二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.46 )
- 日時: 2018/07/09 21:56
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
神島陽也、逢花の中学三年生の弟である。いや、これから亮の義理の弟になるかもしれない。木曜日は亮は部活がオフ日である、陽也は逢花から亮のLINEを聞き出し、ファミレスに亮を呼び出したのである。
「兄貴!いや…宍戸先輩、今日はわざわざありがとうございます」
ヤンキーは礼儀がしっかりしてるってマジだったんだなぁ。亮は頭を下げる陽也に若干焦った。
「宍戸先輩のおかげで姉貴も…なんだか楽しそうで」
陽也は安堵の微笑を浮かべた。
「姉貴が家で笑った顔見たことなかったんです。外だとあっけらかんとしてニコニコしてるけど、なんか何事にも冷眼っていうか」
確かに、初めて会ったときもただずっと笑ってるだけだったし。それ以降会っても前までは全部、交わされようとしてた。今でも逢花自身の話は聞かない。
「うち母親が頭おかしくて、まぁ父親もアレなんですけど。小さい頃から母親に何されても姉貴泣きもしないで、母親が倒れた時も顔色変えずにざまぁって言ってました」
「お前ん家大丈夫か?」
「話すと長くなるんで、今の状況だけ説明しますね」
「おう」
「母親はヤクザみたいなのと駆け落ちして連絡がつきません、親権は父親になりました。でも父親は不倫がバレてだいぶ前に、母親と離婚してたんですが、つい最近俺らの前に現れました」
亮は頭がパンクしている。要するに、逢花の家庭環境は劣悪ってことか?
「父親の姿もあまり見てません。連絡は取ってますけどね」
「そっか…」
「でも!!姉貴は宍戸先輩と会ってから変わりましたよ!」
「俺?」
陽也はゆっくりと口を開いた。
「感情が浮かんでます、姉貴に」
「それが、俺のせい?」
「そうです。あんなに生き生きしてるの見たことない」
俺が一体逢花のどんな力になってるんだろ。思い当たるフシがない。むしろ最初は嫌われてるのかと思ってたんだし。
「どうか、姉貴のことよろしくお願いします。俺も更生します…」
これは逢花に言わない方がいい。守秘義務。なんだか逢花の身内直々に言われると嬉しい。
「お前、お姉ちゃん大好きだな」
「….はい」
てっきり殺されるのかと思った。ファミレスを出て陽也と別れたあと、俺は逢花に電話をかけた。
「なぁ、今暇?」
「バイトの休憩時間」
「飯食いに行かね」
いいよ、ちょっと遅くなるけど。逢花とは8時に逢花のバイト先のスーパーで待ち合わせることにした。もし、レジ打ちかしてたらわざと列に並んで買い物してみよう。
- Re: Princess Teens ( No.47 )
- 日時: 2018/07/12 21:38
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「322円が1点…」
あ、亮くんだ。逢花の目の前のレジに並んでいる。わざわざ消しゴム1個。逢花は知らないふりをして、シールでよろしいですか?と聞いた。亮は、おう。と返事をして外にいるから、と駐車場の方を指さした。私の様子を見に来たのか亮くんは…それにしても消しゴム1個って。
「お疲れ様でした」
パートの人達に挨拶をして、スーパーを出た。亮くんがいる。入り口の自動販売機の横に身を寄せてぼーっとしていた。逢花が近づくとすぐに気がついて、手を振った。
「おつかれ」
「待たせてごめん」
「ずっとこっから見てたわ」
亮が逢花のレジでのお辞儀を真似している。そんなんじゃないし、軽く亮をリュックでどついた。
「さみーなぁ」
2人で駐車場を出てしばらく歩く。アーケードに差し掛かった。亮は一旦家に帰ったのでジャージでいるが、逢花は制服である。
「亮くん鍛えてるからあったかそうだけど」
「趣味は筋トレって自負してるぜ」
「お腹割れてるの?」
「もち」
触ってみ、とパーカーと中に着ているTシャツを捲ってみせた。ちょっと肌寒くてスースーした。逢花は亮の腹筋に指先を置いた。
「つめてぇ!」
「アホすぎ」
逢花の細くて小さい手は冷たい。亮は大人しくなってTシャツをズボンに閉まった。
「手冷たいのな、そして折れそう」
「普通だよ」
亮は逢花の掌を取って何気なく微笑んだ。逢花は亮が自分の手を微笑ましく見ているのが恥ずかしかった。ましてや握られてるし。多分、自然にやってるんだろう。
「わりぃ!違うっての、ちっこいからつい…」
亮は逢花の手をすぐ離した。やっぱりちょっと天然である。ちっこいから可愛かった。それが言えないし、言ったらキモい。
「本当にポンコツだ」
逢花はおかしくて笑った。亮は若干いじけたように顔を赤くした。そうこう歩いてるうちにラーメン屋に入った。中は特別綺麗でも洒落ているわけでもない。カウンターに丸椅子と、座敷の席がある。2人で、と亮が店員に言うと対面式の座敷に案内された。
「とんこつが美味いんだよな」
「塩」
逢花は携帯を触りながら、強気に言い放った。
「塩食った気しねーもん」
「とんこつ油臭いの食べられない」
まずい店は大体そんな感じだが、ここは違うんだよ。妙に熱がこもった口調。亮は手を挙げて店員を呼び寄せた。
「とんこつ2つ。あ、1つは特盛で」
「かしこまりました」
「とんこつ…」
「美味いから1回食ってみ!」
「わかった」
あの氷帝に通ってるのに、気性が野性的でどちらかと言えば言動も庶民的。待ち遠しそうに厨房を見る。逢花はそんな亮の横顔を写真に撮った。ただなんとなく残して置きたかった。
「あーまだかよー」
亮は投げやりに言った。まだ注文してから5分も経っていない。
- Re: Princess Teens ( No.48 )
- 日時: 2018/07/13 22:54
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
お腹いっぱいと私は自分の腹部を撫でたが、亮くんはまだ食べている。男子高校生がよく食べるのは知ってたけどここまでなのか。
「あー、やばい。美味い」
さっきからそれしか言わないし、また無言で食べてるけど、無言で食べているのは亮くんが美味しいと感じているからだ。私はわかる。亮くんのことはまだあんまり知らないけど、これだけはよくわかる。
「食った食った」
亮は手を合わせてご馳走様!と厨房に向かって叫んだ。店主があいよーっと適当に返事を返したようだった。亮はちょっと気を休めて、逢花にレシートを見る隙を与えないまま会計に持ち込んでしまった。
「悪いよ」
逢花は亮からレシートを奪おうとしたが、亮はわざと高い位置に腕を上げた。レシートを取ろうとして跳ねる逢花を交わして、1300円を出してしまった。
「はい、650円」
店を出て逢花の家の方向に歩く。逢花は亮にラーメン代を手渡してきた。かっこよく奢らせて欲しかったが、平然と小銭を突き出された。
「いらねー」
「だめだよ」
「俺から誘ったし、逢花…その、疲れてるだろ」
上手い言い訳が見つからなかったのが、逢花にはバレバレであった。
「…うん」
空気読んだ方がよかったかな、逢花はちょっと自分の可愛げのなさに落ち込んだ。
- Re: Princess Teens ( No.49 )
- 日時: 2018/07/14 08:05
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「亮ちゃんはっ、あの女に騙されてるだけなの」
咲季は生徒会室の跡部の机の前に仁王立ちして腕を組んでいる。涙目で必死に訴えている。
「しかし…お前もアホだな」
「このままじゃ、亮ちゃんがあの女に取られちゃう」
「まだ仲良しなのか、あいつらは」
咲季は頷いた。実際、亮が逢花と付き合ってる疑惑というか、最近他校の子と夜な夜な遊んでる噂が女友達の間にある。亮は見た目ただのガタイの良さげな男子高校生だし、物腰そこまで柔らかくないので、ちょっとヤンキー気質というかボンボン感がないのが氷帝の女子にはウケている。それが、咲季には気に食わない。ただのミーハーじゃないの、そんなの。私と亮ちゃんは皆からお似合いって言われてきた。
「宍戸と話したのか」
「話せるわけないでしょ」
「謝ったのか」
「私あの女嫌いだもん」
- Re: Princess Teens ( No.50 )
- 日時: 2018/07/14 23:03
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
亮くんとラーメンを食べて数日が経った。逢花は登校中にあることに気がついた。あ、忘れてた。今日私の誕生日だ。でも、あまり自分の誕生日に特別な感情を抱かない。なんせ私はお誕生日ケーキ愚かプレゼントも貰ったことがない。この間、皆で美里の誕生日を祝ったが今日でクラッカーを鳴らしてうた歌ったりなんか色々した。私、一応美里と1番話してるけど、他人を驚かせたり幸せな気持ちにさせることが得意ではないので乗り気じゃなかった。
「逢花ぁおはよう」
「おはよ」
やっぱり何も無い1日だ。適当に授業受けてお昼食べて終礼を終えて、いつもと変わらない日々。放課後、美里に手を引かれて隣の隣のクラスまで連れていかれた。
「逢花ぁー!誕生日おめでとうー!」
クラッカーやら紙吹雪やらで視界と聴覚が遮られた。やっと目の前が開くと7人の友人がいる。同中や去年同じクラスで一緒にいた子なんかだ。黒板には逢花の似顔絵と韓流にハマってる子が書いたハングルや、Happy BIRTHDAYと色鮮やかに描いてある。教卓にはお菓子や包み、コスメなどが並べられ風船などで可愛くデコレーションされている。
「逢花おめでとう」
逢花は呆気に取られていた。
「誕生日、祝ってもらったの、初めて」
逢花は小さく呟いている。友人は逢花に携帯を構えたり、呆然と立つ逢花を見て笑った。
「写真撮ろー!」
机に携帯を置き、カメラのタイマーをセットして皆は逢花をセンターにして並んだ。思い思いふざけたり、内カメラで撮ったりしている。逢花も映り込んで珍しくわいわい騒いでいる。
「ありがとう」
逢花の目には微かに涙が浮かんでいた。
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