二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.41 )
- 日時: 2018/07/08 08:52
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
逢花は?と忍足に聞いた。気がついたら今日ラストの試合である。忍足は首を横に振る。なんだよ、帰ったのか。
「ねぇ、景吾くん。あの女のお弁当捨てちゃった」
咲季は、ベンチに待機する跡部の隣でスコアボードで顔を覆って笑っている。
「中々やるな」
「本当に私、思ったことすぐ行動に移しちゃうの」
「それがお前のいいところ、なんじゃねーの」
跡部は咲季に怒る様子もない。咲季は亮を見て、かっこいいと呟いた。
「亮ちゃんがお弁当捨てたって勘違いしてるよね?私、亮ちゃんに渡すって言ってあるし」
「お前の思惑通りだな」
咲季は、お腹を抑えて笑っている。本当にあの女馬鹿みたい。っていうか馬鹿なんじゃないのかしら。もうベンチにいないし帰ったようで、やっぱりただ亮ちゃんのファンは消えた方がいい。
- Re: Princess Teens ( No.42 )
- 日時: 2018/07/08 11:34
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「いやぁ!今日はドン勝だったなぁ!」
「こないだまで勝率5割だったんだぜ?すげーよ!」
慈郎と岳人は試合が終わってもハイテンション。忍足と日吉は携帯のバトルゲームをしながら歩いている。跡部はこのあと会食らしく自家用車で帰っちまった。
「亮ちゃん、今日めちゃくちゃよかったよ」
「まぁ意外と強い相手じゃなかったな」
忍足は顔面を引き攣らせた。咲季の神島逢花の作った弁当を前にしたあの形相が思い出されたからだ。
「先輩、弱いですね」
「あ、死んだん」
背後から撃たれた。スナイパーライフル無敵やろぉ、とか言いながらなんだかんだ日吉とは仲がいい。咲季の横顔は万円の笑み。
「亮!お前はどうする?」
「え?」
「飯だよ。食いに行かね?」
何となく気分じゃなかった。わりぃ。
「じゃ、俺ら食いに行くから」
分かれ道で、俺と咲季以外は街の方に向かった。
「2人になっちゃったね」
「うん」
「神島さん、亮ちゃんのこと応援してたよ」
「マジで?」
「神島さん、亮ちゃんのこと好きなんだね」
「やめろよ」
冗談交じりに亮ははにかんだ。咲季は亮が照れてるのが尺に触ったが、どうしてか亮といるときはニコニコしている。LINEの通知がきた。携帯を開くと、岳人から。
神島逢花の弁当、咲季が預かったあと捨てたってよ
どういうことだよ、上手く状況が理解出来ねぇ。
え?
だから、神島逢花が作った弁当を咲季が道端に捨ててたのをゆーしが見たらしい
「逢花が…作った弁当、お前どうした?」
「え?」
鈍い俺でもわかる、咲季の顔が固まる。俺に背を向けた。
なんで咲季が持ってたか知らないけど
オムライスって神島逢花作ったやつだろ
地面にケチャップライスが落ちてたから
多分神島逢花のだそう
岳人から次々にLINEが来る。じゃあ、逢花が忘れたって言ったのは、嘘。
「ほんとかよ?」
「私じゃない!…私だって、亮ちゃんにお弁当作ったし、その、」
方向転換。逢花の家にチャリを走らせた。
「どうしよう…け、景吾くんっ」
咲季は跡部に電話をかけた。亮にバレた。遠くなる亮の背中が涙で潤んでいく。亮ちゃんに嫌われちゃう。
「逢花、ごめんな」
チャリを爆走させる中、亮は呟いた。向かい風が冷たいとか、腹が減ったとか、そんなことはどうでもいい。30分かけて逢花のアパートの前に着いた。
「何見てんだよ」
アパートの前には屈んでタバコを吸ったり、花火をして騒ぎ立てている輩がいた。その中のちっこい金髪に絡まれた、タイミングが最悪である。亮は睨み返して1歩近づいた。
「いくつだよ」
「高二」
鼻で笑われたが、多分こいつは俺より年下だな。相手にするまでもない。アパートの入り口の自動ドアに入ろうとすると肩を掴まれた。
「ちょっと殴らせて」
「時間ねーんだよ」
「うるせえ!」
何人かの拳が降ってきた。
「ちょっと!何してるの?!」
上から声がした、全ての動きが止まって声がする方を見上げると逢花である。二階のドアの前から身を少し乗り出している。
「姉貴…」
逢花が入口から出てきた。突っかかってきたちっこい金髪は逢花を見て額に冷や汗をかいている。
「陽也、アパートの前に溜まるのやめて」
「ごめん」
「え?!お前の弟?」
「うん」
さっきまでイキっていたチビは逢花を前にして、体を小さくして俯いている。周りも同様大きな態度は見せない。
「すみませんでした…弟の神島陽也っす」
ボス的なやつが、行こうぜと一言発するとみんな撤収した。逢花は呆れた様子はないが、ため息をついた。
「ごめんね」
「いや、今日は俺が謝るべき…はっくしょん!」
「風邪引くよ」
運動したあと汗が冷えて、しかも冷風に当たってきた。上がってきなよと言われた。
「今日な、俺本当にお前が弁当忘れたのかと思った」
「そうだよ」
「違うんだろ。咲季に取られて捨てられたんだろ」
弁当を取られたのは事実だが、捨てられたかはわからないけど。逢花は卵を割って溶いた。余ったチキンライスにちょっとケチャップを加えて、電子レンジに入れる。
「咲季ちゃんは…亮くんに一途なんだね」
「逢花は腹立たないのか?」
「久しぶりにイライラしたよ」
台所での逢花の後ろ姿を見ている。
「でもなんか、亮くんにお似合いだなって思った。お似合いっていうか練習試合あの場の雰囲気に、咲季ちゃんがやっぱり溶け込んでたし。私より、当然か」
イライラしたのも事実、応援席にもギャラリーはいたはずなのに、疎外感を自分だけ感じたのも事実。私はテーブルにドでかいオムライスとスープを置いた。
「美味い」
「また食べてないでしょ」
ケチャップで逢花が何やら絵をかいている。
「亮くんの顔」
ぐっちゃぐちゃになったけど、大分シュールになったのでよかった。亮はそれを見て大爆笑している。
「似てねぇ」
「似てるよ」
亮くんは自分とオムライスを撮ろうと自撮りをしようとしているが、やり方がわからずに顔をしかめている。私は撮るよ、と言って亮くんのスマホで写真を撮った。真顔でオムライスと顔を並べている。
「逢花の顔かいてやるよ…あっあぁ!」
ケッチャップをテーブルにぶちまけた亮は情けない声を上げた。逢花は布巾でケチャップを拭き取っている。
「だ、大丈夫?」
「わりぃ!」
「ポンコツだよね、亮くん」
割かし否定出来ないし、散々言われてるから俺。
「気づいてたんだけど」
「俺頼りないんだよ、知らないけど」
守るって、言った。けど、そんな言葉。亮くんは手を合わせてオムライスを口にかき込んでいる。また無言で完食…あっという間に。
- Re: Princess Teens ( No.43 )
- 日時: 2018/07/09 00:20
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
結局、逢花とは夜中までゲームしたり談笑したりお菓子を食べたりしていた。単純に楽しかった。逢花もマリオカート負けると、つまらないとか言い出すし意外と頑固でワガママで、ふざけて口論したりした。忍足が口裏を合わせてくれたので、母親は忍足の家で夜中まで騒いでると思っていたらしい。
深夜番組をテレビで垂れ流して、逢花とたわいもない学校の会話をしていると逢花の返事がない。隣でベッドに背中をもたれて逢花は目を閉じていた。
「寝てんのかよ…」
体が傾いて亮の肩に頭がくっついた。小さく寝息を立てているので、確実に眠りの中であろう。さすがに肌寒い夜にこのままにしておくのは風邪を引くので、ベッドに逢花を寝かせる。亮は逢花の両膝と背中に手を回し、ちょっと踏ん張って持ち上げた。軽い。ベッドにゆっくり下ろして、布団をかけようとすると、逢花の手が亮の手首を掴んだ。
「亮くん…」
「…なんだよ」
寝ぼけナマコで、弱い力で自分の方に亮を引っ張る逢花に亮は素直に従った。
「…やっぱり寝てんのかよ」
腕を掴んだ手はパタリと落ちた。亮はちょっとドキマギした自分の頬を軽く叩き、
「おやすみ」
と逢花の耳元で微笑んで部屋を出た。
目覚めの良い朝、いや、もう昼間か。今日はオフ日だから1日ダラダラ過ごそう。亮はまた布団を被った。
- Re: Princess Teens ( No.44 )
- 日時: 2018/07/09 20:18
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
なんだかんだ言ってもう11月も終わりそうである。逢花は進路希望調査の就職と書いてある欄にマルをつけた。
「逢花クリスマス暇?」
美里がお弁当箱を広げながら聞いてきた。
「バイトなかったら空いてるよ」
美里と逢花には彼氏がいないので、昨年通り女子で集まることになりそうだ。しかしまだ1ヶ月程時間がある。例年いる抜け駆けを今年は無くそう。
「進路希望書いてないや」
「美里ならどこでもいけるでしょ」
「えー、むり。山吹学院に通ってたお兄ちゃんでさえMARCH行けない家系だよ。家は」
美里の家はエリート一家である。逢花とは天地の差。逢花こそ成績もテストも平均なものの、美里はこの高校にいるのがもったいないくらいの秀才である。
「逢花は大学行くの?」
「働くよ、場所決まってないけどね」
- Re: Princess Teens ( No.45 )
- 日時: 2018/07/09 20:50
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
逢花とはちょくちょくLINEをしていたが、そこまで頻繁に会うわけじゃない。11月に入って、俺が押しかけたのが最後。逢花はあまり自分から「会いたい」とか「出かけにいこう」とか言ってこない。まぁ付き合ってないからただの友達だし、当たり前だ、当たり前。
「そんでさ、ビビったわけよ」
「慈郎お前馬鹿だろ」
「言うたやん」
お昼はテニス部で集まるのが自然。超絶アホな、何言ったか覚えてないような話をしまくて終わる。
「あ、再試忘れてた」
「まぁいいや」
「次あんで」
侑士は本当にこういう時に腹が立つ。学年で多分五本の指に入る頭の良さ、おまけに全国模試で20番らしい。忍足は地頭がいいけど、跡部はそうとう勉強しているらしい。今はスペイン語を話し始めててむしろちょっと怖い。跡部もたまにポンコツなんだよなぁ、部員疲れてるのにプール連れてったりオーケストラ聞きに行かされるし。
「今日部活サボるわ」
「うわ、景吾に言っちゃお」
「1人やねん、俺の姫が」
「キモっ」
「え?!お前、彼女いんのかよ!」
初耳…
「ちげーよ。こいつウサギ飼い始めたんだよ」
「ばりかわいい」
「ねー俺も触りたい」
「あかんあかんあかん汚い汚い汚い手」
「侑士ひどいよ!」
結局、侑士は部活に来なかった。
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