二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.26 )
- 日時: 2018/06/24 14:53
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
やばい、遅刻だ。朝起きたら8時15分。学校は40分までにつかないといけないから、35分には出ないと。制服に着替えて顔と歯を磨いて、寝癖がやばいのでキャップを被った。親は8時には家を出ているので、弁当だけリビングに置いてあった。バッグに投げ入れて、チャリで爆走する。
交差点に出たとこで、跡部家のでっかい車を見つけた。あいつ帰ってきたのか。やべー、試合結果知ってるかわかんないけどめちゃくちゃ怒られそう。跡部は強引だし、必ず誰かしら後でフォローを入れる人がいないと、チームをまとめるには難しい人間だ。が、精神論より肉体的な根性論であることや実力主義であるところ、跡部本人の強さからは彼の右に出る者はいない。
「あ、やべー!」
携帯忘れた、あと財布も全部ない。
- Re: Princess Teens ( No.27 )
- 日時: 2018/06/30 19:50
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「跡部、久しぶり」
生徒会室に慈郎と顔を出した。相変わらず国王は質感の良さげなオフィス用の椅子にふんぞり返っている。くるりと椅子が回ると跡部が正面に見えた。
「試合…中々のものだったらしいな」
嫌味というか負けたことへの指摘だとわかった。惜しかったんだよ、と亮は言いかけた。
「けーごー!留学どうだったぁ?」
「留学じゃなくて、イギリスに里帰りな」
「へぇー、いいなぁ」
慈郎は跡部大好きなので、遠距離恋愛のカップルの彼女みたいな反応をしている。いや、俺は慈郎に誘われて来ただけだし。
「宍戸」
「あ?」
「お前、女いるんだろ」
「は?」
「許嫁が悲しんでるぞ?アーン?」
「んなもんいねぇよ」
跡部(と忍足)は人をおちょくる癖がある。そこだけいけ好かねーわ。跡部は明らかに口角を上げている。誰だよ…と亮は考えている。
「亮のバカぁ!」
「うわっ!」
生徒会室のドアを乱暴に開けて、咲季が入ってきた。亮の背中を思い切りどついた。亮は背後からの衝撃で前方にけつまずく。
「あの子とどうせ付き合ってんでしょ?」
「誰…って、あ」
自己完結、俺は手を叩いて人差し指を立てた。
「逢花な」
「逢花って子。親の職業は?」
「知らね」
「どこに住んでんの?」
「アパート」
「お手伝いは?」
「逢花のやつ、家事全部一人でやるから必要ない」
そもそも咲季と跡部はかなりの良家であり富豪なので、俺なんかはたまに次元の差を感じる。
「育ち悪そう」
「普通じゃないのか…?」
また咲季は乱暴にドアを閉めて、出ていってしまった。亮は首を傾げる。
- Re: Princess Teens ( No.28 )
- 日時: 2018/07/01 23:07
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「神島ぁちょっと来い」
教室から出ようとしたら、担任から呼び止められた。
「お前、親権お父さんになったんだな」
聞いてない、何それ。
「今日市役所からの届けでな、お前の親権が変わったという通達が来たんだ」
「知らない…」
確か15歳からは自分で両親の親権が選べる。私と陽也は母親に引き取られたので、親権が長いこと母親であるはずだ。長らく顔を見ていない母親と急に姿を見せた父親の間に何があったのだろうか。
「変わって、どうなるんですか?」
「んーまぁ基本的には住所が変わって、書類に書く保護者の名前がお前の場合は父親になる」
「それだけ?」
「高校在学中はそれくらいだな」
逢花は特に何も変化がないことにちょっと安心しているが、何故私に何も言わずに父親がまた私たちの保護者になったのか謎である。振り回されてたまるか。
「神島逢花、久しぶりやな」
校門を出ようとしたところで、毛利寿三郎に声をかけられた。
「どうしたん?」
「なんでもないです」
「あ、父親に親権変えられちゃったとか」
「なんで知ってるんですか?」
「職員室にあってん」
ウザイ。
「周りの大人がアホばっかやと振り回される」
「共感します」
「お前は…他の同級生より早く大人にならんとあかんな」
知ってる、というか無意識に分かっていた。自分でなんとかしないと。守ってくれる人がいないから自分が自分の身代わりにならないと。
「辛いな」
寿三郎は小さく深呼吸して、自分をただ見つめる逢花の顔を見た。
「無理せんで」
逢花の手のひらには飴玉が、寿三郎によって握らされた。またな、と言いながら校舎に戻る寿三郎の背中。
- Re: Princess Teens ( No.29 )
- 日時: 2018/07/01 23:37
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
逢花と何らかんやで1週間も連絡を取っていない。逢花は忍足がエゴサーチしてみたものの、SNSには手を出さないようだが、たまに逢花の友人が逢花の写真や一緒に撮ったプリクラを載せているらしい。見てみたところ、教室で眠っている逢花の寝顔を動画で撮られている。
「あー、ちょっと可愛ええな」
「お前…女子のハードル高ぇよ」
あらァ〜、とまたよく分からない冷やかしをしてくる忍足に膝カックン食らわした。
「なぁ」
「あんだよ」
「咲季のやつ、亮のこと好きとちゃう。いや、好きや」
「あ!反語!」
忍足は亮の頭を軽く叩いた。鈍感野郎と言わんばかりにため息を吐く。
「跡部と咲季は金持ち同士仲ええねん。んで、咲季が跡部に『だいすぴな亮ちゃんとお付き合い』って言う」
「おう」
「跡部は咲季に協力すんで。そして、跡部は神島逢花の存在も知ってる」
「なんで」
「咲季が言ったんとちゃう」
めんどくせぇ、思わずしかめっ面を隠せなかった亮。
「咲季のことお前はどう思う?」
「考えたことねぇよ。幼なじみつっても、ここ(氷帝)入ったら皆ずっと一緒なわけだしな」
素直に思っていることを口にした亮に、忍足は先程より真剣な眼差しを向けて口を開いた。
「神島逢花のことは?」
「逢花…いや、別に。まぁ、普通に?」
「好きなんか!」
「考えたことねーっつーの!うるせぇ!」
「育ち悪いで」
「お前が変な質問してくるからだ!」
亮はちょっとキレ気味に叫びすぎたのを公開している。
「神島逢花と付き合えるん?」
「付き合うって…なんだよ」
忍足はすぐ話を恋愛へ持ち込みたがるが、亮はこれ以上抵抗しても無駄だとわかった。
「デートしたり手つないだりそれ以上も、とか」
「行為だけじゃわかんねーよ、気持ち的な問題だろ」
ぶっきらぼうだがさりげなく男気のある亮に忍足は少し感心した。鈍感だが明らかに好青年である。
「一緒にいたいか、落ち着くとか話してて疲れへんとか」
「それは…あるよ」
亮は言いながら大きく頷いた。ニヤリとする忍足の視線を感じて亮は顔を上げる。
「じゃあ自分からいかな」
忍足は亮の携帯を奪い取った。
- Re: Princess Teens ( No.30 )
- 日時: 2018/07/03 23:51
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
バイト終わり、画面に亮からの着信が表示された。夕方5時半過ぎにきていたが、逢花はバイト中だったので当然気がつくことはなかった。現在は午後8時半である。逢花は折り返しかけ直した。ちょっと経ってから亮に繋がった。
「あ、亮くん。電話出れなくてごめん」
俺が焼肉を食べていると横に置いていた携帯が光った。逢花だった。
「んぁ?あぁ逢花か」
誰かが騒いでいる声が聞こえる。
「どうしたの?」
「あの」
今日は跡部が帰国した祝にみんなで焼肉を食いに来ている。つっても跡部の奢りなんだけど。隣にはだるそうにしている忍足と、恐らく胃がもたれた岳斗が胡座をかいてだらけていた。練習試合見に来てって言えや!忍足が亮に静かな声で伝える。
「今週の土曜暇?」
「午前中バイトある」
「…おう」
ばーか!俺ら練習試合午後からだろ!と岳人が既に限界が来ている胃を抑えながら、苦し紛れに突っ込んだ。あ、そうだったな。と亮は相変わらずのポンコツぶりをアピールした。
「午後から練習試合見に来い…あ、見に来ませんか」
亮くん可愛い…。いきなり敬語でお誘いしてくる亮が微笑ましかった。岳人と忍足はめちゃくちゃツボに入って声を抑えて笑っている。
「午後からならいいですよ」
「マジで!」
瞬間的に喜んだ亮にまた2人は爆笑している。それを見て亮は2人を睨みつけた。
「場所は…新田賀谷のテニスコートなんだけど場所わかる?」
「調べていくよ」
「そっか、もし逢花が嫌だったらいいんだけどよ」
亮が逢花に電話するよう示唆したのは忍足だが、亮がそれ以上何か言うのは忍足も岳人も知らなかった。亮は、んー、と少し言うのをためらって、息を吐いた。
「弁当食いたい」
忍足と岳人のリアクションはテレビ通販のコメンテーターを凌駕した。
「わかった、好きな食べ物教えてよ」
逢花やで、と忍足が言って岳人とと方腹に手を当てて笑い転げている。流石高校生。
「…オムライス」
「わかった」
「詳しいことは後で連絡するわ、悪いな」
「じゃあね」
おう、と言って亮は電話を切った。逢花は帰り道からアパートに着いた。土曜日は早起きしてオムライス弁当を作る。早起きは嫌いだけど、心做しか憂鬱では無い。
「宍戸さん、彼女ですか?」
「ちげーわ」
「未来の彼女だよね!」
慈郎までニコニコしている。色々冷やかされてもう突っ込むのもめんどくさい。
「バイトやってる子に朝早く弁当作らせて応援来させるとか」
「勝つしかないじゃーん!」
岳人と慈郎がハイタッチしている。確かに、と亮は心の中で納得した。
「食事の席で会話とは…いいご身分じゃねーの」
跡部が鼻で笑った。
「お前も相応のお返し神島逢花にせんとな」
忍足が亮に耳打ちした。跡部はまだ亮を見つめたままである。
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