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第10話「ウバメの森、カモネギ大追跡」パート2
ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ
「ヒビキくん、これで上手くいくの?」
「心配いらねえって、この俺の作戦に失敗はねえさ」
心配するツクシとアカネにヒビキは自信満々に言った。ヒビキ達は草むらに隠れていた。ヒビキは縄を手に持っている。その先にあったのはザルを斜めに引っ掛けてある木の棒だった。ザルの下にはカモネギの餌であるきのみが置かれていた。
つまり作戦はこうである。カモネギが来て餌を取ろうとした所で縄を引っ張り棒を倒してザルを落とし、カモネギを閉じ込めてしまおうというのだ。
すると早速カモネギがやって来た。少年の言っていた親方のカモネギである。
「お、カモが来た来た」
「カモネギだけに?」
アカネがカモネギをかけたジョークかなと言った。
「おし、そのまま来い。この棒を落としてあっさりと捕まえてやるぜ」
ヒビキは作戦成功だとウキウキしていた。しかし、カモネギは罠を警戒して入ろうとしない。
「カモ!」
カモネギはザルを蹴っ飛ばしてしまった。そして置いていたきのみを労せず頂くのだった。そして、こんな見え見えの解りやすい罠に引っかかるかとケタケタと笑うのだった。
「・・・・・・・・」
これにヒビキは固まってしまい呆然とした。
「ヒビキくん、作戦失敗やね」
「まあ、こうなるとは最初から思っていたよ・・・」
「ツクシくん、その言葉、普通にグサッてくるぜ・・・」
ツクシの呆れ言葉にヒビキはすっかりへこんでしまった。
「ヒビキくん、落ち込まないでよ。気を取り直して、この作戦で行こう」
「作戦って何だよ?」
ツクシはヒビキとアカネに自身の考えを説明した。森の地形を見るとかなり広いが、この辺りは円を書くような道になっている。そこで一方がカモネギを追いかけて、後の一人が待機してそのカモネギを捕まえる、その作戦で行こうと言うのだ。
「僕が待機しているから、ヒビキくんとアカネちゃんはカモネギを探してきて」
「よっしゃ、任しといて、さあ行こかヒビキくん!」
「おうおう」
アカネはヒビキの手を掴んでスキップしながら歩いて行った。
「うーん、アカネちゃんも入れておいて良かったかな・・・・。でも、ヒビキくんがいるから心配ないかな?」
ツクシはアカネが何かをやらかすのではないかと心配になったがヒビキが付いているから大丈夫だろうと思った。
「ヒビキくん、まだへこんどる?」
アカネはヒビキが不貞腐れた顔をしているのを見て言った。
「なんでえ、冷やかしはよしてくれやあ」
ヒビキは口をへの字にしてそっぽを向いた。
「もう、失敗を引きずるのはよしやって。過ぎたことをくよくよしたって仕方あらへんで。ほらほらヒビキくん、笑ってや」
アカネは変顔を作ってヒビキを笑わせようとした。
「ぷっ、変な顔してくれやがらあ。別に笑っちゃあいねえからな・・・」
「でも、さっきヒビキくん、笑ってたで」
「な、笑ってなんかねえや、ちくしょう!」
ヒビキは照れた顔で視線をそらした。
「あ、ヒビキくん!」
「何だあ?」
アカネの声に振り向くと、目の前にあのカモネギがいた。
「さっきの奴だ!」
「ここは抜き足差し足や・・・」
アカネはゆっくりと歩いて捕まえようとした。しかし、
バキっ!
「えっ?!」
何と運が悪いことに木の枝を踏んづけてしまった。それに驚いたカモネギが逃げてしまった。
「しもたーっ、カモネギ逃げてもうた!」
「てやんでえ、こうなったらやけくそだ!」
ヒビキとアカネは走ってカモネギを追いかけた。
「ヒビキくん、アカネちゃん、上手くいってるかな?」
その頃、ツクシはヒビキ達がちゃんといってるか心配になった。
「ツクシくーん!」
その矢先に、ヒビキの声が聞こえてきた。よく見ると、アカネと一緒にカモネギをツクシの方へ追い込んでいた。
「ヒビキくん、アカネちゃん!」
「ツクシくーん、早う捕まえてーっ!」
「任せて!」
ツクシは逃げているカモネギを見事に捕まえた。暴れているカモネギを何とか落ち着かせる。
「やったよ、ヒビキくん、アカネちゃん!」
「でかしたぜ!」
「やりー、一匹捕まえたで!」
続く・・・。