コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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日々の小さな幸せの見つけ方【完結】
日時: 2013/05/04 20:21
名前: ゴマ猫 (ID: S9l7KOjJ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=33090

はじめましてゴマ猫です。

読んでくださった皆様のおかげで、この作品を完結させる事ができました。

本当にありがとうございます!!


完結はしましたが、もし少しでも興味あるな〜って思ったら読んでもらえると嬉しいです!!


【目次】

作品内容>>26

登場人物紹介>>25

日常の風景>>3 >>4 >>5

真夜中の図書室>>6 >>7 >>10 >>11 >>12

黄昏の出来事>>15

幼少の思い出>>20

病室にて>>28

再開>>29

すれ違い(かおり編)>>31

遭遇>>33 遭遇(かおり編)>>37

幼なじみ>>40 幼なじみ(かおり編)>>41

相談>>42

とある日の妹との休日旅行【番外編】>>47 >>50 >>53 >>54 >>58 >>62 >>66【完】

それぞれの1日(かおり編)>>69

それぞれの1日(三波編)>>70

お見舞い>>73 お見舞い(その後の自宅)>>76

紳士協定(かおり編)>>79

意外な訪問者>>82

暗雲>>85 >>88 >>91 >>92 >>96

ある日の昼飯>>97

ダブルデート>>103 >>104 >>109 >>112 >>113

日常と変わりゆく日常>>116 >>119 >>122 >>123 >>124 >>126

決意の夜>>131

日々の小さな幸せの見つけ方>>134 >>135【完】

あとがき>>136


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暗雲4 ( No.96 )
日時: 2013/04/29 19:14
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

ゆっくりと宙に上がったボールは、弧を描いて、リングに向かって落ちてくる。

ガンッ!!

リングの奥に当たって、勢いが弱まり、ボールがリングのまわりをクルクルと回る。


「「外れろー!!」」

俺と赤坂が、口を合わせて叫ぶ。
回転スピードが弱まってきて、後はリングに入るか、落ちるか。



ボールは、後ほんの数センチというところで落ちた。

「「ほっ……」」

俺と赤坂は、同時に安堵の溜め息をもらす。

「ちっ、外れたか」

田中は少し悔しそうにしていたが、すぐに横柄な態度に戻る。

「しかし、お前に後がないのに変わりはない」

2本先取している田中、3本目を外せば俺の負け。
確かに、ピンチな状況は変わっていない。

「おい、体調大丈夫か?」

赤坂が俺に耳打ちするように問いかける。

「……正直、あんま良くないな」

意地で痛みを我慢しているが、本当ならトイレに直行したい。
その時、体育館入口から穏和な顔立ちの、山本君が入ってきた。

「部長、首尾はどうですか?」

山本君は、にこやかな顔で田中に話しかける。

「もう終わるよ。水島は腹痛で、調子が出ないようだしな」

「それは何より」

ん……?
何で山本君、田中の事、部長なんて呼んでるんだ?

「山本君、何で田中の事部長って呼んでるの?」

まっ先に浮かんだ疑問を問いかける。
山本君は、にこやかな表情のまま俺に向き直った。

「水島君、体調は大丈夫かい?下剤かなりの量だったんだけどね」

俺の質問には答えず、ニコニコと笑いながら、爆弾発言をする山本君。

「えっ?下剤?」

「うん。スポーツドリンク飲んだでしょ?」

そう言うと山本君は、右手に錠剤が入った小瓶を見せてきた。

「……ま、まさか」

「うん。水島君は人が良いから、疑う事を知らないんだね」

極悪っ!!
なんつー卑怯なやり口だ。

「はっはっは!!水島、勝負の前から、すでに戦いは始まってるんだよ」

嘲笑うかのように、田中はそんな事を言う。

「汚ねぇーぞ!!お前らっ!!」

俺が怒るより先に、赤坂が田中に掴みかかる。

「ふん、ずるい、卑怯は敗者の戯言だと昔から言うだろう?」

「お前って奴は……!!」

田中の一言に、赤坂は完全に頭にきていた。
俺も頭にきていたが、理由が分かったせいか、さらに腹痛が酷くなってきてしまって動けずにいた。

「こんな勝負、無効だ!!」

赤坂がそう言うと、田中はすかさず反論する。

「ふん、俺は勝負は正々堂々やっていたぞ?それに、下剤を入れろ等と指示は出していない」

「そんな事、いくらだって言い訳できるだろ!!」
赤坂と田中の間に、山本君が割って入る。

「赤坂君、下剤を入れたのは僕だ。部長から指示もされていない。勝負は正々堂々と行われていた……これでは不服かい?」

にこやかな表情は崩さず、そう山本君は赤坂に言う。

「当たり前だろ!!」

「水島君はどう思う?」

不意に俺に問いかける山本君。

「……すっげー腹立つけど、ここで俺が勝てば問題ない訳だろ?」

どっちにしろ、俺が勝てば問題ない。
んで勝ったら、俺の気が済むまで謝ってもらう。

「うん、さすが水島君だ。そういう男らしいとこ僕は好きだよ」

ぐっ……。
男に好かれても嬉しくねーよ。

一悶着はあったが、結局2対1のまま、俺の3投目が行われる事になった。
赤坂は終始不満を訴えていたが、当事者の俺が納得したと言う事で、何とか納得してくれた。

「水島、ぜってー入れろよ!!あのムカつくコンビに謝らせてやろうぜ!!」

「あぁ」

赤坂の激励を背中に受け、俺は3投目を放った。
高く上がったボールは、キレイな弧を描き、リングに吸い込まれる。

「……なっ!!」

驚きの声をあげる田中。
2対2、後1本で決着がつく。

「……ふん、少しはやるな」

これで田中は動揺したのか、延長戦の1本目を外す。

「な、なんだと!!」

気落ちする田中。
ここで俺が決めれば決着がつく。
全ての思いを込めて、俺は4投目を放った。




ボールは今までで一番高く、キレイに弧を描いてリングに吸い込まれていった。

「や、やったぁ〜!!やったな水島!!」

赤坂が勢いよく俺に駆け寄り、背中をバンバンと叩く。

「……あ、赤坂……!!俺に刺激を与えるな!!……まじでヤバい」

「おおっと……悪い。早くトイレ行ってこい」

その後、俺は超特急でトイレに駆け込み、何とか難を逃れる事が出来た。
結局昼休みは終わってしまったので、放課後に俺と、赤坂と、田中、山本君で校舎裏に集まる事になった。



そして放課後。

「水島君……本当にごめん!!」

そう言うと山本君は、深々と俺に頭を下げた。

「あぁ、謝ってくれればもう良いよ。だけど今後はこういう事しないでくれよ?」

下剤入りスポーツドリンクなんて……スポーツドリンクがトラウマになりそうだ。

「……うん、本当にごめん。水島君の三波さんへの愛は本気だったんだね。僕は疑ってしまって恥ずかしいよ」

俯きながら山本君はそんな事言う。
ん?これって、愛とか証明するために勝負やったんだっけ?

「……あ、いやそれは……」

「ほら、部長も謝って!!」

「っ……その……悪かったな」

顔を背けながら、バツが悪そうに謝る田中。

「水島の本気は伝わった。しゃくだが、応援してやる」

謝ってるのに、横柄な態度は相変わらずだった。
ってか何か変な方向に話しが進んでるような。

「いや、ちょっと……」

「じゃあ、僕達は帰るから!!水島君、応援してるよ」

「ふん、じゃあな」

そう言って、2人はダッシュで帰っていった。

「なぁ、赤坂?」

「何だ?」

「話しが変な方向に行ってないか?」

「……まぁ、一連の事件は解決したんだし、良かったんじゃないか?」

「……そうだな」

その後、聞いた話しだが、田中と山本君は、三波のファンクラブなる部活をやっていて、田中はその部活の部長をやっているらしい。
何だか俺が、三波に想いをよせているという誤解をされてしまっていた。

ファンクラブ入会を勧められたが、全力で拒否したのはまた別の話しだ。


ある日の昼飯 ( No.97 )
日時: 2013/04/29 19:24
名前: ゴマ猫 (ID: Mx34GQYU)

昼休み、今日は学食でも食べるかっと思っていると、赤坂に呼ばれる。

「おぉーい。水島、下級生の子来てるけど、お前の事待ってんじゃねぇの?」

「うん?」

廊下側の扉に目をやると、黒髪ロングの人見知り少女、木原日向が居た。

「おい……あの子って。俺達が図書室に忍び込んだ時に居た子だよな?」

そういや、赤坂はあれ以来木原に会ってないのか。

「あぁ。あの時から時々話すようになって、だけどわざわざ来るなんて珍しいな」

そう言えば見舞いに来てくれた時、教室に来たとか言ってたよな。
本を見せたかったとか言ってたけど、他に用事でもあったのかな?

「おい……水島。あんまりあちこちで仲良くなって、問題起こすなよ?」

「ん?何の話しだよそれ?」

時々赤坂は、よく分からん事を言うな。

「いやいや……お前、進藤さんと三波さんの事で揉めたばかりだろ」

「あれは、俺がいつもの感じで弁当の感想言って傷付けただけだし……ってか、かおりも三波も赤坂が考えてるような仲じゃないよ」

かおりとは幼なじみで、仲良いってだけだし、三波は助けてもらったって恩義を感じてるだけだしな。

「お前は女心ってのが分かってないな……あんまり鈍いと刺されるぞ?」

そう言うと、赤坂は大きな溜め息をつく。

「悪かったな。俺は赤坂みたいにモテないんでね。余計な勘違いすると悲しくなるだけなんだよ」

若干、皮肉混じりにそんな事言ってみる。

「余計な勘違い?」

「ふっ……今まで何度そんな勘違いをしたせいで、枕を涙で濡らした事か」

「ヨダレの間違いじゃないか?」

「違うわいっ!!」

「やれやれ、お前が相手じゃ進藤さんも苦労するわな」

そんな赤坂の言葉を背中に受けながら、木原の所に行く。

「よっ。木原今日はどうしたんだ?」

「風邪は良くなったみたいね。今日のお昼は暇かしら?」

「おう、これから学食に行こうと思ってた所だ」

「そう。なら今日は私と一緒に食べない?」

おっ珍しいな……。
ってか、ここ最近よく話しかけてくるよな木原のやつ。

「別に構わないぞ。学食か?」

木原は首を横に振る。

「購買でパンを買って、図書室で食べましょう」

えっ?何で図書室?
飲食禁止だろ? それに会話も出来ないし。

「図書室はマズいんじゃないか?」

「平気よ。こっそり食べれば問題ないわ」

いや、あるから!!
こっそり食べれば問題ない訳じゃないから!!
なーんか木原って感覚ズレてんだよな……。

「木原……頼む、中庭にしよう」

「……仕方ないわね」

木原はやや不満気だったが、何とか聞き入れてもらって俺達は購買でパンを買い、中庭にやってきた。
木陰になっているベンチに座り、買ってきたパンを頬張る。

「そういや、この間はありがとな」

「ふん……別に気にしなくていいわよ。それよりお見舞いの品は、役に立ったのかしら?」

あぁ……あれね。
あの小説半分まで読んだら、何か凄い落ち込んできて、生き血ドリンクは怖くて冷蔵庫の奥にしまってあるとは言えない。

「あ、あぁ。そりゃもうバッチリだぞ」

そう言うと木原はクスリと笑って、問いかける。

「なら、あの小説の感想はどうだった?生き血ドリンクの味は?」

「うっ……すまん。小説は半分で挫折して、生き血ドリンクは怖くてまだ飲んでない……」

「嘘が下手ね。すぐ顔に出るのだから、下手な嘘は止めた方が良いわよ」

うっすらと笑みを浮かべる木原。
どうやら怒ってはいないようだ。

「あれ?水島さんもお昼ですか?」

不意に、後ろからかかる透き通る声。
人気No.1少女、三波風香だった。

「よう。三波も飯か?」

「はい。今日は天気が良いので中庭で食べようと思いまして……隣り良いですか?」

「あぁ……かまわ」

言いかけた所で、脇腹をつねられる。
振り返ると、木原は無言の表情で俺を睨んでいた。

「……誰?この女」

三波に聞こえないくらいの小さな声で、俺に話す木原。

「……同級生だよ。ってか何だその浮気見つけた彼女みたいな反応は?!」

「…………」

俺がそう言うと押し黙ってしまった。

「えぇーと、水島さんそちらの方は?」

やや困惑気味に問いかけてくる三波。

「あぁ、後輩だよ。最近仲良くなったんだけどな。木原ってんだ」

「そうなんですか。私、三波風香って言います。よろしく木原さん」

丁寧な自己紹介をして、素敵な笑みで語りかける三波。

「……どうも」

人見知りっ!!
ふてくされたように木原は、無愛想な表情と返事で返した。

「……あぁ、こいつちょっと恥ずかしがり屋でな。そこは許してやってくれ」

「いえ、全然大丈夫ですよ。お二人はよくお昼一緒に食べるんですか?」

「いや、今日がはじめ」

言いかけた所で、木原が割り込んでくる。

「よく一緒に食べるわ。それでこの間は、先輩の家にお見舞いに行って、そのまま看病しながら、お泊まりしたの」

「…………」

穏やかな昼時の空気が、一瞬にして凍り付く。

「な、何言ってんだーっ!!お前ぇ!!」

捏造してんじゃねぇ!!
お前すぐ帰ったじゃねぇか!!

「……水島さん」

いつもの優しく、透き通る声が、逆に怖さを引き立てる。

「……私そう言うの、いけないと思います。水島さんが本気なら私は応援しますけど、軽い気持ちでそんな事するのは許せません」

えっ?
な、何この濡れ衣で冤罪な感じは?

「いや違うから!!そんな事実はありませんよ!!」

全力で否定をするが、若干パニクって敬語が混じってしまう。

「じゃあさっき言っていたのは、木原さんの嘘なんですか?」

「全部が嘘ではないけど……一部事実と異なってるな。昼飯も今日初めて一緒に食ったし、それに見舞いの時も泊まってないし、木原はすぐ帰ったんだよ」

なるべく誠意を込めて、真実を話した。
嘘でもついたら、大変な事になりそうだ。

三波はふうっと溜め息をつく。

「……そうですか。すみません取り乱してしまいました」

三波はぺこりと頭を下げると、校舎の方へ向かって歩き出す。

「おい……飯食べないのか?」

俺がそう問いかけると、三波は柔らかい笑顔で応じる。

「今日は、お友達と食べます」

「……そっか」

何だかモヤモヤするが、引き止める言葉も見つからない。
三波は、ゆっくりと俺達から離れていった。

「おい、木原何であんな嘘言ったんだよ?」

木原を問い詰める。

「何か悔しかったから、見栄をはったのよ」

えぇ!?
何その理由? さっき結構な修羅場になりかけたんだよ? 木原さん。

「見栄って何だよ?それに、お前いつも俺に下手な嘘つくなって言ってるじゃん」

「時と場合によるわ。臨機応変って事ね」

いや、捏造して誤解を招くのは臨機応変ではないのでは?

そんなスリルある、木原との昼飯タイムを過ごした俺だった。


Re: 日々の小さな幸せの見つけ方 ( No.98 )
日時: 2013/04/01 10:32
名前: 春歌 (ID: cakHq5Qm)

よかったけど、変な誤解…
田中、どんまい…
正義は勝つよ!!(笑)

兄貴は危ないですね(笑)

鈍感というか…そして、赤坂くんはさすがだと思います(笑)

兄貴、モテますね! 妹さんにもモテてますよね(笑)

更新、頑張ってください!




Re: 日々の小さな幸せの見つけ方 ( No.99 )
日時: 2013/04/01 18:48
名前: ゴマ猫 (ID: tHinR.B0)

春歌さん

コメントありがとうございます!!

その通りですね〜。
田中ドンマイです(笑)

主人公は鈍感ですからね〜女心には疎いのです。
赤坂は人の機微に敏感なんですよね。
赤坂、最近真面目キャラになってますね。

そうですね〜。
きっと人生に3度あると言われてるモテ期ですね(笑)

更新頑張ります!!

お知らせ ( No.100 )
日時: 2013/04/01 19:13
名前: ゴマ猫 (ID: S9l7KOjJ)

いつも小説を見て頂いてる皆様ありがとうございます。
いつも見てないけど、読んだ事あるよって皆様もありがとうございます。

今書かせてもらってる小説も、後少しでラストとなりました。
この小説は、最初から最後まであらかじめ書いてあって、少し修正を加えながらアップしてきました。

なので結構早いペースでアップ出来てたんですね(笑)
小説を書くのは初心者なので、読みづらかったり、誤字脱字があったりしたかもしれませんが、参照も700突破と嬉しいかぎりです。

長くなってしまいましたが、この作品を書き終わったら新作を書く予定ですので、ぜひ暇があったらまた読んでもらえたらな〜っと思います。

全然関係ないけど、猫ってつく作者さん多いな〜って思った今日この頃です(笑)

以上、ゴマ猫でした〜。


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