二次創作小説(紙ほか)

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ハニカム(テニプリ夢)
日時: 2021/06/07 02:22
名前: ぺ (ID: EabzOxcq)

かわいいかわいい女の子

葉山仁奈…立海大附属高校1年。医者の家系に生まれたひとり娘。容姿端麗だが少し抜けている。
麻里…仁奈のクラスメイトで親友。一般家庭。



沙由香…仁奈の中学時代の親友。某出版社の令嬢。宍戸先輩の彼女。いまでも仁奈と親交あり。

未央…同じく中学時代の仁奈、沙由香の親友。某銀行頭取の孫。


Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.43 )
日時: 2021/06/13 00:17
名前: ぺ (ID: nsrMA1ZX)

「はぁ…。」

蓮二はため息を吐いた。帰路への足取りは重い。夜8時過ぎに雨が降ると予報は出ていたが、練習試合の途中の午後6時過ぎには降ってきた。今朝一緒に登校した傘は、昇降口を出るときには既になくなっていた。誰かが盗っていったのだろう。試合にも負け、雨にも濡れて、本当に蓮二にとっては最悪な一日であった。そういえば、葉山からメールの返信が来ていた。蓮二は携帯を開いた。いつも携帯を開けばすぐ待ち受けが現れるのだが、一向に画面が明るくなる気配がない。充電はいつもばっちりであるのに、何故だ。電源のボタンを押したが、反応もない。蓮二はまた大きくため息を吐いた。恐らく、これは故障である。

「あら、濡れてるじゃない!タオル渡すからそこで拭いて!床濡れちゃうから、制服脱いでそのまま洗濯かごに入れてちょうだいね。」

帰宅すると、母親が玄関で待っていた。蓮二にはタオルが渡された。靴下と制服のズボン、シャツを脱いだ。玄関で半裸になる蓮二は足の裏と頭を拭いて、そのまま風呂場に向かった。シャワーを浴びると、着替えが用意してあった。

「ご飯、先食べちゃいなさいね。」

母親にそう言われて、机に座ると父親も食卓にいた。

「今日、青学と試合だったんだろ?」
「あぁ。」
「勝率は?」
「1割9分6厘。」

父親はすぐに顔をしかめた。蓮二は父親のこの顔が大きらいだ。小さい頃はそれに萎縮することばかりだったが、最近は体格差がほとんどなくむしろ蓮二の方が良いので、それに動じることはなくなっている。姉にあんなに優しい父親が、何故自分にだけこんなに厳格な父親を演じているのか?好き嫌いの差だろうか、蓮二は父親と目を合わせずに肉じゃがを口に運んでいる。

「もう、お父さん?蓮月にはあーんなに甘々なのに蓮二にはこんなに厳しいなんて、ひどすぎるんじゃない?」
「なんだ。お前はその逆じゃないのか。愛娘を家から追い出して、楽しいか。」
「…あのね。あなたがそうやって長女を甘やかすから、私はあの子に…。」

母親が父親に言い返している途中、祖母が居間へやってきた。母親はとっさに口を窄めた。蓮二の両親は、いつも蓮二か姉の蓮月の話になると、喧嘩をしている。

「お義父さん。お茶、飲みます?あ、お義母さんも、ついでに。」
「ありがとう。」
「私はいらんよ。」

こんなに人がいるのに、居間と食卓は殺伐としている。テレビの音だけが賑わっていた。

「携帯が壊れたんだが、部活の連絡手段のために必要だからまた同じものがほしい。」

沈黙の中、蓮二が口を開いた。

「それなら、新しい機種にしなさい。かなり使えるぞ。」

今度は祖父が口を開いた。父親と同じ職業柄なのに、何故こんなに優しくて蓮二のことを大好きでいてくれるのか。祖父母がいなくなったら、自分は生きていけるのか不安である。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.44 )
日時: 2021/06/13 00:48
名前: ぺ (ID: nsrMA1ZX)

仁奈は父親と夜ご飯を共にしていた。午後9時、父親が帰ってきたので一緒に家政婦が作ったペペロンチーノを食べている。

「夏休みに三者面談があるだろうから、わかったら教えてくれ。」

この間のことは、なかったことになっているようだ。仁奈は胸を撫で下ろした。うん、と返事をしてテレビを見ていた。

「パパと二人は、つまらない?」
「そんなことないよ。」
「手術がない日は、残業はしないようにするから。」
「今まで通りで大丈夫だよ。」

仁奈は何気なく笑って返したが、父親はそうかと寂しそうに笑った。

「この間は、言い過ぎた。仁奈の気持ちが落ち着くまで、好きなように過ごしていいから。パパは心配してただけなんだ。ごめんな。」
「うん。私もパパが心配してくれたのに、言い返してごめんね。」

仁奈は父親に謝ったが、まだまだ離婚に関しての思いは変わらなかった。部屋に戻り、メールの確認をしたが蓮二からの返信はなかった。そのまま布団に入り、いつの間にか寝てしまった。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.45 )
日時: 2021/06/14 01:29
名前: ぺ (ID: 5fsUPV.h)

土曜日の夕方に部活が終わり、携帯ショップへ行った。スマホを早速使いこなしている蓮二だが、フリック入力がまだ遅いようだ。仁奈からのメールを返すために、ゆっくりと打っている。

遅くなってすまない
携帯が壊れたからスマートフォンに変えていた

仁奈は蓮二からメールが来たことに気づき、すぐさま画面を開いた。麻里の家で麻里とテスト勉強をしていたのだが、一時中断である。

「ねぇ蓮二、携帯変えたから返信できなかったんだって!」
「よかったじゃん!やっぱ放置してたんじゃないんだよー!やったね!」

今週の土日は麻里の家でお泊り会である。勉強会と言いながら、二人は先程から手が動いていない。

スマホいいなぁ~~
ガラケーより全然使いやすそうだもん!

「送っちゃった!」
「やばい!手震えてるよ!」
「あんたたちもう付き合いなさいよー。」
「まだだよ!麻里と仁王先輩がお付き合いしてから!」
「えー、付き合えるかわかんないもん。」

麻里はテスト期間に仁王先輩と映画を見に行く約束をした。そのための服を明日買いに行くのだ。一方、蓮二は家で真面目に勉強しているし、仁王先輩は彼女と二人で夜景を見ていた。

「やっぱ花柄とかで可愛くしたらいいかな?」
「いいかも!それか仁王先輩大人っぽいから、ちょっと渋谷系にしてもかわいいかもよ!」
「ミニスカートとかぁ?」
「いいと思う。麻里、足キレイなんだからだしたらいいのに!」

深夜までこの手の話は続いていたのであった。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.46 )
日時: 2021/06/15 01:59
名前: ぺ (ID: TaHLTR3K)

「ねぇ、見た?」
「見たー!あんなスクバ、援交じゃなきゃ無理だって!絶対買えない!」

彼女たちは、タータンチェックが有名なブランドのスクールバッグのことを話していた。立海大附属は特進>普通科>総合学科に別れている。特進、普通科はまとまりのある品行方正なイメージだが、総合学科は校舎も雰囲気もガラリと変わっている。

「うちらでも無理じゃない?しかもさ、ローファーも同じので揃えててやんの。まじでうざくね?」
「だよね?マジでやばくない?」

女子生徒4人は後ろから女子生徒を見て指さしている。すぐそばにいる相手の悪口をわざと聞こえるように言うのは、女子の特性である。後ろから追い越すときに顔を見た生徒たちは、彼女の顔に対して

「垢抜けない。」
「芋臭い。」

と言って去っていった。

「ねー、丸井。部活終わったらカラオケいこー?」
「今日8時過ぎに終わるから無理だってー。」
「えー?最近、付き合い悪くない?」
「柳生もなんでこないわけ?」
「部活が…。」

最悪ー。と言いながら教室ではまともに授業を受ける気はなさそうだ。休み時間になるともっぱら女子トイレの鏡を占領している。

「あれ、絶対1年よな。」
「特進か普通科じゃね?一回シメとこ。」

リップを塗り直した仲間内の一人が鏡に向かって口角を上げた。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.47 )
日時: 2021/06/16 00:46
名前: ぺ (ID: bGiPag13)

「はーあ、週報と部誌まとめて持ってくのだりー。」
「部長候補頑張れよー。」
「お前らも部員なんだから!持ってけよな!」

結局、赤也が1人で2年生がいる3階へ、2年生約40名の部誌を運んでいる。赤也は渡り廊下を歩いて、さらに階段を登ったが真田のいるクラスが見当たらない。

「…迷った?」

赤也がとりあえず2年生のクラスを手当り次第見ている。派手な身なりの女子生徒たちが赤也とすれ違った。狼狽えた赤也は身を縮こませて、廊下の端に寄った。しかし女子生徒の一人の携帯のストラップが赤也が抱えているノートに引っかかった。

「あああああ!」

またたく間に赤也が積み上げていたノートが床に散らばった。姉がいる赤也にとって、年上の女性は恐怖の対象である。

「す、すんません!」

赤也が必死にノートをかき集めている。

「え、1年?」
「かわいいー!」

女子たちがノートを拾う気配はないが、赤也がウケているようだ。軽く赤也の髪の毛を引っ張っている。

「1年ならさ、葉山仁奈って子わかる?」

一人が赤也の目線に合うようにしゃがんだ。

「し、知ってますけど…パンツ見えてます!!ごめんなさい!」

赤也はすぐ背を向けて、ノートを積み上げている。女子たちは腹を抱えて笑っている。

「え?同じクラスか何かなの?」
「同じクラスですけど…なんでですか?」
「その子ってさ、部活とか入ってる?」
「いや、無所属です。」
「そっか。ありがと!」

赤也は無言で会釈をして、立ち上がった。また4人のうちの別の一人が口を開いた。

「うちらのこと、葉山仁奈に言ったらあんたのことセクハラだってバラすから。」
「よろしくね!」

そう吐き捨てて去っていった。赤也はなんだか分からず、頭にクエスチョンマークを浮かべつつも、しゃがんだときに見えた黒いパンツが頭から離れないでいた。しかし真田のいる教室を探し出す前に、6限の始まるチャイムがなってしまった。それに気がついて半泣きで教室に戻る赤也であった。

「今日の放課後、もういっちゃう?」
「教室から呼び出そうと思ったけど、あのワカメにクラス聞くの忘れた。」
「校門で待ってれば良くない?」
「賛成ー!」

6限に出る気はなさそうである。放課後に合わせ、4人は校門で仁奈を待った。


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