二次創作小説(紙ほか)
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- ハニカム(テニプリ夢)
- 日時: 2021/06/07 02:22
- 名前: ぺ (ID: EabzOxcq)
かわいいかわいい女の子
葉山仁奈…立海大附属高校1年。医者の家系に生まれたひとり娘。容姿端麗だが少し抜けている。
麻里…仁奈のクラスメイトで親友。一般家庭。
沙由香…仁奈の中学時代の親友。某出版社の令嬢。宍戸先輩の彼女。いまでも仁奈と親交あり。
未央…同じく中学時代の仁奈、沙由香の親友。某銀行頭取の孫。
- Re: ハニカム ( No.18 )
- 日時: 2021/05/10 04:11
- 名前: ぺ (ID: i8PH9kfP)
沙由香と帰路を共にした仁奈は家に着くと、携帯を開いた。とにかく麻里に謝らなければならないのだ。直接謝罪をするために電話をしようか、麻里の体調を考えてメールにしようか…迷いに迷っている。赤也に催促するかぁー。あ、待って。いいこと思いついた。仁奈は侑士に電話をかけた。
「もしもし?」
「なんや。」
「あのさ、今日の試合ビデオ撮ってる?」
「おかんが撮っとんちゃん?」
「それダビングしたいからほしいんだけど!」
「ええけど…今どこおんねん、」
「もう帰ってきたよ、沙由香と一緒に。」
「そか、俺らは今から帰るからビデオカメラ持ってくわ。」
「わかった!おつかれさま!後でね!」
仁奈はガッツポーズをした。これでなんとか仁王先輩が写ってるところを渡せば、とりあえず麻里は満足してくれるかもしれない。
「仁奈から?」
「せや。後で今日の試合録画したやつ持ってこいやって。」
「ゆーーし!それ誘われてるぜ?」
「アホか。仁奈はな、俺のこと保護者やと思っとんねん。」
「お前はちげーみたいだなっ!」
向日岳人は思い切り笑顔で侑士の背中を叩いた。効果は抜群である。正直、今日は惨めな姿をさらしたも同然だ。柳に勝てなかったのだ。ダブルスはいい試合をしたと思う。それでも競って負けたのだ。勝率は1割5分。レギュラーを外されるとまではいかないが、決して良い結果ではない。
「お前ら…今日みたいな試合したらもう公式戦出さないからな。」
「…わりぃ。」
「跡部ぇ、ごめんよ。」
いつもすぐ跡部に噛み付く宍戸も今日は落ち込んでいる。跡部だけ黒星はなかったので、こうして仲間にキレているのだ。
「慈郎はよくやった。あと長太郎も。ただし、忍足。お前は論外だな。」
「…わかっとるわ。」
「ダブルスやってんのにカッコつけて、ペアのことを考えない自己中な球出しは止めろ。好き勝手打ち返しやがって。」
「岳人のこと考えてないってことやんな、それ。」
「そうだ。」
「考えてないわけ無いやろ。」
「ずっと調子が悪いって逃げてたみてぇだけど、シングルスやってんじゃねぇんだよ。」
「どういうことやねん。はっきり言わなわからんやろがい。」
長太郎は侑士のゴリゴリの関西弁にびっくりしているが、日吉は平然と跡部と侑士の睨み合いを見ている。今日は岳人の怪我からの復帰戦だったのだ。左足首の捻挫が治ったのでサポーターをつけながら動いていた。さらに相手が立海だったこともあり、侑士は正直手一杯だった。煩雑、適当、ラリーをつなぐことこれで今日は一日終わったのだ。しかし突然、跡部から自責点を指摘されたので侑士には腹がたった。
「余裕がなさそうだな。」
「…言わなくてもわかってんねん、こっちは。帰るわ。」
侑士は一人背を向けて、立海大附属を後にした。
「あぁっ!忍足せんぱーい!僕おっかけます!ほら、若行くよ?」
お先します、と長太郎は頭を下げた。同時に日吉の頭もぐいっと下げて、日吉は長太郎に引っ張られていった。
「まぁお前の言いたいこともわかるけどよ、言い過ぎだぞ。」
岳人は跡部に行った。
「あいつはあれぐらい言わないと燃えないんだよ。」
跡部もため息をついた。
- Re: ハニカム ( No.19 )
- 日時: 2021/05/10 04:47
- 名前: ぺ (ID: 2kdnCy6W)
「え?どうしたん…?」
「忍足先輩が心配で一緒に帰ろうかと…ね!若?」
「俺は別にだれとも帰りたくないです。」
「宍戸はええんか?」
「はい!宍戸さんは僕がいなくてもたぶん大丈夫です。」
跡部、樺地、慈郎、岳人と宍戸は跡部家の車で帰ったそうだが、忍足は電車に乗った。その前に駅のホームに長太郎と若が現れたのだ。
「珍しいですね。忍足さんむくれるとか。」
「なんでやねん、俺。」
「あ!仁奈ちゃんが見に来てたからじゃないですか?」
「女とかださいっすね。」
「ちゃうわ。若さっきから失礼すぎるやろ。」
「さっき電話してたじゃないですか!」
恋バナだいすき長太郎は目を輝かせている。
「仁奈ちゃん絶対立海でモテモテですよ。早くゲットしなきゃ!」
「あいつ野球部と付き合ってそうですよね。偏見ですけど。」
樺地も含め、仁奈の元同級生たちは侑士から(無意識の)警護を任されていたので、仁奈には氷帝に通っていた頃は彼氏ができたことがなかった。
「忍足さんが、仁奈ちゃんが他の部活の奴らとつるませないようにっていつも僕らとグループ組ませてましたもんね!」
「してないわ!」
「修学旅行の男女グループのとき、そうだったでしょ。あと体育祭。騎馬戦NGとか借り物競争のときにスタンバってろとか。」
「ちゃうねん。俺はな、仁奈の親父さんと、俺のおかんとおとんから、仁奈のことをよろしく頼まれてんねん。」
「ヤダー!言い訳するんですね!」
長太郎の「ヤダー!」がツボにハマった若はひっそりと笑っている。一方で侑士はこの下りを幾度となく説明しているため、眉をひそめた。仁奈はひとりっ子+遠方に祖父母がいるため、小さい頃はお手伝いさんとお留守番or家族ぐるみの付き合いの侑士と遊ぶしかなかったのだ。それは中学生になっても状況が変わらないのだ。
「仁奈ちゃんは立海のテニス部と仲いいんですかね?」
「切原とよくつるんでるって言ってました。」
氷帝学園テニス部にとって切原赤也は要注意人物である。ラフプレー、態度などすべてが警戒の対象である。侑士は全身の皮膚が一気に逆立つような、身震いを起こした。
「ほんまか…?」
「ええ、あと一人女ともだちとよく三人で遊んでるらしいっす。切原のこと赤ん坊みたいで可愛いって言ってましたよ。」
珍しく若、長太郎、樺地、赤也は仁奈に耐性がある。
「帰ったら聞くわ、今日ビデオ持ってくように頼まれてんやんか俺。」
「ビデオってなんで仁奈ちゃんが必要なんですか?」
「…わからんなぁ。」
「切原…」
長太郎が若の首を絞めにかかった。若は苦しそうにしている。
「それは絶対だめ!」
「たしかに、切原が写ってるはずや。まぁ、確認せなあかんなそれは。」
「…切原の動画見てどうするんすか?」
「忍足さん!そんな残酷なこと考えたらだめです!」
長太郎は再び若の首を絞めた。
「よし、とりあえず仁奈に聞くわ。あ、ついてきてくれへん?」
「シンプルにビビってますね。」
「もちろんです!」
三人は電車の乗り換えのため、車両を降りた。
- Re: ハニカム ( No.20 )
- 日時: 2021/05/13 23:58
- 名前: ぺ (ID: 13XN7dsw)
インターホンがなったので、モニターを見ると男三人が写っている。
「え?…嘘でしょ?」
仁奈は何故若と長太郎が写ってるのかわからず、
「なんでちょたとひよしいるの?」
「はよあけい。」
「ええ…部屋汚いし、ビデオ受け取るだけだと思ってたんだけど。」
「そのつもりだから早く開けてくれへん。」
「はぁ、わかったよ。」
仁奈はエントランスのドアを開けた。バレエのバーとシューズをそのままにして、ぼさぼさの髪の毛をポニーテールに直した。玄関のチャイムが鳴ったので、ドアを開けると三人が立っている。
「おひさ!」
「おひさー!」
仁奈と長太郎は笑顔でハイタッチをしている。日吉は二人を怪訝そうに見ているが、侑士は若干晴れない顔をしている。
「ほい、これ。」
「ありがとう!助かる!」
長太郎もそれを察してか黙ったようだ。
「切原、いっぱい写ってんで。」
「ん?赤也?」
そういえば、侑士には仁王先輩と麻里のことを話していなかった。仁奈は侑士がいきなり赤也の名前を出したのでびっくりしている。
「なんで赤也が出てくるの?」
「知らんけど。」
「さっきから…近所迷惑じゃないんスか?こんなクソデカマンションで。」
「あ、ごめん。」
「…よし、上がらせてもらうわ。」
仁奈は慌てて玄関のドアを閉めようとしたが、いとも簡単に侑士にこじ開けられてしまった。
「おじゃましまーーす!」
ちょたがすでに靴を脱いでいたので、仁奈は諦めてしまった。侑士も我が家のごとく上がり込んでいる。玄関先でいそいそと靴を脱いでいる若の背中に、仁奈は話しかけた。
「ちょっと、あなたが侑士とちょた止めなくてどうするのよ。」
「止めるもクソもないっつの。あ、そういや俺、女子の家来るの初めてだわ。」
「初めては大切にしたほうがいいよ?」
「ノーカンにすればいい。」
仁奈は後ろから気づかれない程度に日吉の尻を軽く蹴る仕草をした。
「あれ?仁奈バレエしてたん?」
仁奈はバーとシューズ、ルーズソックスが床に置かれたままのことを思い出して、急いで閉まった。
「ちょっとだけね。あ、自由に座っていいよ。」
「マンションなのに、部屋に螺旋階段がある!」
「鳳ん家もだいぶデカイと思うんやけど。」
「まぁ規模はアレですが、うち両親がリフォームしたがらないんでずっと古いのまんまなんです。」
「ちょたのお家でまた女子会したいなぁー。」
「久しぶりに集まろうよ。あ、来るよね?」
「行かない。」
中学生時代、沙由香と仁奈と複数名の女子生徒と長太郎でよくお茶会をしていた。若は誘ったのに一度も来たことがなかった。仁奈は家政婦が作ってくれたチーズケーキを冷蔵庫から取り出した。丁寧に切り方までメモしてある。
「みんなよるご飯食べた?」
「さっき家で食べてきたで。仁奈は?」
「私は食べてないけど、チーズケーキでお腹いっぱいにしちゃおうかな。」
かわいい…と侑士から声が漏れていた。
「みんな何飲む?」
何あるー?と長太郎はキッチンにいる仁奈のところへ行き、一緒に用意をしている。女子の集まりである。
「つか、葉山ってそんな忍足さんと家行き来してるんですか?」
「オカンがな、めっちゃ仁奈のこと可愛がってんやんか。それで週4で家に飯食いにくる。俺がおらんくてもおんねん。」
「葉山の部屋には?」
「ゲームとか課題とかしょーもないことで呼び出されるし、俺が理由つけて行ってる。」
へぇ。若は相槌を打った。客観的に見るとなんだかここまでの距離感なら余程のことがない限り、仁奈は侑士のことを異性として意識しないような気もした。異性が二人でいれば付き合ってなくても肉体関係にあるはずだが、侑士は決して手出しをしない。その理由は仁奈の侑士に対する思いとは全く別である。
「チーズケーキ切りましたー。」
「食べよ、食べよー。」
人数分のフォークと皿、ジュース、菓子などを机に運んだ長太郎と仁奈は、侑士と若が座るソファーに腰掛けた。
「あ、ビデオ見ていーい?」
仁奈は侑士が持っきてきてくれたビデオカメラを、テレビにケーブルと繋いだ。
「あかんて、今日の試合のは…」
侑士は頭を抱えた。大スクリーンで恥さらしの状態、最悪である。一方で仁奈は仁王先輩を探し求めてひたすら映像を見続けていた。もちろん侑士の母親が撮っているので、侑士がメインで写っている。
「いきなりテニスの試合のビデオだなんて、どうしたの?」
長太郎がチーズケーキを頬張りながら仁奈に聞いている。
「あのね、同級生に仁王先輩のファンがいてビデオ撮るように頼まれてたんだけど、バッテリー切れちゃって。だから侑士のママのビデオカメラ借りようと思って。」
「あぁ、そういうことか!良かったですね、忍足さん!」
長太郎がにこやかに慰めると、侑士は項垂れていた姿勢をすくっと元に戻した。
「気が済むまで見いや。」
「ありがとう!」
仁奈はそれから仁王先輩を目で追っている。赤也がとても邪魔なので、それに大笑いしてしまっている。氷帝一行はほぼ負け試合だったので、面白くも何ともない。
「あ、こいつめっちゃ上手いよ。」
若が指を指したのは、蓮二だった。
「そうなんだ。」
あれ?柳と知り合いちゃうんか?と侑士は言いかけた。また嫌なことを思い出してしまった。あの涼しい顔ばかりの蓮二がガッツポーズなんかするんだ。汗を流すんだ。仁奈は不思議に思えてならなかった。侑士は隣でその仁奈の顔を見つめたが、仁奈の視線は蓮二に集中していた。
「あ、俺帰ります。」
若がラケットバッグを背負ってソファーから立ちあがった。仁奈は若が突然声を上げたので、はっとして
「もう21時だもんね。」
と言った。長太郎もそそくさと立ち上がり、侑士も二人に合わせて帰ろうとした。
「忍足さんも帰るんですか?」
「勉強せな。」
「さすが医学部志望は違うねー。」
あんたもそのはずやで、と言いかけて侑士はやめた。長太郎と若は侑士のためを思ったのだが、効果はなかった。
「ダビングの仕方わからんかったら言ってや。またな。」
「うん、ありがとうね。」
「仁奈ちゃん、またね!さゆちゃん(沙由香)とかなみんも呼んでお茶会こんど。」
侑士は仁奈に手を振ったあと、そそくさと出ていってしまった。長太郎も忍足についていく形で玄関を出た。若が靴を履きながら
「葉山。一応俺ら男なんだから、今日みたいな薄い格好するなよ。」
「あ…ごめん。気をつけるね。」
「葉山こそ、気をつけろよ。」
若はすぐに出ていった。あの一件依頼、仁奈は長袖と長ズボンで外出している。制服のスカートは膝丈のままで中には半ズボンを履いていた。それでも今の日吉の言葉を聞いて、仁奈はなんだか自分自身にいいようのない気持ち悪さを覚えていた。自分が好きだったり楽さを求める格好でいることがいけなかったのか。それに気づかないで懲りずに短い丈の服なんか着てるなんて。ため息を吐いて、誰もいないダイニングテーブルに突っ伏した。
- Re: ハニカム ( No.21 )
- 日時: 2021/05/14 00:29
- 名前: ぺ (ID: T3oqfZAk)
「蓮二、警察からお電話よ。」
母親が俺をリビングに呼んだ。蓮二は子機を受け取ると、どうやらあの一件の話だった。
「…ぜひともうちの署の方で、表彰したいんですが。どうでしょう?」
「被害者生徒のこともありますし、辞退してよろしいですか?」
「もちろん、我々は事件の詳細を…」
「行ったらいいじゃないの!」
蓮二の母親が横で声を上げた。警察は「駅で変質者を取り押さえた」とだけ発表するらしいが、実際、高校では変質者と仁奈のやり取りを目撃している輩がいる。学校の規模が大きいので、広がらずにはいるが蒸し返すようなことになるのだ。
「ぜひともお願いします。うちの子、恥ずかしがりやなので…。」
母親が蓮二から受話器を取り上げて、表彰状の受け取りについて話を勧めている。蓮二は諦めて、二階の自分の部屋へ上がった。
「同じ女なのに痴漢にあった女の子の気持ちもわかろうとしないのねぇ。嫌だねぇ。」
祖母が蓮二の部屋に夜食を渡しに来た。緑茶と餡ドーナッツである。蓮二はただ頷くしかなかった。
「ちょっと…蓮二の勉強の邪魔しないでくれます?」
「ごめんなさいねぇ。」
母親の剣幕に呆れたように祖母はすぐに居間に戻ってしまった。
「よかったわね、就職にも入試にも有意につくわ。女の子に感謝しなきゃね。」
「学校の輩はそのことを忘れかけているのにぶり返すようなことをする必要はないだろ。」
「…お祖母さんに言われたの?」
またこうなる。母親の顔を見るのが嫌だったので、ひたすら参考書に目を通していた。
「まぁ、いいわ。あんたがそういうならそうしなさい。そういうところ、ほんとにお姉ちゃんと似てるわよ。」
「俺を姉さんの二の舞いにしたいのか?なってもいいが。」
蓮二は後ろで母親が何やら小言を言っていたが、耳に入れないことにしているのでノーダメージだった。とにかくメディアに仁奈が痴漢されたことが漏れなければいいのだ。
今日、試合中に仁奈と目があったのがわかった。応援してるわけでもなく、ただ遠くから見つめ合っただけだった。それが忘れられない蓮二は、自分にどうしたものかと思っていた。
- Re: ハニカム ( No.22 )
- 日時: 2021/05/14 00:42
- 名前: ぺ (ID: TWcGdVfz)
いつの間にか仁奈は眠っていて、起きると朝方だった。
「あれ…ママ?」
「あら、おはよう。」
「かえってきたの?」
「時間できたからご飯食べに来ただけ。」
最近は非番でも家を開けることが増えている。父親はそんな母親を見てみぬふりをしていることは、仁奈もわかっている。
「お昼まで寝るから、起こさないでね。」
「うん、おやすみ。」
母親は自分の寝室に入っていった。仁奈はシャワーを浴びることにした。浴室の鏡を見ると、自分は全く母親に顔立ちが似ていないと思う。母親は見るからに利発そうで、薄くキリッとした目元と黒髪なのに、仁奈はもともと栗色の髪と大きな瞳である。母親は170cm、父親も180cmを超えるのに、仁奈は160cmギリギリである。どうして背が伸びないのか、祖父母も高身長なのに。そんなことを考えながら、仁奈は風呂から上がってすぐ眠りにつこうと自室のベッドに入った。
自分と違って、侑士の家族は仲が良さそうである。どんなに多忙でも三賀日は毎年家族で海外で過ごすと決めているし、仁奈のこともよく可愛がってくれる。麻里も赤也も、みんなよく兄弟の話をしている。仁奈は外で家族の話をしたことがあるだろうか。ぐるぐるぐるぐると頭の中でいろいろなことが回っている。窓の外はもう明るくなっている。
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