BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- だから私は君に恋はしない。
- 日時: 2017/02/05 23:50
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.39 )
- 日時: 2016/12/13 21:59
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
心臓が高速で脈打って痛いくらいに体を巡る。
緊張してるわけじゃないし、息が切れているわけでもない。
それなのに、なんでこんなに息苦しくて気持ち悪い気持ちになるんだろう。
私には、分からない感情が多すぎる。小冬に出逢ってから、何度もこの感情に支配されそうになってきているけど、それが何なのか分からない。
もう逃げ出したい。吐き出してしまいたい。
「…はつめちゃん?」
至近距離で響く小冬の声に、私の中の余裕が無くなっていく。
このままじゃ、支配される。
「小冬、なんか…変になる。小冬とこうしてたり、手を繋いだり、とにかく君といるとおかしくなる。もうやだ…助けて。」
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.40 )
- 日時: 2016/12/14 16:08
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「ぎゅってしたら治りますか?」
顔が近いまま、手を握られる。小冬は私の正面で寝ていたわけだから、ちょうど机を挟んで顔を近くにして手を握られている状態。
こんなのおかしい。
顔が近すぎて小冬の吐息を肌に感じる。
手を握られて、胸の高鳴りは収まるどころかさらに速度を上げていく。
顔が熱くなるのがわかる。
いい加減分かりたい。この気持ちは何?
「治んない。ねぇ、小冬っ…。」
「…ずるいです。」
聞き取れないくらい小さな声で小冬がつぶやく。
「えっ?」
聞き返した刹那。
ぱちんっ
「ったぁ…。」
両方の頬を小冬の握っていたはずの両手で叩かれた。
同時に、近かった2つの距離も離れていく。
出逢った日から知っていたけど、ほんとに力だけは強い。
「はつめちゃんが…ぼんやりしてるから悪いんです。」
意味わかんない。
じと目になっているであろう目で両頬を抑えるポーズを決めて見つめる。
「は、はつめちゃんそのポーズ可愛いですっ!」
ドンと机に手をついて前のめりになって、逆に見つめられる。
さっと顔を90度左に曲げて顔をそらす。
「…ごめんなさいは?てか、私はぼんやりしてないし。小冬、力強いし。」
「…ごめんなさい。痛かったですか?…力の加減できなくって。」
ゆっくり顔を90度右に曲げて、顔を小冬に合わせる。
寂しそうな、何かを壊してしまったかのような目をした小冬が続ける。
「でも、はつめちゃんはぼんやりしすぎです!あんな近い距離で、そんな…名前なんて呼ばれて求められたら…何かしたくなっちゃいます。」
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.41 )
- 日時: 2016/12/15 14:35
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「何かって?」
「何かは…何かです。」
何かを隠すみたいに両耳を押さえて半ば睨まれるに近い視線を送られる。
その視線を受け止める。
3分ほど、見つめ合いという名の沈黙戦が続く。
先に口を開いたのは、小冬の方。
「今日の、話をしませんか?」
穏やかな微笑みで陽だまりの落とし子のような眼差しに、嫌よ好きよを考えもせずに縦に頷いてしまった。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.42 )
- 日時: 2016/12/15 23:56
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「はつめちゃんの、今日の話を聞きたいです。」
「私も今日の話、したい。けど…本を読む時間、なくなんない?」
ふるふると首を振って、小冬の横で結ばれた髪が揺れる。
「いいじゃないですか。本を読むことだけが全てじゃないです。こうやって、はつめちゃんとたくさん話して、笑って、感情を共有していけたら…それに越したことなんて無いと思うんです。」
小冬が可愛い顔でそう言うから。
それが答えになる。
その答えが間違っていたとしても、私たち二人の生き方が間違っていたとしても小冬がそんなに可愛い顔をして言えば、それは正解になる。
世界に取り残された二人の、ちっぽけな世界になっていく。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.43 )
- 日時: 2016/12/16 17:04
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「今日は、」
起きてから、今になるまでのことを大雑把に丁寧に話した。
私が話した後、小冬の今日のことも聞いた。
私たちは今日を共有している。
それは、未来と人生を共有して生きている私たちに必要な存在の確かめ合いにも近い行為。
「私ははつめちゃんの今日の中にいますか?」
「いる、どころじゃ収まりきらないくらいに私の今日を独占してる。」
少し驚いた幸せな顔をする。
「私の今日も、はつめちゃんに独占されちゃってます。」
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