二次創作小説(紙ほか)

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Princess Teens
日時: 2018/06/10 22:27
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

輝く10代になれる

Re: Princess Teens ( No.61 )
日時: 2018/07/30 21:58
名前: まるき (ID: RO./bkAh)

電話の音がうるさいと思って、起きたら昼の12時。亮はベッドから飛び起きて、パーカーとジーンズに着替えた。顔を洗って、歯を磨いて、MA_1を引っ張り出した。あと、あ!財布と携帯。亮は急いで家を出た。チャリを漕いで岳人の家まで。

「あ、亮ちゃん!ねー、がっくん。亮ちゃん来たよ」

岳人の家のインターホンを鳴らすと、岳人の弟と咲季が出てきた。

「わりぃ」
「遅刻常習犯だ」
「ジローは1時間遅れで、お前が3時間遅れ。はいこれ」

ドでかい着ぐるみを渡された。頭からトナカイをすっぽり被るやつで、手足も覆われている。慈郎はサンタ。遅刻の罰ゲームらしい。店先でちびっこと戯れる役だそうだ。

Re: Princess Teens ( No.62 )
日時: 2018/08/04 00:57
名前: まるき (ID: RO./bkAh)

やっと6時だ。逢花は裏のスタッフルームでエプロンを脱いで、ロッカーを開けてため息を吐いた。スーパーの裏口を出ると閑静な住宅街の向こうはイルミネーションが光っているのがぼやぁって見えて、無数のキラキラした丸い光が重なって見えている。なんだか毎年見ていた景色でどうでもよかったのに、寂しい。逢花はゆっくりと歩き始めた。

Re: Princess Teens ( No.63 )
日時: 2018/08/04 01:05
名前: まるき (ID: RO./bkAh)

「いってえな!」

下町の商店街。地味に人がいる。通りにケーキ屋やドン・キホーテがあるからか、パーティグッズが店頭に並べてあったりオーケストラねBGMなんかがうるさく響いている。亮は今、トナカイに扮して通りを歩く子供たちのおもちゃになっている。蹴られたり、抱きつかれたり、怪獣と称されてパンチを食らったり。

「なんでこんなことしなきゃなんねーんだよ」
「俺ら遅刻組だからね、あ、どうぞ」

慈郎はサンタのコスプレをして小さい子供たちにお菓子を売っている。亮は代わりに風船をプレゼントしている。

「宍戸!もっと切れよく動かんと」
「うるせえ!」
「野蛮やぁ」

Re: Princess Teens ( No.64 )
日時: 2018/08/04 07:50
名前: まるき (ID: RO./bkAh)

歩きながらぼーっとしていたらカップルにぶつかってしまい、派手に尻餅をついて笑われてしまった。シャンプーと化粧水を切らしていたのを忘れて、ドラッグストアに立ち寄ろうとした。

「失礼します」

また人とぶつかりそうになる。店員さんが棚に商品を入れ替えるところで逢花は邪魔だったようだ。

「…寿三郎さん?」
「お、逢花ちゃんやないの」

紛れもなく、赤毛天パのでかいお兄さん。失礼で他人のテリトリーにズケズケ入ってくるところが嫌い。

「久しぶりやな」
「クリスマスにバイトとか寂しいですね」

逢花はまた何かバカにされると思って、完全なブーメランだけど先に寿三郎を負かしてやろうと思った。

「実家からの仕送り切れて、こじゃーバイトせんと」
「…大変ですね」
「なんどい。じき優しくなってん」
「同情しただけです」

またやられた。

「逢花ちゃんも大変やな」
「私は別に大丈夫です」

寿三郎は逢花の手を見た。あかぎれ、皮剥け、絆創膏がところどころに巻かれている。バイトや家事で一日中手が冷水に触れているからだ。逢花は自分の手を後に回し隠した。

「無理せんで。まだまだガキなんやから」
「言ったじゃないですか。私、人より早く大人にならないと生きていけないって」
「せやけど、お前は本来まだ人に守ってもらう立場やろ。誰か頼らんとべっちょないわけないで」
「1人でもやってけます!今までも、これからも」

やっぱりこいつとは馬が合わない。シャンプーを陳列する寿三郎を横目に自然と思った。

「俺、大学やめるわ」
「え?」
「自分のやりたいようにやんねん。全部、…ができなかったこと」

不意に寿三郎の横顔が曇った。

「ひとりよがりなお前見てるとな、俺の妹思い出すわ」
「勝手に重ねないでください。妹じゃないし」
「最後まで、ずっと1人でいてん。疲れたんやろか何かが切れたんか……まぁわからんけどぉ」

またヘラヘラした笑顔に戻った。

「よし!俺からのクリスマスプレゼント、なんか好きなのあげんで」
「…じゃあこのシャンプーください」

無理やり明るくなった寿三郎の計らいに、逢花は乗らざるをえなかった。みんな一人一人抱えてるものは違うし、私も深入りして欲しくないし相手にもズケズケ聞くつもりない。ましてや他人に分かってもらおうとか褒めてもらおうとか、考えたことなかった。

「彼氏とかおらんの。おったらはよいねや」
「…ありがとうございます」

逢花はドラッグストアを出た。なんだか今日は遠回りして帰りたい気分になった。

Re: Princess Teens ( No.65 )
日時: 2018/08/05 08:46
名前: まるき (ID: RO./bkAh)

「亮ちゃん!」

ミニスカサンタが目の前に現れた。

「…どうしたんだ?」
「似合ってる?」

亮は無言で頷いた。咲季は見るからに嬉しそうに跳ねた。休憩中で店先先にトナカイの頭頂部を置いて座っている亮の隣に腰掛けた。

「これから遊びに行かない?」
「俺まだ風船のノルマ達してないから、わりぃ」

咲季は口先を尖らせた。亮は風船を物凄い肺活量で膨らませた。

「なんか…こうして亮ちゃんの隣に座るの久しぶりかも」
「そうか?」
「うん。私はね、亮ちゃんが」

咲季は大きく息を吸って喉から声を絞りだすようにした。中々出てこない。

「亮ちゃんが、好きなの」

亮にもはっきりと聞こえた。俺を咲季が好きと言った。咲季は俯いて顔を赤くしている。

「俺は、」
「聞きたくない!」
「え?」
「あの女のこと好きなんでしょ」

逢花の事だろうか。

「好きだよ」
「やっぱり…」
「俺は、あいつに初めて会ったときから、すげー惹かれたっていうか、気になったっていうか」

亮の顔は至って真顔。でも目線は前を見据えていて、逢花のことを考えてるのが嫌ほどわかった。

「亮ちゃんは、私じゃダメなの?」
「ごめん」
「なんで?ひどいよ」
「俺は決めたんだよ。逢花を守るって」
「なにそれ!あの女なんかただ弱々しいフリしてるだけでしょ?私、知ってるんだから。弁当捨てたときも笑ってて、スーパーで会っても私と目合わせないし。どこまで懲りないの?不幸ぶってるのもいいとこじゃないの?」
「ちげえよ」

亮の一言で、涙を流しながらひたすらに話し続けていた咲季が止まる。あまりにも力強くて。

「逢花は強がってんだ。別に生い立ちとか境遇なんかで、逢花に同情してる訳じゃねぇよ。俺は…きっと逢花がすげー好きなんだ」

こんなに弱い亮ちゃん初めて見た。

「…わかった。亮ちゃんのこと、諦める」
「ごめんな」

こんなに優しい亮ちゃんも初めて見た。あの逢花とかいう女になりたい。もしくは私が亮ちゃんの恋人になりたい。なんでこんなに好きなんだろう、自分でも分からないけど。咲季は目に涙を貯めて流すのを止めようとした。

「上、戻るね」

咲季は立って、部屋にもどった。


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