二次創作小説(紙ほか)

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Princess Teens
日時: 2018/06/10 22:27
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

輝く10代になれる

Re: Princess Teens ( No.10 )
日時: 2018/06/17 10:12
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

スマホぶん投げ女に会ってから1ヶ月。俺は大会を迎えていた。

「慈郎、おーきーろ」
「ん、あぁ、今いくー」

アップもしないで試合に出ようとする芥川慈郎をまたまた叩き起した。これで勝てば実質ジュニアの中で関東ベスト16である。慈郎とは高校に入ってから榊監督によく組まされていた。長太郎は、都内の進学校に受験をしたので多分他校のテニス部にいるはずだ。

「しーしーどさぁーん!」
「おぉ!長太郎!」

横に慈郎がいるにも関わらず亮の名前だけを呼んで走ってきた、鳳長太郎。彼は氷帝のあのユニフォームではなく、黒いユニフォームに身を包んでいた。

「芥川先輩もお疲れ様です!」
「調子はどうだ?」
「2回戦で負けちゃいました」
「まぁでも一年で試合に出れるなんてすごいよ〜」
「観戦席から見てますね!頑張ってください!」
「ありがとうー」
「おう」

ボトルとタオルを抱えて先輩に追いつく長太郎は、人が良すぎるのでちょっと心配だ。

「氷帝!氷帝!」

あの大歓声に包まれながら…だけどまだ16とはちょっと恥ずかしいものである。相手は立海、神奈川の大会ではベスト16までほとんど立海で埋まっちまう。無双しまくってる奴ら。試合見たけどエグすぎる。

「亮、相手一年だって」
「やべー、お前勝てると思う?」
「んー…わかんないなぁ」

若干危ない予感がする。監督席に幸村部長と真田がどっしり構えてる時点で、多分負ける気ないなこいつら。慈郎は眠気から覚めたのか凛々しくなって、相手の選手を見ていた。サーブをもらって、慈郎が後衛で構える。

Re: Princess Teens ( No.11 )
日時: 2018/06/17 10:34
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

「逢花、なんか今日騒がしいね」
「うん」

教室の外から、遠くから太鼓の音や掛け声、歓声が聞こえる。

「なんかねー、高校生の大会で、強い人たちの大会らしいよ」

友人の1人であるユキがスマホで調べたらしく、読み上げていた。

「いいなぁ!行きたい!」
「イケメン探そ」
「逢花も行くよね?」
「私…この後バイトある」
「えぇ残念だ」

放課後をフルに使って、土日もシフトを入れている。1ヶ月で4万稼げる計算である。近所のチェーン店の大型スーパー。職場はおばさんばっかりである。ここのところ母親が帰ってこない。弟は1度帰ってきて、私の財布から金を抜こうとしたので3000円渡して家からまた出てもらった。母親は家賃を払っているのだろうか。家中の家具という家具を漁ると、なけなしの15万が出てきた。逢花は、母親と弟が帰ってこないことで生活リズムが落ち着き、内心よかったと思っている。彼女はどこか感情がない、言ってしまえば道端に死人がいても驚かないような。無感情で無慈悲な部分が大多数だが、周りはそれに気づかないのである。

「逢花めちゃくちゃバイトしてんね」
「お金貯めたいんだよねー」
「すばらー」

携帯料金も15万から払った。生きていくため。

Re: Princess Teens ( No.12 )
日時: 2018/06/17 11:11
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

バイト帰り、おば様方に頑張って気に入られてよかった。弁当やら社内販売やらの生活用品をもらった。上裸くんと会った橋に差し掛かる。あの人と私は住む世界がちがう。絶対。学校みたいに適当に関わっていけばいいんじゃなくて、関わる必要のないから別にもう会わなくていいかなぁ。

川原の脇道を通って帰る。何気なく後ろを振り返ると、前と同じ景色だ。高架下には誰か寝っ転がっている。ホームレスとかなんかだろう。

「あ、」

誰かの声がして逢花は立ち止まった。が、知らないふりをしてまた歩き出す。

「スマホ…ぶん投げ女」
「じ、上裸くん」

上裸くんがこっちに歩いてくる。逢花は、カバンの中からパーカーを取り出し、亮に渡した。

「ありがとう、返すの遅れてごめん。じゃ」
「待てよ」

また逢花の足が止まる。なんだか亮は元気がなかった。タオルを肩にかけて、逢花を追いかける様子もない。

「名前教えてほしい、あとどこに住んでるか」
「神島逢花、15分歩いたとこに住んでる」
「…そか、ありがとな」

元気ないね、なんて言ったらウザイな。せめて名前だけでもと。

「俺は…宍戸亮、氷帝2年、すぐそこに住んでる」
「亮はテニスやってるんだ」
「あぁこないだラケット持ってたな。…今日は負けたけど」
「学校まで歓声とか聞こえてきたよ」
「あー、俺本当に激ダサ。あともうちょいで16だったんだけどなぁ」

亮は短い草むらにしゃがみこんだ。頭をかきむしって、タオルを地面に投げつけた。相当悔しがっている。

「お疲れ様としか言えない、私テニスやったことないから」
「それが一番だぜ、どいつもこいつも指導ばっかでうるさいからなー」

亮は後ろに寝そべった。逢花も隣に座る。

「なぁ、あの時携帯いらないって言ったろ?本当に使えないのかよ?」
「ちゃんとお金払ったから使える」
「お、おう」
「亮くん家帰らないの?」
「いや、試合に負けたあと帰りたくねぇ」
「なんで?」

言いにくそうだったので、別にいいよ、と言及するのをやめた。

「俺、ポンコツだわ」
「まだあんまり喋ったことないから判断しかねる」
「じゃあ、喋ろーぜ」

私と話してても楽しくないよ、と言ったらそんなことない、否定されてしまった。

「なんで試合負けたの?」
「うっ…え、あぁまぁ、俺らと互角だったんだけど、ファイナルで落とした」

またもや「お疲れ様」と神島逢花はちょっと笑っていた。なんか分からないけど、すげー会いたかったと会った瞬間に言葉が出てきそうになった。多分それは、再会する前に気になっていただけだろう。でも、楽しい。逢花とちょっと話しただけなのに気持ちが楽になった。本当は家まで送っていこうかと言いたかったけど、それは流石に気持ち悪いと思ったから、気をつけてと聞こえるか聞こえないくらいかに呟いてみた。また、会えるのだろうか。気にかけていなければ、どこかに消えてしまうような…儚げな後ろ姿である。

Re: Princess Teens ( No.13 )
日時: 2018/06/17 22:59
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

家に帰ってお弁当を温める。その間にお風呂を沸かした。亮くんはかなり落ち込んでたみたいだし、友達はテニスの大会見に行ったとかなんかSNSに載っけていた…私は興味無い。逢花はお弁当を温める間に部屋着に着替えてソファーに身を投げていた。インターホンが鳴った、穴をのぞき込むと弟が立っている。

「姉貴、今までごめん」
「え?」

金をせびりに来たのかと思ったら弟の口から出たのは思いがけない言葉だった。弟の陽也の姿は金髪でピアスと蛍光色のジャージに身を包んでいる。

「俺らさ、親父と暮らすのは?」
「いきなり何よ」
「親父と連絡先だけ交換してて、ちょっと前から言われてたんだよ。また姉貴と俺とやり直したいって」
「今までなんもなかったのにそうやって言って来るってことは、不倫相手と別れたんじゃないの?」
「だけど!このまま母親とやってけねーだろ俺ら!」

とりあえず弟を部屋に入れた。どうやら逢花の弟の陽也は、1ヶ月前から母親と離婚した父親から同居の話が来るようになったらしい。同じ都内で経済的な面で養ってくれるという点で陽也は動きつつあるようだ。

「姉貴。俺、真面目になるから…お願いだよ」
「そんな上手い話乗れるわけないでしょ。それか、あの人お金だけは持ってるから、2人でアパート借りる交渉するとか」
「そーだね!姉貴頭いい」

クソみたいな弟だけどやっぱり可愛い。この最悪の状況から打開したい。動かなきゃいけない。

Re: Princess Teens ( No.14 )
日時: 2018/06/18 13:21
名前: まるき (ID: Mm9jHYga)

「ばんばばーん!!」
「氷帝学園…文化祭?」

そうそう!と友人である美里がチラシを広げると私たちは食い気味にそれを見ていた。

「彼氏つくりに行こう!」
「逢花も来るよねー?」
「行ってみようかな?」
「きまりー!」

9月の終わり。私たちはちょっとオシャレに制服を着こなして、化粧をして氷帝に入った。

「あー!めちゃくちゃイケメンいる!」

菜々が大きな声を出して学園内を指さしまくっている。学園内は大学のキャンパスみたいにテラス席や噴水があり、屋台やお店と言うよりむしろ建物が建設されたように並んでいる。売ってる側の生徒もどこか品が良くて多分お嬢様なんだろうか、めちゃくちゃみんな可愛い。

「ねーフランクフルト食べたい」
「すげー!庶民価格!」

5人で食べ歩きしながら、混雑した校内に入った。逢花はハッとした、氷帝って亮くんいるじゃん。

「たこ焼きやってまぁ〜す」
「ほんまや〜」

プラカードをダルそうに持って前方から歩いてくるのは、亮と侑士だ。亮は逢花の姿に気が付き、無言で侑士にプラカードを託した。

「よぉ」

ちょっと小走りに逢花の目の前に立ち止まる。他の女子はぎゃあぎゃあ騒いでいる。

「え?逢花この人と友達なのー?!」
「ねえ!どういう関係よ?」
「し、知り合いだよ」

逢花は亮を見て笑っている。亮は何故か目線を逸らしてしまった。侑士も亮のあとを追ってきた。

「宍戸くんお盛んやないの、あ、どうも」
「うるせぇ!知り合いなんだよ!…例の」
「スマホちゃんか!」

亮くん、私がスマホケース投げたのこの人に話したんだ…。侑士が逢花の友人と喋っている。

「会いに来たのかよ」
「亮くんに?」
「おう」
「半分正解」

後の半分なんだよ…とツッコミを入れたくなったが、彼氏に会いに来たとか言われたら、俺が嫌なので何も言わないでおいた。本当はただ遊びにきてイケメン鑑賞しにきただけなのだが。

「あ、たこ焼き売ってるから来いよ」
「どこ?」
「教室」
「何階?」
「亮が連れてってくれるって」

侑士が亮の背後から顔を出して、ニヤリと亮を横目で見た。同じように、逢花の友人もニヤリとしながら逢花を見ている。なんだかめんどくさいことになったな、亮くんも迷惑だろうに。逢花は冗談混じりに交わそうと笑っていた。

「呼び込みサボっていいならいいけど、侑士は?」
「俺は一人寂しく続けんで」
「どっちだよ…」

亮は何ともなさそうに侑士と会話をしているが、逢花は友人らに背中を押されて亮の隣に立った。

「じゃっ!逢花!後で報告よろしく」
「な、なんの?」

バイバイと元気よく手を振りながら消えてしまった侑士と友人。2人はその場に残され、逢花は特にため息をついた。


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