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第10話「ウバメのもり、カモネギ大追跡」パート1
ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ
・今回の注目ポケモン
・オニスズメ
・カモネギ
・ほこらのポケモン
・今回の注目ポイント
・ヒビキ達のカモネギ探し
・最後の所で大ピンチ
・ときわたりのポケモンが登場
ヒワダジムの戦いで見事にツクシに勝利したヒビキ、互の友情を確かめ合った戦いを勝ち抜いた後、ヒビキ、ツクシ、アカネの三人は冒険の旅を続けるのだった。
<ウバメのもり>
「ふえー、随分ほの暗いもんだな〜」
ヒワダタウンのゲートを出たヒビキ達はウバメのもりに入った。森の中は昼であるにもかかわらず夜のように暗く、陽の光がかすかに差し込むほど暗い森だった。その森の中、木の上ではホーホー達がたむろしており、クヌギダマやトランセルがぶら下がっていた。
「ここがウバメの森だよ、見ての通りとても暗くてね、迷子には要注意かな」
「ふわー、改めると本当に暗いわ。うち、ツクシくんのヒワダタウンに行くのにここで何度も迷子になってえな、イーブイもうちの足元でブルブルしとってな。ね、イーブイ」
アカネがイーブイに呼びかけると、イーブイはやはり怖いのかアカネの足にぴったりとくっついていた。
「アカネちゃんも迷子になったのか、でも皆一緒についていりゃあここを抜けれるさ」
ヒビキは元気よくツクシ達と森の中を歩き出した。
「ちょいと待った」
その途端、森のゲートの手前にいるおばあさんに呼び止められた。
「何だい、おばあさん?」
「お前さん達、この森を通るのかい、ならこの森の神様にくれぐれも失礼のないようにな」
「神様・・・?おう、解った。おばあさん、忠告ありがとな」
ヒビキは神様という言葉に引っかかりを感じるもおばあさんに礼をして、その後、ツクシに聞いた。
「なあ、ツクシくん。このウバメの森に神様がいるのか?」
「神様?ああ、時渡りの神様のことだね」
「時渡り?」
「それって何なん?」
ヒビキとアカネが覗き込むようにツクシに釘付けになった。イーブイも興味深々である。
「このウバメの森の先にね、ある社があってね。そこにその神様が祀られているんだ。何でも、過去や未来を行き来できる時渡りの力があってね、その力で過去、そして未来を渡っている、そう伝わるんだ」
「へええ、中々ロマンあふれてんじゃねえか。これはお目にかかりてえな」
「いやあ、それは無理かな。そのポケモンは幻のポケモンとされててね。姿は愚か影すら見た人はいないんだ」
「何だい、そいつはガックシだな」
ツクシに見つけるのはまず不可能と言われて、ヒビキは少しブーたれてしまった。
「わー、ヒビキくん。ハリーセンみたいな顔しとる、可愛い。あ、そうそう、うちね、ツクシくんが言っとったその・・・」
「わー、何てことだーーーーーーーっ!!!」
アカネが話をしようとしたその時、森の奥から男性の絶叫が聞こえてきた。
「うへえ、でっけえ声がしたな・・・」
「何かあったみたいだね・・・行ってみよう!」
「ああ、ヒビキくん、ツクシくん、待ってええええ!」
ヒビキ達はその声のした方へと走っていった。そこではある少年がオロオロと狼狽していた。
「わあ、どうしようどうしよう、このままじゃ親方に怒られちゃうよ」
「あの、どうかしたんですか?」
ツクシが尋ねると、少年は事情を話した。
「ああ、君達、大変なんだ。俺、親方の頼みでカモネギ達とこの森で炭を作るために木を切りに来たんだけど・・・・」
「木を切りに来て、どうしたってんだ?」
ヒビキが聞くと少年は困っている理由を説明した。
「親方のカモネギ達がどこかへ逃げちゃったんだよーっ!」
「逃げられたってえ!こいつはてえへんなこったな!」
「でも、何で逃げられたんですか?」
少年はヒビキがバッジを二つ胸元の服に付けているのを見てため息を吐いた。
「君、バッジを二つ手にしたんだ・・・・」
「おう、そうだけど」
「俺、バッジを持っていないからさ。親方のカモネギ達、全然俺の言うことを聞いてくれないんだよ・・・」
「ああ、こいつは完全にポケモンに舐められちまってるな。まあ、俺は度量もでかいし貫禄もあるから逃げられるなんてことはねえけどな」
「グサ!!!」
ヒビキの言葉に少年は心臓に何かを刺されたような気持ちがした。
「はは、いいんだいいんだ俺なんか・・・、どうせ俺はただのへっぽこトレーナーなんだよ・・・」
すっかり落ち込んで地面に指をスリスリさせていた。
「ヒビキくん、今のは駄目だよ・・・!」
「ああ、心が折れてるみたいや」
「ブイブイ」
さすがに自分の台詞がまずかったと感じたか、ヒビキは慌ててその少年に謝った。
「あー、悪かったよ。俺の言い方がいけなかったよ。そうだ、侘びに俺達がカモネギを探しに行ってやるよ。それでもいいかな?」
「君達が、探しに行ってくれるのかい?ああ、ありがとう、本当に困ってたんだよ!」
「おう、任せとけ。ツクシくん達も手伝ってくれるか?」
「そうだね、ヒビキくんだけじゃ大変そうだし、こう言う頭の使いそうなことは得意だからね」
「うちとイーブイも手伝うで!」
「カモネギは二匹いるんだ。よろしく頼むね」
ヒビキは鼻を擦って、ツクシ達と一緒にカモネギ探しに向かった。
森の中、ヒビキ達はカモネギを探していた。
「おーい、カモネギどこだーっ!」
「カモネギちゃーん、出ておいで!」
「ブイブイ!」
ヒビキとアカネは声を出してカモネギを呼んだ。イーブイは辺りを見回って、草むらの中や、ホーホーの翼の中、オニスズメの巣の中を見て回ったがカモネギは中々いなかった。
「うーん、出てこねえな」
「そうやね、うちらが呼びかけてるのに全然出てきいへんな」
「いや、呼びかけるのはまずいかもしれないよ」
「何でだ、ツクシくん?」
「ポケモンは普通、用心深いからね。声をかけると、逆に逃げていくんじゃないのかな?」
「なるほどな」
「声をかけるのは逆効果になるんやな」
「となると、こちらから誘い込む作戦を使うのはどうかな?」
「お、それなら俺、いい方法を思いついたぜ!」
ツクシの言葉にヒビキはある考えが思い浮かんだ・・・。
続く・・・。