複雑・ファジー小説

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失墜  【完結】
日時: 2021/08/31 01:24
名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: bOxz4n6K)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19157

歪んだ恋愛小説です。苦手な方はご遠慮ください。


>>1 あれそれ

☆この作品の二次創作をやってもらっています。
「慟哭」マツリカ様著 URL先にて
「しつついアンソロ」雑談板にて掲載中 

キャラクター設定集 >>80-81
あとがき >>87


>>99
>>100

Re: 失墜 ( No.45 )
日時: 2016/09/24 02:54
名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: 0K8YLkgA)

11 2年
 今日と明日は球技大会だ。運動神経というものを神様から貰い損ねた僕は、当然のようにどの競技にも出場せず、かといって盛り上がっている体育館や校庭を見に行く気にもなれず、ひとり教室でスマホを弄っている。教室には僕のほかに、目立たない女子たちのグループや、球技大会なんて興味ないですとでも言いたげな男子のグループがいて、きっと彼らも、このまま終業までここで暇をつぶすつもりなんだろう。
 教室から見えるグラウンドではサッカーが行われていて、芝生の方には応援に駆け付けた生徒たちが、揃って歓声を上げている。こんなに暑いのに、よくやるよなと思う。もう少しで、今年も僕の大嫌いな夏がやってくるらしく、昨日まで雨が降っていた空も今日はすっかり晴れて、午後には今年一の真夏日を観測するみたいだ。六月。冷たい机に寝そべって、ひたすらこの時間が終わるのを待つ。僕の青春とは何だったのだろうか。
 僕の大好きな瀬戸さんは、午後から女子バレーに出場するから、それだけは見に行くつもりだった。他のメンバーは戸羽さんと小南さんと、あとよく分からない女子たちで、放課後遅くまで残って練習をしていたから、きっと優勝できるだろう。僕の大嫌いな青山瑛太の恋人である小南さんは元バレー部で、去年も初心者相手にそれはえげつないんじゃないか、という勢いでスパイクを決めていた。大人げないなあと思いつつ、不覚にも凄いと思ってしまったことを思い出す。彼女率いる女子バレーは今年も優勝大本命で、彼氏の青山も無駄に鼻高々になっていることだろうと思う。死ねばいいのにな。
 青山といえば、今頃サッカーに出場している頃だろう。あいつは運動神経だけはあるから、今年もサッカーやらバスケやらテニスやら、いろんな競技に駆り出されている。バスケやテニスなどといった男子の花形種目は明日まとめて行われるので、サッカーが終わったら教室に戻ってくるかもしれない。青山なんて一秒でも視界にいれたくないし、球技大会で浮かれているという今日の追加条件を考えると、憂鬱な事この上なかった。勝ったら勝ったでうるさいし、負けたら気まずいし、教室になんか居ないで、体育館裏とかでサボっていたほうが楽かもしれない。「サッカー、一回戦終わったって」と、女子たちが話しているのが聞こえる。僕は立ち上がり、教室を出る。誰も止めなかった。僕はこの教室において、居ても居なくても同じような存在だったから、みんな僕の事なんかどうでもいいのだ。

 「矢桐じゃん」

 僕の事をどうでもよくないと思っているであろう人物は、このクラスで一人だけ心当たりがある。周りはみんなジャージ姿なのに、一人だけ制服の青山に、すれ違いざまに声をかけられた。ちなみに、どの競技にも出場しない僕も制服のままだったので、廊下を歩くジャージ姿の人間たちから僕らは完全に隔離されていて、それが心底不本意である。

 「……サッカーは?」
 「一回戦負け。僕が出る前に負けた」

 四組と当たったから仕方ないよなあ、と言って青山は笑う。四組がどれだけサッカーが強いのかは、交友関係の狭い僕にはわかりかねる話だし、実際、勝とうが負けようがどうでもいい。瀬戸さんの出るバレーだけは勝ってほしいとは思うけれど、間違って総合優勝でもしてしまうと、ノリについていけない僕にとってはすごく面倒なのだ。だから、適当に返事だけ返して、青山から逃げるように、その場を後にしようとした。
 それなのに、青山は「待ってよ」と僕に言う。逆らったら殴られるのは知っていた。また、金が足りないのだろうか。それとも、僕とまだ話すことでもあるのだろうか。舌打ちしたい気持ちを抑えて振り返る。青山が僕に向けて放った言葉は、予想も出来ないものだった。

 「……矢桐、どうせ暇だろ。抜けようよ。この前みたいに、話聞いてよ」
 「……は?」

 にっこり笑ったまま、青山は僕だけを見て言っている。
 青山は僕の事が好きなのだろうか。何が悲しくて、僕は青山と話なんかしなくちゃいけないんだろう。この前は酒が入ったから楽しかっただけであって、基本的に青山が死ぬほど嫌いな僕は、青山と抜け出すくらいなら、退屈な球技大会をぼんやり観戦していたほうがマシだと本気で思う。しかも、ここで抜けて午後の女子バレーに間に合わなかったらどうするんだよ。一応お前の彼女も出てるんだから、僕なんかにうつつを抜かしている場合じゃないだろ。そう言い返したかった。
 だけど、ここ最近、青山と小南さんがなんとなく上手くいっていない事に、僕は気付いていた。もともとあいつらは他人みたいな距離感だったけど、最近は挨拶くらいしか交わしているのを見ないし、小南さんの鞄に付いていたストラップがいつの間にか無くなっている。別れた、と決めつけるわけではないけれど、たぶん今は倦怠期とか、そういうやつなんだと思う。知ったこっちゃない話だけど。
 僕はあからさまに面倒な気持ちを前面に押し出して、青山に言った。

 「女子バレーの時間には、戻るから。それでもいいんなら、良いけど」
 「もちろん。僕だって柚寿見なきゃいけないし」

 青山に逆らえば、僕は酷い目に遭う。だから、大人しくついていかなくてはならない。中学三年生の時から、ずっとこんな、絶対的な関係が続いている。僕が殺しでもしないと、青山は一生付いてくるんだろう。絶対に殺してやる。ポケットの中のカッターを握り締めて、僕らは並んで歩きだした。途中で何人か、青山の知り合いに声をかけられたけれど、そいつらが僕には見向きもしなかったのがせめてもの救いだった。

 「全部バレたんだ、柚寿に」

 学校はすぐに抜けられた。僕らのほかにも何人も中抜けしているのか、校門は開いたままだったし、途中で僕らの学校の制服を着た女子のグループとすれ違った。コンビニに行って帰ってくる、くらいの生徒が多いのかもしれない。
 隣を歩く青山は、突然そんな事を言いだした。
 ざまあみろ、と言いたい気持ちと、ついにこの時が来たか、という気持ちが混ざる。僕としては、僕が青山をこの手でどん底に突き落としたかったから、小南さんに先を越されるのには納得できない。やっぱり、近いうちにこいつを殺してしまわなければいけないかもしれない。青山の失墜劇を作り上げるのはこの僕なのだ。ぬるま湯に浸かって幸せに暮らしてきた小南さんなんかに、青山を不幸にできる資格はない。

 「だから、もう別れなきゃいけないかもなー。……ちょっと好きだったんだけどな、柚寿のこと」
 「……」

 通り過ぎていく車の音が大きく聞こえる。時刻は午前十一時。僕は、青山にかける言葉が無いし、探そうともしなかった。よく晴れた空には雲一つなくて、じりじり照る熱気が順調に体力と気力を奪っていく。
 別れてしまえばいい。僕が心底そう思っていることを青山は知っているくせに、こんなことを言ってくるから、やっぱり僕はこいつが嫌いだ。そんなこと、僕に言ってどうするんだよ。僕は都合のいい青山のATMであり、相談相手でも友達でもない。普段恐ろしいくらいの無表情で金をせびってくるくせに、こういう時だけ人間らしい顔を見せないでほしい。

 「……今までごめん。で、これからも、ごめん。僕は、矢桐に頼らないと、今度こそ僕でいられないんだ」

 こんな僕に頼らなきゃ保てない幸せなんて、すぐに崩れてしまうだろうに、青山はまだ僕にしがみついていたいらしい。馬鹿だなと思う。すごく醒めた目をしているであろう僕は、「勝手にすればいいじゃん」と吐き捨てる。何を勘違いしたのか、青山はふっと表情を緩めた。

 「ありがと」

 友達と話すみたいに、青山は笑う。これが友情なら、僕はこんな友情一生いらない。反吐が出るくらいの気持ち悪さに追い打ちをかける気温の高さに、ついに僕は舌打ちをする。
 死んでしまえばいいし、それが無理なら僕が絶対に殺す。僕の幸せを奪って幸せでいようとする青山を、僕は何があっても許しはしない。照り付ける太陽に焼かれて死んだ鳥が、道路に横たわっている。五月は終わって、六月が来る。青山はまだ僕に何かを話しては、へらへら笑っている。僕の大嫌いな青色の夏を、今年こそ変えてやろうと思った。

Re: 失墜 ( No.46 )
日時: 2016/09/26 03:39
名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: 0K8YLkgA)

 僕の学校は中心街の方にあるから、少し歩けばカラオケやゲームセンターが立ち並ぶ繁華街に出る。僕と青山は、その道の端のほうを無言で歩いていく。
 どこに行くかは知らないし、どうでもいい。仙台駅まで連れていかれて、「これから僕と逃げてくれ」なんて頼まれない限りは、黙ってついていく予定だった。僕の金が無ければ人との関係を繋げない馬鹿な青山と、友達ごっこをして遊ぼう。どうせ逆らうなんて選択肢はないんだ。「従う」と「殺す」しかない僕のコマンドは、今はまだ、前者を選び続けるしかない。
 平日の街は空いていて、それでも青山は目立っていた。ぱっと目を引く顔立ちをしているからだろう。女の子はその甘ったるいルックスが好きみたいだけど、僕には青山は悪魔にしか見えないし、かっこいいなんて少しも思ったことはない。でも、ただ一つだけ羨ましいのは、青山は僕より目線が十センチほど高いことで、多分百七十五センチくらいだろうと思う。百六十四で身長が止まった僕にとって、百七十五、のフレーズは心が揺れる。小柄な瀬戸さんなら僕が隣に並んでもそれなりに身長差ができるけれど、スタイルのいい小南さんなんかは、ほとんど僕と変わらない。別に小南さんを横に従えて歩く予定はないので、小南さんの存在を考慮する必要はないんだけど、だけどやっぱり、百七十は欲しい。

 「……どこ行くんだよ、青山」
 「とりあえずさ、食べ物買おうよ。この前みたいに、酒飲ませたりはしないからさ」
 「当たり前だろ、真昼間じゃん」

 僕はアスファルトに転がる空き缶の残骸を見ながら言う。青山は、いつになく楽しそうに笑っている。
 傍から見る僕らは、とても友人同士には見えていないだろう。ショーケースに反射して映る、整った顔立ちをして、髪型もばっちりで、制服を不真面目に見えない程度に着崩している男と、猫背で気だるい、いかにも根暗そうな雰囲気を放っている僕。青山の隣を歩くにはださすぎるな、と自分で思ってしまうのだから、やはり僕らは別の世界の人間だ。適当に入ったコンビニでも、女の店員は青山ばかり見る。サンドイッチをカゴに入れて、矢桐もなんか好きなの持ってきなよ、と笑う青山に、なぜかすごくむかついたので、僕は一番高い弁当を買うことにした。ささやかな抵抗のつもりだった。
 カフェオレが二本と、僕が持ってきた弁当と、サンドイッチと、ポテトチップスが、緑のカゴに入っている。レジへ向かおうとする青山の手から、僕は無理やりカゴを奪い取った。突然の事に、青山は驚いたみたいで、僕を見て「どうしたんだよ」と言う。

 「僕が払う。金ないだろうし」
 「……そうだけど、いいよ。僕が払うよ」
 「それで足りなくなって、また僕に頼るんだろ。だったら最初から僕が払う」

 何も言い返せない青山の横を通り抜けて、僕はレジに荒々しくカゴを置く。青山が来ると思っていたであろうレジの女が、僕を見て少し残念そうな表情になる。世の中は、僕が異常で、青山が正常だと思っている。それを全部ひっくり返して、僕こそが正義だってことを照明するまで、僕はいくら無様と言われようが生きてやる。
 袋詰めを終えた店員の言うありがとうございましたは、僕じゃなくて青山に言っているように聞こえた。僕の金で買ったのに、世界はいつだって青山にしか優しくない。だから、コンビニから出てすぐ、青山のサンドイッチを袋から取り出して、突き出すみたいに乱暴に渡した。
 もしかして、怒ってたりする? 当たり前のことを青山は聞く。僕は何も言葉を返さずに、自分のカフェオレにストローを刺す。店員とほとんど意思疎通をしなかったから、弁当を温めてもらうのも忘れてしまった。冷たいカルビ弁当なんて全然美味しくない。青山に渡して、温めてきてもらおうかと思ったけれど、それも面倒だ。これは家に持って帰って、自分で温めて食べよう。そんな僕に気付いた青山は、ご機嫌取りかなんなのか、僕に一切れサンドイッチを手渡した。
 野菜ミックスなんて、体重を気にする女子みたいだな。そう思いながら受け取る。僕はミルフィーユカツが挟まっているサンドイッチの方が好きだから、ハムとレタスとマヨネーズのスタンダードな風味に少しの味気無さを感じた。
 そのまま、次はどこに行こうかという話をする。青山にまかせっきりな僕は、まずいサンドイッチを頬張りながら、青山の提案に「わかった、そうしよう」と適当に返す。カフェでもゲーセンでもツタヤでもどうでもいい。午後の女子バレーに、間に合いさえすれば。

 「行こうか」
 「うん」

 空になった袋をゴミ箱に捨てて、青山は僕に笑いかける。金をせびってくるときとは違って、クラスの友達に向けるような表情をしている。
 そして、それは、次の一瞬で崩れることになる。突然やってきて、やあ、と僕らに声を掛ける人影の正体を知った瞬間、僕は最悪に最悪を足したような気分になった。

 「今日は、球技大会なんじゃなかったっけ? 抜け出してコンビニなんて、仲が良いなあ」

 兄だった。僕の愛想を良くしたような形相の男が、目の前に立っている。予備校はどうしたんだよ、と言う気にもなれず僕は、コンクリートに視線を逸らす。
 なぜか、隣の青山は見て取れるほど動揺していた。驚いて見開いた瞳はどこか虚ろで、飲み込んだサンドイッチをこの場で全部吐き出してしまいそうだった。僕の知らないうちに、二人はどこかで接触していたのだろうか。青山を配慮する気はないけれど、僕は早くどこか座れる場所に行きたい。「行こう」と青山の腕を引っ張る。いつも僕に暴力ばかり振ってくるくせに、びっくりするくらい軽かった。
 ふらつきながら力なく頷いて、僕の後ろを歩き出した青山に追い打ちをかけるように、兄さんは言う。

 「邪魔すんなよ。僕は青山くんに用事があるんだ。晴も困ってるんだろ? 友達ごっことかしてないでさ、ちょっと僕の話聞いてよ」
 「……は?」
 「全部知ってるんだよ、僕は」

 弱々しく僕の腕を掴んで、俯いている青山を見て、そういうことかと理解する。僕の知らないところで、色々とやってくれたみたいだ。小南さんでも嫌なのに、こんなクソみたいな兄に青山の失墜劇を邪魔されたら、僕は死んでも許せないだろう。ほっといてくれ、と僕は言う。兄さんは表情を変えない。

 「青山くん、僕のラインブロックしないでよ。傷つくなあ。約束守れない奴、僕一番嫌いなんだけど」
 「……なんの約束したんだよ」

 へらへらと笑う兄さんに嫌気がさす。まったく使い物にならなそうな青山に聞いても、小さく口を開いて、がくがくと震えているだけだ。諦めて前を向く。兄さんと目が合う。

 「青山くんのお姉さんを、貸してもらうつもりだったんだ。それで、二度とお前から金を取らないって約束させる予定だったんだよ」
 「ふざけんなよ」

 気付いたら、口に出していた。自分とは思えないくらい高圧的で低い声に、僕も驚いてしまう。その言葉を兄さんに言ったのか、青山に言ったのかはわからないけれど、無性に腹が立っている。大嫌いな奴を二人も目の前にして、僕はついに、刃物みたいな言葉をぼろぼろ吐く。

 「……青山のお姉さんを巻き込むなよ。これは僕と青山の問題であって、お前は関係ないんだよ」
 「いつのまにそんなに仲良くなったのさ。青山くんは、晴のことなんて都合のいい財布としか思ってないんだよ。諦めなって、お前に友達なんかいないんだよ」
 「うるさい、お前なんかに、僕らの事がわかるわけないだろ」

 きっ、と僕は兄さんを睨みつける。そして、青山を引っ張って、歩き出した。行く予定だったツタヤとは逆の方向だった。でも、兄さんから逃げられるならどうでもいい。どうせなら青山もあの場に置いて来ればよかったけれど、あんな状態で放置して来たら、コンビニの店員に迷惑だ。僕はなんだかんだでお人好しな人間である。
 人気のないところまで来たとき、やっと正気を取り戻した青山が、僕の腕を離した。そして、その場に座り込んでしまった。「僕、あの人苦手なんだよ」と言う瞳は真っ赤で、あんな奴でも人をここまで追い詰められるんだな、と思った。そして、青山も青山でメンタルが弱い。これまで幸せばかりの人生を送ってきたんだろう。だから、僕の兄のようなクソみたいな人間に少し何かを言われただけで、この世の終わりみたいに泣いたりするんだ。

 「……別に、青山のためとかじゃないよ。僕もあいつ、嫌いなんだ」

 吐き出した言葉が、通り過ぎていく車の音にかき消される。
 お姉さんを引き合いに出されて、あんな顔をするってことは、きっと青山とお姉さんは仲がいい。僕がもし青山に、「もう金取るのやめるからお前の兄さん殺してもいい?」と言われたら、喜んで承諾するし、逆に一石二鳥だと思ってしまうかもしれない。僕も、もっと良い家族に恵まれていたら、もっと幸せになれたのかな。青山がこんな人間である時点で、良い家族を持った奴が良い人間になるとは限らないのだけれど、せめてあの兄さえいなければ、僕はもうちょっと真っ直ぐな人間になれたと思う。
 僕は優しくはないから、青山を放って歩き出した。まだ女子バレーまでは時間がある。だけど、もう戻ろうと思った。僕が今まで従い続けていた青山は、思っていたよりすぐ崩れるし、その気になればここで殺せる。兄さんとか、小南さんに中途半端に崩されるよりは、僕が一気に突き落としてしまいたい。誰だって、僕の邪魔をすることは許されないのだ。僕の知らないところで、青山が失墜していくのが、どうしようもなく嫌だったんだ。

Re: 失墜 ( No.47 )
日時: 2016/09/27 21:29
名前: 苑川栞 (ID: 49hs5bxt)

こちらでは初めましてでしょうか。いつもお世話になっています、苑川です。と、挨拶はここまでにしておいて早速感想をぽちぽち打っていこうと思うんですがなんだかとても緊張してますああ。文字数ギリギリまで語り尽くしたい、いや語り尽くす。失墜のような作品にわたしが書き込むのもなんですが、語り尽くしたいと思いますお覚悟はよろしいですか(ハイテンション)
ではでは早速。

梓ちゃん視点。瀬戸さんのいうことなんてうそだと思ってるけど実際梓ちゃんの立場に置かれたらそんな物だよね。青山くんと瀬戸さんは、これから語られていくように差があるしそれは他人から見てもわかるもんね。それでも瀬戸さんはその純粋さで青山くんが自分ことを好きだと言ってしまうんだからなんだかなあ(笑)実際は君が興味もない男の人間性を見るためにやったことだって言っても、瀬戸さんは信じないのかな。信じたくないのかな。良くも悪くも、純粋だもんね。これから先も、それは変わらないのかな、と思ってみたり。実際どうなんだろうね(笑)

柚寿ちゃんのお話は、軽く恐怖を覚えるよね。160センチ超えて45キロ厳守、勉強もいい点を取るために毎日必死。そんな彼女の血を流すような努力が、「絶対的な関係」では伺える。恋人である青山くんにも努力の跡は全く見せないし、というかもっと良く見せようとしてる。しかも、紅音ちゃんとの友人関係も、自分の努力を見せてしまったら切れてしまうようなもの。それが絶対的な関係って言えるのかな。わからないけど(笑)多分、そうやって関係を築くのには柚寿ちゃんも何か過去があったんだろうな。みちるちゃんと優奈ちゃんが学食を分けてあげてるシーンとか、すごーくそんな感じした。和んだけど!つらい!
No.4の、青山くんと柚寿ちゃんの会話。お互いの表面上の評価を好きって言い合ってるみたいで、なんだか心にきた。本人たちはどうなのかよくわからないんだけどね(笑)柚寿ちゃんも青山くんも、仕方は違えどお互い偽物の自分を作り上げてるんだよなって思うと心が(ここにきて泣き叫ぶ)
そして我らが椿くん。仲よさそうな二人がほんと癒し、結婚してよ(唐突)(やめろ)柚寿ちゃんが唯一素を出せるキャラクターでもあるんだよね、彼は。でも逆に言うと好かれようとしてないよね。「俺は自分の素を出せる相手と付き合うのが一番といいと思うけどな。「ぶりっ子してるお前好きじゃねえもん」ってとこ。引用失礼しますね。こことかほんとに椿くん好意抱いてるのに、柚寿ちゃんはあんなそっけない態度取っちゃうんだから、現実はそう甘くない。つらい(大声)

そしてそして、矢桐くん回。
このお話は一文目が強烈!さすが矢桐さん!パネエ!バイオ差し入れしますね!とかなんとか言ってるうちに、青山くんは息をするようにお金巻き上げてるね。人畜無害そうでも、案外悪かったりするもんだもんね(´・ω・` )この時点では誰も青山くんが人から巻き上げてるなんて思ってもないだろうなあ。渋谷くんも、柚寿ちゃんも。だから知ってるのは矢桐くんだけ。誰に頼ったらええやん、って思うけど本編で語っている通り矢桐くんは青山くんを自分の手で殺したいと思ってるんだからもうどうしようもないよね。誰か止めろよ、って言っても青山くんが何かしない限り本当に誰も手を出すことができないよね。そんな青山くんも、矢桐くんから金を奪わなきゃ生きていけないから、この関係は終わらないよね。矢桐くんが殺さない限り。ほんとこの二人だけは想像がつかない。No.6の最後の文とかゾクってきた。でもやっぱりそんな二人が好きだなあ。失墜は恋と金って感じがするんだけど、この二人からは特に。だから好きって理由もあるかも。
紅音ちゃんの態度の差に、やっぱり失墜だなあって感じはするよね。青山くんや、柚寿ちゃんみたいなカーストが高い人たちには媚を売ってそのほかの人たちには冷たく接して。これぞ失墜キャラ生き方って感じ。瀬戸さん以外の人たちへの評価がひどい矢桐くんも矢桐くんで紅音ちゃんと同じなんだよ!って私は思うけど、矢桐くん自身はそうでもないのかな。柚寿ちゃんを作り物だとかラブドールだとかサイボーグだとかいう時点でそうだろう(笑)やっぱり面白いね、矢桐くんは。青山くんは人間性を彼の見たがってるけど心の中や瀬戸さんの前では、割と人間らしいんだけどな。瀬戸さんに嫌われてしまうだろうかとか、瀬戸さんと一緒に帰れて嬉しがってたりだとかほんとにそれらしいんだけどな。そういった意味ではなんだかかわいそうな気もしてきたぞ。頑張れ青山くん。(何様)
No.8の矢桐くんの「やっぱり僕は、ほかのクラスメイト達みたいに青春真っ只中みたいな真似はできないんだと思い知る」って地の文。やっぱり、矢桐くんも漫画みたいに青春したかったのかなあ。今からでもやり直せるよ!と言いたいところですが題名は「失墜」。もうそうすることもできないんだなと思うとやっぱり心が痛いです。それもまた青山くんのせいだという矢桐くんがやっぱり私は好きだ。何回も何回も、青山くんを殺したんだろう。
そして優さんの登場。彼には、どことなく青山くんと似たものを感じていたけど優さんと青山くんとは出来が違うって思った。青山くんは攻め立ててしまえば泣きそうになるのに、優さんは矢桐くんが語ってるみたいに悪気がないから何にも感じないんだろうなあ。優さんが大学を辞めたことを喜ぶ矢桐くんのお父さんとお母さん。それに対して良く思わない矢桐くん。金があったって、下手なことに使うだけだもんね。金があっても、結局はうまく回らないよね。人生、本当ついてない。
瀬戸さんを助けたいと思うだけで、十分だよ。でも残念ながら、君に興味は持たれてないんだけどね。青山くんに惚れてしまったら、勝ち目はないと言っているけれど、もう負けてるんだぜ。泣きたくなるよこっちまで。それで青山くんを殺してしまっても、多分矢桐くんのことはあまり話題にならないのかな。悲しい世界だよね。ほんとに。

青山くんああ青山くん。やっぱり私は青山くんが好きみたいです……。言葉を失うってこのことか(閃いた顔)
渋谷くんと話してる限りでは充実してる男子高校生って感じするのになあ。なんでだろう。柚寿ちゃんがわざわざ翔くんを紹介しなかったのに、青山くんはさらっとしてしまう。やっぱりこれが柚寿ちゃんと青山くんの差かなとも思うけど二人ともお互いの秘密にこの時点では全く気付いてないから、同じなのかな。そこのところ微妙だな〜と思います。紅音ちゃんを見下しつつも、翔くんに紹介してしまう青山くんがやっぱり好きです。
記念日。君は本当に何もわかってないなあ(好き)柚寿ちゃんは、高いものはいいって言ってるのにね。それが良く見せる方法だとでもやっぱり青山くんは思ってるんだろうか。そうだとしたら本当に何もわかってない。僕の家は生活保護なんだ、って正直に言ってしまえば何か変わったのかもしれないけれど言わないのが青山くんのよさであり悪さ。本当に好き。それでまた矢桐くんに頼ってしまう青山くん。青山くんにとっては、矢桐くんは心のよりどころなのかなあって思いました。今のところ、矢桐くんしか頼れないし知らないもんね。形はどうあれ。でもやっぱり彼もやめたいとは思ってるんだよね、思ってるんだけどやめれない。やっぱりこの二人は反するようでお互いに依存してるなあって思う。簡単に言ってしまうけど。
来なければいいのにって本当に矛盾してる。やめたいでも金はいる、いやなら来なきゃいいのに、でも金がなきゃ暴力はふるう。本当にそんな青山くんが好きです。好きしか言ってないぞ。
「ちょっと迷惑なクラスメイト」なわけないよ、殺したいぐらいに憎まれてるよ!もっと先の話になってしまうけど、君はカッターを見つけてしまうから。と焦ってたらすごく楽しそうにしてる会話してる。地の文と今までの話さえなければ本当に仲良くしてるようにしか見えないのになあ。なんでだろう。
それで青山くんは瀬戸さんとしてしまうところまでしちゃうんだよね。それを矢桐くんが知ってしまったら、どんな顔するか。青山くんはわかってない、人間らしい顔とかそんなレベルじゃないよ。でもやっぱり好き。本当に馬鹿で人の評価に生かされてるような君が好きです!(告白)
柚寿ちゃんと会話する青山くんは、本当にただの男子高校生なのに。柚寿ちゃんに嘘をつかなきゃ、生きていけないんだもんね。嘘をついてるのに、柚寿ちゃんを手放したくないなんて本当に君は(語彙力)「目を奪われてしまうくらいに綺麗な」柚寿ちゃんが好きなんだもんな、青山くんは。また、柚寿ちゃんも。この二人は完璧なようで、完璧じゃない。これもやっぱりりちうむちゃんの文だから本当によくわかる。この後のシーンでも、「もっと私のこと頼っていいんだよ」と柚寿ちゃんがいってくれるのに、青山くんは何もできないんだよなあ。そこがやっぱり彼の魅力。

瀬戸さん、やっぱり彼女が失墜の中で一番純粋で、怖いキャラクターなのかもなと思う。
でも実際瀬戸さんが思っている青山くんではないのが、ポイントなのかなー。矢桐くんからお金を奪わないと生きていけないし、自分の地位を失うのが怖い。瀬戸さんが思うほど、青山くんは少女漫画に出てくる男の子じゃないんだよね。
それで最初のところに戻って梓ちゃんがこうも現実を見せているのに、瀬戸さんはぶれない。ぶれないどころか、もうそろそろ別れるとか思っちゃってるのが瀬戸さんの強いところだ。それで親友の梓ちゃんをパッとしないなんて言ってしまうんだからすごい。逆にすごいよ瀬戸さん(笑)パッとしないどころか、瀬戸さんのことを一番わかってるんじゃないかな。
それで矢桐くんと出会ってしまうシーン。矢桐くんが自分のことが好きだってことは気付くのに青山くんとのことはずっと少女漫画思考で考えちゃうんだから矢桐くんが……。瀬戸さんには最後までこの思考を貫いててほしいな。

長くなってしまって本当に申し訳ない。それでもまだ半分もいってないんだから怖い。
楽しく書かせていただきました。本当に長文失礼いたしました!これからも更新頑張ってくださいね。



Re: 失墜 ( No.48 )
日時: 2016/09/29 02:41
名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: 0K8YLkgA)

>苑川栞さん
 いつもお世話になっております、りちうむちゃんこと三森電池です。4000超えのすごく嬉しい感想、ぜんぶ拝みながら読ませていただきました。失墜を書き始めたころから、下手したらワンホットアワーズの頃からこのお話やキャラを好きだと言っていただけて、ここまで調子よく書いてこれたのも栞ちゃんのおかげみたいなところあるよ…!)^o^( 本当にありがとう!

 すごく長くなると思うんですけど、感想返しいきまーす!
 梓は、サブキャラのくせに最初の語り部やっちゃうから侮れない奴ではある。彼女は瀬戸と真逆の、現実主義者なキャラクターで、瀬戸の話はまったく信用してないけど、実はちょっと心配してるんだよね。物語が中盤くらいまで来た今でも、瀬戸と青山の関係をちゃっかり探ってそう。ちなみに梓はいけ好かないので青山が嫌い。いつか梓視点でも書きたいなあ…。
 ここで青山瑛太や小南柚寿は完璧な人間みたいに言われているけど、実際はそんな事ないんだよね笑 特に青山なんて、それこそ矢桐の人間性が見たいがためだけに瀬戸に手出しちゃうわけだから、瀬戸さんはどこまでも救われないキャラである。頭がちょっとメルヘンなだけで、別に悪いことはしてないのにね笑 なお小南のストラップは盗む模様。恋の力って怖い。
 瀬戸が青山のすべてを知った時、どういう行動に出るのかは、自分でも力を入れて書かなきゃいけないところだと思う。私ならそんな男大嫌いになるだろうけど、恋愛脳で少女漫画大好きな瀬戸さんはどうなるんだろう。一緒に駆け落ちしちゃおうとか言うのかな〜。まだいろいろと決めてないや。(ダメ作者)

 柚寿は、なんであんなキャラにしたんだろうって時々思う。完璧な子なんていないんだよ!って言いたい、私の悪い性格がもろに出てるよね…)^o^( ただのかよわい美少女じゃなくて、一癖か二癖ある子にしたかったんだけど、極限まで生きるのが面倒で辛そなう奴になってしまった。
 恋人にすらあんな感じなんだから、当然うまくいくはずもなくて、でも青山も自分を偽って生きてる人だから、結果的にお互い嘘を並べ合って、ケンカも言い合いも無い居心地のいい関係を演出しているんだ。本人らも薄々、「このまま付き合っていつかボロ出たらどうしよ」って思ってると思う。ばかだね!
 柚寿の過去についても、そのうち書きたいと思って引き延ばしてるなあ。中学生時代はぜんぜんパッとしない子で、いわゆる高校デビューを果たしたわけなんだけど、デビューに成功しすぎて本来の自分を見失ったタイプだ。自分で書いててすごく納得したぞ笑
 ちなみに、栞ちゃんとこのみちるちゃん(天使)とは違って、うちのみちると優奈は完全なるモブです。モブっていうか、紅音に良いように扱われている人。
 そうそう、青山と小南ってお互いの社会的価値が好きなんじゃないかって感じるよね。。。私もそのつもりで書いてたから、伝わってくれてうれしい笑 お互い偽りだらけだけど、それでもそれなりにプライドはあるから、(自分の周りからの評価のために)相手を手放したくないんじゃないかな。何に恋してるんだお前らは…???
 椿くんは失墜でも数少ない良心キャラだね… この二人は小学生時代からの付き合いだから、柚寿も安心して素でいられるんでしょう。たぶんね、柚寿はああやって偽ってるよりも、素直でいる方が周りに心から好かれると思うんだ。自然体な人の方が楽だもん…( ;∀;) 椿くんは、中学まで一緒に居た妹みたいな存在が、高校で急に開花してキラキラ女になって読者モデルの男と付き合いだしたから、幼馴染なりに(多少の恋愛感情も含みつつ)心配してるんだよね。椿くんが、青山瑛太がどうしようもないクズ男だと気づいたときの事を書くのが楽しみすぎて今からわくわくしています。

 そして矢桐回。これまで慣れないリア充回が続いていたから、ここでやっと私の本領発揮って感じ(笑)矢桐は重要キャラかつネタキャラかつ読者の気持ち代弁キャラだから、書いててとことん楽しい。私はこういうキャラを書いている時だけ、すごく生き生きとしてるよ(だめ)
 この最初の一文は、ワンホワ時代から変わらなくて、もう矢桐の名言みたい。ついさっきまで女の子が「彼氏が—」とか「友達が—」とか言ってたのに、突如視点を奪ってあいつを殺すだのほざく矢桐さん、マジパネエ!あの人バイオ全シリーズやりこんでそうなので、映画版にしとこう(提案)
 ここでやっと、青山がいじめっ子のドクズだってことがわかるんだけど、ほんとここまで長かったわ、私はレス番2の時点で矢桐を登場させて「こいつ貧乏で僕から金奪うクズだよーん!」ってやりたくて仕方なかった( ;∀;)もしそれやってたら30レス分くらいの大幅カット…うける…(うけない)
 矢桐は、青山に金取られてることを誰にも言わないんだよね。青山本人さえも「なんで矢桐は誰にもチクらないんだろう」って気にしてたけど、その通り、矢桐は自分の手だけで青山を殺さないと気が済まないらしい。矢桐はちょっと中二病だから、中途半端に大人に頼りたくはないし、小南とかにも邪魔されたくないと思ってる。バカかよ! そして青山も矢桐なしじゃ、自分を演出するのも、生きていくことすらもできないから、この二人は立派な共依存状態にある。のちに青山の方はけっこう矢桐に友好的になるけど、矢桐は最後まで青山嫌いだからだめだね、個人的にこの二人が失墜の主人公だと思っているので、とことん落としていくぞっ。楽しみ。
 紅音はよくいる性格の悪い女みたいな感じにしたかったんだけど、ちょっと色々と露骨すぎるよね笑 でも青山や小南も本心は紅音と同じことを思っているだろう。むかつくな何あいつら(突然の怒り)あくまであの四人がメインで、こういうサブキャラはあんまり失墜していかないから、紅音とか渋谷は本当にいいところだけ持っていきそうな気が今からしている。
 矢桐はおもしろいよね笑 本人はいたって真剣なんだろうけど、作中で唯一、青山と小南をディスれる(特に青山)から、日ごろ青山を描写していて「は?」ってなった箇所にも容赦なく毒を吐けて楽しい。そして、なんだかんだで小南の外見や性格を作り物だと見抜いている鋭い勘の持ち主でもある。サイボーグはまだしもラブドールとか言葉のセンスがひどい。矢桐の兄もそうだけど、矢桐家って金持ちのわりに口悪いよね。
 矢桐は本当はすごく人間らしいキャラで、好きな子は好きだし、嫌いな奴は嫌い、あとは興味ない、それがはっきりしている。あの中では一番わかりやすい性格してるんじゃないかな。青山には心の中で死ね死ね言ってるし、瀬戸さんには好かれようと必死だし、良くも悪くも素直だよね…。そして、「人間性が見たい」なんて言っちゃうあたり、青山は矢桐のことを財布以上には思ってるだろうし、多分唯一素を出せる相手だから仲良くしたいんだと思う。無理なのにね!爆笑
 矢桐の語る青春の最終目標は、青山を殺すことだから、それさえ果たせればあいつは満足するんじゃないかな…??社会的に失墜することには変わりないけどね!本当は瀬戸さんと幸せになりたかったけど、青山瑛太っていうクズに目付けられちゃったからもう仕方ないよね、みたいな感じで割り切ってるところがある。瀬戸さんと付き合うのと、青山を殺すのとでは、明らかに後者の方が難易度が低いから、もういいや、瀬戸さんは他のまともな男に託そう、って思ってるのかなあ。なんかちょっと切ないね(適当)
 そして失墜一のクズ男、矢桐優の登場である。一応罪悪感を持ってる青山と違って、奴は無邪気に痛いところを突いてくるから嫌な奴。青山に交渉するときも、青山と矢桐弟と遭遇するときも、はんぱねえ存在感とラスボス感。なんなんだこいつは。
 矢桐家は基本的にすごく過保護なので、お兄さんが帰ってきたのが嬉しかったんでしょう。いやいや中退してんのになにあのアットホームさ。あんなんじゃ浪人脱出できないよ(適当)
 あの状況で瀬戸さんを救う方法なんて無いし、あれは瀬戸が悪いよね笑 矢桐、ちょっと頭のネジ外れてるけど瀬戸さんの事は大切にするだろうから高望み(もしかしたら低望み)しないで矢桐にしとけばいいのに。ほんと悲しい世界だよ!

 青山視点は毎回難しい( ゜Д゜)文章力が1から0.2くらいには低下している。なんかいろいろとやらかしすぎて回収めんどいし、やらかすくせに罪悪感と変なプライドだけはあるから、メンヘラみたい。青山はメンヘラだった…?(ひらめき)
 渋谷に紅音を紹介するくだり。そこはたぶん、青山と小南の「恋愛」に対する気持ちの違いだろうなあ。青山や渋谷は恋愛を軽く考えすぎなんだよっ。特に渋谷くんは、実際付き合ってる時も紅音のことはそんなに好きじゃなかったと思うわ笑
 記念日=高いプレゼントを買わなきゃいけない=矢桐、の方程式がほとんど完成している青山さん。たぶん、青山の家が生活保護だったところで、しょせん恋愛に経済が絡まない高校生の小南は「そう、だから何?」レベルにしか思わないんだろう。そして、「瑛太も完璧じゃないんだなあ」って思えて、もう少し気楽に付き合えたかもしれないのに。青山の無駄なプライドの犠牲になる人多すぎない…???
 青山は矢桐しか頼れないんだよね。ほんとに立派な依存だよこの人たちは…。金は欲しいけど、矢桐なんかには頼りたくない。でも金が足りない。結局頼るしかない。いちど何もせずに金が入ることを知ってしまったら、弱い人間はそれなしでは生きられないよ。バイトでもすればいいのにな青山瑛太…(無責任)
 かなり先の話だけど、カッター見つけちゃうんだよね笑 それでやっと本格的な恐怖心を持つけど、それでも金取るのやめられない青山は本当にガチのクズだね。もう青山さんはあのカッターなんて見なかったことにしたいのではないだろうか(強引な解釈)。青山と矢桐は本質的な面では似てるし、あの酒が入った公園の時みたいに、何もかも無かったことにして話すとしたら、たぶんお互いそれなりに居心地良い関係にはなれるんじゃないかな。瀬戸さんに手出しちゃう前に、二人で気が済むまで語ってほしかったよね〜(時すでに遅し)
 ありがとう!!私も青山はそれなりに好きです!こういう調子乗ったやつを失墜させるのは、死ぬほど楽しいぞ!現場からは以上です。
 ここにきて、やっと読んでる人も青山と柚寿を見て「お互い嘘の塊やんww」ってなるだろうから、このやりとりもただの茶番みたいだよね。青山も柚寿もちょっとは好きなんだろうけど、どっちかっていうと、塗り固めた自分自身の方が好きそうだからだめです。青山は柚寿の外見しか褒めないし、柚寿は、こいつ青山褒めたことあったっけ?(最低)

 瀬戸回。比較的コンパクトに終わるので私は瀬戸回が結構好きです。笑 思考回路はショートしてるけど、純粋でいい子だよ、たぶん笑
 その通り、青山は瀬戸が思うほど少女漫画ではないんだよなあ。梓は、気付くまではいかないけど、「青山みたいな人間が善性なわけがない」と思っているところがあって、それで瀬戸の事を冷めた目から批判するわけだけど、瀬戸からすると「え?それ嫉妬?w」だからうける。恋に恋してる瀬戸さん。たぶん彼女、柚寿より青山の事好きだと思うよ。一回この二人バトらせたいよね(言うだけ)
 矢桐の好意はすごくわかりやすいからさすがの少女漫画脳も気づいてしまうわけだ、でも青山が関わると思考ショートしちゃうわけだ、矢桐ほんと救われないな、瀬戸が矢桐で妥協しておけば、少なくともこの二人は幸せになれたはずなのに。スキップしながら地獄に突っ込んでいくようなもんだよこの女…)^o^(

 いやいや、長文すごく嬉しい!書きたかった事、言いたかった事全部伝わってて感動しました。モチベ上がりっぱなし。
 私も返してて楽しかったしすごく長文になってしまった、5000文字って本編より多い。更新も頑張ります、目標は年内完結…。
 嬉しい感想、本当にありがとうございました。こんど、そちらの小説にも伺いますね!!

Re: 失墜 ( No.49 )
日時: 2016/09/30 01:18
名前: 三森電池 ◆IvIoGk3xD6 (ID: 0K8YLkgA)

 二年後くらいには笑えていたらいい。瀬戸さんが優しくて頭のいい金持ちな男と幸せになって、小南さんは適当に不幸になって、兄さんは大学に落ち続けていればいい。青山を殺害した後の僕は、精神に異常が見られない限り、若い時のほとんどを刑務所で過ごすんだろう。僕は、青山瑛太さえこの世から抹消出来たらあとは幸せなので、きっと、二年後には心から笑えていると思う。怖くない訳じゃないけれど、正直このまま青山に金を取られ続ける方が怖い。
 幼いころから、いじめられて自殺する人間の気持ちがわからなかった。人間の屑みたいないじめっ子のために、人生をすべて投げ出すなんて勿体ないと思う。負け組の僕らにだって幸せになる権利はある。僕は絶対にあいつを殺してやる。そして、ニュースでも見た全国のいじめられっ子が、いじめっ子を殺してしまえばいい。そうでもしないといじめなんてなくならないのだ。サカキバラに憧れたアホが各地で犯罪を犯したみたいに、僕に憧れる少年少女がどこかに存在していればいい。

 「矢桐」

 後ろから呼ばれて、音もなく振り返る。少し顔色が良くなった青山は、まさか、僕にさっきの礼でも言うつもりなのだろうか。
 青山はいつもよりずっと疲れているように思えた。小南さんとのこともあって、いろいろと不安定になっているのかもしれない。まだ僕が何もしていないのに、確実に足場が崩れてきている青山に腹が立って僕は、聞きたくない、という意思表示を込めて目を逸らした。そして、青山が何か言い出すより先に、言わなきゃいけないことを言う事にした。

 「ごめん、あんな兄で。青山のお姉さんは、全然悪くないのに」

 お姉さんは、というところだけ強調して、謝る。僕は青山も兄も大嫌いだけど、身内が迷惑をかけたのだから、いくら青山でも謝罪しなければいけないと思った。それに、青山のお姉さんは、こいつと違って正真正銘の良い人そうである。僕の周りには基本的にクズしかいないから、心から善い人は、なんとなくオーラでわかるようになっていた。青山のお姉さんと、瀬戸さんだけは、善性だけでできた人間だと言えるだろう。

 「なんで謝るんだよ。悪いのは僕だよ」
 「……わかってんなら、ちょっとは直せばいいのに」

 今日は暑さにやられたのか、僕の口からは本音ばかり飛び出してしまう。ついでに「死ねばいいのに」と付け足してしまいそうになった自分が怖くなる。夏の魔物とかいうやつだろうか、それとも僕は、青山に気でも許してしまっているのだろうか。何度も何度も言ってきたけど、僕は青山が大嫌いだ。死んでしまえばいいと思う。でも、こんな風に金をせびらない時の青山は、僕の話を聞いてくれるし、すごくくだらない話を楽しそうに聞かせてくる。
 DV被害に遭っている女性が、「それでもあの人が好き」と言ってダメな男にしがみつく心理が、なんとなくわかった。青山のような人間は、人の気持ちをコントロールするのが上手い。飴と鞭の与え方が絶妙なのだ。いつも女の子相手に発動しているであろうそれを、無意識のうちに僕にも使っていて、だから僕は、変な情を青山に感じたりするんだ。僕らは間違っても友達ではないし、こんなことをするのもおかしい。今日の青山は金が欲しいわけでもなさそうだ。ただの暇つぶしに僕は使われたんだろうけど、それなら柏野でもいいし、他にも青山の友達はたくさんいる。
 きっと、小南さんに全部バレて、本格的に僕にしか頼れなくなってきたんだ。なんだかんだで、こいつは僕と仲良く話がしたいのかもしれない。僕の答えはもちろんノーで、今さら友達面されたって殺意は消えないのだけれど。誰にも頼れない青山と、誰にも頼りたくない僕は、認めたくはないけれどよく似ている。

 「……僕だって、やめれるんならやめてるよ」

 そうだった、青山くんはすごく弱い人間だから、晴からお金を盗らないとなーんにもできないんだもんね。兄さんならこう言っただろうか。対して僕は、「そっか」しか言えずに、また重たい沈黙が流れる。白の時計塔に表示されている時刻は十一の針を指していて、あと二時間くらいで女子バレーが始まる。僕も青山もさっきのサンドイッチだけじゃ昼食が足りないから、これから適当な店で食事を摂って学校に戻るのが賢い気がした。本当はすぐにでも帰りたかったけれど、たとえ偽りやそれ以下だとしても、横に友達がいるという感覚は、きっと今しか味わえないだろう。あまり深く考えずに、「飯食べに行こうか」と言うと、青山はなぜか嬉しそうに笑って頷いた。嫌な話題を逸らしてあげた僕に感謝してほしかった。
 どうせお互い金が無いから、安い定食屋に入った。テーブルから見える小さなテレビでは昼のニュースが放映されていて、いじめられていた中学生の男子が学校の屋上から飛び降りた、なんてことを無表情のアナウンサーが淡々と話していた。学校側は、いじめなどなかったの一点張りらしい。僕が青山を殺したときも、学校はこんな風に僕の事をかばってほしいものである。
 エプロンを付けたおばちゃんが注文を取りに来て、とりあえずカツ定食を二つ頼んで、氷の入った水を喉に流し込む。体の芯から冷えていくような感覚が気持ちよかった。青山はと言うと、さっきのニュースに何か感じるものがあったのか、「矢桐、自殺とかするなよ」と冗談交じりに笑っている。
 残念だな、死ぬのはお前の方なんだよ。勝手に上がる口角を誤魔化そうとして出た言葉は「するわけないじゃん」で、青山も、だよなあ、と言う。
 壁際の大きな本棚には、少年ジャンプや週刊誌が置いてある棚と、有名な漫画の単行本がずらりと並んだ棚があって、定食を食べに来たサラリーマンや土方のおじさんが何冊か借りていた。僕が定期的に購入している漫画の新刊もあったので、なんとなく目で追っていると、青山がこんなことを言った。

 「僕は、ああいうの読めないんだ。誰が触ったかわかんない本だよ、それも食事中に」
 「……細かいな。そういうこと言ってるから貧乏なんだろ。つまんないプライドばっかり翳しやがって」
 「うわ、毒舌。矢桐ってけっこう口悪いよね、お兄さん譲り?」

 テーブルに頬杖をついて、楽しそうに笑う青山と、兄に似ていることを指摘されてやや不機嫌になる僕。今日はこんな風に一緒にご飯を食べていても、明日には青山の金が足りなくなって、また僕に金を借りに来る。断れば殴られるし、首も絞められる。そんな日々に終止符を打ちたいのに、こうやって友達みたいに笑われると、調子が狂いそうになる。
 ちょうどいいタイミングで運ばれてきた定食に箸を付ける。青山は普段洋食店にばかり行くらしく、味噌汁や漬物を食べるのは久しぶりだと言った。昼食は購買で済ますとして、朝食や夕食はどうしているんだよと聞くと、朝はコンビニで済ませ、夜はほとんど外食をしているらしい。味噌汁も飲めないなんて、貧乏人は大変だなあ、と僕は小声でつぶやく。その言葉さえも青山はちゃんと拾って、「なりたくてなったわけじゃないよ」と笑って言いながら、割り箸をぱちん、と割った。


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