BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- だから私は君に恋はしない。
- 日時: 2017/02/05 23:50
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.1 )
- 日時: 2017/01/15 21:32
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
{episode 0}
運命といえば運命で、偶然といえば偶然。
君と私の出逢いはそんなところだろう。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
「えー…はつ、また図書館行っちゃうの?もうちょっと見てってよー。 」
「時間だから。ごめん。」
「まだ私のスーパーシュート見せてないのにー。」
「明日の試合にとっておいて。応援してる。」
「あー、またそうゆうこと言って明日の試合だって来てくれないくせにぃー。…もぉ、本当に…はつはずるくて可愛いなぁ。明日、ちゃんと図書館で応援しててよね!」
「うん。頑張ってね。じゃあ。」
「図書館軽く寄ったら早く帰るんだよー?はつ可愛いんだから!ばいばいっ。」
ふぅ。バスケ部の花湖ちゃん。花の湖と書いて、かこと読む彼女は私の高校生活の中での唯一の友達だ。
明るくて活発で、多少騒がしい彼女が何故私なんかと友達になろうと思ったのかは不明だが、良い子だなと思う。
でも、いくら友達でも良い子でも、秘密を打ち明けるわけにはいかない。誰も知らない、私だけの私の、面白くもない現実味のない秘密。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.2 )
- 日時: 2016/11/03 16:32
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
人の気持ちが分からない、わけじゃない。ゆっくり時間をかけて考えれば、全てではなくても理解できる。
でもこれでは普通じゃないというか、劣っているらしい。母親いわく普通なら、人の気持ちは会話していたり顔を見ていたりすれば、察したり理解することができるという。
私は劣っている。
感情が欠けている。
優しい両親に育てられ、特に心に深い傷だって負っていない。友達は少ないけど、例を挙げるなら花湖ちゃんだって良い関係なのではないだろうか。
じゃあ何故?何故私には、気持ちや感情を理解する能力が備わっていないんだろう。考えても、考えきれない。答えは出ない。
まぁ、でも今に始まった事ではない。
ずっと昔から。感動したことなどないし、ましてや誰かを想って泣いたこともないし、もちろん自分のことで泣いたこともない。まとめてしまえば、物心がついてから泣いたことがない。
私は、感情が欠けていることに最近になって少し危機感を感じ始めた。だから感情を手に入れる方法を考えた。
そこで、本を読み感情について理解することを選択した。1つのジャンルについての本を、そのジャンルについて完璧に理解するまで何十冊と読む。
例えば、感動。感動と検索して引っかかった本や、いわゆる御涙頂戴といった本を、完璧に感動という気持ちが理解できるまで読み続ける。
これは、高校に入学して1ヶ月後…つまり、今年の五月から始めた。
今のところクリアした感情は1つ。悲しみ。
ちなみに言っておくが、私には全ての感情が備わっていないわけではない。例えば喜びや、楽しみといった比較的プラスよりな感情は持ち合わせている。泣いたことはなくとも、笑ったことなら幾度となくある。
悲しみについては、理解するのに3ヶ月間…76冊の本で完璧に理解した。今では悲しみマスターともいえるであろう。…たとえそれらの本で涙が出なかったとしても。大切なのは、理解すること。共感し、涙を流すことではない。
気持ちや感情を理解するため、放課後に図書館に通う。これが誰も知らない、私だけの私の、面白くもない現実味のない秘密。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.3 )
- 日時: 2017/01/15 21:33
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
{episode 1}
学校から図書館はそれほど遠くない。裏門から出て、道なりをまっすぐに行けばすぐに着く。くるみ図書館という名前で、なかなかキラキラというか可愛らしい名前だと思う。ちなみに私はくるみを好まない。味は嫌いじゃないけど、なんというか…食感かな、うん。
でもくるみ図書館は好きだ。
この図書館の一番の良いところは、利用者がほとんどいないところ。いや、正式にはたくさんいるのだろうが、私の行く時間帯には大抵誰もいない。
静かな雰囲気の中で一人本を読みふけり、さらには感情も手に入れられる。最高じゃないか。くるみ図書館万歳。
さて、今日もそんなことを考えている間に着いた。
いつも通り、扉の前にはくるみを頬張るリスが待ち構えている。木製ものらしく、自然の茶色が綺麗だ。
今日からは、悲しみに続いて…恋心を。調べたみたところ、女子高校生は恋心を持つ人が多いらしく、花湖ちゃんも以前から
「恋話しよー!」
とよく言っているため、理解しないと感情が欠けていることがバレる可能性がある。つまり、早急な恋への理解が必要だ。
適当にネットで引っかかった本を探し、手に取る。そして、毎度私の座る席に持って行き、読み始める。
ピラっと小さな音を立てて、本からメモサイズの紙が落ちる。それには、綺麗な字で
[1日だけ、私と出かけてくれる人を募集しています。]
と書かれている。
住所も電話番号も何も書かれていない。これでは多分誰とも出かけられない。
残念だけど、私にはどうしようもできないし関わると面倒そう…そんな想いを込めて、もともと差し込んであった本のページに入れなおす。
手紙にして本に挟むくらいだから、よっぽど何かあったんだろう。誰か勘がめちゃくちゃ効く人か、テレパシーを持った人に見つけてもらえるといいな。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19