コイ ウタ *~koiuta~* 作者/恋歌

35話 戻り、また戻り・・・。
プルルル・・・
新幹線が来た。
昨日は宿に泊まって、大地とは何も喋らなかった。
大地からの連絡もなかった__。
もう、私のこと飽きた?
礼奈さんと今ごろは____
そんな思いを頭からふるい落とし、新幹線にのろうとした。
乗 ろ う と _ _ _ _ し た 。
「待ちい!!!」
グイッと誰かに腕を捕まれ、新幹線に乗り損ねてしまった。
顔をあげると、そこには・・・
あなたがいた。
愛しい____あの人が。
大地 が。
「何よ!?今頃。」
本当はうれしかったのに・・・止められたことが嬉しかったのに。
素直になれなかった。
「・・・コイ ウタ 。」
「え?」
「・・・コイ ウタ 歌ってくれるんやったら、許してあげてもいいわ・・・。」
顔を真っ赤にしながら、私はつぶやいた。
大地は片手に握ったギターを差し出して、
「歌いにきたんよ。」
と、笑顔を私に向けた。
愛しくて____その笑顔がとても愛しかった。
36話 歌って。。
君をひたすら 探していた
僕は離さないと言ったのに 僕から離してしまった
いつも側にいてくれる君を 失ったとき・・・
いつも僕の歌を聞いてくれる君を 失ったとき・・・
いつも僕を愛してくれる君を 失ったとき・・・
僕は どんなに寂しいだろう
君に コイ ウタ を 捧げましょう
君に 恋の歌を 捧げます
だから ずっと 僕の側にいておくれ____
大好きだから
愛してるから
僕が恋してるから
ずっと・・・ずっと__
コイ ウタ を歌います
そう____ いつまでも
どんな時も 一生__
コイ ウタ を歌います
大地の「コイ ウタ」の二番目の歌詞だった。
大地はずっと私のことを思っていてくれたんだ。
なのに、私は知らない女の子がただ大地に近寄っただけで焼きもちやいちゃって__
まるで、子どもみたい。
「うぅ・・・っ。ひっく。」
しずくがポタポタ・・・と眼から流れ落ちていく。
その涙を1粒・・・2粒と、大地が拭いてくれた。
「泣くな。笑顔でいろ。」
突然、大地が喋りだした。
その言葉に私はハッとした。
その言葉は、大地が私に書いてくれた手紙の一説。
そうだ____
笑顔でいなきゃ、
笑 顔 で 。
いつまでも。 永遠に。

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