二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.15 )
- 日時: 2018/06/19 13:20
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
亮は案内する様子もなく、歩き始める。逢花は亮が隣にいないと気がついたら、もう教室に向かっているので追いついた。
「あ、わりぃ!」
「やっぱり美里たちのとこ戻るね、なんかごめん」「違うって、今のは俺がボケっとしてただけだわ」
天然なの?と聞くのは本人を馬鹿にしに行ってるので、言うのをやめた。あぁ〜俺こんなんじゃねーだろ〜亮は気持ち慌ててるが、感情の気丈が間に合わないあいだに逢花が帰り道を探そうとキョロキョロしだした。
「ちゃんと案内するからよ!なんだよ調子狂う」
「えぇっ、ごめん」
「だから違うんだよ!」
亮くん男の子なのにめちゃくちゃ情緒不安定なんだけど。
「なんか…こうやって改めて話すと、なんか変な感じだな」
「そう?」
「おう、逢花の顔もはっきり見たの今日が初めてじゃね」
逢花は身長は平均的だが、顔が小さくてちょっと猫目で甘い顔立ちというよりは、年相応だが落ち着いた顔立ちをしている。笑うとふにゃふにゃしたように、力が抜けて可愛い。軽そう。
「私も」
「じゃあ、たこ焼き食いに行くか」
亮くんは肩幅がしっかりしていて、多分高身長の部類に入ると思う。歩き方とか雰囲気とかがいかにもスポーツマンである。
「亮!彼女かよ」
「ちげーわ、知り合いつってんだよ」
男子に絡まれてふざけて蹴ったり、すれ違う男子女子と会話が成立している。亮は友人が多いのだろう。逢花は疎外感を感じながら、会釈をしていた。人が多くて、たまに亮くんの背中が遠くなる。その度に「こっち」と手招きをして立ち止まってくれた。
教室に着くとちょっと熱気がして、暑かった。みんなハチマキを巻いたり法被を着たり、雰囲気がいかにも学園祭。お店は賑わっている。
「席ある?」
「もぉちろんさぁ」
岳人は法被姿で竹串を持ちながら声を上げた。向かいあわせの席に案内されて、亮と逢花は向かい合わせに座る。
「ただいまのオススメ、えー、特にカップルにオススメなのは、納豆たこ焼きスペシャルでぇす」
岳人が注文を取りに2人の席にやってくると、店員に扮した生徒らははやし立てるように声を上げた。
「彼女じゃねーよ、逢花困ってんだろ」
「ただの知り合いです」
逢花は困り顔ではやし立てる亮のクラスメイトに言った。「でも納豆たこ焼き食べてみてーな」「そうだね」と半分興味本位で注文してしまった。あの子誰?と咲季は隣にいた女友達に呟いた。当然誰も知らない。
「お冷になります…亮ちゃんの友達なの?」
「知り合いじゃね?」
「…どうも」
亮ちゃんと亮くんを呼んで、机に水を乱暴に置いた女の子は私を明らかに軽蔑するように見ている。女の子はお姫様みたいにめちゃくちゃ可愛い。とりあえず愛想がよかったかは別として、私も挨拶を返した。
「あの、亮ちゃんのお友達ですか?」
「多分…」
「多分ってなんだよ」
「ちょっとしか会ったことないのにもう友達なの?」
「友達にな、時間とか数とか関係ねーんだよ」
「友達みたいです」
目の前で夫婦漫才見せつけてくんのウザすぎ。どうせこの女も亮ちゃん狙いなんでしょ。
「そう。あんまり亮ちゃんのこといじめないでね」
「そうですね、気をつけます」
妙に落ち着いた感じが腹立つ。
「いじめられてないわ」
「傍から見たら亮くんが弱いってことだよ」
「俺ポンコツじゃねーし」
女の子はおそらく亮くんのことが好きで、なんとなくカマかけてみたら、亮くんがよく分からない返答をして来てもっと困る。金持ちってみんな頭のネジ外れてるのかな。女の子は怒ったように、裏に戻ってしまった。ちょっと悪いことしたかな。
「今の子可愛いね」
「ずっと一緒にいるからわかんねーわ」
逢花は外の景色を眺めていた。間近に宮殿のような学園内が広がり、あとは高層ビル群が見える。
「はぁいお待ちー」
岳人がたこ焼きを持ってきた。むわっとたこ焼きの匂いがする。
「いただきまーす」
ソースとマヨネーズをかけて口に放り込んだ。熱くて味わう余裕がない。
「あぢぃ!ん…うまい」
「おいひい」
「へっへーん、納豆上手いだろ」
「結構好きだわ、食える。お前は?」
「全然ありだね」
ドヤ顔の岳人は近くに置いていた椅子を引っ張って向かい合う2人の間に座った。
「お前ら…」
「だーかーら!付き合ってねぇよ」
「ホントかよ?珍しいんだぜ、亮が女連れて歩くの」
「うるせー。俺にも女友達の1人2人いるわ」
岳人と亮は冗談を叩き合いながら、逢花の分のたこ焼きまで完食してしまった。
「とにかくさぁ、こいつのことよろしく頼む!彼女出来たことないんだからなー亮はー」
「部活終わるまでいらね」
「見栄はんなっつーの」
- Re: Princess Teens ( No.16 )
- 日時: 2018/06/19 13:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
「忍足くんって、何部なんですかぁ?」
「テニス部」
「すごーい!」
何が凄いのか分からないが、逢花と別行動をしている友人らは侑士を交えて男子3人組と話をしていた。テラス席で合コンのように談笑する彼ら。
「日吉くんは?」
「あぁ…忍足先輩と同じです」
忍足の一個下の後輩の日吉若は、帰りたいと言わんばかりに不貞腐れている。忍足とほかのテニス部員が上手くフォローに回っていた。
「逢花たち遅いねー」
「やっぱり抜け駆けで付き合ってんじゃないの?」
「わからんなぁ、宍戸ホモ疑惑あんねん」
「…語弊がありますよ。恋愛に興味無いって言ってるだけじゃないですか」
今日一でまともなことを喋った日吉に彼女らは目がハートである。
- Re: Princess Teens ( No.17 )
- 日時: 2018/06/19 13:39
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
校舎内を歩き回る逢花の後ろに、宍戸は着いて回る。いや、宍戸が勝手に着いて回ってるだけなのだが。
「美里たち今何してんだろうね」
「侑士とかと回ってんだよ、きっと」
「そっか」
「あいつらんとこ戻りたい?」
「え?あ、そういうわけじゃないよ」
「危ねぇ」と亮が、正面走ってくる学生と逢花の衝突を避けようと逢花自分の方に寄せた。
「ガキかよ」
若干かっこいいなぁと思ったけど、今の言葉で帳消し。とは言っても逢花の感情は表に出てこないので、固まっているだけである。亮も我に返って逢花の肩から自分の手を離した。
「わりぃ、警察だけはマジ勘弁」
「大丈夫。ありがとう」
亮は今度は逢花の隣に並んで歩き出した。
「どっか行きたいとこある?」
「お化け屋敷とか」
「わかった、行こうぜ」
- Re: Princess Teens ( No.18 )
- 日時: 2018/06/19 19:40
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「ぎゃああああああああ!」
「亮くん落ち着いて」
私と亮くんはお化け屋敷に入った。どうしてだろう、私は本当に怖いと感じるものがない。暗闇の中で冷たくぬるっとした感触、おそらくこんにゃくかなんかが当たるだけで亮くんは叫んでいる。情けないと思うにも、人に頼る気がないので逢花は1人で進んで行った。後ろからカサカサと弱々しい亮の足音が聞こえる。
「平気かよ…」
「なんか長いね、お化け屋敷」
今度は前方から貞子がやってくるし、背後から水しぶきがくるし。その度に亮くんは情けない声を出していた。
「心臓に悪すぎだろ」
「亮くん怖いのダメなんだね」
逢花がちょっと得意気に言ったので、亮は冗談混じりにムスッとした。格好悪すぎ俺。
- Re: Princess Teens ( No.19 )
- 日時: 2018/06/21 21:59
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
数週間した放課後。逢花はファミレスに入った。陽也と…あの男の姿を見つけ、陽也の隣に座り男と向かい合うようになった。
「2人とも、大きくなったな」
グレーのスーツに身を包み、腕には高そうな時計を身につけている。40代いや、ちょっと見た目若い30代後半の男だ。顔立ちは陽也に少し似て、笑い皺がある。
「いきなり何?」
逢花には呆れたような、でも至って普通だが、心の底ではどこか受け付けない気持ちがあった。
「…君たちの母親の話をね、人伝てで聞いたんだ。君たちが放置子のようだって」
離婚するまで家に金だけ入れて、あなたも大分ね。
「父さんは毎月慰謝料を入れているんだが、これでは足りないと、この頃電話を入れてくるようになった」
「確かに…俺ら金なくて家賃もカツカツだし」
「お金に困ってなるならって、私たちを引き取ると?」
「うん。まぁそうなるね」
陽也は逢花が何か言いたげにしているのを隣で察した。多分、快い感情ではなく憎悪。
「新しく結婚した人とはどうなったの?」
「…実は、3ヵ月前に離婚した」
「ざまぁみろ」
逢花が真顔で発した言葉に、陽也も男も一瞬で動きが止まった。逢花はすぐ笑顔になって
「なんて、思わないから安心して」
急な言葉で固まっていた男は苦笑いで、大きく頷いていた。不倫相手と10年持ったなら、母親より相手の方が良かったのかもしれない。しかし、自分の母親と父親が結婚して生まれた子が私ならそれは全くいいことではない。育児放棄で共に食卓を過ごしたことのない父親と、暴力と酒浸りで私をゴミのように扱っできた母親。私を差し置いて気安く第2の人生を歩もうなんて…と逢花にはそれが無意識に浮かんできた。
「今住んでるアパートの近くに、部屋借りてね。お願い」
「頼むよ、父さん」
「父さん、か…おう!父さん頑張るぞ!」
父親をその気にさせたところで逢花は席を立った。
「姉貴、もう行くのかよ」
「バイト」
陽也と男に手を振って、逢花はファミレスを出た。
「陽也、その服うちの会社でも売ってるからいつでも社内販売で買えるぞ。安くな」
どうやら男は大手スポーツ用品店の役員をしているらしい。全国展開している上、会社はスポーツブランドと契約してスポーツの用具や服を販売しているので、安く買うことが出来る。陽也が着ている最近流行り出したスポーツの高いスニーカーやジャージは、 大体がいつも深夜徘徊を共にする先輩からもらった物がほとんどだ。陽也は父親のその一言に強く惹かれて、たちまち頬を緩めた。
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