ダーク・ファンタジー小説
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- 人魚 終焉無き白夜
- 日時: 2012/11/16 02:18
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
序章
今からお話しするのは遥か、遥か昔……
この国が、まだ中世と呼ばれる時代に始まり。
今でも続いている数多の……
そんな、物語の内の一つで御座います。
ーー その若者は決して、
交錯する事の無い流れを
ただ、ただ、見て来ました。
幾つかの戦で倒れた戦友。
度々あった流行り病や飢饉で…世の中の不条理で、
酷く痩せて、米の一粒も無く息絶えた子供達……
みんなの最後を、彼は見届けてきたのです。
彼はその度に涙をこぼしました。
その終着点が見えない……
孤独と苦痛の地獄を噛み締めて…………
- Re: 人魚 終焉無き白夜 ( No.89 )
- 日時: 2013/10/31 04:32
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)
幕間 乙女と虚無の残滓
ー 十四世紀 フランスのとある荒野にて ー
新たに北に君臨し始めて間もなく。
彼は他の王とは別の意味で、周囲に恐れられる事になる。
それは……
その地位を手にしようと挑んできた者を。
彼を裏切りし家臣を。 退治しようとした人間達を。
特に何もさせずに殺した。
殺し過ぎたからだった。
そして、己の手足や白に等しい髪に、ただの一滴の血のりすらつけずに。
だから、孤立した。
あまりに強いが故に。
あまりに殺し過ぎたが故に。
数百メートル先まで、折り重なった死体の
山。
その顔一つ一つには、ハッキリと「恐怖」「絶望」「苦痛」の苦悶の表情を浮かべており。
如何に彼が、彼らにどのような絶望を与えたのか、ありありと浮かび上がっていた。
しかしながら、それらの表情のある死体は極々少数で。
殆どの死体は、己の身に何が起こったのか。
死んだことすら、理解するまもなく絶命している者と
死体すら残っていない死者の方が大多数であった。
「酷いな… 」
そんな霊魂がさ迷う夥しい死体の山に一人。
鎧に身を包んだ美しい女性が現れて、その整った顔を少しだけ歪ませて言う。
「生まれ出でて僅か、数百年という短期間で。
圧倒的的な力をつけて、王に収まった男か……。
父上に訊いてはいたが、よもやこれ程とは…… 」
信じた者達から、裏切られた。
その王の、心の闇は並大抵のものではないだろう。
(最初こそは、怒りと悲しみだけだったのかもしれない。
しかし、段々とその数が増してゆく内に。
己の身に降りかかった火の粉をはらううちに。
それは絶望に変わった、とも言っていたけれども。
よもや、これほどとは…… )
ー 自分の手は、どこだ?
何故、自分は死んだのだ? ー
ー 化け物…… ー
ー おのれ! 今度あったら…… ー
今ここを支配する怨唆、疑問、恐怖の入り混じった死者の声は、
父親の命令で死者を選び、戦士とする仕事を任されている
彼女にしてみれば、その様なものは日常のものでしかない。
しかし……
そこにある魔族の、魔力の異常な量は間違いなく。
吸血鬼という種族の最上位に位置する存在。
戦えば、間違いなく弱い自分は死ぬ。
(運命を司る三姉妹の予言を信じるのなら。
そう遠くない未来に巡り会う運命にある、か……
もし、本当にそうならば。
出来れば、話しが通じると良いな… )
おわり?
後書き
少しだけ未来のお話です。
- Re: 人魚 終焉無き白夜 ( No.90 )
- 日時: 2013/11/14 14:59
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)
幕間 兄と妹
通称 “ 白雪のアリシア ”と呼ばれる女吸血鬼の兄は天才だ。
僅か二歳で、豚頭人身の魔物数十匹を皆殺しにしたばかりか。
その数年のち、己が父を倒して当主の座と家の政権を手にした。
それは本人にしてみれば、単に煩くて邪魔だったからオークの群れを殲滅しただけ。
己の父を当主の椅子から引きずりおろしたと言うのも。
実際は既に彼が父の力を上回っていただけで、
父の地位を奪い取る気など、毛頭になかったのだが。
周囲は、やれ“彼は天才”だ。 家の将来は明るいだの皆が皆。
彼の力を敬い、誉めちぎった。
しかし、その後だった。
彼女が、その兄の妹に生まれ落ちたばかりに…
「兄がこれだけ天才なのだから。
その妹も、相当なものだろう 」と期待され…
いや、されていたが故に。
その運命は、彼女にとって過酷で孤独なものとなった。
「この出来損ないがっ!
己の兄の半分どころか、我らが階級の平均でしかないとは。
何とも嘆かわしいわ! 」
その潜在能力は勿論の事。
男女の差はあれど、決定的に彼女の地力や魔力は。
兄のそれより遥かに劣っていて、何を覚えるにしても。
……そう、普通過ぎたのだった。
彼女の成長と共に才能に歴然とした差が現れ始めてから、
両親は、我が子に罵声を浴びせるように……。
何かと兄を贔屓し、比較、差別するようになったのだ。
愛されたくて、努力をしても。
そうやって、天才の兄と比べられ馬鹿にされて。
決してかえりみられはしない哀れな彼女は。
いつしか、一人でいる事が多くなった。
「寂しい…
どうして、どうして…… 」
何故、自分は愛されなかったのか?
才能だけが、子供を愛する要素なのか?
私を見て。
同じ父と母を持って生まれたのに、何故……?
彼女は何度も願った。
何度も運命の非情さを呪った。
それでも、何ひとつ変わらない孤独。
全てが虚しかった 悲しかった 寂しかった。
だから、彼女は自ら孤独を選んだ。
これ以上、自分が傷つかないように。
おわり?
あとがき
……………
- Re: 人魚 終焉無き白夜 ( No.91 )
- 日時: 2013/11/17 18:57
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)
第仁拾壱 血染めの氷河
ーーのちに、伝説は語る。
南のディーノが怒りのままに送りこんだ数万の軍勢は、
氷河と吹雪が支配する極寒の大地にて全滅す。
その、大半が何も感じる暇もなく。
ごく少数が絶望・恐怖・憎悪を感じながら。
主君と同じ…
新たに、北を支配し始めたばかりの…
二百の“若い”吸血鬼によって、惨殺された。
周囲の雪や氷河を真紅に染め上げてーー
ーー 殺した。
歴代の、どの北の王よりも陰惨に。
半日にも満たない時間で、殺したのだと。
こうして、彼はこの戦争をきっかけに…
そして、時の下りと共に伝説となる。
それは、あまりに異例で。
あまりに強く。 あまりに殺したからだ。
だから、吸血鬼達や他の魔族らは彼をこう呼ぶ。
“ 白銀の殲滅者 ”という名で……
続く
あとがき
この編が一番、長い気がします。
- Re: 人魚 終焉無き白夜 ( No.92 )
- 日時: 2013/11/21 14:34
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)
前書き
作者は土佐弁に詳しくありませんので、
高知県民の皆さん。
すみません。
番外編 坂本龍馬と…
慶応三年十一月十五日の誕生日。
腹が減ってのう…
皆で近江屋で軍鶏鍋を喰おうと思うて、
峰吉ちゅう使い走りに肉を買いに行かせちょる間に。
“きゃつら”の奇襲におうて戦ったんじゃが…
何というか、まあ、死んじまったぜよ。
言いたい事と言うたら。
きゃつらの事も気にくわんが、
新しい時代を見れんかった事、あと鍋を喰い損ねた事は名残惜しかったのう。
軍鶏鍋ぇ…
そんで、おまんは何もんで。
こじゃんて殺された死人のわしに何の用じゃ?
ほーん…妖怪?
しかも、齢九千のじゃと?
わしには、元腹してそんなにたっちょらん小僧にしか見えんがのう?
はははっ…!
おわっ!
こわっ、何する!!
死んだらどうするぜよ!
へ?
もう死んどるき、二度も死なないじゃあと?
やき、くじくるなと?
のぼすんな!!
おトメねぇちゃんみたいな事言うのは!
死んだちゅうたって、危ないもんは危ないんじゃけ。
続く
後書き
九州弁とは違って、土佐弁は難しいです
- Re: 人魚 終焉無き白夜 ( No.93 )
- 日時: 2013/11/22 20:03
- 名前: 珈琲猿 (ID: jF5f2bDU)
坂本さん
どんだけ食べたかったのwww
軍鶏鍋を。
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