二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 七つの星と罪
日時: 2013/07/21 23:48
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 どうも、初めましての人は初めまして、白黒です。
 旧二次小説板を覗いた事のある人なら、知ってる人がいるかもしれませんね。以前もポケモンの二次小説を執筆していました。
 前作はゲームのストーリーをモデルにしていましたが、今回はほぼ完全なオリジナルです。前作との繋がりは……ないとは言いませんが、一作目と二作目ほどの繋がりはありません。

 ちなみに白黒は前作、この時期ぐらいに更新が止まっていました。何分この時期は忙しい身でして、しばらく更新は遅いと思いますが、ご了承ください。

 それと、本作品では非公式のポケモンも登場します。>>0にURLを貼っていますので、参考にしてください。
 なお本作品内では、ポケモンバトルにおいて超常的な現象が起きます。それは物語を進めていくうちに作中で追々説明しますが、まあ超次元サッカーとか異能力麻雀とか、そんな感じのものだと思ってください。

 それでは、白黒の新しい物語が始まります——

登場人物紹介
>>31



プロローグ
>>1
序章
>>7 >>10 >>11

シコタン島編
ハルビタウン
>>12 >>13 >>14
シュンセイシティ
>>17 >>18 >>23 >>24 >>29 >>30 >>35
ハルサメタウン
>>37 >>40 >>41 >>42 >>43

クナシル島編
サミダレタウン
>>63 >>73 >>74 >>77 >>80 >>84 >>87 >>88
ライカシティ
>>91 >>92 >>95 >>98 >>99 >>100 >>106
オボロシティ
>>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>115 >>119 >>120 >>123
カゲロウシティ
>>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131 >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>140 >>143 >>149 >>150
ライウタウン
>>151 >>154 >>155 >>156 >>159 >>162 >>166 >>171 >>172 >>175 >>176 >>177 >>178 >>179 >>180

第11話 グリモワール ( No.29 )
日時: 2013/04/20 20:24
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
プロフ: ジムリーダーの容姿にはエースポケモンをモチーフにしている部分がある。

 シュンセイジムに見事勝利したフィアは、イチジクから受け取ったアドベントバッジをしばらく眺め、ポケットに仕舞い込む。
 それを見てイチジクは、
「あれぇ? フィアくん、バッジケースはどうしたのぉ?」
「……バッジケース?」
「うん、ジムバッジを保管する入れ物なんだけどぉ……一応バッジケースもないとポケモンリーグには挑戦できないよぅ?」
「え……そうなんですか?」
 コクリとイチジクは頷くが、フィアはそんな話は聞いていない。
「というかぁ、旅立つ時に普通は貰えるものなんだけどねぇ……場合にもるけどさぁ。きみはどうやって旅立ったのかなぁ?」
「えっと、ハルビタウンで博士に……」
 博士に、の後が何と言えばいいのか分からず詰まるフィアだったが、イチジクはそれだけで何かを察したらしく、ぽんっと手を打った。
「あぁ、なるほどねぇ……あの人かぁ。ハルビタウンの博士でしょ? たぶんあの人だったら普通に忘れてたんじゃないかなぁ?」
 連絡してみるといいよぅ、とイチジクに促され、フィアはターミナルを取り出す。昨夜覚えた通信機能を使い、博士に連絡。しばらく待機時間が経過すると、画面に博士の顔が表示された。
「おーぅ、フィアか。どうした? そろそろシュンセイジムも制覇したか?」
「えぇ、まぁ、お陰様で……あの、博士? 一つ訊きたいことが……」
「あ? なんだ?」
 フィアがバッジケースのことを博士に話すと、博士は思い出したように手を叩いた。
「そうだったなぁ、忘れてたぜ。バッジケースか……そうだな、今からハルビまで戻るのはだるいだろうし、つーか俺も俺で準備できてねぇし、ケースの準備ができたらどうにかしてそっちに送ってやるよ。それでいいか? いいな。んじゃまたな」
 プツッと、半ば強引に博士は回線を切った。
「……いい加減だなぁ、あの人も」
「まぁ、それがあのそこ博士だからねぇ……ところでフィアくん、これからどうするのぉ?」
 端に寄せた布団を抱えながら、イチジクはそんなことを聞いてくる。また寝るつもりのようだ。
「どうするって言われても……この島にはもうジムがないんですよね? だったら、次の島に行くしか……」
「それなんだけどぉ、今日の夕方くらいにイトゥルフ島への船が出るんだけどねぇ——」
 今日の夕方というと、今からすぐに近くの港へと向かえば間に合う時間だ。しかしフィアにはフロルという連れがいるし、イチジクもまだ何か言いたげだった。
「——きみはまだ、あの島には行かない方がいいと思うよぅ」
「どういうことですか?」
「あの島はねぇ、すっごく強いジムリーダーがたくさんいてぇ、初心者のきみじゃ太刀打ちできないかもしれないよぅ? 特に強い人が四人いてさぁ、ホッポウのジムリーダじゃ五指に入る強者なんだぁ」
 さらにイチジクは語る。その四人のジムリーダーについて。
「ホッポウ地方最大の軍隊を率いるムゲツシティのジムリーダー、トクサ。四天王カエデの妹でツチフルシティジムのジムリーダー、イロハ。死神と呼ばれ恐れられているヨイヤミシティジムのジムリーダー、リンネ。そしてぇ」
 一拍置き、緩やかな口調は崩さないものの緊張感のある空気を出してイチジクは続ける。
「ジムリーダーとしての公式戦記録は無敗、ホッポウ地方最強のジムリーダー、リッカシティのハッカ。いまだかつて彼を破った挑戦者はいないんだぁ」
「……!」
 いくらものを知らないフィアでも、その記録が凄いというのは分かる。いやむしろ、凄すぎてよく分からないレベルに達しているかもしれない。
 公式戦無敗、ジムリーダーとしては負けたことのない、ホッポウ地方最強のジムリーダー。確かに、そんな人にフィアが到底及ぶとは思えなかった。
「まぁ、ハッカさんは手加減容赦せずに挑戦者を薙ぎ払っちゃって、ジムリーダーとしての資質を本部に疑われてるんだけどねぇ……ぼくから言わせてみれば、あの人は負けて得るものを教えてると思うんだけどさぁ」
 それはともかくぅ、とイチジクはさらに緩く続け、
「だから今日は休んでぇ、明後日のクナシル島行きの船に乗るのをお勧めするよぅ。確かいっしょに港でバトル大会もあった気がするしぃ、挑戦してみたらぁ?」
 それじゃぁぼくはそろそろ寝るねぇ、おやすみぃ、などと言って、イチジクは布団に入ってしまった。
 やる気のなさそうな人だと思ったが、ジム戦後の進路相談までしてくれるとは、意外とイチジクは面倒見がいいのかもしれない。そんなことを思いながら、フィアはシュンセイジムを後にした。



 後日、フィアはフロルと共にジムの前まで来ていた。二人で旅をしている以上、フロルもジムをクリアしなければならない。今日はフィアは観戦だ。
「フロル、大丈夫……?」
 ジムを前にして立ち止まるフロルを見て、フィアは声をかける。
「うん、だいじょうぶだよ。昨日すっごいポケモン捕まえたから、この子で今日こそイチジクさんに勝つんだ」
「そう……ならいいけど」
 しかしやはり緊張はしているようで、少し手が震えている。しかしそれでも、フロルは意を決して足を一歩踏み出した。その時、
「フィア君! いいところに! ちょっと来て!」
「え? え? な、なにっ? 何事!?」
 一陣の黄色い風が吹き、フィアがさらわれた——もとい、凄い勢いで走ってきたイオンが、偶然見つけたらしいフィアの手を取り、強引に引っ張っていった。
「あ、あれ? フィア?」
 あまりに唐突だったため、フロルはなにが起こったのか理解ができず、周りをきょろきょろと見渡す。近くにフィアの姿はない。
 少しして、フロルのターミナルが震えた。
「……あ、メールだ。フィアから?」
 ターミナルを開き、メールを読む。そこには短い一文が書かれていた。

『ごめん、先にジム戦してて』



「ポケモン泥棒!?」
 イオンに連れて行かれたフィアは、現在イオンと並走し、どこかしらへと向かっている。その途中でイオンから話を聞くと、なんとポケモン泥棒が発生し、イオンはその犯人を追っているところらしい。
「そーそー。オレもあんまこーいうのに首は突っ込みたくないけど、目の前でされちゃぁ、流石に見て見ぬ振りもできないっしょ。つーわけでフィア君も手伝って。相手は二人組だったから、こっちも二人だ」
「うん、まあそれはいいけど……犯人はどんな人? どこに向かってるの?」
「犯人はグリモワールっていう組織だと思う。オレもあんま詳しいことは知らないけど、なんでも犯罪者を解放してる組織だって話だ」
「犯罪者を解放?」
 イオンの言葉を、フィアは復唱する。
「どういう意味?」
「そのまんまの意味。警察機関を襲って、檻から犯罪者を脱獄させてるんだよ。んで、脱獄した犯罪者の大半は所在がつかめず。警察はグリモワールが組織に引き入れたんじゃないかって推測してるらしーよ?」
 ということは、そのグリモワールという組織は、犯罪者の集団ということになる。それを子供だけで追うのは危険じゃないのかとフィアは思ったが、
「ま、大丈夫っしょ。オレたちにはポケモンがいるし、こすい泥棒なんてしてる奴らには負けないって」
 イオンがそう言うということは、そういうことなのかもしれない。どうにもこの世界だと、フィアの常識が通用しないところがある。
「それで、そのグリモワールっていう人たちは、どこに?」
「もうすぐ着くよ——っと、ここだ、ここ」
 イオンが止まったのは、大きな岩の壁にぽっかりと空いた穴。中は洞窟のようになっており、奥に続いているようだ。
「犯人が逃げるならここ、砂礫の穴しかないっしょ」



 砂礫の穴、というらしい。
 その名の通り、穴——洞窟の中は土ではなく大量の砂や礫が地面を覆っている。
 こんな場所はすぐに崩れてしまうのではないかとフィアは思ったが、イオンが言うには、この穴は元々ポケモンが巣穴で、壁が崩れないようポケモンが岩などで硬くコーティングし、それが長い年月を経て固まったため、今のような地形になったという。
 分かったような分からないような説明だが、フィアの常識ではこの世界は測れないようなので、無理やり納得した。
「オレも特訓で何度もこの穴に入ったけど、かなり広くて奥まで行けなかったんだよねえ。だからこそ、逃げ込むならここと思ったわけ」
「でもそれ、どっちにしても探すの大変じゃない……?」
 取り逃がすよりはマシだろうが、それだけ広いなら探すのも難しいだろう。
 そう思っていたら、前方から話し声が聞こえてきた。



今回は色々ありましたが、まず言わせてください。前回、敵対組織が登場とか言いましたが、名前しか出せませんでした。ごめんなさい。それと、今回素性が判明した四人のジムリーダーですが、登場人物紹介には載せますが、まだ使用タイプ等は書き入れません。街やジムリーダーの名前、イチジクの言った特徴から推察してください。そして犯罪者を解放する組織の名はグリモワール。犯罪者集団と書くと、その通りなのになんだか凄く嫌な響きになります。ロケット団とかも犯罪者集団なのに、なぜでしょう。ちなみにグリモワールとは、魔術書のことです。興味のある人は調べてみてください。それでは次回、グリモワールと対決です。お楽しみに。

第12話 organized crime ( No.30 )
日時: 2013/04/21 13:27
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
プロフ: グリモワールを追うフィアとイオン。奪われたポケモンを取り返せるか……?

「なぁ、さっきここを走ってった二人、なんだったんだ?」
「さーな。なんかモンスターボール持ってたし、どっかで戦力補給でもしてたんじゃねーの?」
「え? でも確か強奪しての戦力補給って、非推奨行為じゃ……」
「バーカ、そんなの律儀に守ってる奴なんざいるわけねーだろ。その辺で捕まえた野生のポケモンより、トレーナーが育てたポケモンの方が強いんだから、他のトレーナーからぶんどるのが効率いいに決まってんだろ。推奨はされてないが、禁止にもされてないしな」
「はぁん、そんなもんか」
 下っ端と思しき二人組の会話。その内容から、この奥にポケモンを奪ったというグリモワールがいることはほぼ当確だ。
「イオン君、あれがグリモワール?」
「たぶんねー。オレが見た二人組と同じ格好だし、シンボルマークもそれっぽい。あの二人は門番かな?」
 ボールを取り出し、イオンはフィアに目配せする。このまま進んでもあの二人に止められるので、無理やり突破するつもりのようだ。
 フィアもボールを握り、イオンと共に飛び出した。
「っ、誰だ!」
「止まれ!」
 こちらの存在に気付いた下っ端たちは、慌ててボールを取り出しながらこちらに向かって叫ぶ。
「行くよ、サンダース!」
「出て来て、イーブイ!」
 イオンとフィアは同時にサンダースとイーブイを繰り出した。それに合わせて、下っ端もボールを放り投げた。
「よく分からんが、ここは通すなと言われているんだ! 行け、メグロコ!」
「出て来い、ツチニン!」
 下っ端が繰り出したのは、黒い縞模様のあるの鰐のようなポケモンと、蝉の幼虫のようなポケモンだ。

『Information
 メグロコ 砂漠鰐ポケモン
 砂漠に生息するポケモン。
 体温を低下させないために
 日中は砂の中に潜って生活する。』

『Information
 ツチニン 雷ポケモン
 長い年月を地中で暮らすうちに
 目が退化した。木の根っこを吸収し、
 進化の時まで耐え忍ぶ。』

 どちらも地面タイプを持っており、サンダースは不利。しかもメグロコはこちらを威嚇し、攻撃力を下げてきた。
 だがイオンの表情に焦りは見えない。むしろ余裕の笑みを浮かべている。
「フィア君、援護をお願い」
「え? うん、分かった。イーブイ、手助け」
 イオンの言葉で彼の言わんとしてることを察し、フィアはイーブイに指示を出す。
 イーブイは淡い光を発し、それをサンダースに纏わせる。やがて光は消えていったが、サンダースは見るからに力に満ちていた。
「よし、じゃあ速攻で決めようか。サンダース、二度蹴り!」
 サンダースは持ち前のスピードでメグロコに急接近し、一撃目の前蹴りで空中に蹴り上げ、二撃目で跳び上がりメグロコを蹴り落とした。
 威嚇で攻撃力が下がったとはいえ、手助けで強化し、弱点を突く攻撃でメグロコは戦闘不能になってしまう。
「イーブイ、僕らもやろう。目覚めるパワー!」
 イーブイも赤く燃える球体を発射し、ツチニンを燃やす。炎タイプの目覚めるパワーは虫タイプのツチニンには効果抜群。しかも特殊技なので威嚇の影響を受けない。
「とどめっ、サンダース、電光石火!」
 大きく削られたツチニンにサンダースの電光石火が直撃。ツチニンは吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「なっ、俺のメグロコが……!」
「まさか、こんなに早く……!」
 下っ端たちはあまりに早く倒されたためか、目を見開いて驚愕している。
「んじゃ、さっさと先に行こうか」
「あ、イオン君! 待って!」
 その隙に、イオンとフィアは下っ端の脇を通り過ぎて砂礫の穴の奥へと進んでいった。



 砂礫の穴の奥には、下っ端と思われるグリモワールの団員が二人いた。二人とも走って来たために息を切らしているが、脇に抱えたモンスターボールの入った檻はしっかりと持っている。
「なぁ、今更ながら聞くが、誰か追って来てなかったか?」
「さあな。でも流石にここまで来れば大丈夫だろ」
「そうか、そうだな。いざとなればサタン様もいるし、大丈夫か」
「そうそう、大丈夫大丈夫、追っ手なんかここまで来たりは——」
 と下っ端の一人が今さっき走ってきた穴を見ると、奥から二つの人影が飛び出した。
「見つけたっ、グリモワール!」
「本当にいたよ、イオン君の言う通りだ……」
 飛び出したのはフィアとイオンだ。足元にはイーブイとサンダースもいる。
「……おい、なにが大丈夫だ! いるじゃねぇか追っ手!」
 二人の姿を確認するや否や、下っ端の一人がもう一人に向かって叫ぶ。もう片方の下っ端は冷や汗を垂らし、焦ったような表情を見せたが、すぐに気を取り直し、
「だ、大丈夫だ! 所詮は子供のトレーナー、二人がかりでやれば返り討ちにできるはずだ!」
 と言い返す。
 些か甘い考えだと言わざるを得ないが、それで下っ端二人は納得してしまい、共にボールを構える。
「よし、じゃあ行くぞ! コゴボー!」
「こんなガキども、蹴散らしてしまえ! モグリュー!」
 下っ端が繰り出したのは、根っこのような体を持つポケモンと、もぐらのような姿をしたポケモンだ。

『Information
 コゴボー 根っこポケモン
 根っこを張って住処に体を
 固定する。気が変わると根っこ
 を切って別の住家を探す。』

『Information
 モグリュー 土竜ポケモン
 スクリューのように回転しながら
 地中を掘り進む。そのスピードは
 地上を走る自動車並み。』

「連戦で相性も悪いけど、時間が惜しい。さっさと決めちゃうか。フィア君!」
「うん、分かった。イーブイ、サンダースに手助けだ」
 イーブイは淡い光を発し、サンダースに力を与える。そしてサンダースは一気にモグリューへと接近し、
「先手必勝! 二度蹴り!」
 勢いよく足を突き出し、強烈な前蹴りを繰り出したが、

「モグリュー、鉄壁だ!」

ガキィンッ!

 と、甲高い金属音のような音が鳴り響く。
「い……っ?」
 爪を交差させて防御の姿勢を取ったモグリューにサンダースの蹴りが炸裂したのだが、モグリューは全く動じず、爪には傷一つ付いていない。
「鉄壁……参ったな……」
 鉄壁とは、ポケモンの防御力を大きく上げる技。硬くなるや丸くなる以上に防御力を急上昇させるため、生半可な物理技ではまともなダメージは与えられない。
「マッハボルトは効かないし、オレのポケモン、覚えてる技は全部物理技なんだよね……」
 今まで余裕の表情だったイオンの顔に冷や汗が浮かぶ。
 それを見て、下っ端たちは調子づく。
「これは、行けるんじゃねぇのか?」
「そうだな。モグリュー、穴を掘る!」
 モグリューは硬い爪で穴を掘り、瞬く間に地中に身を潜ませてしまった。
「しかも穴を掘る。とりあえず戻れ、サンダース」
 相性が悪いと見て、イオンはサンダースをボールに戻そうとするが、
「させるか! コゴボー、砂地獄!」
 次の瞬間、サンダースの足元に流砂が発生し、サンダースの動きを止めてしまう。さらにボールから発せられた光も、砂地獄は打ち消してしまった。
 砂地獄は威力は低いが、相手に継続してダメージを与え、なおかつ交代を封じる技。今のサンダースには非常に厄介な技だ。
「イーブイ、サンダースを助けよう。コゴボーに目覚めるパワー!」
 ここでイーブイも動き出す。炎タイプの技で草タイプと複合しているコゴボーを攻撃し、大ダメージを与えようとするが、
「今だ、モグリュー!」
 直後、地中からモグリューが飛び出し、イーブイを吹っ飛ばす。
「そうだった、そういえば穴を掘るがあったんだった。なら……戻って、イーブイ」
 フィアはイーブイをボールに戻し、ポケモンを交代させる。
「出て来て、ミズゴロウ!」
 繰り出すのはミズゴロウだ。モグリューに相性が良いだけでなく、イチジク戦で見せたように相手が穴を掘ってもヒレで位置を特定できる。
「コゴボー、成長だ!」
「サンダース、ミサイル針!」
 コゴボーはサンダースを拘束しながら、自身の体を成長させる。サンダースも砂地獄に嵌って動けないが、それでも硬化させた体毛を針のように飛ばす。しかし、
「モグリュー、鉄壁!」
 コゴボーとサンダースの間にモグリューが割って入り、体を鋼鉄のように硬化させ、ミサイル針を弾き返した。
「穴を掘る!」
 そしてすぐさま地中に潜る。もしサンダースがこの攻撃を喰らえば、致命傷は免れないだろう。
「フィア君、悪いけどサンダースはしばらく動けない。その間、頼んだよ」
「分かった。ミズゴロウ、モグリューの位置を探るんだ」
 ミズゴロウは目を閉じ、意識を集中させる。モグリューが今どこにいるかのか、その位置を探っているのだ。
 だが、
「コゴボー、蔓の鞭だ!」
 モグリューの位置を探っているミズゴロウは隙だらけ。そこにコゴボーの蔓の鞭が炸裂し、ミズゴロウは吹っ飛ばされてしまう。
「ミズゴロウ!」
 成長で攻撃力を上げた蔓の鞭はかなりの威力で、一撃でミズゴロウの体力が大きく削られてしまう。さらに、
「モグリュー!」
 地中からモグリューが飛び出し、爪でミズゴロウを吹っ飛ばす。この連撃で、ミズゴロウは戦闘不能となってしまった。
「ミ、ミズゴロウが……」
「これは、本格的にやばいかも……」
 グリモワール二人の強さに、フィアとイオンは焦りを感じ始めるのだった……





はい、今回でやっとグリモワールが登場です。最初の門番二人は楽勝でしたが、次の二人は意外にもフィアとイオンを追い詰めます。今回は特に書くこともないので、あとがきもこの辺で。では次回、グリモワール(下っ端)戦、決着です。遂にあのポケモンが……そしてもしかしたら、ある人物が登場するかもしれません。ではでは、次回もお楽しみに。

登場人物紹介 ( No.31 )
日時: 2013/05/20 01:58
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: FLZh3btT)
プロフ: 内容も含めて随時更新します。

フィア 男 >>32
本作の主人公。謎の黒い渦に巻き込まれ、ホッポウ地方へとやって来た。

フロル 女
ポケモントレーナーの少女。少々天然だが何事にも一生懸命。

イオン 男
ポケモントレーナーの少年。ポケモンバトルに関しては天才的なセンスを持つ。

ルゥナ 女
ポケモントレーナーの少女。技合成という能力を使うことができる。

彼女 女
フィアが部長と呼ぶ少女。フィアがホッポウ地方に来る切っ掛けを与えた。

博士 男
ハルビタウンに研究所を構えるポケモン博士。しかし正式な資格は持っていないローカル博士。


イチジク 男 >>36
シュンセイシティのジムリーダーでノーマルタイプ使い。趣味は寝ること。

クリ 女 >>107
ライカシティのジムリーダーで電気タイプ使い。研究者でもありアシッド機関に双子の兄がいる。

ウルシ 男 >>118
オボロシティのジムリーダーで鋼タイプ使い。オボロ学園という学校の教師もしている。

アーロン 男 >>132
カゲロウシティのジムリーダーで炎タイプ使い。ホッポウ地方のジムリーダーでは最高齢。

トクサ 男
ムゲツシティのジムリーダーで虫タイプ使い。ホッポウ地方最大の軍隊を率いている。

イロハ 女
ツチフルシティのジムリーダー。四天王カエデの妹。

リンネ 女
ヨイヤミシティのジムリーダー。死神の異名を持ち恐れられている。


ハッカ 男
リッカシティのジムリーダー。ジムリーダーとしての公式戦記録では無敗。

ミキ 女
わけあってホッポウ地方を旅するトレーナー。ある人物を探しているらしい。

ザキ 男
レキと共にホッポウを旅するトレーナー。暴君と呼ばれるほど粗雑で荒っぽいが鋭いところもある。

レキ 女
ザキと共にホッポウを旅するトレーナー。明るくも大人びているが、たまに冷たい目を見せることがある。


サタン 男
グリモワールの団員。

ベルフェ 男
グリモワール、怠惰の七罪人。インディアン的な片言口調で、融通が利かず命令されたことのみをこなす。

ゼブル 男
グリモワール、暴食の七罪人。南方訛りの独特な口調で、一日に何食も食べるほどの大食漢。

マモン 女
グリモワール、強欲の七罪人。窃盗行為を趣味とし、自分を泥棒と認めるほどざっくりした性格。


テイル オリ >>45
駆け出しのポケモントレーナー。勇敢で真っ直ぐな性格の熱血漢。

ハブラ オリ>>70
ポケモンバトルの奇術師を自称するトレーナー。技に状態異状を付加させる能力を持つ。

ルーメ 女(女)>>67
用心棒などの雇われ仕事をしているトレーナー。金と情の双方をよく理解している人物。

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.32 )
日時: 2013/05/11 20:58
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)

フィア 男 16歳

容姿:母親が外国人らしく、鮮やかな赤い髪をしており、右側が横向きに跳ねていてそこだけ黒くなっている。華奢で身長が低く、160cm程度で顔も童顔。服装は白いカッターシャツと黒いブレザー、スラックスを着用している。
性格:内気で周りに流されやすく、自己主張などが苦手。意志はあまり強くないが、やる時はそれなりにやる。

手持ちポケモン

イーブイ→ブースター:♂
技:ニトロチャージ、火炎放射、アイアンテール、起死回生
特性:危険予知→根性
性格:頑張り屋、昼寝をよくする
経緯:ホッポウ地方に来る前、元の世界で彼女から貰ったポケモン。
 砂礫の穴での戦いでブースターへと進化。
戦術:スピードを生かして接近戦を仕掛けたり、目覚めるパワーで遠くから攻撃したり、間合いを調整しながら戦える。ダブルバトルでは手助けで味方のサポートも可能。
 ブースターに進化し、攻撃力が大幅に上昇した。体力が削られたり状態異状になっても根性や起死回生で一発逆転も可能。
過去の技:電光石火、噛みつく、目覚めるパワー(炎)、手助け

ミズゴロウ→ヌマクロー:♂
技:スプラッシュ、マッドショット、瓦割り、水の誓
特性:激流
性格:呑気、物音に敏感
経緯:ハルビタウンで博士から貰ったポケモン。
   ライカ山道でゼブルのクイタランとのバトル中にヌマクローに進化。
戦術:打たれ強くパワーもあり、粘り強く戦い続けることが出来る。またヒレが敏感なレーダーとなり、地中のポケモンの位置を正確に察知する。
   進化して軒並みステータスが上昇した。遠距離から近距離まで様々な技が使え、器用に戦うことができる。
過去の技:水鉄砲、泥かけ、岩砕き、体当たり

パチリス:♀
技:エレキボール、必殺前歯、種爆弾、帯電
特性:蓄電
性格:無邪気、悪戯が好き
経緯:ライカ研究所の停電騒動でフィアを気に入りゲットされる。
戦術:非常にすばしっこく、ちょこまかと動き回りながら帯電で決定力を上げてダメージを蓄積させていく。特性上、電気タイプには強い。
過去の技:噛みつく

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.33 )
日時: 2013/04/21 01:46
名前: プツ男 (ID: Xr21cKIW)

どうも、高校に入ってから時間がおろし金でゴリゴリ削られているプツ男です。

北方領土が元のホッポウ地方ですか!自分は島名を殆ど覚えていません・・・・・ええっと・・・・しょこたんみたいな名前の島が有ったのは覚えています。

旅の初めはやっぱり御三家ですよね!でもって、フィア君が選んだのは・・・・・・ミズゴロウ・・・・・・ああ!確か最終進化はオーダイルでしたよね!格好いいですよね(現実逃避)
ラグラージってガゼポケモンが存在するらしいですよ(現実逃避)

ん・・・・・・?アシッド機関・・・・・・?ああ、あの人の冗談を冗談と捉えてはいけませんでしたね・・・・・
そして、ダイケンキやディザソルを持つ青年・・・・・ああ、あの人ですかね?
フィアや青年を吸い込んだ黒い渦の正体は何でしょうね一体。とりあえず、グギュグバア!!さんと予想しておきましょう。

第一回ジム戦は見事勝利ということで・・・・ノーマルタイプってトラウマしかありませんよね・・・・・ミルタンクとかミルタンクとかミルタンクとか。
彩芽ちゃんを連れていってもミルク飲み連発で発狂物でしたもの。まあ、後で調べたら攻撃の個体値が最低ランクだったらしいですけど。
まあ、そんな事はさておき、ベロリンガの倒し方がえげつない・・・・舌を火傷すると、数日はヒリヒリに苦しめられなければいけないので、想像したら・・・・ヒィイ!っていっても、焼かれるのとは・・・・・違いますね・・・・・



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