鬼  ご  っ  こ ―――---。 作者/燈 ◆Cydpxggyeo

・・・†・・・13話・・・†・・・



『あぁ~あ。勝っちゃったネェ。』

放送が、雛菊町全体に鳴り響く。

私はゆっくりと、自分の顔に手を近づけた。

“生きている”―――-―――-―――-―。

私はまだ、生きているんだ・・・。

時計を見ると、もうすでに終了時間を過ぎていた。

『この勝負――、挑戦者の勝ちだねッ!!!』

「鬼ッ!!アンタ、正体明かしなさいよォッ。」

鬼の正体が知りたい。だから、私は鬼にこう怒鳴った。

『良いよ。今すぐ目の前に来てあげるから。』

鬼の放送はそう言って終わり、目の前に何かが降って来た。

見た目からして、小学六年生位。そして髪の毛ボサボサの女の子。

「初めまして、優勝者・橘瑞希様ァ♪鬼ごっこ主催者の“燈”ですます。」

「ハァ。」

「貴女の勇姿、しっかりと見ましたよ。」

さっきから、ずっと笑いながら話をしている“主催者”。

「あ・・、あの、貴女は何者なのですか!?何故鬼ごっこを始めたのですか!?」

「私は人間ですよ?後、鬼など存在していません。私の空想の中に貴女達は居たんですよ。

貴女達が負けても雛菊町は無事ですし、仲間も生きています。

鬼ごっこはただの遊びだと考えて下さい。鬼が人を喰う遊びだと。

ま、実際には鬼居ないんだけどね(笑)」

「皆―――生きてるんですか・・?」

「はい。」

皆が生きていると聞いて、ほっとした。

鬼は実在して居なくて・・・ただのこの人の遊びなのだと。

だから、“主催者”は楽しんでいたのだと。

「あ、そうだ。優勝賞品ってあるんですよね?」

「ええ。“喰われた仲間”ですよ。皆他の所から帰って来ますから。

あ、走ってきましたよ、仲間達が。」

“主催者”の指す方向を見ると、クラスの皆が私の方に走って来た。

「皆ァァァッ!!」

走って来る皆に私も駆け寄る。

「良かったッ・・・無事で・・・。本当に良かったッ・・・。」

皆で、無事を確認しあってる時に後ろで微かに聞こえた声。

『私は“主催者”。この鬼ごっこは貴女達の友情の深さを知るためにやった。

鬼の理由なんて全て嘘。この鬼ごっこは私がなくなるまで続くでしょう。

私の空想世界では50年なんてあっという間なんですよね。

雛菊町なんて・・・欲しくも無いんですから。

さて、またパソコンに向かって書き始めますか。新しい世界を―――---。』

皆との友情は深かったのかな。

“主催者”はきっと、友情の大切さを伝える為にやったのだろうか。

この“鬼ごっこ”は子・孫・ひ孫・子孫へと受け継がれて行くだろう。

きっと伝わるよね。友情の大切さが。

「皆ッ、学校へ帰ろッ!!!」

今 こ こ に あ る 友 情 を 大 切 に。

さて、皆に質問だよ。

き み は さ い ご ま で に げ き れ た か な?

鬼 ご っ こ か ら―――ね。



:::;;:::†終わり†:::;;:::