BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- だから私は君に恋はしない。
- 日時: 2017/02/05 23:50
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.34 )
- 日時: 2016/12/12 00:51
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
ー白詰sideー
授業終了のチャイムが鳴って、部活に向かう花湖ちゃんが手を振って駆け寄ってくる。
「これ、新道って人から。」
放課後の雰囲気に混ぜて、手紙を渡す。
「新道?隣のクラスの?」
「そう。」
「えー、話したことないよー。果たし状かな?」
よくそんなかわいい便箋を見て、果たし状なんて発想に至れる。
「じゃあ、また明日。」
「うんっ、また明日ー!」
花湖ちゃんの活気に溢れた顔を見て、新道の真剣で少し息詰まったような顔を思い出す。
授業中、ぼんやり考えた。
私はガラにもなく、あの二人のことを応援しようと思う。
あの手紙とあの二人のことは、あの二人だけの物語だから。ソレを取り巻く家庭事情やら一人歩きする気持ちやら、全てが大切な思い出になるから。
だから、まだ何も知らない花湖ちゃんの顔も重たそうな新道の顔も、丸めて応援する。らしくもないけど。
小冬が言ってた。
『どんなことがあっても、いつか全てが愛おしくなる日がきます。だから、そのときまで一緒に笑っていましょう。」
小冬の指す、どんなことが何を示していたのかは分からない。
現実をもがく今かもしれないし、全てが終わった後の結末かもしれない。
けど、小冬が笑顔でそう言うから。そのときまで一緒に笑っていようと思った。
だから、二人に幸あれ。
笑顔を、生き方を教えてくれた君に、とびっきりの幸があらんことを。
今、切に。
君の指す、そのときが来ようとも心から祈り続ける。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.35 )
- 日時: 2017/01/15 21:46
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
{episode 6}
校門を出て、少し歩けばくるみ図書館。周りが自然いっぱいで森みたいになってる一本道を行けば、いつもの木製のリスが出迎えてくる。
扉を2つ開けて、目が合った秘書の人に軽く頭を下げて特等席へと向かう。
そこには静かな寝息を立てる少女。
まるで、眠り姫。
でも私は王子なんかじゃないから。
眠り姫の正面の席に座って、昨日読むようにと指定された本を開く。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.36 )
- 日時: 2016/12/12 19:50
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
机に平べったくなって眠る姫の寝顔に癒しを求めたわけじゃない。ただ、不可抗力として、その寝顔が目に入って一般的な感想として癒されると感じただけ。
無防備に乱れた前髪と柔らかそうな髪に、白い肌、閉じた目の幼さ、開いているのか閉じているのか分からないくらいに閉じられた唇。
何度も言うようだけど、私は王子なんかじゃないから。
だから、もちろん唇にキスを落として目覚めさせる事なんてできない。
眠り姫の王子は茨の道を進み、獣を倒した勇者のような人のはずだから。
私がソレになれるとは思わないし、なろうとも思わない。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.37 )
- 日時: 2016/12/13 16:21
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
そっと、眠り姫の頭を撫でてみる。カーテンの隙間から差し込む日差しを、手の甲に浴びる。
「ん…はつめちゃん…。」
まずい。起こすつもりなんて全くなかったのに、これじゃあ私が来たから起きろと言っているようなものだ。
「んにゃ…。」
起きない。あれはただの寝言?寝言で私の名前を?
…小冬が?
「小冬。」
ぺしっと小冬の頭を叩く。
小冬が寝言で私の名前を…と考えると如何にもこうにも胸がきゅうってなって収まらない。
どうしようもなくなって小冬を起こすことにした。
「小冬。」
もう一度、小冬の頭をぺしっと叩く。
起きない。もう一度…。
「姫…。」
自分にも聞こえないくらい小さな声でつぶやいてみた。
「ん…?って、あれ?はつめちゃんじゃないですかぁ…。」
ほわほわと小さなあくびをして、くしくしと目をこすってぼやけ顏でつぶやく眠り姫、改め小冬。
なんでこのタイミングで…私が姫と言った瞬間に起きてしまうんだろう。
恥ずかしくてたまらない。
「おはよ、寝ぼけ姫。」
姫と言って恥ずかしかったのなら、その言葉を恥ずかしくない単語にすり替えてしまえばいい。
眠り姫、で恥ずかしいのなら寝ぼけ姫みたいなロマンもかけらもないような言葉にして伝えてしまえばいい。
「寝ぼけてないれすよぉ…。あれ?今はつめちゃん姫って言いましら…?」
ろれつの回らない声で続ける寝ぼけ姫。
「言いましたよね!?はつめちゃん!今姫って…。」
「言った…けど寝ぼけ姫だから!姫じゃない。」
「いえいえ、寝ぼけていてもなんでも姫は姫ですよ!」
小冬のくりくりきらきらした目で見つめられると、何も言い返せない。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.38 )
- 日時: 2016/12/13 19:56
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「参りましたか?」
えっへんと、小冬がそこそこある胸を張る。
「…参りました。」
もう何回負けたことか。小冬のあの目には絶対に勝てない。
「じゃあ、はつめちゃんに姫って呼ばれてみたいです。」
「やだ。」
「呼ばれてみたいです。」
「やだ。」
「姫って。」
「やだ。」
「むぅ…。」
「やだ。」
無言の目線同士での戦いが始まる。
そんな面と向かって姫と言うなんて、恥ずかしすぎて頭と胸が爆発するに決まってる。
「もぉ、はつめちゃんったら頑固ですね…。」
「それは小冬が」
「王子様。」
私の言葉を遮って、小冬が言い放った。
「私の王子様は、はつめちゃんですよ?」
「なっ。」
なっ、なぁ…!?
「照れ隠しですか?下向かないでくださいよー。」
違う、と言おうとして勢いよく顔を上げる。
「あっ…。」
「わ…。」
2つの声にならない声が重なって、二人だけの世界にいることに今更気づく。
すごく近く、あと5センチで鼻と鼻が触れるくらいの近さに小冬がいる。
「ひ、め…。」
意識的じゃなく、体の機能として唇が勝手に姫と動いた。
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