチャージで素早さの高まったブースターが相手ならその威力はそれなりに上がります。それにメガショックの追加効果で防御も下げ、極めつけは特性、アナライズ。後攻で技を繰り出すと威力が上がる特性により、威力を底上げしています。効果いまひとつでも、なかなか効くでしょう?」
 技そのものの効果に加え、他の技や特性、さらにはこちらの能力変化すらをも利用する。イチジクとのバトルでは思わなかったが、やはりジムリーダー、戦術が巧みだ。
「くっ……ブースター、火炎放射!」
「効きませんよ、充電!」
 ブースターは火炎を放射し、コイルは充電して炎を耐える。
「メガショックです!」
「もう一度火炎放射!」
 反撃にコイルは弾ける電撃を放ち、ブースターも再び炎を噴射するが、充電とアナライズで威力が増したメガショックは火炎放射では止まらず、ブースターは電撃を受けてしまう。
「ソニックブームです!」
 さらにコイルは衝撃波を飛ばして追撃。ブースターの体力もかなり削られてきた。
(でも、コイルだって体力が無限にあるわけじゃない。防御が高くても、特防を上げられても、効果抜群の攻撃を受けて体力が減ってるはず)
 ここからは削り合いの競争だ。どちらが先に倒れるかの根競べである。
「ブースター、ニトロチャージ!」
「コイル、ジャイロボール!」
 ブースターは炎を纏って突進し、コイルは高速回転しながら体当たりする。
 コイルは後から攻撃したため、アナライズの特性が発動したが、流石に炎技を打ち破ることは出来ず、押し負けてしまった。
「もう一度! ニトロチャージ!」
 ブースターは攻撃を止めず、炎を纏ったまま吹っ飛ぶコイルに激突して追撃をかける。
「ジャイロボールは諦めて、手数で攻めてきましたか。ならこっちは後手に回って反撃しましょう。コイル、メガショック!」
 コイルは一度ブースターから距離を取り、弾ける電撃を放つ。これもアナライズで強化されているため、ブースターのダメージは大きい。
「まだ……火炎放射!」
「充電!」
 ブースターはメガショックを耐え、口から火炎を発射するが、コイルはまたしても充電して炎を受け切る。
「メガショック!」
 そしてすぐさま電撃を放って反撃。
「躱して!」
 ブースターは横に体をずらして電撃を躱そうとするが、
「お忘れですか? それじゃあ躱せませんよ」
 ブースターを捉えなかったメガショックは電導性の高い金属の床へと直撃し、そのまま床全体へと広がっていく。体をずらしただけのブースターは当然その電流を躱すことなどできず、通電してダメージを受けてしまう。
「防御もかなりがくっとしている頃でしょうし、決めますよコイル。ジャイロボールです!」
 コイルは高速で回転し、ブースターへと突っ込んでいく。
「っ、アイアンテール!」
 ブースターも鋼鉄の尻尾を薙ぎ払うように振るい、コイルを受け流した。
 しかしコイルは回転したまま迂回するようにブースターの背後に回り、
「ジャイロボール!」
 そのまま突撃する。
 効果はいまひとつだが、メガショックで防御が落ち、ニトロチャージ連発で素早さの上がったブースターにはかなりのダメージだろう。戦闘不能にはならずとも、この一撃で体力は残り僅か。
 そう、ブースターの体力は、僅かに残っている。

「ブースター、起死回生!」

 直後、ブースターは振り返り様に尻尾でコイルを吹き飛ばす。
「!? コイル!」
 体力をギリギリまで減らされた起死回生の一撃は、コイルを壁まで吹っ飛ばし、シグナルのように点滅する画面にめり込ませた。
 最大威力の起死回生、効果抜群の一撃をまともに受け、見るまでもなくコイルは戦闘不能だ。
「……戻って、コイル。ありがとうございました」
 クリはブースターの起死回生に驚いていたが、すぐに平静を取り戻し、コイルをボールに戻す。
 ギリギリだったが、何とか先勝できた。先手必勝とは言わないが、先手を取れれば精神的にも優位に立てる。
 だがクリは動じることなく、次のボールを構えていた。微笑みを称えたような彼女の目が、ほんの少しだけ邪悪になり、
「さて、それでは最終実験の始まりです。覚悟……してくださいね」



始まりました、ライカジム。クリの一番手はコイルです。ちなみにコイルの図鑑説明はコイループのことです。気になった人は調べてみてはどうでしょうか。さて、それにしても最近、上手く執筆できている気がしませんね……まあ白黒によくあることなので、放っておけば回復するとは思いますが。さて次回、ライカジム決着です。エースは……まあ言うまでもないですか。次回もお楽しみに。

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.101 )
日時: 2013/05/04 18:11
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: ejg.//f6)

ゴールデンウィークなのに休みの日が無いパーセンターです。

フィアの新戦力はパチリスですか。ゲットの仕方はイリスのチラーミィと似てますね。
パチリスは本家では進化しないから、進化前の奴らと比べて妙に能力が高いんですよね。
DPのプレイ時には初期はトレーナーのパチリスに苦戦した覚えがあります。
ちなみに僕の好きな電気タイプは本家だとエレキブル、デンチュラ、非公式だとビビッドン、マカドゥスあたりです。

あと、ハブラの採用ありがとうございます。
キャラ崩壊等はありません。寧ろ僕が思ってたよりもよりいい感じのきゃらになってます。
そして次のジムリーダーはクリさんですね。名前には突っ込まないとして、クリさん可愛いですね。
ぱくぱくやらばたんきゅーやらばちばちやら。
とは言え彼女もジムリーダー、一筋縄ではいかないでしょうが、是非フィア君には頑張って次なるバッジを手にして欲しいところです。

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.102 )
日時: 2013/05/04 18:18
名前: タク ◆9mCc3lFAO6 (ID: 39RfU1Y2)

はい、こんばんは。しかし、コイルなどの電気タイプ相手に、どうやってテイルは勝利したんでしょうか・・・。電気タイプ同士だと相性が悪いのに。まあ、そこは放っておいて。後攻になるということを利用した、強力な戦法で、相性の悪いブースターを追いつめたコイルでしたが、やはり最後の切り札である、起死回生にはかないませんでしたね。それでは、続きを楽しみにしています!

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.103 )
日時: 2013/05/21 19:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: FLZh3btT)
プロフ: クリ=栗 ブナ科クリ属の木の一種

パーセンターさん


 白黒はまだ休みを謳歌できますが、夏休み辺りになると休暇がなくなる恐れがあります。

 フィアのポケモンはかなり悩んだのですが、今後の展開を考えてパチリスになりました。
 言われてみれば確かに似てますね、彼のチラーミィが六番目でしたが。
 まあ、高いって言っても実戦で使えるレベルではないと思いますが……でも麻痺させる技が鬱陶しかった覚えがあります。僕が電気タイプを苦手とするのはその辺が原因でしょうか。静電気とか。
 白黒の好きな電気タイプは……30話で述べた通りです。追加するなら、デンリュウとマカドゥス、後は精々ドルマインくらいですかね……

 そうですか、それは良かったです。正直、あまり自信がなかったので……というか出たはいいけど出番が少なくて申し訳ないです。
 ジム戦が始まった直後に、白黒も彼女の名前の失態に気付きました。一応URLで説明はしますけど、ここでも弁明します。彼女の名前はポッド、コーン、デントと同じような感じで、もう片方の名前が明かされれば分かると思います。
 彼女はたぶん、今作で最も初期設定から変更を加えたキャラです。最初は茶髪のポニテで普通のですます調、名前も違うものだったんですが、それだと普通過ぎるというかテンプレっぽくて嫌だったので、今のようなよく分からない口調となりました。
 クリとのバトルがどうなるのかは、次回のお楽しみです。今回のバトルはそれなりに自信があります。お楽しみに。



タクさん


 まあ、バトルは相性だけじゃないですから、どうにかして勝ったんでしょう……
 実際、コイルというかジバコイルとかなら頑丈の方が使いやすいと思うんですけどね。ただ小説だとアナライズの方が使いやすいってだけで。ちなみにクリのコイルは特性がアナライズだから、電気タイプの常套手段である電磁波を使いません。
 一応ブースターの必殺技というか決め技というか、そういうのはニトロチャージなんですけどね……ただまあ、起死回生の方がここぞ、という時に使う技ではありますが。
 次回は遂にライカジム決着……になるはずです。白黒は文字数が多いので保証はできませんが。まあともかく、次回もお楽しみに、ということで。


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