二次創作小説(紙ほか)

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Princess Teens
日時: 2018/06/10 22:27
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

輝く10代になれる

Re: Princess Teens ( No.1 )
日時: 2018/06/10 22:48
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

家族の愛が欲しいとか誰から愛されたいとか、誰に嫌われてるとか、面倒になった。1人が怖くないって多分、そういうことなんだなぁと思い始めてしまった高2。

どうやら生粋のお嬢様で若い頃に父親と駆け落ちして結局デキ婚して、それが上手くいくはずもなく、結局父親の不倫と私と弟の育児にノイローゼになり精神科にいる母親。浮気して相手の女を身ごもらせて、慰謝料ふんだくられた挙句無職になった父親。案の定グレて3ヶ月顔を合わせてない弟。多分高校へ進学は無理だろうし、一応母親に親権はあるが、あの人が真面目に学校の書類なんか書けるわけない。

そう、私はドン底。

高校も辞めて働こう、いつか高卒認定受けよう。恐らく携帯料金も払えないし、自分の体売るとかパパ活しないのが私の唯一まともな部分であるから携帯も料金の請求が来たら川へ投げ捨てよう。

夜の街を制服姿で彷徨いてる高校生なんかめちゃくちゃいるし、交番の前を通ったけど治安悪すぎて見た目地味な私なんかに構ってる暇無さげだったなぁ。

そうだね、私なんか生まれてこなきゃよかったね。私みたいなくそ家族と怠惰でいつ死んでも誰も悲しまないような人間よりは、普通にパートしてるお母さんとサラリーマンのお父さんに育てられて不慮の事故とか病に侵されて死んじゃった子どもが生きてた方がいいよね。ごめんなさい、って誰に謝ってるんだろう。

神島逢花は橋の柵にだらんと身を乗り出してぼーっとしていた。風が気持ちいいだけで幸せな気分になりたい人生だった。自身のスマホに付いているケースを外した。なんだ、これもガラクタじゃないの。自分の持ってるものが全部嫌になる。自暴自棄なのを自覚しないまま、橋の下の川にスマホケースを投げた。短い雑草が生えた川原のある浅瀬の川に水の音が響いた。誰も聞いてないだろうなぁ、閑静な住宅街だもの。

まだだらんとしている。

Re: Princess Teens ( No.2 )
日時: 2018/06/10 23:35
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

「なんか投げたろ?」

橋の下から男の声がする。街灯が顔を照らしてくれていたので、顔が見えた。Tシャツに膝までの短パンを履いた青年?高校生ぐらいの男子だった。手にはテニスラケット。

「スマホケース投げたの!!」

逢花は同じくちょっと大きな声で言葉を返した。

「馬鹿やろう!何やってんだよ!」

男子は靴のまま、川へ足を沈めて行った。そう、私がスマホのケースを落とした当たりまで。ちょっと、なにしてんの?逢花は慌てて川原の方へ駆け寄り、浅瀬の方へ向かって下った。逢花はカバンをほおり投げて、同じようにローファーのまま足を突っ込んで男子の元にかけていく。

「さ、探さなくていいよ」
「え?」
「いらなくなったの、それ」

幸い早くに見つかった逢花の元スマホケース。男子が拾い上げたところだった。

「いらねーからって、捨てることねーだろ」

「ほら」と逢花に差し出す。

「ありがとう」

逢花は受け取ったと同時に川のもっと遠くの方に投げてしまった。投げた方向はずーっと行けば海。

「ちょっ!お前何やってんだ!」

また取りに行こうとする男子を逢花は引き留めようとして、両腕で男子の片方の腕を掴んだ。咄嗟に振り払われてしまい、川の水で足を取られ逢花はバランスを崩して水中で尻もちをついた。低い水位で腰のあたりが埋まるくらいである。

「わ、わりぃ」

男子は逢花の手を引こうと、手を差し伸べたが逢花は男子を力いっぱいひっぱり水中にダイブさせた。

「てめー!」
「仕返し」

逢花はニヤリと笑った。男子は手のひらで水を掻き立て、逢花に水を浴びせた。逢花も立ち上がり足で水面を蹴り飛ばしていた。知らない人を知らないふりして、楽しかった。

「大丈夫かよ」
「うん、平気」

制服のシャツ、スカート、リボン、靴下、下着、全て水に浸かった状態である。男子はTシャツを脱いで半裸になった。

「あー、疲れた」
「だね」

川原の坂になっている部分に腰掛ける。ちょっと体に張り付いた濡れた衣類が気持ち悪い。風邪も冷たい。

「…制服乾くのかよ」
「一晩歩いてたら乾くよ?多分ね」
「なわけないだろ!…今から俺ん家は入れづらいし…あ、兄貴んち!あー、遠いわ」
「お兄ちゃんいるの?」
「おう、九州の大学入ってそっちにいる」
「大学行くなんて偉いね」
「どこでも適当なとこ入れるだろ」

当たり前じゃないよ、と言いかけたところで止まる。自分基準にしてるから悲観するだけだよなぁと冷静に思い返してしまう。男子は体つきが良くて、隣にはラケットがあるからテニスをしているのだろう。わかる、目が澄んでて綺麗。きっと何かに一生懸命取り組んでいる。

「どうしような…今から」
「ねぇ、何してたの?さっき」
「川原で素振りと、ランニング、フットワーク」
「だから平気で半裸になるんだ」

自分に自信なきゃ脱がないもんねぇ。と呟いてみた。ただいま午後10時。

「うるせーよ、そんな格好じゃ風邪引くぞ」

ラケットと共に無造作に置いてあったパーカーを投げてきた。

「いいの?」
「おう」

濡れたシャツと下着だけコソコソ脱いでパーカーを着る。男子は気を使って目をそらしてくれていた。

「ありがとう、ちょっとおっきいね」
「本当に風邪引きそうでこえーわ」
「バカは風邪引かないの」

「へぇ」と男子はフラグを踏めと言わんばかりに返事をしてきた。

「やべ、10時過ぎた」
「門限あるの?」
「おう。俺ん家厳しいんだよ!じゃ、じゃあな!」
「ぱっ、パーカーはぁー?」

逢花が問いかけた背中は既に小さくなっていて、声も届かない速さの俊足だった。パーカーどうしよう、あと濡れた衣類をどう乾かそう。今はそれだけで頭がいっぱいである。今は。

Re: Princess Teens ( No.3 )
日時: 2018/06/11 00:02
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

昨日は10時を過ぎたものの親からはあんまり怒られなかった。俺は1つ重要なことを思い出した。あのパーカー。いや、無くなっても足らないことはないのだが。

「亮、遅れるわよ」
「今行くわ」

制服のネクタイを閉めてリビングに降りると、ダイニングのテーブルにはいつも通り朝食がある。

「あんた、あんまり遅いと危ないんだからね」
「俺は女子高生じゃねーんだよ」

父親と母親は学校の教員をしているが、俺にはその頭の良さが全部兄貴に行っちまったのでなくなった。宍戸亮、高校2年。都内有数の金持ちが通う氷帝学園高等部の2年。彼の家は一般的には中流階級だが、幼少期から同じテニスのクラブチームで同級生の向日岳人、芥川慈郎と共に幼稚舎からエスカレーターで入学している。スポーツ推薦なので、基本的にかかるお金は部活に関してだけである。しかも氷帝学園と言っても、普通科から医学部進学とか難関大選抜とか色々あるので、一区切りに頭のいい人たちの集まりではない。

「亮、今度の試合はどうなんだ」
「2回戦で立海に当たる、シードじゃないやつらだけど」
「そうか」

父親は学生時代から現役の頃はテニスが強くて、多分俺なんかコケ扱いだろうな。朝食を終えて顔洗って歯磨いて、短髪の寝癖を帽子でなんとか抑えてチャリにまたがる。家を出て、交差点に差し掛かる。いつもの朝だ。

Re: Princess Teens ( No.4 )
日時: 2018/06/11 00:21
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

今日は学校行けないかなぁ。私はあらかじめ高校側に学校を辞めるかもしれないと言うことと、家の事を話すか迷った挙句、家の事は結局話さなかった。でも母親がおかしくなっていることは薄々気づいているだろうに。若い新任の女の教師には「何かあったら言ってね」と適当に同情されたが、もはや何の感情もなくて「はい」と微笑んで終わった。

とりあえず誰もいないであろう、いや、もしかしたら母親がいるかもしれない家に帰ろう。あのアパートの2階。窓は開いていない。うっすら見えるカーテンからは…誰あのおじさん。母親の新しい彼氏かなんか知らないけど。やっぱり帰るのやめた。昨日は、とりあえず友達の奈々が泊めてくれた。親には内緒ということで朝早く家を出た。制服も乾いた。

さあて、どうしよう。1日。


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