二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 七つの星と罪
日時: 2013/07/21 23:48
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 どうも、初めましての人は初めまして、白黒です。
 旧二次小説板を覗いた事のある人なら、知ってる人がいるかもしれませんね。以前もポケモンの二次小説を執筆していました。
 前作はゲームのストーリーをモデルにしていましたが、今回はほぼ完全なオリジナルです。前作との繋がりは……ないとは言いませんが、一作目と二作目ほどの繋がりはありません。

 ちなみに白黒は前作、この時期ぐらいに更新が止まっていました。何分この時期は忙しい身でして、しばらく更新は遅いと思いますが、ご了承ください。

 それと、本作品では非公式のポケモンも登場します。>>0にURLを貼っていますので、参考にしてください。
 なお本作品内では、ポケモンバトルにおいて超常的な現象が起きます。それは物語を進めていくうちに作中で追々説明しますが、まあ超次元サッカーとか異能力麻雀とか、そんな感じのものだと思ってください。

 それでは、白黒の新しい物語が始まります——

登場人物紹介
>>31



プロローグ
>>1
序章
>>7 >>10 >>11

シコタン島編
ハルビタウン
>>12 >>13 >>14
シュンセイシティ
>>17 >>18 >>23 >>24 >>29 >>30 >>35
ハルサメタウン
>>37 >>40 >>41 >>42 >>43

クナシル島編
サミダレタウン
>>63 >>73 >>74 >>77 >>80 >>84 >>87 >>88
ライカシティ
>>91 >>92 >>95 >>98 >>99 >>100 >>106
オボロシティ
>>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>115 >>119 >>120 >>123
カゲロウシティ
>>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131 >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>140 >>143 >>149 >>150
ライウタウン
>>151 >>154 >>155 >>156 >>159 >>162 >>166 >>171 >>172 >>175 >>176 >>177 >>178 >>179 >>180

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.169 )
日時: 2013/06/22 18:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

スーパーテスト期間タイムのパーセンターです。

サーナイトのフェアリータイプ追加に驚いております。うちのサナさんがドラゴンキラーになるのか……?うちの翠の人のサーナイトどうしよう?
個人的にはファイアローの出現で六文字のNNを付けられるか気になるところです。
ブースターに「ゆいいつおう」のNNを付けられる日は来るのか

ハブラ再登場ありがとうございます。ファントマは幻影の覇者の使い魔あたりが似合いそうですね(笑)。
とまあ、そんな冗談は置いておくとして、流石にヌマクロー相手では相性が悪かったですね。
ゲームではほとんど日の目を見ない撃ち落とすもなかなか実用性が高いですね。
撃ち落とすみたいにゲームで使いにくい技も、小説だと使いやすくなるものは多いですよね。
ともあれバトルは始まったばかりですから、どちらも全力で頑張って欲しいところです。

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.170 )
日時: 2013/06/24 20:10
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: 新作ポケモンの発売日は年々遅くなっている気がする。

パーセンターさん


 白黒もじきにテスト期間に突入します。前回の成績は不振だったので、ここで巻き返さないと後が怖い……

 僕も、新タイプのフェアリータイプまではまだ良かったのですが、既存のポケモンにもそのタイプが新しく追加されるという仕様には驚いています。金銀で鋼タイプが追加されたコイルを思い出しますね……白黒だけかもしれませんが。
 ポケモンのネーミングもそろそろ五文字では利かなくなってしまったのですかね。
 ブースターのNNは……まあ、今作で唯一王脱却できるような何かがあるといいですね。

 化け狐の周りに浮かぶファントマ……合っているような合っていないような……
 ヌマクローは今回やたらと出番が多いです。新技の撃ち落とすも、小説だと思いのほか強力ですし。
 実は白黒は、原作では日の目を見ないポケモンがポケダンで活躍し、地味な技は小説で活躍する、みたいなジンクスができたらいいなぁ、と仄かに思っていたりします。
 この二人のバトルがどう転ぶかは、定型文ですけど次回のお楽しみですね。

第65話 endurance ( No.171 )
日時: 2013/07/09 00:57
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: ハブラの二番手は、鉄壁無双の観葉植物。

「戻れ、ファントマ」
 ハブラは戦闘不能となったファントマをボールに戻し、次のボールを手に取る。
「相性が悪かったとはいえ、まさかファントマがやられるなんてね。苦手なタイプへの対策もしていたし、正直負けるとは思わなかった……だから次は、もっと堅実に行かせてもらう」
 そして、そのボールを放り投げる。
「さあ出て来い、リーフィス!」
 ハブラの二番手は、植物のような体をガラス鉢で防護した、変わった姿のポケモン。

『Information
 リーフィス 観葉ポケモン
 常に甘い香りを分泌している。
 この香りで獲物の戦意を喪失
 させ、ゆっくりと捕食していく。』

「また変なポケモンが出たな……でも」
 フィアはボールを一つ掴み、しばし逡巡する。
(リーフィスは草と水タイプ、ヌマクローだと相性が悪すぎる。積極的に攻めるポケモンではなさそうだけど、こっちは手負いだし、ここは少し休ませるべきかな)
 そう思い直して、掴んだボールを取り出した。
「戻って、ヌマクロー」
 そしてヌマクローをボールに戻す。それを見てもハブラは特に反応を示さない。予想の範疇だったのだろう。
「さて、相手は草・水タイプ。なら、とりあえずは君かな。頼んだよ、パチリス!」
 フィアが交代で繰り出したのはパチリスだ。相性は決して良いわけではないが、他のブースターやメタングよりはマシである。
「パチリス、まずは帯電だ!」
 パチリスは体に電気を帯び、攻撃能力を高める。堅そうなリーフィス相手なら、決定力を上げてからの方が戦いやすいだろう。
「リーフィス、熱湯だ!」
 そんなパチリスに、リーフィスは熱く煮え滾る熱湯を発射する。煮沸した水流はかなり熱そうだが、勢いや水量は意外とない。
「躱して! エレキボール!」
 パチリスは軽く後ろに下がって熱湯を躱し、尻尾で生成した電撃の球をリーフィスに投げつける。雷球はリーフィスの体を覆うガラス鉢に直撃したが、ダメージはほとんどなさそうだ。
「やっぱり耐久力に趣を置いたポケモンか……ならもう一度、帯電だ!」
 リーフィスの防御力は証明された。なのでパチリスは、さらに攻撃能力を上げるため、自身に微弱な電気を帯びるが、
「熱湯!」
 リーフィスが熱く煮え滾る熱湯を発射する。
 だがリーフィスは防御に秀でていても、攻撃は大したことがない。生半可な勢いで発射された熱湯など、パチリスにとっては脅威でもなんでもない。
「躱してエレキボール!」
 パチリスは跳躍して熱湯を躱し、尻尾に大きな雷球を生成する。そしてそのまま宙返りをするように体を回転させ、尻尾を振り下ろすように雷球を飛ばす。
 雷球はリーフィスの顔面に直撃。初撃よりも格段に大きなダメージを与えられた様子だ。
 しかし、

「リーフィス、宿木の種!」

 直後、リーフィスはいくつかの種子を射出した。
「っ!? パチリス?」
 射出された種子はパチリスに当たるとすぐに発芽し、蔦のように纏わり付く。
「この技は……?」
 フィアがターミナルを取り出して技を調べようとするが、ハブラはそれを制するように口を開く。
「宿木の種。草タイプのポケモンが得意とする技で、草タイプの耐久型のポケモンにおける上等手段さ。この宿木の種を植え付けられたポケモンは時間の経過と共に体力が奪われていく。そしてその奪うポケモンは当然、種を飛ばした張本人だ」
 と言って、視線をリーフィスに向けた。
 いくらフィアでも、今のはブラの言葉が理解できないわけではない。この状況がどういう状況なのかが理解できないわけではない。
(半永久的にパチリスはリーフィスに体力を吸い取られる……耐久型ポケモンの常套手段か、成程ね……!)
 リーフィスは硬い、そして守りも堅い。こちらの攻撃は通じ難く、加えて宿木の種で回復も行うとなれば、そう簡単に倒すことはできないだろう。しかも宿木の種によるダメージは攻撃力に依存しないため、リーフィスの欠点である火力もカバーしている。
「厄介なことになってきたな……パチリス、必殺前歯だ!」
 パチリスは軽いフットワークでリーフィスを攪乱しつつ接近し、鉢から飛び出している葉っぱに前歯を立てる。
 ガラス鉢に攻撃しても効果は薄いが、やはり本体に直接攻撃すればそれなりのダメージはあるようで、リーフィスは少しだけ呻いた。だが、
「残念。そう簡単には行かないよ。リーフィス、ギガドレイン!」
 刹那、地中からパチリスに纏わりついているものよりも太くて長い、蔦のような植物が飛び出し、宿木と共にパチリスに絡みつく。
「パチリス!」
 そして今度はパチリスが呻き声を上げる。蔦で縛られているからというよりは、普通に体力を削られているように見える。
 やがてパチリスは蔦から解放されるが、息が荒く、体力がかなり減っている。
 それとは対照的に、リーフィスは先程までのダメージがなかったかのようにピンピンとしていた。
「ギガドレインも、草タイプの主力技みたいなものかな。攻撃と同時に体力が回復できる」
 宿木で回復し、ギガドレインでも回復する。どうやらこのリーフィスは、本当に耐久に特化しているようだ。
「さーて、そのパチリスも宿木で結構削れただろうから、そろそろ決めようか? 熱湯!」
 リーフィスは煮沸された熱湯を放つ。やはり勢いは中途半端だが、消耗したパチリスには驚異の一撃だ。
「躱して!」
 少し大袈裟に横っ飛びし、パチリスはその一撃を回避する。
「熱湯は下手したら火傷するし、これ以上攻撃は受けられない……でも、攻める。種爆弾!」
 パチリスは少し前進し、リーフィスにいくつもの種子を飛ばす。宿木よりも大きいそれはリーフィスに触れると、すぐさま炸裂し、リーフィスを爆撃する。
「エレキボールだ!」
 間髪入れずにパチリスは雷球を飛ばして追撃。的は小さいが、確実に本体に攻撃を加えた。
「まだそんなに動けるんだ。リーフィス、熱湯!」
「躱してエレキボール!」
 襲い掛かる熱湯を避けつつ、パチリスはリーフィスに雷球を撃ち込む。
 必殺前歯ならそれなりの火力が見込めるのだが、下手に接近すればまたギガドレインで体力を吸い取られかねない。なのでここは、中・遠距離からの攻撃で確実にリーフィスを削る作戦を取る。
「エレキボール!」
 一度に三つの雷球を生成し、パチリスはそれらを同時に放つ。三つのうち二つは本体を攻撃したが、残る一発は鉢に当たって弾かれてしまった。
「まぁ、やっぱそうくるよねぇ……ならこれだ。光合成!」
 ハブラの指示を受け、リーフィスは葉っぱを広げて天を仰ぐ。高く上った太陽はギラギラとリーフィスに照り、光を浴びせている。
 いや、違う。確かにリーフィスは光を浴びているが、同時に自らも淡い光を発していた。そしてその光を受けた部位の傷が、みるみるうちに癒えていく。
「っ! 回復技……!」
「そうだね。耐久型のリーフィスだ、普通の回復技を持っていても不思議はないだろう? 間接的な日照り対策にもなるしね。熱湯!」
 唐突に技を指示し、リーフィスから素早い熱湯が発射される。パチリスは寸でのところでその攻撃を躱したが、完全ではなく、少しだけ掠めてしまった。
 リーフィスの体力は減らず、逆にパチリスは体力を奪われ、満身創痍の中、さらに悪いことは続く。
「火傷……!」
 フィアは歯噛みする。見れば、パチリスの熱湯を掠めた尻尾は赤く腫れ、火傷を負ってしまっている。これでパチリスの体力はさらに削られ、攻撃力も低下してしまった。
「うん、上手い具合に機能してくれたようだ。もうそのパチリスは放っておくだけでやられるだろうけど、攻撃は止めないよ。熱湯だ!」
 リーフィスは鋭い眼差しで狙いを定め、ふらふらになったパチリスへと熱湯を噴射する。
「くっ、躱してパチリス! エレキボールだ!」
 パチリスはなんとか体を動かして熱湯を避け、雷球を飛ばす。だが、決定打には乏しい。
「種爆弾!」
 パチリスは前に出ると、続けていくつもの種子を投げつける。放物線を描いてそれぞれ飛んでいく種子はリーフィスの頭や葉っぱに当たり、炸裂していく。
 しかし、やはりリーフィスへのダメージはさほど大きくない。また宿木や光合成で回復されるのがオチだろう。
 だがその時、放たれた種子の一つが、リーフィスのガラス鉢の中に転がり込む。そして刹那、爆発した。
「っ! リーフィス!」
 その爆発を受け、リーフィスが甲高い声で絶叫する。
 種爆弾一つが爆発したところで、その威力はたかが知れている。普通ならリーフィスに決定打を与えられるダメージにはならないはずだが、どういうわけかその一発だけは、リーフィスに絶大な衝撃を与えた。
「……そうか、あの鉢の中がリーフィスの弱点なんだ」
 フィアの知識の中にも、硬い殻などを持つ生物は、その中身が弱いという常識がある。ポケモンであるリーフィスにも、その常識は通用するようだ。
「だったら一か八か、接近戦で攻める! パチリス、必殺前歯!」
 パチリスは余力を振り絞って跳躍し、リーフィスの葉っぱにかじりつく。火傷の効果もあり、それによるダメージはほとんどないが、
「エレキボール!」
 直後、尻尾に雷球を作り出し、それを素早く、かつ的確に鉢の中へと撃ち込む。その一撃で、またもリーフィスは天を仰いで絶叫する。
「もう一発だ!」
 リーフィスが悶え苦しんでいる間に、もう一発雷球を撃ち込む。これだけで、リーフィスの体力はかなり失われただろうことが想像できる。上手く行けば、このまま押し切れるかもしれないと、そう思えるほどに有効打を与えられた。
 だが、しかし、
「——ギガドレイン!」
 刹那、地中から蔦のような植物が飛び出す。蔦は不規則に蠢き、瞬く間にパチリスに絡みついた。
「しまった……パチリス!」
 フィアは思わず叫ぶが、時既に遅し。
 蔦に絡みつかれたパチリスは、残った体力を全て吸い尽くされてしまい——地に落ちた。



かなり久々の更新です。何度も言っていますが、白黒はこのシーズンは多忙なものでして……ただまあ、理由は多忙だけじゃないんですよね。白黒はかなり飽きっぽい性格なので、近頃ポケモン熱が冷めてしまい、執筆に熱が入らないんですよね。だからそれも相まって、更新が滞っていると……一応、ちまちま書いてはいるんですけどね。それでも全然筆が進まないです。とはいえ執筆自体を止める気は毛頭ないです。白黒は冷めやすいですが、同時に熱しやすくもあるので、XYが発売されればまたポケモン熱も戻って来るでしょう。というわけで次回の更新も遅いと思いますが、次回もお楽しみに。

第66話 decorative plant ( No.172 )
日時: 2013/07/14 20:20
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
プロフ: ポケモンバトルの奇術師、いよいよ本領発揮か——

「戻って、パチリス」
 フィアはパチリスをボールに戻す。パチリスが与えたダメージは恐らくまた回復されてしまうのだろうが、リーフィスの弱点が判明しただけでも十分な収穫だ。
(リーフィスの弱点は鉢の内側。となると、小回りの利くポケモンがいいかな。メタングは……少し難しいかもしれないから、相性は悪いけど、ここは君に任せたよ)
 フィアは次のボールを握り締め、力強く放る。
「出て来て、ブースター!」
 フィアの二番手はブースターだ。リーフィスとの相性は良くないが、スピードに関してはフィアの手持ちでパチリスに次ぎ、自身で素早さを上げる術もある。弱点である水技も、リーフィス程度の特攻なら一発二発喰らったくらいではやられないだろう。
「ふぅん、リーフィスに対してブースターねぇ。熱湯で火傷することを嫌ったのかな? それ以外の目的もありそうだけど、どうやら手数で攻める気のようだね」
 全てではないが、フィアの考えは概ねハブラに見透かされてしまっている。ただまあ、ばれたところでさしたる支障があるわけでもないし、どうせすぐに露見することだ。隠すほどではない。
「行くよブースター。ニトロチャージ!」
 ブースターは全身に燃え盛る炎を纏い、それを推進力にしてリーフィス目掛けて突っ込む。
「リーフィス、光合成だ!」
 対するリーフィスは、迎え撃つことはせず、真っ先にパチリスにやられた傷を回復させる。そしてそのすぐ後、ブースターの突撃を真正面から受け止めた。
 鉢に当たったのでダメージは少ないが、しかしリーフィスの体が少し傾く。バランスが崩れかけているようだ。
「等倍程度じゃあリーフィスへの決定打にはならないけど、やっぱりブースターは力が強いね。熱湯!」
 リーフィスは体のバランスを崩したまま、熱く煮え滾る熱湯を噴射する。
 いくら威力の低い熱湯で、特防の高いブースターでも、水技は弱点だ。好き好んで喰らいたいものではない。ブースターはバックステップで後ろに下がり、リーフィスの熱湯を回避する。
「逃がさないよ。宿木の種!」
「それは効きませんよ。火炎放射!」
 リーフィスが追い打ちのように射出した宿木の種を、ブースターは燃え盛る火炎で焼き払ってしまう。
「ニトロチャージ!」
 そしてすぐさま炎を纏い突撃。リーフィスと正面からぶつかり合う。
「続けてアイアンテールだ!」
 ブースターは前足で地面を蹴りつけ、その勢いで跳躍。空中で一回転し、鋼鉄のように硬化された尻尾をリーフィスの脳天に叩き込む。
 効果はいまひとつだが、その一撃はリーフィスをのけぞらせるには十分な一撃だった。リーフィスがのけぞるということは、リーフィスに隙ができ、そしてリーフィス本体とガラス鉢の間に隙間ができるということ。
 つまり、
「そこだよブースター! 火炎放射!」
 ブースターはその隙間目掛けて炎を噴射する。ブースターの放つ炎は綺麗にリーフィスの首筋を通り、鉢の中に吸い込まれるようにして入っていく。
「っ! リーフィス!」
 再びリーフィスは絶叫する。それもパチリスの攻撃よりも大きい悲鳴だ。
「畳み掛けるよ! アイアンテール!」
 ブースターは一度地面に降り立ち、再び跳躍して今度は振り上げるような尻尾の一撃を繰り出す。弱点を攻撃されて悶え苦しんでいるリーフィスはさらなる追撃を受け、完全に態勢を崩してしまう。
「まずいな、なんとか立て直さないと……リーフィス、光合成だ!」
「させない! ブースター、ニトロチャージ!」
 リーフィスは天を仰いで日光をその身に浴び、傷を癒す。だがそこにブースターが炎を纏って突っ込み、光合成は中断されてしまった。
「怯むな! 光合成!」
 だがそれでも、リーフィスは粘り強く光合成をして体力を回復させる。しかし、
「火炎放射!」
 ブースターは飛び上がり、上空から炎を放つ。その炎はリーフィスの頭部を包み込み、そのまま鉢の内部へと移っていく。その過程で、リーフィスはまたも叫ぶ。
「くっ、このままじゃ回復が追いつかない……!」
 リーフィスはかなりタフで、ニトロチャージによる急な衝撃では中断したものの、燃え移った炎を受けても光合成を中断させていない。そのため今も体力は回復しているのだが、それ以上にブースターの炎が激しく、回復が間に合わない。
「仕方ない、火傷する危険もあるけど、一旦消火しようか。リーフィス、真上に熱湯だ!」
 リーフィスは鉢の中で燃え盛る炎のダメージに耐えながら、正に間欠泉の如く真上に熱湯を噴射する。真上に打ち上げられた熱湯はしばらくして落下し、リーフィスに降り注ぐ。熱い水がリーフィスに襲い掛かるが、しかし鉢の中の炎は消火できた。あのまま燃やされ続けるよりは断然マシだろう。
「あんな方法で炎を……凄いなぁ」
 フィアはというと、その捨て身の防御に素直に感心していた。だがすぐに切り替え、
「ブースター、ニトロチャージ!」
 ブースターが炎を纏ってリーフィスに突進する。
「今度はしっかり耐えてくれよ、光合成!」
 対するリーフィスはどっしりと構え直し、照りつける太陽光をその身に浴び、体力を回復させる。その途中でブースターが突っ込んできたが、今度は予め攻撃されることが分かっていたので、中断することなく耐え切ることが出来た。
「あんまり期待はできないけど、ついでにこっちからも回復しておこうか。リーフィス、ギガドレイン!」
 光合成を終えたリーフィスは、地面から蔦のような植物を伸ばす。蔦はうねり蠢き、つかみどころのない動きで瞬く間にブースターに絡みつく。
「ブースター!」
 そしてブースターは、その蔦を通じてリーフィスに体力を吸われてしまう。とはいえ、特殊攻撃なら特防の高いブースターには通りにくく、しかも効果はいまひとつ。受けたダメージも回復量も大したことはないが、
「おまけだ、熱湯!」
 蔦から解放された直後、ブースターは熱湯の直撃を受けて吹っ飛ばされてしまった。
 致命傷と言うほどでもなく、熱湯によるダメージは少ない。しかしパチリスの時と同じように、悪いことは重なるもの、そして連鎖するものだ。
「? ブースター……?」
 フィアはブースターの実に異変が起きていることを察する。ブースターは体を小刻みに震わせており、体が少しふらついている。顔色も悪い。
「どうしたの……?」
 まさか熱湯が急所にでも当たって、意外とダメージが大きかったのだろうかと思ったが、これは単純に大ダメージを受けた様子ではない。熱湯は攻撃と同時に火傷状態を引き起こすことのある技だが、そもそもブースターは炎タイプ、火傷状態になるはずもないので、その可能性もない。
 だが、ふとフィアの脳裏にある単語が浮かび上がる。それと同時に、口をつくようにしてその言葉を呟いた。
「まさか……毒?」
 毒状態。状態異状の一つで、徐々に体力が失われていくという点では火傷に似ているが、攻撃力は低下しない。だが猛毒状態という毒状態のさらに上の状態なら、時間の経過と共に失われる体力量が増加するというおぞましいものとなる。
 耐久型のポケモン、特に毒タイプのポケモンが得意とする状態異状なのだが、ブースターの症状はその状態とよく似ている。
「でも、リーフィスが繰り出したのは熱湯、毒状態にできる技じゃない。他の技もそうだし……じゃあ、何で……?」
 フィアの疑問は最もである。熱湯でもギガドレインでも宿木の種でも光合成でも、相手を毒状態にすることはできない。
 その答えは、ハブラが示した。
「まぁ、こればっかりは説明しないと分からないだろうね……と言っても、詳しく説明できるほど自分でも理解しているわけでもないけどね。ただこれは、そういうことなんだ。そういう現状が起きてしまう僕がいる。もっと言えば、僕のポケモンはこういうことができるんだよ。どんな技でも状態異状が起こりうる。ポケモンの技に状態異状の追加効果を与えるって言えば分かりやすいかな? 状態異状付加、なんて言えばそれっぽいけどね」
 長々と饒舌に語るハブラだったが、フィアは彼の言い分からこの現象が何なのか、概ね察しはついた。以前にも経験していることなのだが、その時の現象とはかなり違っていたので分かりにくかったが、なんとか思い出せた。
(これって、ルゥ先輩の技合成みたいな能力だよね……技合成に比べたら地味だけど、厄介だ)
 厄介だ——が、この状況は決してフィアにとって悪いものではない。技に状態異状の追加効果を付加させるという能力は確かに厄介で、それが耐久型のポケモンとなればなおさらだ。
 しかしフィアのブースターは、そんな逆境でこそ真価を発揮する。
「っ」
 ハブラが少し後退する。その視線の先には、熱湯を喰らって吹っ飛び、今まさに起き上がったブースターの姿。毒に侵されて顔色を悪くしているブースターがいるが、その気迫は尋常ではなかった。途轍もない圧力が発せられ、気圧されそうになる。
「ブースター、ここからが本番だよ。ここからが、君の独壇場だ」



というわけでハブラ戦その三です。ここで初めてハブラの能力が明らかになりました。ちなみに今作では、能力という概念自体を知らないトレーナーの方が多いという設定です。知っているのはルゥナのような機関に属する者か、その関係者くらいです。ジムリーダーとかは大抵の人は知っていますが。さて、それでは次回、そろそろ二回戦も終えたいなーということで、次回もお楽しみに。

Re: ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.173 )
日時: 2013/07/14 20:36
名前: プツ男 (ID: yIcyPr62)

どうも、お久しぶり(?)です。
テストで142番順位が上がっていてビックリしていました。これで調子に乗らずに頑張りたいです。
最近は部活の方が忙しくて頭がティロティロしています。
それにしても、白黒さん・・・・・全国ですか?凄いですね・・・・・僕の高校の部は全国以前に地区大会の銅賞すら危うい状況です。

まあ、そんなことはさておき、白黒さんのアドバイスのお陰で、小説の構想が大分固まってキマした。ありがとうございました。
公開するのはシナリオの1/3を書きためてからすることにしたので、おそらくは年明け頃ですが、ちょっとお願いがありまして・・・・・・
前作での7Pが使っていた解放の設定を借りてもよろしいでしょうか?
すべてをパクるワケではなく、力が強くなる、刻むという点がかなり酷似していますので・・・・・お返事、待っています。

さて、バトル大会の方は投稿オリキャラ2連戦で苦戦気味のフィアですが、なにかと万能な打ち落とすに助けられていますね。
2回戦目のブースターは・・・・・・・これは・・・・・・・・あの特性が発動したのですね。
・・・・・・でも、ゲーム換算だと、毒食らっても鈍足紙装甲が仇となって、出オチですが、遂に活躍する時が来たのですね!

・・・・・ってこの言い方だと、僕がブースターアンチみたいですね・・・・・僕はブースター好きですよ。


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