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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第23話「こおりのぬけみち、恐怖のアローラサンドパン!」パート1



・今回の注目ポケモン
・オーダイル
・ストライク
・ジュゴン


・今回の注目ポイント
・やけに寒い42番道路
・わけありのウリムー
・アローラサンドパンが登場



「うう〜、寒い〜」
 ヒビキがくしゃみをして両手を擦りながら鼻水をたらしていた。ポケモンセンターでポケモン達を回復させた後、ヒビキ達は再び、42番道路を進んでいた。なのだがこの道路は進む度に寒気がして来たのだ。
「お〜い、ツクシくん、アカネちゃん、大丈夫か〜?」
 ヒビキが二人に声をかける。ツクシもアカネの寒そうにしていた。
「寒いよ、この42番道路は寒暖が激しいからね・・・」
「まあ、ツクシくんもアカネちゃんも・・・」
 二人を見るとツクシもアカネも半袖に短パンだったため寒がるのも頷くものだった。
「うう・・・寒いわあ・・・」
 アカネが寒そうに凍えていた。
「オオタチ!」
 ヒビキはボールからオオタチを出してアカネにマフラーのように巻かせてあげた。
「ヒビキさん?」
「寒いだろ、これなら暖も取れるだろう」
「わあ、ありがとうヒビキさん、あったかいわあ・・・」
 フサフサの毛には温かみがあって首から温もりが感じられた。
「いいなあ、アカネちゃん、ヒビキくん、僕は・・・?」
「うん?そうだった、ちょっと待ってろ」


「あの、ヒビキくん?」
 ツクシは震えながら見ていた。ヒビキが出したアローラゴローンとウソッキーはずつきをしてぶつかり合っていたのだ。
「何してるの?」
「おう、こいつらで火花を出そうと思ってな、火打石みてえなもんだな」
「それはいいけど・・・、時間がかかって僕が凍え死にしそうだよ・・・それからこの42番道路が寒い訳は・・・」
「はっはっは!この程度で寒いとはまだまだ青いな!」
 ツクシが42番道路が寒い訳を説明しようとすると、高台から老人の高笑いが聞こえて来た。見上げると、一人の老人がスコップで地面に生えている氷を砕いて山車に乗せているのが見えた。ツクシやアカネと同じく半袖半ズボンだが若者のように精根が強く、汗をかくその顔は笑顔にあふれていた。
「この通り体を動かしていると寒さなど忘れて汗が出て来るほどじゃ」
「誰だ、あのじいさん?」
 ヒビキが指を差してツクシに聞いた。
「じいさんだなんて、あの人は・・・」
「丁度良かった、君達も手伝って行きたまえ」
「ええ、でも俺達先を急いで・・・」
「チョウジタウンへ行くのだろう。わしもこれが終わったら戻るつもりだ。老人の手助けと思って、いいかな?」
「まあ、年寄りは大事にしねえとな、解った、手伝うよ」
「そうだね・・・体を動かせば少しは温かくなるかな・・・」
 

「ふう、結構苦労するなあ・・・」
 スコップで削ろうとするのだが氷は思っているほど固くできていて力を入れて叩いても中々削り取れるものではなかった。
「でも、こうしてると、やっぱり汗は出て来るよね・・・」
「そりゃあそうだ、力作業となれば誰だって、出ちまうもんさ、このやろ・・・」
 ヒビキはてこの原理で氷を地面から外しにかかったが中々取れない。
「皆、頑張ってやーっ!」
 一方、アカネはミルタンクから搾ったミルクを温めてホットミルクを作っていた。ストライクは鎌で氷を切り裂き、オオタチ、レディアン、ウソッキーが氷を運んで山車に乗せていた。
「しっかしじいさん、あんた凄く元気そうだな。スコップも高々と上げて動きもテキパキしててさ」
「はっは、ここへやって来ては体を動かすことを日課にしておるからな。それにこの42番道路にある氷はとけないこおりになっていてな。真夏の暑さでも溶けることはないのだ。そしてチョウジの人達はここへ来ては氷を失敬してな、生活の糧にしておるのだ」
「へえ、氷にも詳しいんだな」
「うむ、冬のヤナギとも呼ばれておるからな」
「ヤナギ?じいさんの名前か?」
「左様、こおりタイプの使い手故な」
 そう話しているヤナギの顔が神妙になって来る。
「ツクシくん、あのじいさん、ただものじゃなさそうだよな・・・」
「そうだよ・・・だってこの人は・・・」
 ヒビキとツクシがひそひそと話していると、
「皆、出来たで〜」
 アカネの声が聞こえて来た。ミルタンクがホットミルクを乗せたお盆を運んで来た。
「お、あったけえミルクか?」
「うん、ヒビキくん、ツクシくん、ヤナギさんも疲れたと思うからこれで疲れを癒してな」
「おお、これはありがたい」
「はあ、やっと温かいものにありつける」
 ミルクの入ったカップを手に取って口に含んでいく。
「かあ、まろやかな濃い味がしていいぜ・・・」
「ふふ、オレンのみをたっぷり食べさせたから結構味が出てるんやで」
「まあ、寒い時期となるとミルタンクも脂肪が増えると思うからね、あれ?」
 会話中に一匹のポケモンがヤナギの元にやって来た。
「わあ、ちっこくてかわいい」
 出て来たのは、いのぶたポケモンのウリムーだった。
「ヤナギさん、このポケモンは。何だかヤナギさんに懐いてるみたいだけど」
「ああ、こいつはな・・・」 
 ヒビキに視線を向けると何を思ったのかヤナギはこう切り出した。
「君、トレーナーかね?」
「おう、そうだけど?」
「ではちと話を聞いてはもらえぬか・・・」
 砕いた氷を山車に乗せるとヒビキやポケモン達が運び、チョウジタウンのヤナギの家まで運んで行った。


「へえ、茅葺の小屋に入れてるのか?」
 家の地下室、そこにある小屋は茅葺で作られたものだった。
「うむ、電気を使わない、天然の冷凍保存でな、さて、ここにいるウリムーだが・・・」
 ウリムーのことについてヤナギが話し始めた・・・。 続く・・・。

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