二次創作小説(新・総合)
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- マスターさんは晩御飯に悩んでいる。(完結)
- 日時: 2019/02/02 11:37
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
原作『衛宮さんちの今日のごはん』『fate/grandorder』
この小説は原作者もちょくちょく描いているらしいFGOの平和世界をうちなりに書いてみたものです
【注意】
基本俺の使っている鯖が登場し、持っていないキャラは出ないかもしれない
俺は無課金プレイヤー
他で見ない主人公のキャラ付け
原作とは違い料理のことはあまり知らないので、あくまで『あの作品のような平和な世界』を重視していきたいと思います
料理は基本的にレシピサイトからの引用
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.3 )
- 日時: 2018/12/15 22:25
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
...
午後六時、まもなく夜。
ようやく私は仕事から解放され、帰りの電車に乗っていた。
ジャックは私にもたれ掛かって静かに眠る...だが、私は悩んでいた
「ハンバーグ...作れるかなぁ」
正直ハンバーグはあまり作り慣れてないとか、安い肉があったらいいなとか、豆腐を入れたら怒るかとか、どうでもいい事ばかりだが...
だが、ジャックと約束してしまった以上しっかりと作ってやらないとな
「あっ、そろそろ着くぞ」
「うん」
ジャックの肩をさすって起こし、私の住む○○駅へと降りていった...
...
「よし、早速買いに行くとしよう」
私はジャックの手を繋ぎ、カゴを掴みとってスーパーへと入る...この瞬間は本当に親子みたいだとつくづく思う
ハンバーグなら必要なのは合挽き肉ぐらいだ、安いのを買えば充分なんとかなる。
後は玉葱だろうか...ハンバーグの見映えがよくなるし、余ったら味噌汁の具にも使える
後はそろそろ無くなりそうな日用品でも買っていくか、よし
メニューを考えていると、ジャックが服の袖を引っ張っていた
「どうしたんだいジャック」
「おかあさん、あそこ」
ジャックは肉売り場とは別のところを指差す、じっと見渡してみると...見覚えのある姿があった
柄のないシンプルな衣服、眼鏡に今時のおつかいメモ
「マシュ...?」
マシュ、『マシュ・キリエライト』
どこか遠く、海外にある本部から派遣されてきた私の後輩だ。
とても優秀でどうして日本にやってきたのかどうにも分からない不思議な人物だが...悪い人ではない
「マシュ!」
「あっ...先輩、お疲れ様です」
私はジャックを連れてマシュのところに駆け寄る、お互いこんなところで出会うとは思わなかったので凄く驚いている
「まさか君もここで買い物しているなんて...晩御飯でも探してたの?」
「あっ、はい、先輩もですか?」
「ああ、まぁ献立は決まってるようなものだけどね...マシュは?」
「それが...私、献立を自分で決めたことが無くて」
「え?」
「カルデア本部では決められた食事を用意されてましたから...」
はあ...向こうは給食みたいなものでもあるのかな。
給食を考える人は栄養バランスとか考えながら飽きないようにメニュー考える必要あるから、憧れるな...
「それなら一緒にハンバーグ作らない?」
「えっ」
あっ、しまった...余計なことを考えてたら変なことを口走ってしまった、急に晩御飯誘っちゃ悪いよな、謝らないと
「あっ、ごめんマシュ...今のは」
「良いですよ」
マシュの顔を見る...不思議と怒ってるようには見えない
「一緒に作りましょう、先輩」
「え、で、でも君の献立は...?」
「私、一度でいいから料理を作ってみたかったんです」
あ、ああ...そういう事か
こんな事言われたら引き下がれない
「おかあさん?」
「うん、とりあえず...合挽き肉と玉葱買わないとね」
「たまご!」
「あっ、そうだった!あやうく明日の朝御飯も悲惨なことになるところだった」
私は篭にハンバーグの材料と明日の朝御飯の準備を詰めていく
「それでは先輩、また店の外で」
「あっ、うん...またね」
後輩と料理...責任重大だ
もしマシュに怪我でもさせたら私の首が飛ぶだけではすまない....慎重に動かないと
「おかあさん、こぜにたりてない」
「うわっ、6円足りない!...あっ、50円玉がたった」
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.4 )
- 日時: 2018/12/15 22:27
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
なんとか買ったものを鞄に詰めて外に出ると、レジ袋を片手に持って手を降るマシュの姿が見えた
「ごめん、待ったかな?」
「いえ、私も済ませてきたところです」
「...じゃあ、行こうか」
「はい」
いつもの道を通り、アパートへと到着する
正直ここに招くのも申し訳ないが...私の給料ではここがやっとだった
「どうぞ、狭い部屋だけどごゆっくり」
「お邪魔します」
玄関を越えた私は袋を開けて買ってきたものを確認する...卵1パック、玉葱2個、合挽き肉300グラム、買い忘れもなし、と
食材を丁寧に冷蔵庫に入れている最中、マシュは私の汚れた台所を見渡していた
「先輩はいつも自分で料理を作っているんですか?」
「まあね、あの子にコンビニ弁当ばかりは可哀想だし外食もあまり出来ることではないから」
「ジャックさんの為にですか?」
「...おかしいかな?」
「いえ、素晴らしいと思いますよ」
なんて優しい後輩なんだ、私の上司は口を開けば残業がどうとか奴隷が何だとか、私やジャックを見下すような事ばかりしか言わないというのに
「ハンバーグ、私も一生懸命作ります」
「ああ...作り方は知ってる?」
「いえ、本である程度見たことはあるんですが」
本当に料理の事は知らないようだ、最大限気を使えばマシュの身に何か起きることもないだろう
「よし...じゃあ、作ろうか」
「はい、よろしくお願いします先輩!」
初めてだな...誰かと一緒に料理をするのは。
親離れして早2年、最初は生きていく為だけに料理について簡単に学んだだけだったが...
「先輩、まずは何をすれば?」
「あ、うん...まずは玉葱を冷水で冷やして微塵切りにしようか」
「はい」
...
「そろそろいいか...マシュ、玉葱を取り出して」
「はい」
マシュは私の台所から包丁を取り出し、玉葱を立て慎重に切り始める
その間に私はボウルを用意し、冷蔵庫から砂糖、塩、胡椒、牛乳...そしてパン粉を用意する
本当はにんにくも欲しいのだが予算的に足りなかった
「先輩、どうして玉葱を冷やしたんですか?」
「玉葱を切ると涙が出るって聞くかな?前にテレビで見たけど冷やしたらそういうのが無くなるそうなんだ」
「へぇ...だからこんなに手が進むんですね」
「一応指、気を付けてね」
「お気遣いすみません」
マシュが刻んだ玉葱をすくい、私はフライパンで黄金色になるまで炒め上がる
「マシュ、玉葱を炒め終わったらそこのボウルの回りの材料を入れるぞパン粉、牛乳、砂糖、塩、胡椒の順番で」
「分かりました」
私は玉葱に限らず野菜を炒めるのは少し苦手だ、朝のキャベツも少し焦がしてしまったくらいだ
だがジャックが待ち望んでいるハンバーグな以上、焦がすわけにはいかないな...じっくりとフライパンを動かして混ぜていくと、どうにか綺麗な黄金色になっていった
「マシュ、玉葱入れるよ」
「はい!」
フライパンから玉葱をいれ、調味料を入れて二人で握るように混ぜ合わせる
「こうやって調味料と混ぜ合わせるように握っていって...混ざったら練るようにかき混ぜる」
「こうですか?」
「そうそう、こんな風に...」
...ふと後ろを向いたら扉の隙間からジャックが覗いていた、何?嫉妬?私そういうのではないからね、ただ料理してるだけだから、うん
とにかく冷静に、練り終えた肉を三等分に分けて取り出す
「この後は片手から片手へ軽く投げて形を整える...聞いたことあるかな?」
「はい、確かこうやって...」
「じゃ、マシュに任せて今のうちに味噌汁の為の玉葱でも切るかな」
不思議だ...最初はただ、生きていくためだけ、ちゃんと栄養をとるために手料理を始めた...
だがジャックが来てからは、あの子が美味しそうに私の作った料理を食べてくれるのを嬉しく感じて、もっと頑張るようになって...
「...ああ」
そして、一緒に料理を作る相手がここに居る
料理をすることって、こんなに楽しい事だったのか...
「形、整いました!」
「よし、あとは焼き上げるだけだ!」
こんな毎日を...生きていたい
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.5 )
- 日時: 2018/12/15 23:35
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
...
「「出来た!!」」
どうにか大きなハンバーグを焼き上げ、それぞれの皿に運びながらジャックに呼び掛ける
「ハンバーグ!」
「ほら、ちゃーんと約束は守ったよ」
「やりましたね、先輩」
「いや、まだだよマシュ...見映えはよくてもちゃんと出来たかどうか...」
ハンバーグを箸で切り、口に入れる...
「...美味しいな」
「ほんと?...うん、そうだね!」
ジャックはハンバーグを丸ごと掴んで口に入れ込む
「おいおい、君はもう少し味わいというものをね」
マシュは慣れない手付きで箸を使い、ハンバーグを切って口に入れる...
「...美味しい。」
マシュの顔から自然と笑みが零れる、そういえばあの人の心からの笑顔なんて見たこともなかった...
「どうだった?初めて作ったハンバーグの感想は」
「はい、とても楽しかったです、いい経験になりました...今回はありがとうございました、先輩」
「ああ、私も楽しかった...」
「たべないの?」
「あっ」
私は皿を見る...そういえばさっきの一口しか食べてなかった、もう一口味わいたい...ああ、美味しい...
どこか隠し味も変わった要素もない普通のハンバーグ。
だが、マシュと一緒に作ったこの料理...私にとっては贅沢すぎるものだ、この出来事は絶対に忘れない...
だが...
「マシュ!」
「先輩!」
「また...一緒に作らないか!」
「またいつか誘ってください!」
...えっ?
「あっ、その...すみません、迷惑ですよね」
...
「いや...いいよ」
「えっ?先輩...」
「君が望むなら、また家に来て...一緒に晩御飯作ろう!」
「...はい!」
...我ながらとんでもない事をとんでもない人に言ってしまった
相手は本部の人間...立場こそ私が上ではあるが上の圧力的には不利、何かあったら私は...
と、本来なら心配することなのだが...今の私は嬉しさと期待で胸がいっぱいだった
次にマシュを誘うときは...何を晩御飯にしよう?
料理を作ることをよりいっそう楽しむことが出来るようになった私はいい気分で皿を洗う
「なんだか私の人生、捨てたものではないかもしれないな...平和っていいなぁ...」
平和?急に何を言っているのだろう、私は
平和なんて当たり前のことじゃないか
END
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.6 )
- 日時: 2018/12/16 17:43
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
『第二話』
【タコヤキ】
「ふう...んん」
時計を見る、六時半。相変わらずいつもの時間だ。
そしてまたいつものように朝御飯の準備を...と、考え起き上がろうとしたが背中にずっしりと重みを感じた
「あれ?ジャックか...?ん!?」
私の背中に...マシュがくっついて...
「えっ!?」
「あっ...あっ!?すみません!!」
驚いた拍子にマシュも目が覚めて、私から離れる
...ああそうだ、昨日ハンバーグを作った後にもう夜遅いからと私の家に泊めたんだった
「いや、気にしないで...じゃあ私、朝御飯作るから...君も食べてく?」
「い、いえそんな悪いですよ!私買っていくので失礼します!」
マシュは荷物を持って部屋から出ていく...そういえばあの子普段何を食べているんだろうか、気になるけど...調べるなんてストーカーみたいなことはしないが
「おかあさん」
さっきの騒動でジャックも目を覚ましてしまったらしい、私はマシュの事は一旦忘れ朝御飯に取り掛かった...
...
「よし、今日も遅刻せずに入社できた」
午前八時、朝食を済ませ電車を乗り継ぎ毎日300円かけて辿り着く職場...『カルデア日本支部』
公務員のような仕事らしいのだが、まだ入って2年ちょっとなので対した仕事はもらえていない、給料も微々たるもので上司からの圧力も胃に悪い。
私が一体何故そんな職場を選んだのかと言われると、それはもう「この仕事がやりたかったから」としか言いようがない。
それにこの仕事が嫌いなわけではない、この場所がきっかけでマシュとジャックに出会えたのだから。
「さて、今日も頑張るかね...行くよ、ジャック」
「うん」
ジャックも少女その物のような見た目をしているが、私と一緒に働く同僚...というよりは、相棒みたいな存在だ、下手したら私以上に有能なのだが...私より上司からの態度が酷い。
可哀想だが私にはどうにもしてやれない、せいぜい慰める程度だ、この時だけは無力な自分を死ぬほど恨みたくなる...が、資料の山を見ていると、そんなことすら考えられなくなってくる
「...昼御飯はおにぎりでも買っとくか」
時折時計を見ながら仕事を済ませていくと、突然アナウンスが流れる
【えーと...あっここか、Dチームの藤丸立香...でいいのかな?】
【至急相談室に来るように】
...えっ?
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.7 )
- 日時: 2018/12/16 22:01
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
「えっ、私呼ばれた?」
えっ、何?呼び出し?私呼び出されるような事したかと考えた...そうだ、マシュのことだ
よくよく考えれば本部の人間を連れ出して家で泊めるなんてとんでもないことだ、なんて軽はずみな事をしてしまったのだ
「どうしたの?」
ジャックも心配そうに私の方を見る、やばいどうしようリストラしたらこの子がぴょーん!
...
「はぁ...減給とかで済めばいいけど...いや、私にとってはそれでも致命的か...」
脳内が錯乱しながらもどうにか私は会議室へと辿り着く...何されるんだろう私、明日も無事に生きていければいいけど
「失礼します」
「おお、来た来た」
会議室は一人...見たことのない茶髪の女性がソファの真ん中に座っていた
日本支部では見たことのない人間だが、私の想像しているマシュ絡みならすぐに分かる...本部の人間。
謝罪ではすまないけど、言っておかなくては...
「あの、私...」
「まあとりあえず、そこ座りなよ」
「は、はい...」
今日ほど背筋が凍る日もないだろう、正直早く話だけ聞いて楽になりたい
「君も想像していると思うけど、マシュの事なんだけど」
「やっぱり...その、申し訳ありません!」
「君料理できるの?」
「え?...で、出来ますけど言うほどではありません、調理師免許とかはありませんし...」
「へぇ...まぁそのことはいいよ、今日あの子が来たとき妙にご機嫌だったから聞いてみたら君の事が出てきたんだ」
「マシュが?...あの、貴方は一体?マシュとどんな関係で?」
「ああ、そういえば言ってなかったね...日本人はこれを渡すのが風習なんだろ?はいコレ」
そう言って女性は私の目元に名刺を置く
...『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
レオナルドとはあの絵描きのレオナルドの事なのか?まさかそんな...その人は男性、今目の前に存在する人物はどう見たって女の人だ。
「私はマシュと同じで本部からやってきたんだ」
「は、はぁ...」
「それで本題に戻るが...別にマシュの事を咎めるつもりはないことは分かってほしい、むしろ感謝しているんだ」
「感謝?どういうことです?」
「あの子が喜んでる姿なんて、初めて見たから...どうも料理を趣味として始めたくなったそうな」
マシュがそんなことを...料理を自分からするようになるって、それほど楽しかったのか...あの出来事が...
「ははあ...それを伝えるために私を?」
「もちろん君に頼みたいことがあって呼んだが...今仕事中だね?」
「あっ...」
「では午後六時にまた入り口で会おう、さあ頑張ってきたまえ!」
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