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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第16話「アサギのとうのアカリちゃん」パート6


ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ、コンパン、ウソッキー



「げ・・・、嘘だろ」
 ヒビキ達はとうだいの外を出てアサギシティの40番水道の浜辺に来ていた。そこでヒビキ達は愕然とする。
「ミ、ミカンさん、まさかタンバシティってこの海を越えた先にあるのか・・・?」
 怖々した口調で聞くとミカンは静かに頷いた。
「ひでんのくすりがあるタンバシティに行くにはこの海を渡るしか方法は無いの。私が行こうにもあの子を置いていく訳にはいかないし、街に着くまではかなり時間がかかる。それに最近この海では渦巻きが発生しているの。頼みたくても貴方達を危険な目には合わせられない・・・」
 アカリちゃんの病気を治してやりたいが彼女を置き去りにはできない。人に頼もうにもその相手を危ない目に合わせてしまうかもしれない。ミカンはどうすることも出来ず涙で瞳が溢れていた。
「ツクシくん、海を泳いでいくっていうのはどう?」
 アカネが言うがツクシはそれは無理があると反論した。
「そうしたくても、タンバシティまでにはかなりの距離がある。それに僕達、なみのりを覚えられるポケモンは持ってないし、肝心のみずタイプもヒビキくんのアリゲイツしか・・・」
 八方塞がりになってしまいツクシはどうすればいいか悩んでしまう。一方、ヒビキは何かを見つめていた。それは街に所々に植えられている木だった。
「そうだ、ツクシくん、39番道路に木々が生えてたよな?」
「え、それはそうだけど、何か思いついたの?」
「ああ、海を超えられるいい方法を!それに、あのアカリちゃんをこのままにしていいはずがねえしな・・・」
 ヒビキはとうだいを見つめてアカリちゃんを思った。
「おし、早速、行こうぜ!」


<39番道路>
 ヒビキ達は39番道路に来ていた。ツクシのストライクが落ち着いて立っている。そして風が過ぎ去った直後、
「ストラーイク!!!」
 素早く走り出して両腕の鎌を振るい木々を切り落としていった。アリアドスもきりさくをして木を倒していく。
「いいよ、ストライク、アリアドス!」
「お、ツクシくんもやるな。おし、俺も!」
 ヒビキは腕をブンブンと回して木を思い切り殴ってその衝撃で折ろうとしたが・・・、
「うぎいいいいいいい!!!」
 体が衝撃でブルブルと震えた。
「ヒビキくん、何やって・・・?」
「そんなことしても木は倒れへんで・・・」
「あの、大丈夫・・・?」
 ツクシとアカネは呆れていてミカンはとても心配していた。
「あーはは・・・、人様の力じゃ折れねえのは知ってたさ。さーて、アリゲイツ、オオタチ、オニスズメ、頼んだぜ!」
 アリゲイツ、オオタチ、オニスズメは素早く動いてきりさく、つばめがえしを振るって木を切り倒した。そして、あっという間にたくさんの丸太が出来た。
「まあ!」
 ミカンは驚いて感心した。
「おーし、これぐらいありゃあいいだろう」
「なるほど、いかだを作ろうって言う訳だね!」
 ツクシが言うとヒビキはその通りとグーサインをした。
「そう言うこった!皆、力を貸してくれ、俺も先頭に立って作るぜ!」
 帽子をオニスズメに加えさせると手ぬぐいを巻いて金づちや釘などを手ぬぐいに差して行動を開始した。
「任せてヒビキくん!」
「私もお手伝いしていいかしら?」
 いかだ作りが始まった。ヒビキとツクシが丸太を整列させると、アリアドス、トランセル、コクーンがいとをはいて丸太が解けないよう固定させる。ストライク、アリゲイツ、オオタチが鎌や爪で気を切り裂いてオールを作っていた。
 オニスズメが杭を咥えて飛んで来てヒビキに渡した。
「あんがとよ、オニスズメ」
 ヒビキは平らな板を丸太に載せて金づちで杭を打ち付けて固定させた。ツクシも金づちを持って杭を打ち付けている。ミルタンクやイーブイ、アローラロコンが弾んで板を接着させようとしていた。
「皆、頑張ってーっ!」
「貴方達も頑張ってるわ、はい」
 アカネとミカンがきのみジュースを持ってきて疲れたアリゲイツとストライク、オニスズメやオオタチ達に振舞った。そうして・・・、


<40番水道>
「出来たぜ!」
 遂にいかだは完成した。丸太が浮き具替わりになり板が足場になっていて中央の旗にはヒビキが描いたコイキングの絵が立っていた。
「俺特製のいかだの完成だ、151匹乗っても壊れねえぜ!」
「じゃあ、乗せてみようか・・・?」
 ヒビキが自慢げに言うとツクシがクスリと笑って突っ込んできた。
「い、いや、やめとこう・・・。さすがに潰れちまうだろうし、まあ、これで乗ってけばタンバシティに行けるはずさ!」
「そうだね、皆でオールをこいで行けばそんなにはかからないかな?」
「ヒビキさん、さっすが!」
 アカネに褒められてヒビキは照れ臭くなって頭をかいた。
「ありがとう、貴方達に辛い役目をやらせてしまうかもしれないけど・・・」
「いいんだよミカンさん、病気のポケモンのためとなりゃあこれぐらいは当然のことさ。おし、皆押してくれ!」
 ヒビキとツクシ、そして二人のポケモン達が力を合わせて一斉にいかだを押した。見事にいかだは船に浮いてヒビキ達は船に飛び乗る。
「おーし、出発だ、目標、タンバシティ!」
「ミカンさん、くすりは必ずもらってくるから!」
「うちらに任せてて!」
 出港するとヒビキ達はミカンに手を振ってタンバシティを目指していった。彼女もヒビキ達の無事を祈る。
「貴方達、頑張って・・・、どうか、無茶はしないでね・・・」


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