二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【お知らせあり】クリエイティヴ・ワールド
- 日時: 2017/03/17 18:20
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: QxkFlg5H)
クリエイティヴ・ワールドへようこそ。
ここは主にメモ書き程度なもの、中編などを載せます。つまりは読み切りですね。はっきり言ってカオスです。パロディもありますとも。連載を諦めた話などもこちらに載せます。
主にオリキャラが中心ですが、サモンナイトシリーズをはじめ、戦国BASARAシリーズ、魔法少女リリカルなのはシリーズなど他にも色々取り扱います。
中にはブツ切りする小説、思いついただけで使う道がなさそうな設定を乗せたりします。どのような場合でも見逃してくださいませ。
では、お楽しみ下さいな。
☆必要用語☆
取り扱いジャンルについて >>39
別理者について >>86
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- Re: 【SS集】クリエイティヴ・ワールド ( No.96 )
- 日時: 2016/03/27 20:16
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: PEk4EpeS)
次回の話が出来上がるのが遅くなりそうなので、ここで先にウチでの血壊について説明します。
【血壊】
・ノーゲーム・ノーライフの舞台である世界、盤上の世界に存在する種族、獣人種…そのごく一部のみが持つ天性の技能を血壊という。
獣人種はなんといっても身体機能が高い種族。ただし体内に保有する精霊(魔力のようなものと考えていいです)は多くはない種族でもある。なので魔法の類いは一切扱えない。
その体内精霊を暴走させ、自壊領域まで飛躍的に身体機能(五感なども含まれる)を引き上げるのが血壊。その力は物理限界をも超えるため、大戦では血壊を扱える個体は脅威だった。暴力が禁止され、ゲームで全てが決まる世界になった今でもその血壊はどのような戦況をもひっくり返すチートとして存在する。
欠点は解除と同時に激痛でまともに動けなくなる。物理法則をやっと思い出したかのような現象ともいえる。呼吸はまともに整えられず、筋肉が千切れ、血管が弾け、神経が溶ける…そんな痛みが発現者に襲いかかる。これは身体を巡る精霊が絶えず乱れてしまっている事が原因。そしてそれは身体が小さい、細い者…子供や女性などが影響が大きい。
これは独力ですぐに精霊の流れを通常に戻すのは至難の技。なのでよく考えて使わないと本当に自壊するので注意。
で、ウチでの血壊使用者はセイロンとユーイン。ただし本家とは違って精霊ではなく魔力を暴走させる。
龍人は人間と身体の構造がかなり違うのが血壊取得の鍵となっている。4での夜会話にてセイロンが言ってたのですが、成長期の人間は下手をすれば怪我がクセとなってしまうけども、セイロンは骨が折れようともストラで癒し、修行をしていた。しかも龍人は人間と身体の作りが違う点に私は着目し、「じゃあ血壊のような身体を壊し続けるやつにも耐えられるんじゃね?」という軽率な考えでこんな事になった。マジどうしてこうなった。ただ、二人に血壊を修得させた人は伊那谷じゃない、というか二人が血壊使えるのは伊那谷でさえ知らなかったという設定です。そんな訳なんで全く別の人物が二人に血壊を修得させたという訳です。
大体は獣人種の血壊と同じ。ただ、龍人は魔力保有量が獣人よりも多すぎるくらいなので魔力を暴走させるのは獣人よりも反動がきつい。その代わり、血壊では獣人(もとい本家)と比べると強いです。
召喚術を発動するなら常時暴走召喚(ゲームでは威力がかなり上がるけど負荷が強すぎて一定確率で召喚石が壊れてしまうスキル)になる。それにまともにストラなどが安定して使えなくなる。発現中、発現後も魔力の流れが不安定のままなのが原因です。
それともう一つ。暴走なので理性が保つ事が難しくなります。長時間使用すれば後の反動がヤバいし、本能だけで暴れるような獣と化します。なのでセイロン達は「立ち振る舞いが醜くなる、反動が来てまともに戦えなくなるのは戦場に於いては致命的過ぎる」などといった理由で血壊を使用するのは好まないです。
なので反動を最小限に抑える事を考えると、十秒。引き延ばすなら三十秒ぐらいが限界。反動を考えずにやるなら十分近くまでは使える。まあ修行すればどちらも延長可能ですよ。
まあ大体こんなん。後は小説書いて補完しようと思います。
坂神さんの永遠の絆で私が言ってたセイロンの切り札はこれです。血壊のやばさについてはノーゲーム・ノーライフの小説かアニメを見た方が早いんですけど。物理法則無視の力なんで、空中で二段ジャンプしたり、五感をフルに使ってコイントスでのコインの裏表を見極める事が出来るぐらいにすげーです。とりあえずいづなたんきゃわいい。
そんなこんなで次回!!
- Re: 【SS集】クリエイティヴ・ワールド ( No.97 )
- 日時: 2016/04/10 13:53
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: w32H.V4h)
ーーー血液が激流を起こしたような苦しさ、といった方が正しいのか。セイロンの魔力は龍人特有の癖があるからこそ魔力感知がしやすいのだが、今感じる彼の魔力はその癖が何倍も跳ね上がったような魔力を伊那谷は感じた。あまりにも異常な魔力にそこまで感知に秀でていないポムニットでさえ、驚く始末だ。
「いいい伊那谷さん!本当に、ここにっ、セイロンさんが居るのですか!?」
伊那谷達は今、常闇に不似合い過ぎる中国風の屋敷にいた。そう、不似合い過ぎる…それがここに来た理由だった。
「常闇にゃあ実質一人しか住んでいないんだよ!こんな屋敷、どう考えても影の仕業だ…よし、開けるぞ」
二人はセイロンがいるであろう部屋へとたどり着く。いや、扉が普通の部屋にしては立派なので部屋といえるのかは疑問だが…とにかく、ここにいるのは間違いないだろう。二人はゆっくりと扉を開けたーーー瞬間、
「……オォォオォオオオォッ!!!」
獣の遠吠えに似た叫びが、鼓膜を貫く。それが、瀟洒で陽気な貴人であるセイロンの叫びなら尚更。
そして伊那谷は先程から予想していた事が的中した事に苛立ちを覚え、舌を打つ。何故なら、セイロンが今やっている事はあり得ないものだったからだ。
「セイロン、さん…?一体どうなって」
「…【血壊】だよ。あいつの故郷であるシルターンどころか、お前らが知る他の世界の意志ですら知らない才能。体内魔力を暴走させることによって、【物理】という定められた理から外れる事が出来る」
「理から外れる…!?それはつまり」
「賢いのは罪だねえポム子…そうだ。あの状態でのセイロンはただの龍人サマとは言い難い。言うなれば、【外理者】のそれだよ」
【外理者】(がいりしゃ)。造り、管理する役割を全うするために敢えて理から別れた【別理者】とは違う存在ーーー役割を持たないけれども、望んで理から外れてしまった存在…それが、外理者なのだ。
(その種族にしかない力を教えられるのはあいつしかいねえ。あんのババア…一体、何のつもりだ?)
「あっ、伊那谷さん!セイロンさんが動きます!」
セイロンは床を蹴り、その場から真っ直ぐに飛んだ。否、蹴ったというよりは喰らうように貪った、と言うべきだろうか?床は無残にも抉り取られ、入り口にいた伊那谷達もぐらつきそうになる程に床が割れた。
「シャアアッ!!」
「なっ…!?」
彼は壁などに足をつけず、空中で空気を踏み潰すかのように足蹴し、銃弾のような勢いで影の頭を叩きつける。
「ぐはぁ…ッ!?」
「カッ、カカッ…ぁは、あははははははは!!?」
セイロンは血を散らしながら笑っていた。いつもの気品が漂うものではなく、顔の皮膚が裂けそうで…それこそ野蛮で醜い、猛獣の姿へと成り果てていたのだ。
影はというと、彼の一撃で姿が揺らいで形を失いかけている…呆然としていたポムニットは正気に戻り、必死に呼びかけた。
「セイロンさん!影はもう動けません、落ち着いて下さいまし!?」
「うぅ、ウウゥ…!」
セイロンは聞こえていないのか、影に殴りかかる。その姿に伊那谷は「止むを得ん…っ!」と何かを取り出し、暫し話をしてからセイロンに差し向けるーーーと、
『ーー何してるの、セイロン!!』
「!?」
リィンバウムどころかロレイラルですら未知に近い機器のひとつ、携帯電話から音量最大で聞こえたのはよく通る凛とした女性の声だった。
「ユー、イン…?」
その女性はセイロンの大切な幼馴染、ユーインの声。それを理解したセイロンは先程までの暴れっぷりが嘘のように落ち着き、髪色や目の色も本来の柘榴色へと変わっていった。
「……す、すまぬ」
『謝罪で済むなら血壊なんていらないわよ!それに師傅様にも言われたでしょう!?あの力は私達が共に行動した上でどちらかひとりが使えって!それなのに貴方は』バギィッ!!
…と、ここで耳に悪そうな音が聞こえ、そのまま通話は切れた。伊那谷はそれが何なのか察した。
「あいつ、思いっきり握り潰して壊しやがったな…!?アレって兎斗に作ってもらった端末だぞ?や、やべえ、怒られる…」
伊那谷は少々絶望していた。そんな中、影は灰のように散り散りになり、セイロンの姿へと戻った。ばちばちと姿を保つのはどうやら限界のようだ。しかし…
「消えたくない…悲しいまま、消えたくない…っ」
その気持ちは本物らしく、影はぽろぽろと涙を零す。セイロンは影に近づき、座り込む。
「………そうよな。悲しいのは分かるよ…先程、理性がなくなる寸前まで考えていた。我は、我が信じられない。だからこそ、貴様を…手前を拒絶したのだろうな」
「………………」
「立場という重圧は自信を無くすには十分だった。しかし、完全に無くしたのはあの日からだろうな…自分に情けなくて、泣きたかった。けれども、我の立場が強すぎて、泣くことは許されなかった」
………でも
「手前と向き合って理解した。いつまでもこうして、抑え込むように心中泣きじゃくるだけでは、自信など到底つかぬ、前には進めぬ、とな…頭は足りなかったが、誰よりも満ちていて頼れる彼奴はもういない。だからこそ、我が彼女の傍にいなければならない。例えそれが偽善だったとしても、我が我を信じられなくなろうとも…彼女だけは信じてみたい。
ここへ至るまで遅くなってしまったが…自信がないのも、嫉妬するのも、弱虫なのも含めてーーー我は手前で…手前は、我よ」
そうか、とーーー
影はふっ、と微笑み、闇へと溶けていった。そしてそれは光となり、曇り、重くなっていたセイロンの心を照らすには十分だった。
「…っ!」
「セイロンさん!」
しかし、身体は激しい反動で動けなくなる。影と相対した精神的な疲れもあるのだが、血壊使用許容時間を超えてしまったのもあるのだ…はっきり言って自業自得だろうな、とセイロンは激痛の中、思った。
「今すぐ治療を…!」
「やめとけポム子。血壊を解いた後でも魔力の流れは不安定のままだ。そのまま魔力による治療を行うものなら、より魔力が不安定になって悪化するだけなんだよ…まずは、流れを治さなくちゃな」
と言って伊那谷は、彼の角に触れる。龍人にとって角は魔力を貯蔵する核であると同時に、敏感な部分でもある。そのため、セイロンは今にも出そうな声を堪えていた。
「っ……」
「擽ったいだろうが、我慢しろよ…今から魔力を流れに誘導、補強するから」
彼女の指先から魔力が溢れる。それは心地よく、全身の激痛が嘘のように和らいでいく。逆流していた血液の流れも、とくとくと落ち着きを取り戻していく。そして痛みがほぼ無くなったところで、伊那谷は角から手を離した。
「……よし、こんなもんだろ。どうだ?」
「何とか動けるようには…ありがとうございます」
「いいよ。魔力の扱いについては、誰にも負けない自信があるからさ」
伊那谷ユウナ…もとい、ミルヴァーナの特色は【魔力】。他の始竜に比べて魔力保有量は圧倒的に一番だし、その扱いもまた、見事なものだった。魔力の豊富さはリィンバウムにすら勝るサプレス。その始竜だからこそかもしれない。
「さて、少し休憩したら出発だ…っと、その前に。セイロン」
「はい?」
「言いにくいんだがな、その…格好が割とギリギリだぞ?」
セイロンの服は、血壊での無茶な動きについていけなかったのかボロボロだった。美青年の半裸…その光景は一部の皆様には眼福だろうが、その他にとっては羞恥で目を逸らしてしまう光景でもあった。伊那谷はこれでも着てろ、と外套に似たマントを差し出した。
「あとひとつ。いくらあの状況が不利だったからって、あまり無茶はすんな。私達じゃあ頼りないかもしれんが、それでもお前の事が心配なんだよ」
「そうです!大怪我をするぐらいなら、私達を頼って下さいまし!」
二人の言葉にセイロンは小さく、ありがとうございます…と感謝したのだった。
- Re: 【SS集】クリエイティヴ・ワールド ( No.98 )
- 日時: 2016/04/11 20:53
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: O0NjrVt8)
備考よ、備考、久々の備考ですよ!
…うん、毎回このノリですいませんね。でも何か言わないといけない感があるんでお許しください。
つーかセイロンが壊れまくりですね!!もうここまで来たら開き直るのが筋ってもんですよ!(どの筋だ)
さて。今までの話を含めて話します。獄都は言わずもがなフリゲである『獄都事変』に出てくるあの世の都市、獄都そのものです。原作キャラである災藤とオリキャラである悲倉はゲストで出しちゃってます。ちなみに悲倉についてざっくり説明すると…メイドウィン戦記に出ていた癒良の補佐官です。まあ言わば肋角さんの補佐官である災藤さんと同じポジションですね。見た目は幼女ですが、彼とそんなに年は変わらないし、実力もあるようです。ICVは堀江由衣さんな。よくテンパる可愛い眼鏡っ娘です。
そして獄都商店の獣人店主さん…男ですが歌舞伎役者の如く女装している綺麗なお方です。獣人といっても人間にケモミミと尻尾生えた程度ではないですよ。マジな獣人だよ。たまーに仕入れなどで異世界を渡り歩いてます。リィンバウムと四つの世界あたりにも顔を出すこともあるみたいなので、もしかするとspiralか歪んだ世界あたりに出るかも?
で、影は勿論『ペルソナ4』から。ただし常闇のシャドウはペルソナ覚醒しないやつ。常闇に入ってきた者のコンプレックスや弱味を刺激して最終的には殺そうとするような迷惑極まりないやつです。嫌だね!
そしてセイロンとユーインが師傅と呼ぶ人物は一体何者なのか。プライベッターには書いてありますが、結構大物っぽいです。伊那谷的にその人のキャラデザは大体決まってるんですけど、とにかく前髪が芸術レベルなんだよね…簡単に言うと前髪が異常な位にないぱっつんヘアです。ぱっつんぱっつん。それもこれもサモンナイト4のデコ出し率高いからね、仕方ないね!
次回は最後の試練…の前に、長々と色んな用語についての説明をするかもです。主に魔力のサイクルとか。ちゃんと出来るかなー…
では、次回!
- Re: 【SS集】クリエイティヴ・ワールド ( No.99 )
- 日時: 2016/04/13 23:32
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: O0NjrVt8)
「しかしまあ、獣人種ではないお前が血壊を扱えるなんてな…世も末、というか、世知辛いというか…」
常闇道中。霧も薄れ、それなりに進みやすくなったためか、雑談染みた話をする一同。話題は勿論、血壊についてだった。
「血壊については師傅から粗方聞いていますが…やはり、我のような者は異端なのですね」
「そうだな。そもそも血壊というのは獣人種が持つ平均的な精霊の保有量…お前らに分かりやすく言うと魔力の保有量な?そいつが少ないからこそ、血壊という手段が見つかったんだ…ハナから魔力が多い龍人が使う手段じゃねーの」
魔法が使える程の量がないとはいえ、せっかくの精霊を使わないというのは宝の持ち腐れだ、というのもあるのだろう…獣人種はよくもまあ、あのような反則級の技能を編み出せたものだ。
「そうだ、魔力といえば…魔法って言葉、分かる?」
「魔法…?確か、サプレスの皆さんが使う力ですよね?」
リィンバウムにとって魔法は主に、サプレスの住民が使う能力といった意味合いで通っている。そしてその魔法などをリィンバウムの住民が使うとするなら、召喚術で誓約した召喚獣を使役する他ない。実質、リィンバウムの住民には魔法は扱えないといっても良いだろう。
「魔法というのはヒトではない何かに力を借りて、世界の理を超える『奇跡』の事。簡単な例は魔力だな。大気や自身に宿る魔力を消費して『結果』を起こす…それが魔法だ」
「成る程。では、召喚術や妖術の類もそちらに?」
「うーん…妖術は魔法に分類されるだろうけど、召喚術は違うかな。召喚術は魔法というよりも『魔術』。魔術は理を超える魔法とは違ってさ…世界の理を文字通り『理解』し、組み替え、書き換えることによって『結果』を起こすんだ」
例えるなら勉強。勉強して内容を理解し、その理解した事をテストで実力を発揮、そして0点だろうが必ず点数が出るというものこそ『結果』なのだ。
召喚術は元々、界の意志がリィンバウムの住民へ異世界からの侵略に対抗、もとい対応する為に与えた手段である『送還術』からより応用し、発展させた『結果』なのだ…送還術が理とするなら、召喚術はその理を書き換えられたからこそ、召喚術は魔法ではなく、魔術に分類される。それを理解したセイロンは深く頷いた。
「ふむ。確かに妖術は親神や妖の力を借りるものもあれば、自身の妖力を具現化するものもあります。それらを極めれば人智すらをも超える…言われてみれば魔法ですな」
「ちなみにメイトルパの呪術は大自然の力を借りて使うから魔法だ。で、意外だろうけどロレイラルの機械を作る技術ってのも魔術に分類される」
「機械というのは様々な法則…理を組み合わせて作るものだからこそ、魔術に分類されるのですか?」
「そうそう」
ロレイラルの召喚術を専門とするブロンクス家に仕えているからこそ知っていたポムニットの言った通り、機械というのは元から存在する理を複雑に組み立てて作り、そして成立させた『結果』なのだ。そんな機械を多種多様するからこそ、ロレイラルは確立した文化を築いているのだ。
そして伊那谷は、だからサプレスとロレイラルは相容れねえんだろうな…と言った。
「えっ、どうしてです?」
「魔力がありふれているからこそ魔法オンリーであるサプレスと、魔力が干からびているからこそ魔術オンリーであるロレイラルが!おてて繋いで仲良しこよし出来た試し、あったかね?…いや、ないよね?だって実際、大昔はこの二つの世界を筆頭に、異世界侵略があったんだから」
あまりにも持て余し過ぎて逆にもっと欲しくなった世界と、あまりにも足りなさ過ぎて奪う事にした世界ーーー似ているようで似ていない二つの世界が未だに犬猿なのも、なんだか分かるような気がする。
「結局、魔法は所謂ぶっつけ本番なんだ。何せ理を超える『奇跡』だからさ…理に沿う『結果』とは違って、答えが必ず正解だけとは限らん。故に魔法は万能ではないーーーかといって、魔術ばかりに頼れば理そのものを壊しかねん。実際、ロレイラルに自然や生き物がいないのが答えだよ」
それならほどほどにしろ、と言いたいところだが無理だろうな…と伊那谷は心中にて呟いた。そんな事が最初から出来ていたなら、エルゴの王が…初代誓約者が、死の寸前まで嘘を背負って苦悩する訳がなかったのだ。
(なあ王サマ…私達はいつまでこいつに苦労すりゃあいいんだろうな?メイメイが疲れるのも、よくわかるわ)
伊那谷は古い時代からの知己を思い出す。彼と約束して、汚れを知らない清廉潔白な乙女の如く、一途にその約束を全うしている彼女を伊那谷はただ、見守るしかなかった。
(まあ、いつまでも見守るのは性に合わねーからこそ、私は楽園へ帰ってきたんだがな)
「…伊那谷殿?どうかなされたか」
セイロンの呼びかけにはっとする伊那谷。いけないいけない…といつものように笑った。
「いーやなんでも?…さて、着いたようだな」
☆
文字数オーバーにつき、一旦切ります
- Re: 【SS集】クリエイティヴ・ワールド ( No.100 )
- 日時: 2016/04/13 23:46
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: O0NjrVt8)
ーーー赤い門だった。切り立った岩壁に埋め込んだかのようなその門はまるで業火のよう。それを初めて目の前にして動揺しない者はいないだろう。実際、二人は何かしら感じていたのだから。
「さて。さっきまで死ぬ気で頑張っていたセイロンには悪いけど、仕事を与えようか」
「仕事、ですか?」
「うん。正直に答えてくれ…血壊はまだ、使えるか?」
セイロンは難しい顔をする。伊那谷には魔力と身体諸々、治療されてはいるが、その疲れは尋常ではなく、もうしばらくしないと全開で戦う事は出来ない状態だった。それを伊那谷に伝えると「いや、戦わなくていいんだぜ?」と返してくれた。
「私が頼みたいのはお前が感じ取れる最大範囲での魔力を感知する仕事なんだ」
「伊那谷殿…失礼ですが、魔力感知にわざわざ血壊を使うのは何か意味があるのでしょうか?」
「……えっ?」
「えっ」
何かまずい事を聞いたのだろうか?伊那谷は意外そうな顔をしていた。しばらくして考えがまとまったのか、その理由を教えてもらった。
「あのなぁ…血壊は身体性能を高める技能だぞ?それならその性能のひとつである五感だって高まるのは当たり前だって。ほら、あの状態でそいつの動きもゆっくりに見えたり、痛覚が鋭くなっている感じとか…お前にはないの?」
言われてみればそうだ。あの状態ではいつもより目がよく見えて集中出来るし、魔力の気配や匂いがより明確になっているのも確かによくある。それなら魔力感知をしろというのも頷けた。
「…動かない場合ならば、可能です」
「十分。頼むぜ」
セイロンは息を吸い込み、止めたーーー同時に止まった心臓が飛び跳ねるかのように、身体が弾けた。目に映る自身の髪が黒になった事を確認したセイロンは些細な点すらも逃さんばかりに集中する。
「フゥゥゥゥ………!!」
獣のように唸りを上げ、周囲に意識を向ける。それはさながら『結界』ーーー張り詰めるようにしてらしきものを探り当てた。全てを見つけた後、セイロンは血壊を解いた。
「…ッ!?はぁっ、はッ」
「セイロンさん!」
ポムニットはセイロンに駆け寄る。どうやら集中し過ぎて呼吸を忘れていたようだ。意外と変な所で要領が悪い男である。
「伊那谷殿…感じ取る事はできましたが、その…これは何と表現すればよいのやら」
「じゃあ感じ取れたものそのまま表現すれば?」
何とも酷い投げやりである。セイロンは難しい顔をしながらも答えてくれた。
「ざっと百ほどの気配をはっきりと掴みましたが、どれもその…サプレスの悪魔とシルターンの鬼が混ざったようなものばかりでした」
「悪魔と鬼…でございますか?」
「あー…そういう事ね?そりゃあお前も色々悩むわな。じゃあ入るか」
と軽く言った所で伊那谷は、フラフープに似た天使の輪らしきものを取り出した。
「え、何を…」
「え、ノックだけど」
天使の輪は紫に光り、大きくなる。伊那谷も姿が変わり、悪魔とも見てとれる黒い天使へと変化する。
「駆けよ震闇の大公ーーー『混沌の騎士』(ツヴァイレライ)!!」
輪から出てきたのは、骸骨と化した馬に乗った騎士。その巨躯と常闇に勝るとも劣らない程に漆黒の鎧は恐怖を与えるには十分だった。騎士は槍を構え、門へと突撃するーーーって!
「い、いな……きゃあ!?」
門は散り散りとなり、派手に壊れてしまった。その衝撃にポムニットとセイロンはぶっ飛びそうになった。
「ふぅ…ノックはしたし、入ってもいいだろ」
「これをノックと言い張るのはどうかしてますからぁぁ!!?」
「しかしまあ、その…派手にぶっ飛びましたな…」
「派手な門に地味さを求めるなんて、セイロン君ってば難題を吹っ掛けるのが上手いねぇ〜」
「そういう貴女は面倒事を新たに増やすのがお上手で」
「やだなぁ、褒めないでよ☆」
褒めてねーよ…と言いたいところだが、これ以上本題が進まなくなるのは大問題だ。仕方ないので一同は門の向こうへと行く事にしたーーーしかし
「………ノックというには派手やと思いますよ、伊那谷さん。最早これはデッドボール扱いやと思うんですけど」
「!?」
彼女の少々訛っている言葉以上に、威圧感が自身の首を絞めている事をセイロンとポムニットはやっと気づいた。
乾いた血のように暗く、深く、赤いドレス。そのドレスに美しく映えている似紫から露草へと変わる長髪。まるで夜へと移り変わる夕暮れのような彼女は、どこまでも澄んだ翡翠の目で見下ろしていた。
「初めましての人は初めまして。闇を、死を識る者ーーー『冥帝』というんは間違いなく、私です」
☆
備考はまた次回にでも。
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