二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.51 )
- 日時: 2018/07/15 23:14
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「あかんわ!」
侑士が部活の休憩中に携帯を見ながら俺の背中を叩いた。
「なんだよ、うるせえな」
「コレ見てみぃ」
侑士は亮に携帯の画面を見せた。動画では逢花が友人に手を引かれて、教室に入りクラッカーを鳴らされている。お誕生日おめでとうー!と何人かの甲高い声がしている。
「柳台の子のインスタなんやけど、逢花ちゃんお祝いされてん」
「俺、知らねえよ」
聞いてない。数日前にラーメンを食いに行ったときもそんな素振り見せなかった。
「誕生日なの知らなかったん?」
「…おう」
亮が少しいじけたような顔をしたので、侑士はドンマイと労いの言葉をかけた。しかし亮にはただの挑発行為だと見えてイライラした。
「誕生日なんて知らないって」
「おめでとうだけでも」
「分かってたらなんか用意するっての!」
「何あげるんですか」
日吉がコートの脇に座っていた。
「…わかんねえけど、あいつが欲しいモンあげるわ」
「だから何あげるんですか」
「女子が好きそうなものだろ」
「スイーツですか」
「スイーツ(笑)ちゃうで」
岳人と侑士と日吉はまたじわじわと横で笑っている。なんだか、モヤモヤする。今からどうしようにもないことはよく分かっている。しかし、どうしても祝ってやりたいと強く思った。
「だー!もう!…打つぞ」
むしゃくしゃする気持ちを抑えようと、1人コートに入りサーブを打ち込み始めた。
「一言ぐらい祝ったら?」
「別に逢花が気にしてなかったら、俺必要ないだろ」
「神島逢花がお前からプレゼントとか祝い待っとったらどないすねん」
「直接言われてねーもん」
完全に塞ぎ込んだ亮を宥めるように、岳人と忍足は声をかけている。球の音がいつもより激しめに響いて、亮の若干の気性の激しさに左右されているようだ。
「中々駄々っ子やな…」
「亮、彼女とか好きな人いたことないっぽいからなぁ」
忍足と岳人はため息をついて肩を下げた。
- Re: Princess Teens ( No.52 )
- 日時: 2018/07/15 23:24
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
案の定、部活終わりに携帯には逢花の弟である陽也から、逢花の誕生日であることが知らされてきた。知らなかったわ、と一言返すと数分してから、姉貴誕生日親から祝われたことないですよ。俺もですけど。とどうやら誕生日に重きを置かない思考であるらしい。陽也から教えて貰ったって言おうかなぁ、亮はチャリを漕ぎながら考えていた。
姉貴にドンキで買った着ぐるみあげたんすけど笑
と逢花がポムポムプリンに包まれている画像が送られてきた。あったかいっつって気に入ってます。先輩もよかったら何かあげてやってください!と土下座の絵文字。それにしても完全に着ぐるみに着せられて足元と手は指先までしか出てきてない逢花はちょっとかわいい。
今から家来てもいいっすよー
今日集まりあるんで
でも誕生日に飯作らせるのも申し訳ない。ケーキでも買っていこうか。
- Re: Princess Teens ( No.53 )
- 日時: 2018/07/15 23:53
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
手足が出るフード付き着ぐるみに包まれて、逢花はうたた寝をしていた。今日は皆で焼肉に言ったあとにアイスを平らげカラオケで暴れて足がくたくたである。テレビの音と電気が付いたまま逢花の目が閉じる瞬間、玄関のチャイムがなった。
「…はい?」
「よぉ」
「亮くん…どうしたの?」
「眠そうだな」
「ううん」
目が垂れ下がった状態で首を横に振った。逢花は亮を招き入れ、亮はテーブルの上にケーキを置いた。
「お前の弟から、逢花が誕生日だって聞いてよ」
「陽也と仲いいの?」
「ちょっとしゃべってLINE友達だぜ」
亮はチョコミントが好きなので、チョコのケーキを選んだ。逢花には小さくて丸いベリーのショートケーキ。皿とフォークを逢花が出してくれて、俺らは向かい合って座った。フードから逢花の顔が見えないので、俺はポムポムプリンの耳を引っ張ってフードを剥がした。逢花はちょっと眠気が覚めたのかわらった。
「はっぴばーすでーあいかー…」
「めっちゃヘタクソ」
「うるせぇよ、食え」
「いただきます」
フォークですくって1口食べた。美味しい。女子が好きそうなものを分かっているなぁと思った。
「ありがとう、美味しいよ」
「よかった」
食べ進めていると亮が口を開いた。
「逢花って誕生日祝われるの嫌なのかよ?」
「別に普通だけど、あんまり自分のこと気にしないからどうでもいい」
俺の方が逢花のこと逢花自身より考えてる気がしてきた。ダメだ。
「亮くん誕生日いつ?」
「9月29日」
「終わってるじゃん!」
あの時は逢花に会ってから少ししか経ってなかったし、お互いのことは何も知らない方がむしろ自然だ。亮も逢花もそれにはなんとなく合致した。
「後で食べよ」
逢花は冷蔵庫にケーキを閉まった。
「部屋寒くね?」
部屋に上がったものの、ちょっとまだ肌寒い。逢花は毛布を1枚亮に投げつけた。
「エアコンぶっ壊れてるから、我慢して」
「お、おう」
逢花はあったかそうだけど。
「お前寒くないよな」
「」
- Re: Princess Teens ( No.54 )
- 日時: 2018/07/19 22:26
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
亮は布団にくるまるとまた向かいあわせの逢花になんとなく視線を合わせた。逢花は顔を机に突っ伏している。また寝たのかよ…亮は仕方なく、逢花の肩を揺する。
「ん〜…」
目を閉じたままちょっと不機嫌に声を上げた逢花は亮に寄りかかった。
「お、おい!」
逢花は亮の大きな肩と首に顔を埋めて寝ている。亮は控えめに叫び声で抵抗した。どーすんだ、俺。動けねぇ…。手が宙を舞って、赤面している。つか、めちゃくちゃ体温高い、ガキみたい。亮は子供の寝顔を見るようにして、逢花の背中に手を回して腕をクロスさせた。こんな細い背中で今まで一体どれだけ、何を抱えてきたのか想像できない。だから、俺はあのとき咄嗟に…、亮が色々と考えている間に本当に逢花は眠りに落ちたのか。さらに寝息が聞こえるようになった。亮は逢花が起きないように、自分の体から逢花をゆっくり離して抱き上げた。赤ちゃんみたいに体を預けてくる逢花がなんだか途方もなくかわいい。背中をぽんぽん叩いてみたがやはり起きない。ベッドに逢花を寝かせて、亮は自分の体を起こそうとしたが逢花に袖を掴まれているのが分かった。
「逢花…」
亮が逢花の顔と至近距離で呟いたので、逢花はうっすら目を開けた。
「…亮くんだ」
気づいたように、柔らかくふにゃっと笑った。
- Re: Princess Teens ( No.55 )
- 日時: 2018/07/23 22:22
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
冬休みに入った。今年は大阪に遠征に行くし、春季大会のレギュラーを決めたりジュニア予選も段々近づいてきて部活が本当に忙しくなりそうだ。
「亮!マジで一生のお願い!」
学校で冬期講習中、いきなり岳人が頭を下げてきた。
「クリスマス…うちの店手伝ってくんね…?」
「…あぁ」
そういや、クリスマスのこと考えてなかった。亮は岳人の本当に申し訳なさそうな様子で、やっとクリスマスとか年末の予定を何も考えてないことを思い出した。岳人曰く、向日家の電気屋では毎年クリスマスになると、店先にサンタさんとトナカイの着ぐるみを着て道行く子供たちにお菓子をプレゼントしている。今年は向日父がこしをいためたので、急遽代わりにトナカイを投与する必要があるというのだ。
「別に、予定ないから行くわ」
「ありがとー!!納豆パスタ作ってやるよ」
「いや、いらねえ」
岳人は顔色を明るくして、手を振ってくる友人らに手を振り返しながら教室を出てった。
「亮ちゃん、がっくん家でバイトするんだ」
「まぁな」
咲季が横から声をかけてきた。声色が残念そうなのは亮には伝わらない。
「がっくん家…私もお手伝いしたいな」
「岳人に聞いてみたら?」
「うん!!」
声色が妙に跳ね上がったのも亮には伝わらない。
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