鬼 ご っ こ ―――---。 作者/燈 ◆Cydpxggyeo

・・・†・・・12話・・・†・・・
残り時間がどんどん減っていくと共に、鬼が増えて行く。
残り一時間。鬼は軽く100匹は越えているだろう。
「来るなァァァァ!!!」
必死で鬼を追い払おうとするが、効かない。
豆も無く、もう私には殆ど(ほとんど)勝ち目が無い状態だった。
「残り時間、30分。さて、コレからは一分ごとに鬼が一匹増えてくよ。
最高30匹増える訳だぁ。」
ゲームの主催者は、完全に楽しんでいた。
一日目からそうだったんだ。コレは遊びだと思っていたのだろう。
流石にもう、走れない位だ。
龍樹も結奈も龍祐も・・・、皆皆喰われて、私一人だけになって。
そして、鬼は増えて私を追う。
如何して私ばかりにこう、ひどい事するのだろうか。
鬼―神様―――---。何故・・・?
そう、私が考えている所に鬼がやって来た。
少なくとも、50匹は居ると思う。
それに残り時間を見たら、20分。って事は、10匹増えている事になるんだろうな。
「来ないでよッ!!!」
ココでまた私は鬼からに.げた。
勿論私の後を鬼が追ってくる。コレはただの鬼ごっこ・・・?
人を喰う鬼ごっこ-――――---か?
ふと、昔の事を思い出した。
『ねぇ~え。龍樹は如何して鬼ごっこの鬼ばっかりやるの?』
『え・・・?僕、鬼が良いんだよ。』
『如何して?』
『雛菊町の伝説の鬼がかっこよくてさぁ。憧れなんだ。
僕も鬼やってみたいって思って。』
龍樹はいつも、鬼ごっこの鬼をやっていた。
彼はそう言ってたけど、本当は足が遅くて、すぐになってしまうからだそうだ。
彼は如何してこう言ったのか・・・。
何時か聞こうと思ったまま、聞かないで過ごしていた。
「龍樹に聞かなくちゃ・・・。」
よろよろの私は、再び立ち上がった。鬼からに.げるのでは無く、
倒そうとして。
「私は勝つ!!!勝って、この町を救ってッ!!!」
「豆も無い、お前は無力だろぉ?」
鬼の言葉が心の奥深くにグサリと刺さっていく。
でも-――、負ける訳にはいかない。
「何が何でも、勝つんだッ!!!」
学校の時計を見ると、後五分弱-―――-―――---。
そして、鬼は約100匹。
勝ち目が無いけど・・・、私は諦めない。
鬼が一斉に私の方に来て、襲い掛かってきた。
『このゲーム、アッチの勝ちだ・・・。』

小説大会受賞作品
スポンサード リンク