BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- だから私は君に恋はしない。
- 日時: 2017/02/05 23:50
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.24 )
- 日時: 2016/12/05 01:31
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
はつめちゃんを見つけたんです。
はつめちゃんを見つけてからの日々は、確実に私にとって幸せだと思えるものでした。キラキラした花と、そこから差す眩くて煌びやかで繊細な光。一瞬で心を持って行かれたんです。
そして、今。
私は本当にはつめちゃんに出逢えてよかった。強く、強く喜びをを噛み締めて、この現実を抱きしめて生きています。
「小冬ちゃん?小冬ちゃん、小冬ちゃん!」
「わっ、はっ、はい。何ですか?」
くるみ図書館の秘書?というか毎日ここで本の管理をしている栞さん。私の余命が分かってから…だから10年くらい前からの知り合い。くるみ図書館の中で、この人だけが私の身体について知ってる。10年前に、小学校に行かないでくるみ図書館へ通う私を栞さんが心配して、私に親への手紙を持たせたのが始まり。だから余命のこととかも知ってるはずなんだけど、知る前と変わらず接してくれる優しいお姉さん。
「ニヤニヤしちゃってー、好きな人?お姉さん、恋バナ聞きたいなぁー。」
「なっ、内緒ですー。それで、どうかしたんですか?」
「あっ、そうだった。お昼、今日ホットモットセールかなんかで安かったからさ。特別に。」
テーブルに唐揚げ弁当が二つ置かれる。
「いいんですか?」
「いいんです!たまには、ね。」
「ありがとうございます!じゃあお言葉に甘えて…いただきます。」
「お姉さんも一緒にいい?」
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.25 )
- 日時: 2016/12/06 19:30
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「はい!」
いつも一人での昼食だったので慣れてしまっていましたが、はつめちゃんと一緒にいるようになってから、少し物寂しさを覚えるときがあったので栞さんと昼食を取れるのはとても嬉しいです。
きっと、そのことに栞さんも気がついていたのだと思います。
大人の気遣いのできるお姉さん、それが栞さんです。
「もぉ、小冬ちゃんが話してくれないならお姉さんが話しちゃうよー?」
「栞さんの恋バナ聞きたいです。」
「そんな美しいものじゃないよ?もー、そろそろ結婚考えろって親もうるさいしね…。」
栞さんは今年で26歳。でもすっごく童顔なので私から見ると20歳とかそれ未満くらいに見えます。
低い位置で2つ結び、それに緑のカーディガンをいつも着ている、綺麗な本の似合う女性です。
「好きな方はいないんですか?」
「んー…。んんん…。」
「どんな方なんですか?」
「いや、好きっていうよりいつの間にか見ちゃってるみたいな…そのくらいの幼い気持ちなんだけど…えへへっ。」
そう言って照れ笑いをする栞さんは、紛れもなく恋をしている女性でした。
「くるみ図書館の方ですか?」
あれ、でもくるみ図書館に男性の秘書はいないし働き手の方もいない…。
もう何年も一日中いれば分かってしまうこと。
「今、おかしいなぁって思ってるでしょ。男の人、ここいないもんね。」
首を縦にふる。
「実はね、お客様なの。」
栞さんは声をひそめる。。
くるみ図書館のこの時間帯…というかほぼいつでも、栞さんが一人で働いているので声をひそめる必要はない気がするけれど。今は私たち以外にお客さんもいないみたいですし。
また声を潜めて続ける。
「ほら、小冬ちゃんたち8時前には必ず帰るじゃない?その後に毎日来るお客様で、閉館の10時ぴったりまで本を読んでる人がいるの。そんな遅くまでいてくれる方ってその人だけで、それで気になっちゃったんだけどね。私、夜一人でくるみ図書館にいるのってちょっと怖くて。その人がいてくれるだけで心強いなぁって。」
小冬ちゃん、じゃなくって、小冬ちゃんたち。嬉しすぎる言葉です。
…おっと、今は栞さんの恋バナの件でしたね。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.26 )
- 日時: 2016/12/06 19:43
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「やっぱり…お客様にこんな気持ちって…ダメだよねぇ。」
しゅんと小さくなる栞さん。
「とても…とても素敵だと思います。」
「でも、まだまともに話したことも無いんだよねぇ。あっ、気になる年齢はなんと私と同い年!カード確認のときに見ちゃった。えへっ。それでね、毎日緑色のマフラーをこうやって、こんな感じで後ろでクシャってまとめてて…もちろん顔もイケメンでねっ?それでー…」
うんうん。
好きな人について、たくさん語れるって本当に幸せなことです。
いつの間にか残り1つになっていた唐揚げを口に頬張って、延々と続く栞さんの恋事情を聞く昼下がり。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.27 )
- 日時: 2016/12/07 16:05
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
はつめちゃんまだかな…。
時刻は3時をまわったところ。栞さんも、もう時間だからと言って仕事に戻ってしまったし本も今日は5冊読んでお腹いっぱいです。
はつめちゃんと会うまではこんなの普通だったのに、どうやって過ごしていたのか忘れてしまったみたいです。
速く、疾く…今だけ時間が進んで、はつめちゃんといるときだけ周りの時間が止まってしまえばいいのに。
高校で、今はつめちゃんは誰とどうしてるんでしょうか…。
会いたいです。
こんなとき、ふと思います。
私は、はつめちゃんとどうなりたいんでしょうか。はつめちゃんをどうしたいんでしょうか。
…はつめちゃんの何になりたいんでしょうか。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.28 )
- 日時: 2017/01/15 21:44
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
{episode 5}
ー白詰sideー
視線、というには言葉が軽すぎたみたい。実際には視線を感じるというよりも凝視されている。
それはもう、あからさまに。
花湖ちゃんと別れてから1人になって歩き始めた私の横を、顔を覗き込みながら歩く男。完璧に不審者だと言っても過言ではない。
その男…いや、正確には隣のクラスの男子は私が何も言わずに無視をしているのをいいことに周りの目など気にせずに隣を歩いている。
まぁ、この状況がカオスだとか気持ち悪いだとか、そういうことは一旦考えないようにしたとして。
こいつは誰なんだ?
おっと、考えないようにしたのに気持ち悪すぎてこいつ呼ばわりしてしまった。
改めて。
この男は誰なんだ?
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