鬼 ご っ こ ―――---。 作者/燈 ◆Cydpxggyeo

番外編 ・・・†・・・0話・・・†・・・
「みぃつけたッ!」
夕日に響く綺麗な声。
「このぉッ!」
夕日に響く、力強い声。
「つ―かまった、つかまったァ~♪」
夕日に響く、陽気な歌声。
「次の鬼、だぁれ♪」
もう一つ、夕日に響く陽気な歌声。
『私だよ。』
「へ?」
真っ赤に染まる、夕日の中で微かに聞こえる小さな声。
『鬼ごっこでしょ?入―れ―て。』
その声は、小さな子供の様な声。
「鬼ごっこだよ。鬼がやりたいの?」
一人の小さな少女が、微かな声に話し掛ける。
『そう。入れて。』
声はだんだん大きくなる。
「入れて、子供たち。」
「良いよ。」
声は―――人になっていた。
「ジャンケンで決めなくちゃいけないって、お祖母ちゃんが言ってたよ。」
一人の少女がそう叫ぶ。
「お祖母ちゃん・・・?名前は何て言うの?」
少女に、声だった者がこう聞いた。
「・・・た、橘 瑞希・・・。」
祖母の名前を聞いた者は、にっこりと微笑み、少女にこう言った。
「若い時の君のお祖母さんに、会った事あるよ。」
「え?」
もう一度、少女に笑顔を作る。
「今度、聞いてごらん。『“燈”って、知ってる?』ってね。きっと知ってるよ。」
者は声に戻り、夕日の中へと消えて行った。
「“燈”・・・?」
「どうしたの、瑞乃ォ。」
ぼんやりとしている少女に、友達が話し掛ける。
「ううん。何でもないよ。」
夕日に響いた少女の声。
日が沈み、夜空に星が瞬いた頃、空から、誰かがこう言った。
『あの子達が次の鬼ごっこの参加者かなぁ。』
と。

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