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第39話「チャンピオンワタル、友情の旅の終わりと始まり」パート4
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル(戦闘中)、アローラロコン、モルフォン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
地響きと同時に雷が落ちて来る。そして炎が沸き上がり、煙の中からカイリューが現れた。
「リューリュ!」
「さあ、俺の切り札で相手になる。ヒビキ君、君はどうする?」
「俺は、こいつだ!」
アローラロコンをボールに戻すと、タマゴの頃からの付き合いであるオーダイルを繰り出した。水しぶきを上げて咆哮を上げた。
「オー、ダイル!」
「頼むぜ、相棒」
ヒビキの言葉に頷くとオーダイルは走り出した。カイリューも地響きを立てて走り出す。オーダイルが拳に冷気を溜めると、カイリューが拳に炎を溜める。れいとうパンチとほのおのパンチがぶつかり熱と冷気が混ざり合って蒸気が上がった。蒸気の中で取っ組み合いになりカイリューのパンチ、尻尾による攻撃が来るとオーダイルはそれをかわしてれいとうビームを放つがカイリューは腕をクロスしてガードしてしまう。
蒸気が晴れると、オーダイルがれいとうパンチでカイリューの腹部を攻撃した。
「やった?!」
「いや、まだだ!」
「え?」
ヒビキとツクシが見るとカイリューがニヤリと笑っている。カイリューの腹に熱気が出て来る。オーダイルがその熱さで手を払う。するとカイリューの体が燃え上がってオーダイルにタックルした。両手で炎のパンチを連打、そしてプレス攻撃をして吹っ飛ばす。
起き上ったオーダイルに耳から電撃を鞭のように振るって攻撃していく。尻尾を振るって来るとオーダイルがこれを掴んだ。しかし尻尾も電流が流れてオーダイルを痺れさせる。
「敗けるな!」
オーダイルは電撃に耐えて尻尾を離さずジャイアントスイングをして吹っ飛ばした。しかしカイリューは旋回して向かって来る。
「来るよ!」
「掴め!」
「オー、ダイル!」
オーダイルはカイリューの頭を掴んで抑え込むと投げ飛ばした。
「さて、そろそろ本気を出すぞ!」
ワタルが腕に装着しているzリングを起動させた。
「あんたも持ってるのか?!」
「ああ、かつてサングラスに白衣を羽織った南国の博士からもらってね!」
ドラゴンzを装着すると両腕を竜の口のように開けて発動させた。
「全てを消し飛ぶ光線を、食らえ!」
カイリューが咆哮を上げると、口からアルティメットドラゴンバーンを放った。オーダイルに命中して凄まじい爆風を上げる!」
「ああ!」
「!」
視界が晴れるとオーダイルはボロボロの状態になっていた。上を向いて口を開けた状態で動きが止まっている。もう敗れてしまったのか。ツクシがそう思った時、
「オ、オー・・・!」
オーダイルが微かに動き出した。腕に付けているタスキが取れた。きあいのタスキを付けていたのだ。
「何、カイリュー、はかいこうせんだ!」
ワタルの指示でカイリューがはかいこうせんを放つ。オーダイルは拳を突き出してはかいこうせんを無効化させて走っていく。口を手で塞ぐと持ち上げてブレーンバスターをして叩き付けるとジャイアントスイングをして投げ飛ばした。
「ヒビキ君、一気に決めるんだ!」
「ああ、こいつで、全てを決めてやる!」
zリングにコオリzのクリスタルを装着して腕を交互に動かしながら両手を前に突き出した。床から氷柱が出て来てそれに乗ると、強力な冷気をカイリューに目掛けて放った。ふぶきのような突風で放たれてカイリューを飲み込んでいく。そして雪の爆風が飛んでカイリューがゆっくりと降下して崩れ落ちた。
「終わった・・・」
全てを悟ったワタルがカイリューをボールに戻した。後には精悍な面持ちで立つ少年とそのパートナー、オーダイルが立っていた。
「ふ、俺の敗北だ。だけど、いい気分だよ。負けた悔しさよりも新しいチャンピオンに巡り合えたと言う喜びで溢れている・・・ヒビキ君、おめでとう、君がチャンピオンだ」
「お、俺が、俺がチャンピオン?」
実感して無さそうに言うヒビキにワタルは静かに頷いた。
「や、やった、やった・・・いーやったー!!!」
拳を握り締めて腕を振るわせてしまう。そして両腕を上げて走り回った。オーダイルとツクシがびっくりした顔でヒビキを見ている。
「やった、やったぜツクシ君!」
ツクシの手を握って大喜びしている。
「遂に念願のチャンピオンだ、ツクシ君に見せてあげられたぜ!」
「うん、おめでとう、ヒビキ君!よく頑張ったよ!」
ツクシも笑顔でヒビキの健闘を称えた。
「ありがとよ、ツクシ君、こんなやんちゃ坊主に付き合ってくれて、そのお陰で俺がチャンピオンになったのを見てもらえた。ありがとな」
「ヒビキ君、お疲れ様。君の夢、確かに見届けたよ。僕も自分の事みたいに嬉しい、本当に頑張った」
手を握って友情の深さを確認する。
「ヒビキさーん、ツクシくーん!」
「あ、アカネちゃん!」
振り向くとアカネが走って来ている。
「それにジムリーダーも皆も!」
アカネだけではなく、ハヤト、マツバ、シジマ、ミカン、ヤナギ、イブキと各ジムリーダー、そしてマツバの親友のミナキも来ていた。
「アカネちゃん、皆を連れてくためにか?」
「うん、ヒビキさんがチャンピオンになるから皆を連れてこうと思って呼んで来たんや。せやからヒビキさんに勝つためのアドバイスを・・・」
「あのー、アカネちゃん」
「何、ツクシ君?」
「お気持ちは嬉しいけど、ヒビキ君、もう勝っちゃったよ」
「え、もうチャンピオンになったん?」
「ああ!」
「ええ、折角アドバイスしようと思ったのに、もう、マツバさんが身だしなみに時間かけてるからやで!」
アカネが腰に手を当ててマツバに怒った。
「いやあ、身だしなみは大事でしょ」
「そうそう、ポケモンリーグに不躾な恰好ではいけないでしょ?」
ミナキがマツバをフォローした。
「だがそれも必要なしに成長した事は間違いない、さすがだよ、ヒビキ君」
「いやー、しかしここまで来れたもんだ、わし感心しとるよ」
「ヒビキ君、本当にお疲れさまでした」
「ワタルに勝つなんて大したものよ、誉めてあげるか光栄に思いなさい」
ヤナギ、シジマ、ミカン、イブキがヒビキの勝利を褒め称えた。
「ツクシ、こいつによくここまで付いてこれたな」
ハヤトがツクシの肩を叩いて労った。
「ハヤト君、ありがとう」
「何か、騒がしくなってきたな・・・ヒビキ君、これから君のポケモンを殿堂入りさせるから付いて来てくれるかい?」
「おう、今行くぜ」
「ヒビキさん」
「アカネちゃん、何だ?」
「アサギシティの食堂でパーティーがあるんや。もちろん、ヒビキさんのチャンピオン記念で、終わったらすぐ行こうな!」
「ああ!」
オーダイル、アローラロコン、モルフォン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング。そしてオオタチ、ゴローニャ、オニドリル、メタモン、ウソッキー、アローラゴローニャ、アローラサンドパン、デンジュモク、ヒビキと彼と出会った多くのポケモン達、彼等の冒険に一つの区切が付いた。チャンピオンとなり彼等の道は大きく前進していく事になるだろう。
ポケモンリーグの門に出てヒビキが背伸びをする。
「色々あったな、ツクシ君」
隣で微笑んでいるツクシに声を掛ける。
「うん、君と出会って知識だけでは得られない体験が出来たよ。偶然の出会いからこんなにも心躍るような旅が出来るなんて思わなかった」
「ああ、そのお陰でツクシ君と仲良しになれたもんな」
「そうだね」
笑い合って互いを見つめ合う。
「ヒビキ君、これからはどうしていく?」
「そうだなあ、カントー地方にもジムがあるってワタルさんが言ってたし、次はそこに挑戦してみよっかな。けど、まずは疲れた。だからたっぷり休みてえ!」
「そうだね、君らしいや。僕は、むしポケモンの研究をしていくつもりだよ、でも君は大切な友達、君が旅に出る時は、また僕も一緒に行っていいかな?」
「もちろんさ、俺とツクシ君は一心同体、惚れたからには生涯だ」
「そうだね、僕もそんな君が気に入ってるよ」
「ツクシ君」
ツクシを抱き締めて背中を軽く叩いた。
「これからもよろしくな」
「うん、こちらも」
「おーい、ヒビキさーん、ツクシくーん!」
アカネが手を振って二人を呼んでいる。
「さ、行こうか、ツクシ君!」
「うん!」
手を繋いで歩いていく。固く深い友情に満ちた二人を茜空が見守っている。空には沢山のヤンヤンマガ飛んでいた。これからのヒビキ達に幸あれ・・・。
「ポケモンストーリー ハートゴールド編 完」
ポケモンストーリー ハートゴールド編はこれにて完結です。ポケモン達の新能力、ヒビキ達の友情物語を楽しんでいただけたと思えたら幸いに思っています。今後の展開の事ですが、某小説サイトにても活動しているので今後はそちらの方を中心に活動していこうと思っています。またここで小説を書けたらと思っていますのでその時はよろしくお願いいたします。