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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第16話「アサギのとうのアカリちゃん」パート5

ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ、コンパン、ウソッキー


 とうだいの最上階にあるライトルーム、その一室に憂えた瞳をたたえた美しい女性がいた。彼女は氷を溜めた水にタオルを濡らして、それをあるポケモンの頭に被せた。栗色の短いツインテールに清楚さがあるワンピースとサンダルを履いた彼女こそアサギシティのジムリーダー、ミカンである。
「アカリちゃん、どう・・・、涼しい・・・?」
 ミカンが尋ねるとそのデンリュウ、アカリちゃんは反応もなくうなだれていた。すると高熱で被せていたタオルがすぐに熱くなってしまった。
「そんな、私にはどうすることも出来ないの・・・。向こうの街に行けば薬が手に入る、でも、この子を一人にするわけには・・・」
 ミカンが非力さを嘆いていると、ノックの音が聞こえて来た。
「だ、誰?」
 ミカンが尋ねると、
「ミカンさん、僕です、解りますか?」
「ミカンさん、うちらもお見舞いに来たで」
「この声?」
 ミカンはすぐに誰の声なのか理解した。ドアを開けるとそこには文字通り、ジムリーダー仲間のツクシとアカネ、そして初対面となるヒビキがいた。
「貴方達、ツクシくんとアカネちゃん!」
「はい、ミカンさんのことが心配になって」
「だからこうして見舞いに来てやったで」
「ありがとう、二人共。あら、この子は?」
 もう一人の初めて見る何とも気さくな顔をした少年と顔を合わせる。
「あ、この子はヒビキくん、僕達の友達です」
「ツクシくん達の友達なの、ふふ、中々鍛えられて頼もしそうね」
「いやー、そうでもねえさ。俺、ヒビキって言うんだ。ツクシくん、アカネちゃん、ミカンさんと知り合いか?」
 ヒビキが聞くと二人は頷く。
「うん、小さい時からアカネちゃんと一緒によく鍛えてもらってね。食堂でごちそうしてもらったりアカリちゃんに合わせてくれたりしてね、僕達にとって優しいお姉さんみたいな人なんだよ」
 ツクシが厳しくも優しくしてもらった特訓の日々や色んな思い出を語った。
「まあ確かに、うっつくな人だし、優しい人だよな。ツクシくんとアカネちゃんが好きになるのも解るぜ。とそれはそれでだ、ミカンさん、アカリちゃんは?」
 ヒビキが言うと、ミカンは悲しげにアカリちゃんの方を向いた。顔は高熱で赤くなっていてぜえぜえと息を吐いている。テーブルを見ると食が進まなかったのかきのみをすり潰したお粥を残していた。
「うわ、ひどい熱やん・・・」
「どれどれ・・・」
 ヒビキがアカリちゃんの額に手を当てようとした。
「あ、ダメ!熱が高くて直に触ったら・・・!」
 ミカンが止めようとしたが、もう遅く、ヒビキの手がアカリちゃんの額の水晶に当たった。すると手があっという間に赤くなり、
「うわあああちやああああああああああ?!?!!!!!」
 大やけどをしたヒビキは足をバタバタさせて飛び上がり、アリゲイツのみずでっぽうでやけどした手を冷ました。
「ひー、あっちい、あんな熱いとは思わなかったぜ・・・」
「ミカンさん、アカリちゃん、そんなにひどい熱なの?」
 アカネが心配そうにアカリちゃんを見つめると、
「そうなの、なんとか熱を冷まそうとしたけど、氷を入れた袋も熱で破けて、タオルや削った氷を乗せてもすぐに溶けてダメになってしまうの」
 ミカンは今までやって来た熱冷ましを話してすべて失敗に終わってしまったことを語った。
「あちゃ、アカリちゃん、お粥をほとんど食べてへんや」
「ミカンさん、アカリちゃんをどうにかして治せないの?」
 ツクシとアカネは何とかしてあげたいと真剣な眼差しで訴えた。出来ることなら何でもしてあげたい、そう伝えている。
「一つだけあるの・・・」
「それって・・・?」
 ツクシが言うとミカンが話した。
「タンバシティと言う街に薬屋さんがあってそこに売っているひでんのくすりを手に入れれば・・・」
「なーんだ、そのタンバシティって街に行ってクスリを取ってくればいいだけのことじゃねえか。よし、だったら・・・」
 ヒビキが走り出そうとした。
「どこ行くの、ヒビキくん?!」
 ツクシが慌ててヒビキを止めた。
「決まってんだろ、タンバシティに行って薬を取ってくる。簡単なことだろ」
「いや、ヒビキくん、それが簡単じゃないんだ・・・」
「え、何だよ?」
 ヒビキが首をかしげるとツクシとアカネは言いたくても言えなさそうな顔をした。
「何だよ、何か問題でもあんのか?」
「実はね、その・・・、やっぱりダメよ、貴方達を危険な目に合わせてしまう!」
 ミカンも何かを言おうとするも言えずに口を塞いでしまう。
「何だなんだ、何か胸につかえちまうな、タンバシティに何か問題でもあんのか、何か言ってくれよ、大丈夫!危険なことなら俺達いくらでも経験してるからさ。それに・・・アカリちゃんをこのままにしていいはずがねえしさ・・・」
 アカリちゃんを見つめてヒビキはミカンにお願いした。
「ヒビキくん、気持ちは嬉しいわ。でも、やっぱり・・・」
 タンバシティに行けない理由、それは何故なのか・・・、それは外へ出て40番水道に来た時、その訳が解った・・・。


続く・・・。

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