二次創作小説(新・総合)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- マスターさんは晩御飯に悩んでいる。(完結)
- 日時: 2019/02/02 11:37
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
原作『衛宮さんちの今日のごはん』『fate/grandorder』
この小説は原作者もちょくちょく描いているらしいFGOの平和世界をうちなりに書いてみたものです
【注意】
基本俺の使っている鯖が登場し、持っていないキャラは出ないかもしれない
俺は無課金プレイヤー
他で見ない主人公のキャラ付け
原作とは違い料理のことはあまり知らないので、あくまで『あの作品のような平和な世界』を重視していきたいと思います
料理は基本的にレシピサイトからの引用
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.63 )
- 日時: 2019/01/28 22:36
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
藤丸は『正義の味方』の三話をじっくりと見ていると、清姫が後ろから話しかけてくる
「藤丸様、貴方は嘘をつかない方なのですね」
「え?なんでそう思ったんですか?」
「わたくし、ウソをついてるかどうか分かるんです」
「へぇ...そいつは凄い」
立香は把握していないが清姫やジャックといったサーヴァントには特殊なスキルが存在する、代表的なものだとメイヴ等が該当する【ライダー】の『騎乗』はあらゆる乗り物を乗りこなすことが可能とされるスキル、ジャックは『外科手術』というスキルで簡単な治療を行うことが出来ると言われている
「不思議だなぁ...ああ、そうだ清姫さん」
「なんでしょう?」
「貴方のマスターってどんな人なんですか?」
「旦那様以外の何者でもありませんよ?それがなにか?」
「うーん、信頼はされているようだな...貴方の事で何か気にかけていたみたいだし...あともう1つだけ、なんで彼は私達に電話をさせたの?」
「あの方によると試したかったそうなのです」
「試す?何を?」
「私を預けるべき者が嘘をつくか否かをです」
「ああ...なるほど」
立香は何となく分かった、こんなに綺麗な人が『ますたぁ』と言えば素直に応じてしまう人が出てくるだろう、というよりはそう答えたものが居るのかもしれない、しかし立香は冷静に違うと答え続けた結果、彼に任せておいても大丈夫と判断されあの日呼び出されたのだろう
「サーヴァントの事をよく考えてはいるが...君も大変だっただろう?毎日毎日...」
「いえ、マスターの命があればどんなことでも行いますわ」
『テレビの前の皆!嘘をついても良いことなんて何もないぞ!正直に生きよう!』
『だけど嘘は中々分からない!結局のところ嘘か本当かは言った本人にしか分からないんだ!言葉には気を付けよう!』
いつものお決まりの言葉と共に『正義の味方』第三話が終了する
立香はDVDを切ろうとするが、清姫がリモコンを取って巻き戻しボタンを押す
「どうかしました?」
「この話、もう一度見てもかまいませんか?」
「あっ、どうぞ...その間私は牛丼作りますので」
立香は立ち上がって台所へと向かう、清姫は番組をじっくりと眺めながら軽く呟く
『私たち、皆正義の味方が大好きだよねー!』
『私たちの為にこれからも頑張ってね!正義の味方さん!』
「...嘘を、ついておいでですね」
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.64 )
- 日時: 2019/01/29 09:53
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: 4V2YWQBF)
「よいしょっと」
立香は山盛りの米を炊き上げ、大きなお椀に詰め込み焼き上がった牛肉を乗せる
「流石にこれだけだと味気ないな...ジャック!」
立香は手を振ってジャックを呼び寄せる、ジャックは嬉しそうに立香に張り付いて牛丼を見る
「追加で欲しいものはあるかな?」
「ねぎたま!」
「よし分かった、じゃあこれを頼む」
立香が長ネギを取り出すとジャックは包丁二つを両手で持ちあっという間に刻んでいく
最近Cチームの報告によりジャックは小刀等で刻む技術が優れていると知ったからこうやって試しているのだ、ジャックの包丁捌きであっという間に長ネギと玉ねぎが細かく刻まれ、立香が玉ねぎを三人分綺麗に入れ、一皿に山盛りの刻みネギを詰め込み、生卵をテーブルで叩いて割り、白身を流し台に入れて生卵を乗せる
「ネギ玉完成、さて次は大根を粉々になるまで刻んでくれるかな?」
「いいよ!」
立香が大根を取り出すとジャックは滅茶苦茶に 包丁を振り回して大根をぐちゃぐちゃにして大根おろしのような形に変えた、それを牛丼に移してポン酢を取り出して味付けする
「おろしポン酢も完成...清姫さんは何か付けてほしいものはありますか?」
「わたくしはそのままで構いません」
「そうですか、今用意しますので待っててください...ジャックはネギ玉、私はおろしポン酢ね」
「うん、ありがとう!」
「こっちこそ助かったよ、凄いねジャック」
立香は牛丼を運んでテーブルに乗せ、三人分のスプーンと紅生姜の袋を取り出す
「欲しい人は遠慮なく食べてってくれ...それでは、いただきます」
「いただきます!」
レトルトも使わない飲食店で見るような牛丼を作れるとは立香自身も思っていなかった、お店に出てくるようなトッピングを作れたのはジャックの類いまれならぬ解体の才能だろう、サーヴァントというのは本当に凄い力を秘めている
「君の力は凄い、偉いぞージャック」
「えへへー」
「.....」
清姫は黙々と箸を取り出して丼を食べながら、ジャックを眺める
「えーと、貴方のような姫君に合うような味ではないのかもしれませんが...」
「いいえ、美味しゅうございますよ」
「そ、それならいいですが...こりゃ彼も焦るだろうな...」
「なぜ?」
「何故って、そうだな...」
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.65 )
- 日時: 2019/01/29 22:22
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
「何故かと言うと...私は貴方の事は詳しく知りませんが、貴方は姫、そして我々は単なる人間、立場が違いすぎるんです」
「旦那様もそうだと?」
「はい、例え貴方が気にしなくていいと言おうとも中々実行できるものではないでしょう、人間というのは臆病なものですから」
「...なるほど、だからあの人は武者修行をなさるとおっしゃったのですね」
「ええ、自分では貴方に充分な愛を伝えられない、愛する女として見ることは難しいと思っての事でしょうね..」
立香の発言を聞いて清姫の目が輝きだす
「なんてこと!マスターがここまで辛い思いをしていたというのに気付かないなんて...わたくしという人は...分かりました!気を使ってしまうならばわたくしの方から積極的に向こうに愛をぶつければ良いのですね!一刻も早く準備をしなくては!待っててください!」
「あの、清姫さん?」
「ますたああああああああああああ!!!」
清姫は急に乗り上がって窓から飛び出し、ガラスを破壊しながらどこかへと飛び出していった、残った牛丼をジャックが手を付けようとするが立香がそれを制する
「...不思議な人だったなぁ」
...
次の出勤日、立香はマシュや同僚に清姫の事を説明した
「あいつ、相談したいなら言ってくれればよかったのになぁ」
「そうだな、こんなことしなくても素直に言えばなぁ」
職員達が口々に不満を漏らすが、マシュが写真を見せる...そこには××が話す影で覗く清姫の姿ばかりが移っていた
「えっ、なにこれストーカー?」
「たぶん先輩のときも...」
「全然気付かなかったよ...で、肝心な彼は?」
「お、おはようございます!」
噂をすればなんとやら、立香が××の心配をしてすぐに彼が慌てた様子でやってくる
「おお、ギリギリ遅刻ではないけど遅かったじゃないか、息も切らしてるし」
「ハァハァ...監視されてないか確認しながら乗り物乗り継いだからね...ここまでやれば先回りされないはずだ」
「え?先回り?」
「いやいや、こっちのは」
××が椅子を出すと、机の下には丸まった清姫の姿が
「えっ」
「好き!!!(挨拶)」
「ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
END
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.66 )
- 日時: 2019/01/30 10:35
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
【第十二話】
『我が愛しき紀行録』
「クーちゃん!遠出するわよ!」
ある日の事、立香の元を離れたサーヴァント女王メイヴはソファーに寝転がるクー・フーリンを引っ張り起こし、クーは嫌そうな顔をしながらメイヴを睨む
「俺を巻き込むな、てめぇ一人で行けよ」
「そういうわけにはいかないわ、あの男が令呪を手に入れた以上誤発で何が起こるか分からないもの、クーちゃんがいてくれないと怖くて動けないわ」
「ちっ」
クーは諦めて肩を鳴らし玄関を開け、メイヴがそれを追うように靴を履く
「で、何しに行くんだ」
「さっきも言ったけど藤丸立香は令呪を手に入れた、つまり給料は格段に上がっているはずよ、偵察する必要があるわ」
「...くだらねぇ」
...
メイヴとクーは電車を乗り継ぎ、立香達の住む町へとやってきた、田舎と都会の間のような平凡な所で店やコンビニがそれなりにある住み心地のいいところだ
「この町に来るのも随分久しぶりねー!」
「お前この間行っただろ」
「あの時は好きで行ったわけじゃないからいいのよ!」
クーの肩に張り付き手を掴みながら歩くメイヴは、人混みの中からジャックと手を繋いで歩く立香の姿を目撃する
「見つけたわ、追いかけるのよ!」
「なんで俺がこんなことを...」
...
立香が歩いていった先はレンタルショップ、ちょうど一週間が経ち『正義の味方』を返却し新しい巻を借りようとした所だ
メイヴとクーはその姿を背後から眺める
「妙ね...」
「DVDを見るくらい普通だろ」
「あいつの家、テレビもないし観たい作品も特に無さそうだったのに」
「お前はあいつを何だと思ってんだ」
「らっしゃい」
「ひっ!?」
メイヴ達の後ろには本屋にあるような埃取りを振る黒ひげの姿があった
「あ...あなたサーヴァントね、なんでこんなところに」
「バイトでござる、まだまだ欲しいフィギュアが多いんでち」
「もう、邪魔しないでよ」
メイヴが振り向くと既に立香の姿はなく、メイヴは鞭で黒ひげに八つ当たりする
「ぶひぃっ!こんなところでご褒美はまずいですぞ!」
「あなたのせいであいつ見失ったじゃない!」
「ん?立香殿を探していたのでござるか?あの人昔見ていたドラマを借りに来てたんであります」
「は?昔のドラマ?」
「おん、なんでも『正義の味方』というタイトルで...」
- Re: マスターさんは晩御飯に悩んでいる。 ( No.67 )
- 日時: 2019/01/30 12:43
- 名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
「おい」
全七巻の『正義の味方』を手提げ鞄を右手にかけ、左手でクーを引っ張りメイヴは立香を追いかける
「何?」
「何も全部借りることはねぇだろ」
「マスターの趣味くらい把握しておいてもいいじゃない、彼のことだからやましい物では無いに決まってるし」
「そうかい」
...
「見てよジャック!珍しいよ!」
立香はジャックと歩いている最中公園を発見する、それも滑り台やブランコ、ジャングルジム等が付いている昔ながらのものだ
最近の公園は次々と遊具が撤去されていった物寂しいものばかりなので、立香の言うとおり珍しいものとなっていた
「いっぱいあるね」
「ああ、時間もあるし遊んでいくかい?」
「うん!」
立香は荷物をベンチに下ろし、ブランコに座るジャックの背中を押す
「ふふふ...懐かしいなぁ、私も小学生の頃はこうやってブランコに乗ってたなぁ...」
「いまはのらないの?おとなだから?」
「大人でもブランコに乗りたいときなんてあるよ、でもさ...危険らしいから」
「危険だから皆消すの?」
「...そうらしいね、消して、消して、都合の悪いものは消えて、そしていつの間にかなんでもかんでも無くなっていた」
立香の表情は段々寂しげなものになりながらもブランコを正確に押す
「おかあさん あの正義の味方っていうひとも 邪魔な人は消すのかな」
「それはないよ、あの人は何かを邪魔だと思ったことはない...むしろ、怪我をしないように積極的に助けるような人だ」
「おかあさんもそうなの?」
「私ももし出来るのであればそうなりたいよ」
「わたしたちもそうなりたいな」
「ああ、約束する...私は皆を守る、その為に私はここまで生きてきたんだから」
ジャックは揺れるブランコから飛び降りて立香の肩に乗り、公園から抜けていく
すれ違いになってメイヴがブランコに座り、足を使って一人で揺らす
「ねぇ、クーちゃん」
「なんだ」
「変わらないわねあの男...他人が救われることに一生懸命になれるのに、自分のことに関してはとことん諦めて後回しにして...令呪を手にいれる前ならよっぽど良いところもあったはずなのに」
「そうか、満足したか?」
「いいえ、まだまだ...彼、今はどんなもの食べているのかしら」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20