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第21話「アカネ大ピンチ、ヒビキとツクシの決意のZ技」パート3
ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、オニドリル、イシツブテ、アローライシツブテ、ウソッキー
「ヒビキさん、ツクシくん・・・」
二人が友情を深める光景をアカネが見ていた。
「二人も頑張っとるんや。そうや、験担ぎで何か作ったろ」
アローラロコンに言うと夕飯の食材を買いに行こうとしたが、
「え、何?」
アカネの前で何かが阻んでいた。それは手を伸ばして捕まえようとして来た。
「きゃ、きゃああああああああ!!!」
アカネの悲鳴が上がった。
「何だ?!」
「今の、アカネちゃんだよ!」
走ってそこへ向かうヒビキとツクシだがアカネの姿はもう無く、アローラロコンが悲しそうな瞳をしていた。
「畜生、間に合わなかったか・・・」
「一体誰が、あれ?」
地面に紙が落ちていることに気付いた。ヒビキが拾って読み上げる。
「なになに、アカネちゃんは頂いた。返して欲しかったらサファリゾーンに続く道にある外れの林道に来い?」
「これ、誘拐したってことなのかな?!」
「そ、そうに違いねえぜ、早く助けに行かねえと!」
「うん!」
ヒビキとツクシに迷いは無かった。急いでサファリゾーンに続くがけっぷちゲートに入った。
「ふう、結構進んだな・・・」
サファリゾーンから外れた林道をヒビキとツクシは歩いていた。誘拐状の内容ではここを通った先にアカネがいると書いてあったからだ。
「薄暗いね、陽の光がほとんど差さないね」
「ああ、けど微かに出てる光が綺麗だよな」
暗い道のりに微かに差している太陽の光に風情を感じていた。
「おやおや、あんさんがた、お久しぶりどすなあ」
木の上から誰かの声が聞こえて来た。それは聞き覚えのある艶やかな声だった。ヒビキ達が上を見上げて驚く。
「あ、あの人は!」
「ああ、あの時のおいらんのおねえさんじゃねえか!」
木の上に座っている豪華な着物を着た美女が美しい微笑みで手を振っていた。39番道路でヒビキ達の前に現れZリングを渡したあのおいらんのコチョウだった。木の上から降りてヒビキ達の目の前に立った。
「また会いましたなあ、ヒビキはんとそれからツクシはんでしたな、あら、あの関西弁で喋る子は?」
「アカネちゃんが誰かに連れてかれちまったんだ。だから助けに行くんだよ」
「まあそれは感心、けど今のあんさん達に助けに行けますかえ」
「何のことなのですか?」
コチョウが神妙な面持ちでヒビキ達に言う。
「あんさん達、何かあったんでしょう、それで心が折れてしまってはいませんかえ?無理をしとるんじゃありませんか?」
「そんなことはねえ、まあ確かに負けるようなことはあったけどさ、けどそれでも俺達はくじけたりはしねえ!」
「口ではそう言っててもやっぱり心配してるんじゃないどす?」
「それは絶対にない、何度聞いたって俺達の答えは同じだ。それにアカネちゃんは俺達の友達なんだ、友達が困ってる、だから助けに行くんだ」
「僕もヒビキくんと同じです。もう逃げたり諦めたりしないって決めたから」
ヒビキとツクシの決意をコチョウは静かに聞いていた。
「ふふふ、中々肝が据わった子達どす。おねえはん感心しましたえ、試すようなことを言うて済まへんなあ、この先を行けばそのお友達に会えるかもしれまへんえ、さあどうぞお行き」
「おう、ありがとよ、おねえさん」
ヒビキは走って先へと進んで行った。ツクシも行こうとすると、
「あ、ちょいとあんさん」
コチョウがツクシに待つよう言った。
「何ですか?」
「あんさんにこれを渡そうと思いまして」
ツクシに渡したもの、それはヒビキに渡したあのZリングだった。
「これって、どうして僕に?」
「あんさんもあの子と一緒に頑張っておりますから、うち、頑張っとる男の子は好きどすえ、さあ、あの子と一緒に行ってあげてください」
「ありがとうございます。じゃあ行きますね」
別れを言ってツクシはヒビキを追いかける。
「ふふ、何とも折れない強さを持った子や。やはりヒビキはん、あんさんは・・・」
続く・・・。