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第15話「落ちてきたロコン、ヒビキ達にまさかの試練?!」パート2
ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ、コンパン、ウソッキー
「ゲイッシュ!」
アリゲイツはくしゃみをした。近くにはヒビキ達が仲間にしたアローラロコンが歩いていたからだ。他にはツクシのレディバや、ヒビキのコンパン、アカネのイーブイも一緒だった。
(うう〜、寒い、いつからこんなに寒くなったんだよ)
アリゲイツが体を震わせて愚痴を吐いた。
(この子が歩いているんだから仕方ないよ〜、我慢しなって)
レディバが羽根を羽ばたかせて笑いながら辺りを旋回した。けれどアローラロコンは敬遠されたと思って落ち込んでいる。近くにいたイーブイが気にしなくていいよと笑顔で言った。
(ねえねえ、こおりタイプなんでしょ、雪とか降らせる?)
イーブイが言うとアローラロコンは前に出て、冷気を溜めてこなゆきを降らせた。すると廻りに雪が積もって、イーブイ達が大はしゃぎする。
イーブイとアローラロコンは走り回って雪を踏む感触を楽しんでいた。
アリゲイツが鼻水を垂らしながら見ていると、何かが顔に当たった。目の前でレディバとコンパンが雪玉を持って大はしゃぎしていた。アリゲイツは怒ってみずでっぽうを飛ばしてくると、レディバ達はこれを避けて、コンパンが頭からエアガンを取り出して雪玉を込めると、それを発射して遊んでいた。
「こらこら、怪我させんようにね!」
アカネが笑ってイーブイ達に言った。
「不思議なもんだな、晴れ空だって言うのに雪景色が作れちまうもんだからな」
見たことのないロコンの能力にヒビキは感心していた。
「もし、そこの坊ちゃんにお嬢さん方・・・」
後ろから艶めかしい大人の女性の声が聞こえて来た。ヒビキ達が振り向くと、その女性を見て息を呑んだ。目の前にいたのはバタフリーとモルフォンが円形に対となった刺繍が施された紅色の着物に漆が塗られた漆黒の高下駄、そしてシードラを形どった髪飾りをつけた見るも艶やかな美しい花魁が立っていたのだ。
「うわあ、すげえうっつくな人だ・・・天女見てえだ・・・」
「綺麗・・・」
「まいこはん?だけどどこか威厳を感じる、この人は?」
ヒビキはその美女の美しさに見とれてしまい、アカネは彼女の衣装の鮮やかさに惚れてしまい、ツクシも可憐さの裏にある厳かさと麗らかさを感じていた。
「ふふ、どうなさいました?」
その美女はヒビキ達の顔をまじまじと見た。
「ああ、いや、何でもありません・・・」
間近で顔を見られてヒビキは思わず困惑してしまった。
「あんさん、もしかして、ヒビキはんどす?」
「え、あ、はい、そうだけど・・・」
「そう、噂に聞いてはりますえ。何でもまいこはんの危ない所を何度もお救いになったとか・・・」
「え、俺ってそんなに有名人になってたのか?!何か悪い気はしねえな、はは!」
花魁の女性に言われてヒビキは鼻を高くして嬉しかった。ツクシはやれやれと呆れていた。
「で、あんた、名前は?」
「名前?うちは通りすがりの皆のおねえはんどすえ」
「よせやい、名無しの権兵衛・・・じゃねえ、名無しの花魁さんなんてあるもんか」
「そうどすな、では、コチョウ、と言っておきましょう。そうそう、言い忘れてありました・・・」
その花魁、コチョウは何かを思い出すと、ヒビキ達にあるお願いをした。
「ヒビキはん、今、お急ぎじゃないどす?」
「ああ、バリバリの暇だけど?」
「それは良かった。実はあんさん達に頼みがありまして・・・
「頼み?」
ヒビキが言うと花魁のコチョウはゆっくりと頷いた。
「実はうち、大事なかんざしを無くしてしまいまして、それも大事なものであれが無いとうち、恥ずかしくて人前に出れないんどす・・・」
コチョウはどこか憂えげな目をして何かを伝えようとしていた。
「つまり、俺達にそのかんざしを探してきてほしいってことか?」
「そうなんどす、ヒビキはんは察しがいいですわあ。お願いしてよろしいどすえ?」
「おう、美人の頼みとなりゃお安い御用さ。ツクシくんとアカネちゃんも手伝ってくれる?」
「まあ、人前に出れないとなれば助けないといけないかな・・・」
「はーい、うちもお手伝いしまーす!」
花魁のコチョウの頼みをヒビキ達は引き受けることにした。早速、彼女に言われたかんざしを落とした場所に向かうと、
「うへえ、暗いな。草がすげえ生えてて中々進めやしねえ」
38番道路、その外れにある道にある森の中をヒビキ達は歩いていた。
「うーん、ウバメのもり以上に暗いね・・・」
「けど、何であんな綺麗な人がこんな似合わない場所でかんざし落としたんやろな」
ツクシとアカネは迷わないよう歩いている。アローラロコンを抱っこしていたアカネは何故あの花魁の女性がここでその大事なものを落としてしまったのか考えていた。
「そりゃあ、迷子になったからじゃないのか。まいこはんの時だってそうだったし」
ヒビキはウバメのもりのことを話した。あの時もまいこはんの一人が道に迷ってしまい、その手助けをしたことがあったからだ。それと同じようなものだろうとヒビキは思っていたが、その彼等を見つめる怪しい存在が無数にいることをまだ知らないでいた。
「うん、何だ?」
しばらく歩いていると、目の前に何やらポケモンの巣穴のようなものがあった。そして、
「キタナーーーーーっ!!!」
巣穴から何かが飛んで来た。
「うわ、何でえ?!」
ヒビキ達は咄嗟に避ける。目の前には黒い色をしたコラッタが現れたのだ。そのコラッタは牙をぎらつかせて不気味に笑っていた。
「こいつは・・・!」
「コラッタ?にしては黒い色をしている・・・?」
ヒビキとアカネはそのコラッタを見て驚いていた。
「でも、どこか普通のコラッタとは違うな・・・」
ツクシはコラッタを見て考えていた。確かにそのコラッタは黒い色をしていた。でもどこか普通のコラッタとは違う。
「あれ、コラッタなのに二本足で立ってる?」
アカネがようやく気付いた。そのコラッタは黒い色をして更に二足歩行で立っていたのだ。また、口元にはヒゲのような膨らみが付いている。
「そう言えば!」
ヒビキが図鑑を取り出すと、データで出て来たコラッタは四足歩行である。しかし今、目の前にいるコラッタは二本足で立っていた。
「ロコンといい、コラッタといい姿が違う奴が今日はよく・・・っておわあ?!」
突然、その黒いコラッタ、アローラコラッタが襲いかかって来た。ヒビキは五感でこれを何とかかわした。
「てやんでえ、こっちはあの花魁の姉さんと約束してんだ!正面突破で行くぜ!」
ヒビキはボールを投げてオニスズメを出した・・・。
続く・・・。