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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第23話「こおりのぬけみち、恐怖のアローラサンドパン!」パート2


ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、オオタチ、オニドリル、メタモン、ウソッキー、アローラゴローン




「このウリムーは迷子でな」
「迷子なのか?」
「うむ、氷を取りに行った帰りに傷だらけになって倒れていたのだ。わしは付きっ切りでこ奴を看病してな、その甲斐あって元気になってくれたのだ」
「怪我のことを考えると親も何かに巻き込まれてのだと思うのだ。恐らくこおりのぬけみちで何かあったのだとわしは考える」
「こおりのぬけみち?」
「フスベシティに繋がる氷で閉ざされた洞窟だよ」
 首をかしげるアカネにツクシがぬけみちのことを説明した。
「ヒビキくん、君はトレーナーだったね」
「おう、そうだけど?」
「このウリムーを親の元へ返してあげたいのだ。ヒビキくん老人の頼みだがこの子のことを思って協力してはくれぬだろうか」
「そうだよなあ、親と離れ離れって言うのはさすがに可哀相だよな・・・・よし、俺が一肌脱いでやるよ!」
 ウリムーの境遇を思ってハラハラと涙を流したかと思えば腕を上げてやる気のある仕草をした。
「ヒビキさんなら言うと思った」
「僕とアカネちゃんも手を貸すよ、ヤナギさん」
「ありがとう、君達。では、そのこおりのぬけみちまで案内しよう」
 ウリムーを連れて家を出ると、こおりのぬけみちがある先へと進む。
「ちょっと待ったーーーーっ!」
「おわ、何だ?!」
 44番道路へ向かう入口に差し掛かった所で突然、ヒビキ達の前を割って入る人物が現れた。
「あんた誰だ?!」
「君達、チョウジタウンは隅々まで見ていったか!ここを通るのはまだ早い、いかりまんじゅうでも買っていくと・・・!」
 そう言ってそのおじさんはヒビキ達にいかりまんじゅうの入った箱を差し出して来る。
「すまんが彼等は強いトレーナだ。この先を通っても大丈夫だ」
「え、そうなの?まあ、ヤナギさんが言うなら・・・」
 ヤナギの言葉で通してもらえることになり、一行は44番道路へ行くことが出来た。



「ここがそのぬけみちだ」
 44番道路の先にある洞窟、冷たい冷気が覆っていて、岩から地面まで霜で積もれていて、天井には無数の氷柱が連なっていた。
「ひゅうう、寒い。こいつは結構体にこたえるな・・・」
 ヒビキは両手を擦って寒さに震えていた。
「この寒さはこおりタイプには快適だけどね」
「でも寒いわあ、早くその子の親を探して、きゃあ!」
 歩こうとした矢先にアカネはツルンとすべってしまった。
「痛ったあ・・・」
「大丈夫か、アカネちゃん?」
「すまん、言い忘れていたが、このぬけみちは地面が凍っている箇所があるのだ。歩く時は充分気を付けてくれ」
「うわ、本当だ。こりゃあ転んだら尻餅つくだけじゃあ済まねえかもな・・・・」
 ヒビキ達は注意しながら凍れる洞窟を進んでいった。道中でアカネに抱かれていたアローラロコンがウリムーとじゃれあっていた。
「うん、何か聞こえる?」 
 歩いているとツクシが何かの気配を感じた。
「ツクシくん、どうしたんだ?」
「何か声が聞こえない?」
 周りを見ると、どこからか何かが鳴いている声が聞こえて来た。かすかに聞こえて、助けを求めている声だった。
「奥に何かあるかもしれん?」
「行ってみようぜ!」
 その先へ歩くとそこは一面が氷に覆われていた場所だった。
「ジュラル〜、ジュラルウウウウウウ!!!」
 見ると、中心部に一体のポケモンが助けを求めて叫んでいるのが見えた。
「あのポケモン・・・」
「ルージュラだな・・・。恐らく、足が氷にへばりついて身動きが取れなくなってしまったのだろう」
「じゃあ何とか助けへんと」
「よし、俺が行ってやるぜ!」
 ヒビキが走り出して助けに行こうとした。
「待ってヒビキくん、そのままだと滑って止まれなくなるよ」
「心配ねえよ、注意して走りゃあうわああああああ!!!」
 案の定、凍った地面は滑りやすくなっていて、そのまま滑走してしまった。
「うわあああああ、止まってくれーーーーーっ!」
「ジュ、ジュララーーーーーっ?!!」
ドゴーン!」
 鈍い音が響いてヒビキとルージュラはぶつかってしまった。
「ううう痛ええ、うん、何か唇に柔らかいのが・・・」
 ヒビキが前かがみで倒れてルージュラにかぶさっていたが、目を開けてみると、ヒビキの顔がみるみる青ざめていく。そう、ルージュラとのキス状態になっていたからだ。
「うえええええ、げほげほ、うわあ、こいつは結構聞くぜ」
 激しい嘔吐に襲われてヒビキは急両手で口を押えた。ルージュラはすっかりヒビキに、メロメロになってしまっていた。そしてヒビキにキスをしようと迫って来た。
「わああ、止めろって!」
 ヒビキはルージュラを必死で抑えようとしていた。ツクシ達は冷や汗をかいて呆然としていた。
「ヒビキくん、何だか気の毒に見えて来たな」
「そやね・・・、うん?」
 上を見ると、ポケモンのデリバードが羽ばたいているのが見えた。ツクシ達の前で降りるとウリムーが近寄って顔を上げた。デリバードがウリムーの頭を撫でてあげる。
「いいポケモンやね?」
「恐らくウリムーとは仲間かもしれんな・・・」
 デリバードは羽ばたくと、途中で止まってツクシ達の方を振り向いた。
「あれって・・・」
「着いて来れば何か解るやもな」
「ヒビキくん、あのデリバードに着いていこう」
「何、そいつに着いていけばいいんだな、てだからキスはやめてくれえええええ!!!」
 行こうにもルージュラが抱き着いてキスを迫って来る。ヒビキはそれを止めるので精一杯だった・・・。

続く・・・。

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