BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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だから私は君に恋はしない。
日時: 2017/02/05 23:50
名前: コハク (ID: nCjVBvXr)


恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。

゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*

この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。

初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。


Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.29 )
日時: 2016/12/08 14:22
名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)

「奈崎さん、だよね。」
私が何を言おうか悩んでいる合間に、その男が話し出した。
「お願いがあるんだけど、ちょっといい?」
人に頼みごとをする際に、絶対に忘れてはならないことがある。1つは、敬意を払うこと。そしてもう1つは、相手を選びその相手の顔色をうかがうこと。
どちらもできていない、その不審者男の願いは私によって聞き入れられない。
無論、無視を続ける。
「山城 花湖さんのことなんだけど。」
やまき かこ。脳内で再生されるその名前は、花湖ちゃんのフルネームだ。
なに、この不審者男と花湖ちゃんが関わっているってこと?
「昼休みに食堂の自販前で相談させて欲しい。ありがとう!」
そう言って不審者男は周りから向けられた視線になど全く気付くことなく、爽やかに去っていく。
いや、私はなにも言ってない。相談に乗るなんて一言も。
…なんて面倒くさい。
でも花湖ちゃんが関わっている以上、放置したらいけないのか?
とりあえず…花湖ちゃんには黙っておくべきかな。むやみに不審者男のことを言って花湖ちゃんまで不審者みたく暴れたら、それこそ面倒くささの極みだし。

Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.30 )
日時: 2016/12/08 18:00
名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)

あー…あと20分で昼休みか。面倒くさいな…。授業もつまんないし。
癒されたい。
白くまとか、マシュマロとか、小冬を見て癒されたい。
って、え…?今、小冬を見て癒されたいって思った!?
な、なわけないか。うん。だって、小冬で癒されるとか…。
間違い間違い。えっと…古墳を見て癒されたいの間違い。古墳と小冬って名前似てるし。
…無理がありすぎる。
あいにく私は、古墳を見て癒されるような幸せな脳は持ち合わせてない。
古墳で癒されるのと小冬で癒されるのだったら、後者の方が圧倒的に私の脳内の可能性としてはあり得るだろう。
あぁ、もういいや。
小冬を見て…小冬で癒されたい。
早く…疾く、小冬に会いたい。

Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.31 )
日時: 2016/12/10 10:59
名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)

小冬に会いたいなんて私の思い始めことごとく無視されて、昼休みを告げるチャイムが鳴る。
花湖ちゃんも部活の来年度予算案会議に参加するとか言ってたし…。
とりあえず自販機の前に行くだけ行くか。
花湖ちゃんに関わってることなら、穏便にかつ敏速に済ませてしまおう。
「あっ、奈崎さん。わざわざありがとう。」
言いながら不審者男は自販機でオレンジジュースを買い、渡してくる。
もちろん受け取らない。
「花湖ちゃんのことって何?」
貰われなかったオレンジジュースを近くの机に置いて話し出す。
「俺、山城 花湖さんの従兄弟で、でもちょっと色々あって山城 花湖さんはそのことを知らないっていうか…知られたらいけないっていうか…って感じなんだけど、でも俺、山城 花湖さんと話してみたくて…従兄弟ってわかって欲しくて…!」
花湖ちゃんの従兄弟…?まぁ、顔のパーツは似てなくもないけど。従兄弟であることを隠すなんてなんか事情でもあるのか。
でもそこらへんは深入りしない。面倒なことになるのだけは避けたい。
「それで?」
不審者男は本気の目で続ける。
「これを山城 花湖さんに渡して欲しい。」
そう言って不審者男が制服のポケットから取り出したのは、一枚の手紙。桜色の随分女子力溢れる柄。
「分かった。」
とやかくツッコミを入れる気はない。
そう。穏便にかつ、敏速に。
「ありがとう、奈崎さん!あっ、俺、新道 未桜!本当にありがとう。」
不審者男がやけに深くお辞儀をするからどうすればいいのかわからなくなった。
そんな中、また爽やかに去っていく不審者男の背中を見た。
しんどう みお。女子みたいなその名前と、この手紙を放課後に花湖ちゃんに渡す。それだけ。
従兄弟だとか、それなのに苗字が違うだとか、花湖ちゃんと新道の事情には首を入れない。
元・不審者男の新道の目はやけに真剣だったから、彼は不審者男から隣のクラスの男子へと昇格した。
…疲れた。早く、くるみ図書館に行きたい。

Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.32 )
日時: 2016/12/10 14:06
名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)

「あー!はつどこ行ってたの?予算案会議にお弁当持ってくの忘れちゃって、抜けてきちゃったー。」
教室に戻ると花湖ちゃんがまた大きな声で話し出す。
本当に抜けてる…いろんな意味で。
「戻らなくていいの?」
私もお弁当を広げながら話す。
「いーの、いーの。どーせ来年も今年と変わんないって。よしっ、いっただっきまーす。」
「いただきます。」
両手を合わせて全てのものに感謝する。そして、こんな花湖ちゃんをレギュラーから外さないでくださいと願う。
「で、どこ行ってたの?」
唐揚げを頬張りながらよくそんなに綺麗に発音できるものだ。
「自販機。」
嘘じゃない。というか、嘘をつく必要なんてない。花湖ちゃん宛の手紙を貰ってきたとだけ言えばいい。
でも、それは今じゃない気がする。こんな騒がしい教室で渡したら、不審者男…じゃなかった…新道に少し悪い。
首を突っ込まないとはいえ、彼の真剣な眼差しが伝わるようにしなければ。
「えー?ジュースはー?」
「買ってない。」
「何それー。」
ぷくーっと頬を膨らませる、常に騒がしい彼女。
こんなとき、ついゾッとする。
もしも私の失った感情のことがばれたら?もしもこの瞬間に悟られてしまったら?
いつか、そんな妄想が現実になる日が来るのかもしれない。
嫌だ。
小冬に頼ってばかりじゃいけない。
もっと…もっとどうすればいい?そんなことも分からない。
どうして私は、
「はつ?はつ!?」
ハッとして顔を上げると花湖ちゃんが心配そうに、また多きい声を出していた。
「あっ、ごめん。」
いつの間にか握りしめていた手には汗が滲んでいた。
小冬といたときも、こんなことがあった。
1人で勝手にパニックになって、それで目の前にいる人を心配させて。
今だって、震える手を握ってくれる小冬の手をどこかで探してる。
「大丈夫?はつ…。」
「いや、ほんとごめん。大丈夫だから。」
自分の右手を、左手で握って答えた。

Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.33 )
日時: 2016/12/10 19:56
名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)

ー小冬sideー
ぼーんと重たい鐘の音がくるみ図書館に響いて、夕方を告げます。はつめちゃんが来るのは、いつもこの鐘がなってから1時間後くらいです。
「そんなに待てませんよぉ…。」
呟いたのと同時に、昼食のときに飲んだ薬が効いてきて眠くなってきました。
机に突っ伏して、ポケットから携帯を取り出します。画像フォルダから私と同じく暇を持て余しているであろう、愛猫ごまの写真を眺めます。マイペースな彼はよく寝るので寝顔が半数を占めています。
でも、ぼんやり思い直します。この子がいてくれたから、はつめちゃんにも出逢えたんですよね。拾って帰った日は死にそうに弱っていたごまも、日に日に元気になって今では3回回ってワンと吠える勢いでご飯を急かしてきます。寝る子は育ち、食べる子も育ちます。寝ては食べを繰り返す子は太ります。それなのに、ごまがスマートなのは不思議です。私がいない間にジムにでも行っているんでしょうか?
どこを見てもごまばかり…画像フォルダは真っ黒です。
「はつめちゃんの写真も撮っておくべきでした…。」
今度ごまと一緒に写真を撮らせてもらいましょう。そうしたら私の癒しと幸せ指数がグンと上がって、寿命もグンと伸びちゃうはずです。
「好きです…。」
意味なく呟いた言葉は、次第に色が付き形を縁取っていきます。
そして、そこにいるのははつめちゃんです。
この胸のドキドキが誰かにばれてしまわないように私だけの世界でとどまっているように魔法をかけて、瞼を閉じます。


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