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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第17話「うずまきじまの伝説ポケモン」パート1

ヒビキ現在の手持ち
アリゲイツ、オオタチ、イシツブテ、オニスズメ、コンパン、ウソッキー

今回の注目ポケモン
・うずまきじまのポケモン
・レディバ


今回の注目ポイント
・あの伝説のポケモンが登場
・ヒビキとツクシの友情が試される



「うーん、天気がいいぜ」
 晴れ渡る空、海に浮かぶいかだでヒビキは背伸びをする。いかだに乗って向かう先はタンバシティ。ミカンが看病するアカリちゃんの病気を治すために薬を手に入れに行くのだ。
「オニスズメ、何か見えたか?」
 旗の上にいるオニスズメに聞くと、オニスズメはまだ陸地は見えてないと首を横に振った。
「ツクシくん、タンバシティってそんなに遠いのか」
「うん、40番水道を南下して更に西の方へ進んだ先にあるからね。結構遠いと思うよ」
「そっか・・・」
 早くアカリちゃんを助けてあげたいと言う気持ちがあったがいかんせんいかだのスピードは早くなかった。アリゲイツやストライク、オオタチ、イシツブテがオールをこいで何とか進んでいる。一方、コンパンは釣竿を出してのんきに釣りをしていた。
「まあ、じっとしてても何もならねえし俺も何かするか」
 オールを手に取ると、ヒビキもポケモン達と一緒にいかだを進ませた。
「うーん、陸地はまだ見えないね・・・」
 双眼鏡を手にして遠くを見渡すツクシだが、タンバシティはまだ見えていなかった。
「うーん、涼しい」
 一方、アカネは足を海水に付けて涼んでいた。近くに脱いだシューズと靴下が置いてあった。彼女の太ももでアローラロコンがこなゆきをまいていた。
「ツクシくん、こっちおいでよ」
 可愛い笑顔でアカネはツクシを誘った。
「え、でもタンバシティのある場所を見ないと」
「平気平気、ちょっとの時間やったらええやろ」
 双眼鏡を置くと、ツクシはまあ少しだけならと、近くに座った。アカネは靴を脱ぐ仕草をすると、ツクシも理解して靴と靴下を脱いで彼女と一緒に海水に足を浸けた。
「ツクシくん、いつ以来やろな。こうして一緒に旅するの・・・」
「そうだね・・・ヒビキくんに会うまでは別々だったからね・・・」
 ツクシとアカネは空を見上げて思い起こしていた。二人はポケモンじゅく以来からの親友で一緒に競い合い、ミカンの元で修行していた時期もあった。ジムリーダーになってからは会う機会があまり無くなってしまい、こうして再び一緒になるのも久しぶりだった。
「楽しかったやね、あの頃」
「うん、君にはボロ負けだったけどね・・・」
 少し涙を浮かべてしまう。何故なら、勝負の時にはいつもアカネのミルタンクに打ち負かされていたからだ。
「それはうちが可愛くてメッチャ強いから仕方ないやろ」
「まあ、確かに君にもトレーナーとしての才能があった。だからミカンさんも他のジムリーダーの人達に僕達を受け入れてもらえるよう色々やってくれたんだよね」
「そうやった、思えばうちらに優しくしてくれたのはあの人やったから・・・」
 アサギシティのミカンはツクシとアカネに取って姉替わりのような存在だった。修行の時には自分達に真摯に接してくれた人だった。だからこそ助けになりたかったのだ。
「ヒビキくんには感謝やな」
「そうだね、彼と出会ったお陰でこうして君とミカンさんに会えたんだから」
 ポケモン達とオールをこいでいる一生懸命な少年、そんな彼をツクシとアカネは見ていた。
「なあ、ツクシくん、ミカンさんがこの海には渦巻きが発生してるって言ってたよな、あれって何だ?」
「ああ、この辺りにはうずまきじまって言う島があってね」
「うずまきじま?」
 オールをこぎながら首をかしげるとツクシが説明した。
「うずまきじまはね、40番水道の真ん中にあるうずまきに守られた人が入ったことのない神秘の島でね、ある話では伝説のポケモンを迎えるための儀式が行われたとされている場所なんだ・・・」
「へえ、伝説のポケモンねえ、どんなのなんだ・・・」
「確か、銀色の羽をまとった美しく凛々しいポケモン、そう聞いた」
 ツクシの言葉を聞いてヒビキも興味が湧いてきたが、今はそれどころではないと首を振った。
「結構面白い話だよな、でもそんなことよりも今大事なのはアカリちゃんのことだ。うずまきじまは見ないふりしてタンバシティを・・・」
 目の前を見てヒビキは驚愕した。顔がすっかり真っ青になってしまっている。
「どうしたん、ヒビキく・・・あああ・・・」
 アカネも不安になりアローラロコンを抱きしめる。
「ツ、ツクシくん、あれって、まさか・・・」
 慌ててツクシに聞くと彼もうんうんと頷いた。
「間違いないよ、あれは・・・」
「渦巻きだーーーーーっ!」
 目の前の渦巻きに巻き込まれていかだが一瞬で破壊された。ヒビキ達の体が宙を舞い、空高く飛ばされていく・・・。



「へ、へーくし!!!」
 ヒビキがくしゃみをして目を覚ました。近くを見るとアローラロコンがいる。どうやら冷気を出して目を覚まさせたのだ。
「はあ、すげえ渦巻きだったぜ・・・それよりも皆は・・・!」
 ヒビキが廻りを見ると、アリゲイツ、オニスズメ、オオタチ、コンパンが戻って来た。
「お前等、良かった!本当に良かったぜ!無事で!お前等に何かあったら、おら、おらあ・・・!」
 鼻水を垂らして涙で顔がグチョグチョの状態で自分のパートナー達を力いっぱい抱きしめた。
「そうだ、ツクシくんとアカネちゃんは?!」
 二人はどこへ行ってしまったのか、心配になると、
「お前、ツクシくんの」
 ツクシのエースであるストライクが目の前にいた。
「おい、ツクシくんとアカネちゃんはどこにいるんだ?」
 かまきりのポケモンは鎌であるものを差した。そこには気絶している二人の友達がいた。
「ツクシくん、アカネちゃん!」
 二人を見てヒビキの顔がほころんだ。駆け寄って声をかける。
「う、ううん・・・」
「あ、ヒビキさん・・・うちら、今・・・」
「やったな、皆無事で良かった!」
 大粒の涙を流して二人を抱きしめた。驚くツクシとアカネだがすぐに彼の気持ちを理解して喜ぶのだった。
「それにしても、うちらは今どこにいるの・・・」
 アカネが辺りを見ると、どうやらある島に着いたようだ。ツクシが歩くと海にうずまきが浮いていた。
「ヒビキくん、アカネちゃん・・・」
「何だ、ツクシくん?」
「どうやら僕達、うずまきじまにいるみたい・・・」
「そうか、うずまきじまに・・・てうええええ?!」

 
続く・・・。

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