BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- だから私は君に恋はしない。
- 日時: 2017/02/05 23:50
- 名前: コハク (ID: nCjVBvXr)
恋を拒絶する私と、恋をしたい、君。
君と私は巡り逢うべきではなかった。
これは君がよく言う、私の照れ隠しなんかでは無くて。
そうだな、理由がないと君にまた怒られそうだから言い直そう。
私は恋をしたくないし、君のその手の温もりだって受け止めきれるはずがないのだから、私と君は巡り逢うべきではなかった。
゜・*:.。.*.:*・゜.:*・゜*
この小説はGLです。
苦手な方はブラウザバックを推奨致します。
初めまして。コハクです。
少し前から書き溜めていたものを小説にしてみようと思います。最近は寒いのでこたつから抜け出せず、猫と一緒にこたつで作業をしています…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.59 )
- 日時: 2016/12/24 11:54
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「あ、そろそろ時間ですよね。」
先に目を逸らしたのは私。
先に口を開いたのは碧さん。
「あ、本当だ。もう10時ですね。閉めなくちゃ…。」
「栞さん、また明日。…あと、俺のこと碧さん、でいいですよ。」
緑色のマフラーを首に巻きながら、碧さんは優しい声で、そう言った。
え、待って。今なんて!?
「ふぇっ?」
変な声が漏れて碧さんの方を見ると、もう背中を向けて扉の向こうに足を向けていた。
…ここで可愛い天使スマイルで「また明日!碧さん。」なんて言えたら勝ち組に入れるんだろーな。
むりむり。
私はただ、扉の向こう側に消えていく、後ろ姿までイケメンな碧さんを見つめていることしかできない。
だって住む世界が違う…。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.60 )
- 日時: 2016/12/24 12:50
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「住む世界かぁ…。」
ちょうど6時になった時計をぽこんと指で弾いてみる。
「あいらぶゆー?あいにーゆー?」
握っていた鉛筆をぽろんと転がしてみる。
「いやいや…でぃすいずどんとらぶ…。」
碧さんは高嶺の花なんてどころじゃない。
もはや高嶺の花王子。
一般庶民の図書館司書なんかが花王子に恋なんてしていいはずないもの。
だからこれは、どんとらぶ。
英語の文法も発音もよく分かんないけど、とにかく恋じゃないと思うってこと。
そんな寂しいことを思っちゃったりするアラサーの私は夢見がち女子?
結局、小説は全く進まなかったけど、もうくるみ図書館に行く時間。
髪をぱぱっと2つに結んで。
緑色のカーディガンを羽織って。
こうやって私の、夢と現実を混ぜた夢見がちな1日が始まる。
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.61 )
- 日時: 2017/01/15 21:53
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
{episode 10}
ー小冬sideー
「恋人はサンタクロース♪本当はサンタクロース♪」
「うるさい。」
「らららららんらんらららーん♪」
「うるさい。」
「ふんふふふふふんふふふーん♪」
「うるさい」
「りゅりゅるりゅんりゅ」
「うるさい」
あれ、歌ってる途中だったのに止められちゃいました。
「小冬は私が真剣に読んでるの邪魔したいの?」
これは…じと目ってやつですね。
白詰ちゃんがよくする目です。
そんな目も、とってもキュートです!
「邪魔したいなんて思ってないですよー。ただ、あと二ヶ月と少しでメリークリスマスなんですよ?」
「あと二ヶ月と少しってまだまだじゃん。」
はつめちゃんは本から目を離さずに言い放ちます。
「そんなこと言わないでくださいよー。あと二ヶ月といえども街は少しづつ装飾されているんですよ?」
「それは早すぎ。てかさ…今日学校でミスドの割引券もらったんだけど…行ける?」
「もちろんですっ!じゃあ、もう行きます?」
時計を見ると、いつの間にか6時を過ぎてます。
家に帰る時間と照らし合わせても、今行くのはベストタイミングです。
さすがはつめちゃんです。
「うん。…小冬のせいで全然進まなかった。」
「照れ隠しですかー?えへへ。」
「なわけないでしょ。ちょっとこれ借りてくるから先外行ってて。」
「あ、一緒に行きますよー。」
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.62 )
- 日時: 2016/12/26 10:55
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「小冬ってくるみ好きなの?」
「はい。まぁ、だてにくるみ図書館常連じゃないってことです。」
ふへっと変な笑いが漏れる。
「そういうはつめちゃんは?一口あげますよ。」
あーんしようとドーナツを差し出すと、はつめちゃんはズササッと後ずさりしてしまいました。
「…くるみは嫌い。」
「えっ!?はつめちゃんくるみ嫌いなんですか?…こんなに美味しいのに!」
思わずハムっと頬張ります。
窓に反射してハム太郎みたいな私が映ります。
「くるみって、なんかこう…くにくにっていうかくにゅって感じで…。」
「食感が嫌いなんですか?」
「うん。味は嫌いじゃない。ていうか、味で嫌いなものってないかも…食感で嫌いなものならまだあるけど。」
すかさず診察ノートを出します。
「他に嫌いなものは?あ、それと好きな食べ物も教えてください!」
「えっ、あぁ、えーっと…くるみと、キャラメルと、あ、食感がくにっとしたもの全般。それと、くにゅってしてるのも。」
「大雑把すぎですよぉ…。基準が分からないです。」
「一番嫌いなのはくるみ。」
「ナタデココはダメですか?」
「だめ。」
「ゼリーは?」
「平気。」
「ハイチュウは?」
「だめ。」
「…んーと、あっ、トマトは?」
「生なら平気で、焼いたらだめかな。…特に焼いたあとの皮ね。」
「微妙すぎですよぉ…。」
- Re: だから私は君に恋はしない。 ( No.63 )
- 日時: 2016/12/26 12:51
- 名前: コハク ◆2kGkudiwr6 (ID: nCjVBvXr)
「てか、こんなこと書く必要ある?」
私は書きながら大きく首を縦に振ります。
はつめちゃんは診察ノートの意味をまだ理解してないみたいです。
「次は好きな食べ物です!」
「え?んー…アメとか甘いもの。アメが一番好き。」
「何味とかありますか?」
「レモン」
「酸っぱくないんですか?」
「酸っぱくない。…一番最初に食べたアメがレモン味で、こんなに甘い王様みたいなのがあるんだなって知って、そこからレモンのアメばっか食べるようになったかな。」
はつめちゃんがとっても幸せそうな顔でレモンドーナツを見つめて言うから、私もつられて幸せ顏ではつめちゃんを見つめてみます。
目があうことはないけれど。
好きなことを語るときは誰でも、苦い顔をしていたら語れない。
好きなこと、好きなもの、好きな人。
全部違うけれど、同じ好き。
繋がってる"好き"なんですよね。
「小冬の好きなものと嫌いなもの、教えてよ。」
幸せの残り香を帯びた口元が小冬と動いて胸が鳴ります。
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